この小説はゲーム0~6戦役と日本語wikiの知識にて構成されております。
ジョンは目を開けて9がいないことを確認する。まだ空は暗く、時刻を確認してみれば夜中の三時を指している。
バッグを手繰り寄せて中から端末を取り出すと、電源ボタンを押した。夜の静寂に機械の作動音が加わる。パスワードを打ち込むと、ホーム画面に通知が表示された。
「メールの通知?……ネット回線はきてないぞ?」
回線強度を示すアイコンは接続されていないと表示していた。しかしながら、ブラウザを立ち上げてみればしっかりと表示される。明らかな異常にジョンは診断ソフトを走らせる。しかし異常は検知されなかった。
もしやと思い端末を裏返せば、ネジ穴を隠すシールに剥がされた跡があった。45の仕業だろうとジョンは結論づけた。
ジョンはG&Kへとアクセスを試みることにした。表示されたログイン画面に自分のIDとパスワードを入力する。そしてエンターを押すと……
「戦死……?この日付はヘリで落ちた日か」
ログインは承認されず、画面に戦死した旨を告げる文が表示された。これは家族からの安否確認に使われるシステムでもあるため、そういう機能も備わっているのだ。
「そうか……俺は戦死したのか……」
ジョンは真っ暗な夜空を見上げる。このシステムにアクセスできないとなると、もうG&Kに直接救援を求める手段がジョンには残されていないことになる。彼は帰る家を失ったかのような気持ちになる。
呆然としながらもメールへと目が向く。件名には、ump45よりとだけ書かれていた。ジョンはそれを開いてみることにした。明らかにあやしいが、罠だったとしてももうジョンにとってはどうでもよいことだった。
彼にとって、救援も呼べず、9を直すこともない端末など何の価値もなかった。
メールの開封ボタンを、ジョンは冷静な瞳で押した。
=*=*=*=*=
周囲の哨戒に出ていた9は、一つ疑問を抱く。ジョンが鉄血に命を狙われる理由についてだ。
確かに鉄血兵は人間を排除するようにできている。だからこそ、ジョンという1人の人間にこだわる理由が理解できなかった。人間を殺したいのであれば避難民の集落を襲うほうが効率が良い。1人の人間など放っておけばいずれ勝手に死ぬだろう。しかし奴らはしつこくジョンを付け狙う。
やはりジョンはただの一般人ではないと9は結論を出す。明らかに彼は鉄血に狙われる原因を持っている。
そんなことを考えながら戻っていると、ジョンのいるあたりで光っているものを見つける。それに気づいた瞬間、9は銃を構えて走り出した。隠密に慣れているおかげで走っていても音は最小限である。近づいてくると、光と共に人影も視認する。9は一度足を止めてゆっくりと進む。
「……なんだ、指揮官か」
「うおっ!9か、おかえり」
そこには端末を開いているジョンがいた。ジョンは端末を閉じて9の方を向く。
「どこに行ってたんだ?」
「ちょっと周りを警戒してたの。それより指揮官、熱は下がった?」
「ああ、おかげさまでな。もう大丈夫だ」
「そう、良かった。でも今はもう少し休んだほうがいいよ。日が昇ったら移動しよ?」
「そうだな。じゃあおやすみ」
ジョンは端末をバッグの上へ置いて再び寝転がる。やはり熱で体力を消耗していたのだろう、彼が寝息をたてはじめるのにそう時間はかからなかった。
その様子を見届けて、9は端末へと手をのばす。以前盗み見たパスワードで端末を開くと、メールが表示される。
件名を見て9は今すぐ消したくなったが、内容も見てみることにした。
「どういうこと……?」
三度ほど読み返しても、その意味は分からなかった。否、メールに書いてある文章が読めないわけではなかった。しかしながらそのメールをジョンに送りつける意味がわからないのだ。
これではまるで、ジョンに一目惚れした45が出した恋文だ。
9はメールの文面を何度も見てみるが、法則性をもった暗号として認識することはできなかった。そもそも9はこういった情報戦は苦手分野である。
45への殺意が薄れていき、別の感情が9の中を満たしていく。しかし、その感情を的確に表す言葉を9は持ち合わせていなかった。
「どうしよう……とにかく会わせちゃいけないってことだよね?」
9の脳内はハテナで埋め尽くされていた。演算はフル稼働しており、45の意図を探ろうとする。しかし、結果が出る前に何かが邪魔をして、結論を捻じ曲げてしまうのだ。どうしても、45がジョンに恋をしてしまったという結論が出てしまうのだった。
恋愛ものが始まる予感……?