魔法少女なぎさ☆マギカ   作:黒炉

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ガッサン4256さん、七海千秋さん感想ありがとうございました!

第四話になります。
なぎさちゃん可愛いよなぎさちゃん!


第四話 願い事は、ない

 あれから数日が経った。

 魔法少女である百江なぎさと、魔法少女を生み出すキュウべえという謎の存在にであったことで、俺の平穏な日常は終わりを告げた――――とかいうことはなく、忌々しいぐらいに昨日も今日も平常運転である。

 朝起きたら学校に行って、殆ど授業を聞き流し、一日三百円に抑えた昼飯を食べてから、午後も午前と変わらず聞き流しタイム。そのあとは課題を適当に済ませてコンビニでバイト。本当に、毎日がループしているかのように変わらない。

 

「お疲れさまでーす。月島君、先上がるね」

 

「うっす、お疲れ様です」

 

 夜にコンビニバイトをした帰りに、魔女の結界に迷い込むなんてことも、あれ以降一度もない。

 どうやら魔女の結界という奴は、一般人は見つける物ではなく迷い込む物らしい。さらに、なぎさが魔女を倒しているので、そもそもこの街にはもう魔女がほとんどいないとか。

 

「あ、月島君。表の掃除ぱぱっとやっておいてくれるかな」

 

「うーっす」

 

 ロッカールームに戻り、箒とちりとちを取ってくる。掃除はもちろん、棚卸もレジ打ちも、いつもやっていることだ。何も変わらない。

 唯一、あれから変わったことと言えば……

 

「……あ」

 

「お前、また来たのか……」

 

 なぎさが毎晩、俺のバイト先のコンビニの前に居座るようになったことか。

 

「あのなぁ、別に来るなとは言わないけど、俺のバイトが終わる時間が遅いのは知ってるよな? 魔法少女だろうがなんだろうが、子供が一人でうろついてていい時間じゃないんだよ」

 

「一人ではないのです。キュウべえも一緒なのです」

 

『この街の魔法少女はなぎさ一人、素質のある者も、今のところ太一以外には見つかってないからね。傍にいるのは当たり前じゃないか』

 

「おいキュウべえ。お前は魔法少女の勧誘の前に一般常識を広める手伝いをした方がいいんじゃないのか?」

 

『わけがわからないよ』

 

「俺の台詞だ」

 

 こんな問答をいくら繰り返したところで、コイツらがここから動かないことは分かっている。キュウべえは一般人には見えないから分かるとして、どうしてなぎさが警察に声をかけられないのかが不思議で仕方ない。

 俺はなぎさと適当な世間話をしつつ、主にゴミ箱の周囲を重点的に掃除していく。畜生、家庭ごみは持ち込むなって書いてあんだろーが……

 

『ところで太一、僕と契約してくれる気にはなったのかい?』

 

「言っただろ。俺には叶えたい願い事なんてない」

 

『君は、男性としてはあり得ないほどに優秀だ。君なら死んでしまった両親を生き返らせることさえ可能なのに』

 

「死んだ人間が生き返っても、現代社会に居場所なんかねーよ」

 

 それは、なぎさの手伝いという意味でなら、別に魔法少女――――繰り返すが少女ではない――――になるのは全然構わない。

 けれど、なぎさは一度も俺に「魔法少女になってほしい」とは言っていない。前に一度、俺に魔法少女になってほしいかどうか聞いたが、ふわふわした笑みで軽くスルーされてしまった。

 彼女が本当にその程度にしか思っていない、現状に満足しているのなら、俺が彼女の為に魔法少女になるのは、ただ重荷を背負わせるだけになるだろう。「自分のせいで他人の人生が狂った」と。

 

『本当に願い事はないのかい? 大抵の子は、この話をすると二つ返事で契約してくれるん

 

「俺は割と物事を慎重に考えるタイプなんだよ。……こんな物でいいか」

 

 俺はとったゴミをゴミ袋の中に入れると、口を縛った。明日は燃えるごみの回収日だし、今のうちに出しておこうか……いや、夜中の間に猫やカラスにつつき回されてもたまらないな。

 

「あの、太一さん」

 

「ん? そういやどうすんの、お前。俺はもうすぐバイト終わるけど」

 

「あ、いえ、えっと、なぎさはもう帰るのです。魔女も見つからなかったし……」

 

「そっか、気をつけて帰れよ」

 

 俺がそう言うと、なぎさは振り返ってとことこと歩き出した。相変わらず、見てるこっちが微笑ましくなる笑顔である。

 今日のバイトはもうあと十数分で終わりだ。

 

 

 

 

 

          ☆

 

 

 

 

 

 気がつくと俺は、見知らぬ場所にいた。

 ……いや、見知らぬ場所なんかじゃない。ここは、まだ母さんと父さんが生きていた頃の家。俺達三人の家だ。

 家具の位置も、並べられた食器も、全部同じだ。何も変わらない。

 

「何で……この家は、もうないはずじゃあ……」

 

 家は、本当にあの頃と何も変わらない。

 じゃあ、母さんと父さんも……!

 

「太一」

 

 声を掛けられる。母さんの声だ。忘れるはずがない。

 今までの五年こそが夢だった。悪い夢だったんだ。母さんも父さんも、死んでなんか……!

 

 

『ドウシテカアサンタチヲイキカエラセテクレナイノ?』

 

 

 そこにいたのは、真っ赤な血に染まった、瞳のない母さんと父さんだった。

 

 

 

 

「ああああああああああああああああ!! ああ、あああ………」

 

 俺がいたのは、我が家であるアパートの一室、俺のベッドの上。どうやらさっきのは夢だったらしい。

 ……胸糞悪い。

 

『おはよう、太一』

 

 胸糞悪さが増したぞ、なんで悪徳勧誘生物が朝っぱらから俺のベッドの上にいる。

 

「何の用だよ、キュウべえ。俺は今から学校なんだが……」

 

『なぎさに頼まれたんだ、君を連れて来て欲しいとね。彼女は今、危険な状態にある』

 

「……!?」

 

 俺はハンガーに掛けてある制服に手を伸ばし、途中で止めた。

 なぎさが危険な状態、だと?

 

「……案内しろ」

 

『勿論、そのつもりだよ。けれど、学校には行かなくていいのかい?』

 

「んなもんサボりだ」

 

 着るのは制服ではなく動きやすいラフな私服。なぎさが今どういう状態なのか、いまいち想像がつかないが、学校に行く可能性はもうゼロだ。

 15秒で着替えると、俺は走り出したキュウべえを追いかける。

 

「なっ……!?」

 

 どういうつもりだあの野郎、猫みたいに屋根の方を行きやがった……!

 勿論、魔法少女でも何でもない俺に同じルートでキュウべえを追いかけることなんてできない。仕方がない、アイツを見失わないように、地上を行くしかないだろう。

 

「くそったれ!」

 

 俺は誰に言うでもなく悪態をつくと、屋根上を走るキュウべえのあとを追いかける。




キャラが増えていないのでキャラ紹介はお休みです。

なぎさちゃん可愛いよなぎさちゃん!
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