「45……、45応答しなさい」
「416、ごめんなさい私」
「はあ、とうとう9離れができたのかと思ったのだけれど、どうやらまだだったみたいね」
416はボケっとしていた45を見てため息をつく。最近は任務に集中できていたはずだが、今日の45は少し様子がおかしい。
「ところでG11は?」
「ああ、あれならあそこの建物で寝てるわ。通信が入ったらすぐに起きるとはいっていたけれどね」
G11は相変わらず寝ることが好きなようだった。45は肩をすくめる。
「9に負けて少しは変わったかと思ったけど、勘違いだったようね」
そういって45は銃のセーフティを外した。
「45?具合が悪いならすぐに言いなさいよ?」
「大丈夫だよ~。……?」
45は首をかしげた。
どうして416はこちらに銃を向けているのだろう?
どうしてG11が狙撃の用意ができたことを416に伝えているのだろう?
どうして自分は、416に銃口を向けているのだろう?
=*=*=*=*=
ジョンと9の二人は、今日も山の中でたき火を囲んでいた。市街地だといつ戦闘区域になっても不思議ではない地域に入ったので、山奥こそが二人にとっての安全地帯であった。
「ねえ指揮官」
「……なんだ?」
「私は直るの?」
その言葉にジョンは口を閉ざした。
「そんなに悪い状態なの?」
「……ああ。正直、いつまでおまえが自我を保てているか見当もつかない」
「そう……。指揮官にお願いがあるんだ」
9はジョンに笑いかける。ジョンは顔を伏せた。
「もし私が動かなくなったら、私を置いて保護区域まで逃げて」
「馬鹿なことは言うな。俺が直すって言ってるだろ」
「でも指揮官にも限界っていうものがあるでしょ?」
ジョンはその言葉に拳を握りしめる。
そのとおりである。ジョンに限らず、プログラムに詳しいものが見れば9の状態は最悪の一言に尽きる。もし彼が心のない軍人であれば、9のことをすぐに廃棄していたであろう。
しかし、ジョンはあきらめなかった。
「うるせぇ。一度直すって言ったんだ。最後まであきらめてたまるか」
「……どうして?どうして指揮官は私のことを救おうとしてくれるの?」
9の疑問はもっともだ。ジョンと9は偶然出会っただけで、元は何の関係もない他人のはずである。
「……別におまえだから救おうってわけじゃねえ。ただ目の前に不幸な人形がいるのが気に食わないだけだ。もう俺は寝る」
それだけ言うと、ジョンは毛布にくるまり横になった。9は寝ているジョンに近づき、身体を寄せる。
ふと身体に金属のプレートが当たる。それはジョンのドッグタグだった。そういえば彼の本当の名前をしらなかったなと9は考えた。きっとドッグタグには本当の名前が書いてあるだろう。
しかし9はそれを見ないことにした。もしそれを知ってしまったら、ジョンとの時間が夢のように消えてしまうような気がした。
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「イントゥルーダーがやられましたか……」
暗い部屋の中で、メイドのような姿をした少女が不敵に笑った。
「しかし厄介ですね。実に厄介です。まさか生き残りが居たとは」
ディスプレイには、ウイルスを検知したことによる警告のダイアログボックスと、それに対処するために一部の人形との通信を切ったことを伝えるメッセージが表示されていた。
「この件はもう保留にできませんね。部隊を展開させましょう」
少女は端末を操作して、配下の鉄血兵に指示をだした。
「私自身は彼に恨みはありませんが……死んでもらうしかないでしょうね」
少女は資料を手に取る。そこには、鉄血のAIの開発に関わった者の中の一人に関する資料と、その人物と同じく珍しい名字を持つ一人の男性の経歴が書かれた紙があった。
物語は佳境へ……