プリンセスコネクト ~ロストメモリー~   作:白琳

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ケチャップの伝道師さん、評価ありがとうございます!


第4話 主従→夫婦?(コッコロ編)

ランドソル滞在二日目────俺達は朝食を食べ終え、辺りを散策した後にこれからの生活に必要な物を買う為、それらが売っている区域に向かう事となった。

 

「こちらです、主さま。お足元に気を付けてください。手を引きましょうか?」

「ああ、悪いなコッコロ」

「いえ、ご遠慮なく。『ガイド役』として主さまをお導きする事が私の務めですから♪」

 

少しばかり足場の悪い道を俺はコッコロに手を引かれながら、歩いていく。ランドソルは入り組んだ街である為か、こういった場所もよくあるらしい。こういった道は避け、近道をしたい気分ではあるが……教えてもらった道から外れて迷子になったらまずいからな。

 

「ランドソルはまるで迷路のようですよね。それにこの人混みにも全然慣れません」

「そうは見えないが……昨日来たばかりで既に俺の案内できてるじゃないか」

「『ガイド役』として、それは当然ですから。ただ人がここまで多い道は初めてで……わっとと」

 

大通りへと出て、誰かにぶつからないよう注意しながら進んでいると────突然コッコロがよろめいて俺の方に寄り掛かってきた。どうやら誰かに押されてしまったらしい。少し遠くから謝罪の言葉が聞こえてきたしな。

 

「す、すみません主さま。通行人にぶつかってしまって……」

「まぁ、結構な人がいるからな。大丈夫か?」

「はい、転びそうでしたが主さまのお陰で助かりました。気を引き締めないといけませんね……」

 

まぁ、確かに気を付けてはほしいがそこまでする必要もないと思う。気を張り詰め過ぎても疲れるだけかもしれないしな。

 

「きょろきょろ余所見をしながら歩いてはいけませんね。何もかも物珍しくて、つい……」

 

それは仕方ないだろう。俺も記憶を失った事が理由とはいえ、見る物全てが気になるからな。出来れば近くでじっくり見てみたいが、数が多い為にそれだけで終わってしまう可能性がある。それは今度時間がある時にしよう。

 

「もっと気を抜いたらどうだ?それに何か興味がある物を見つけたら、少し位見てきてもいいぞ?」

「いいえ。主さまをお導きするのが、わたくしの使命ですから。物見遊山をしているわけではありませんし、常に周囲を警戒しつつお供します」

 

どうやらコッコロは自分に甘えず、厳しい性格のようだ。反対に俺には甘いが、それじゃいけないだろ。こんな小さな子に負担ばかり掛けるわけには……。

 

「ふふっ、ですがわたくしを気遣ってくれる主さまのその優しさはとても嬉しいです。ありがとうございます、主さま……♪」

「出来ればその使命から離れて、自分に甘えて欲しいんだが……」

「それでは『ガイド役』は務まりませんから。ともあれ、予定通りここで生活用品を買い揃えて参りましょう」

 

どうやらコッコロと離している間に目的の区域に辿り着いたようだ。ここだと生活用品や食品、衛星品、洋服、その他にも武器や防具など様々な物が売られている事から大勢の人で賑わっているらしい。

 

「ランドソルは物価が高いですし、お手持ちの残金が少々心許ないですが……主さまが欲しいと思った物は、何でも買い与えてさしあげたいです」

「いや、何でもってわけにはいかないだろ。流石に高すぎる物はダメだし、コッコロだって買いたい物とかあるだろ?」

「いえ、わたくしは特にありませんから。主さまが好きな物を買って頂いて構いません」

 

むぅ……コッコロのその気遣いはありがたいが、それでも限度というのがある。俺を自分よりも優先するというのは、説得してもどうにもならないとしても……せめて何でもかんでもそうするのはやめて欲しい。コッコロにもしたい事があれば、俺に構わずやって欲しいんだが……。

 

きゅるるる~……。

 

「あっ……」

「今の音……もしかして、コッコロか?」

「……はい、申し訳ありません。その、お腹が鳴ってしまって……はしたないですね……」

 

だがそろそろ昼ご飯を食べる頃合いだよな。そういえばコッコロは小柄な為か、昨日の夕食も今日の朝食も食べる量は少なめだった。もしかしたらお腹が空いたのもそれが原因かもしれない。

 

「いや、俺も腹は空いてるしな。何か食べてから買い物はするか」

「主さまも空腹なのですか?ふむ……わたくし達が宿泊している宿屋は少し遠いですが、亭主さまが『宿屋ならお金を払えば厨房を使わせてくれる』と仰っていましたし、食材を買って、わたくしが料理しましょう」

 

コッコロ曰く、お店で食べるよりも自分で作った方が安く済むらしい。ランドソルは物価が高い上に俺達の残金はそう多くない。それに金を手に入れる手段をまだ考えていない以上、食事をする際はそれが最も節約できる方法だろう。

 

「それにこの街の飲食店は添加物が多くて……主さまの健康が心配です。ですからわたくしが、きちんと栄養計算などをしたいのです」

「それはありがたいが……いいのか?そこまでしてもらうのは悪い気がするんだが」

「いえ、わたくしが主さまにしてあげたいのです。わたくし、実は本などを読んで料理も勉強中でして……主さまにご満足頂けるよう頑張ります♪」

 

料理を勉強中って……そうだったのか。記憶がない俺にとっては作り方や使う道具も分からないが、いつかはコッコロにも俺が料理を作って食べさせてやりたいな。

 

「────奥さん奥さん!今日は魚が安いよ、寄ってかない?」

 

そんな事を考えつつ歩いていると、不意に横から声を掛けられた。どうやら店を経営している男性がコッコロに声を掛けたみたいだが……当の本人は何故かポカーンとしてしまっている。

 

「はい?えっと……わ、わたくしの事ですか?あの、わたくしは主さまの従者でして……決して、奥さんではございません」

「……?なぁ、コッコロ。奥さんって何の事だ?」

「ふぇっ?えっと、奥さんというのは……その、結婚している旦那さまのお嫁さんのことです。わたくし、主さまの奥さんに見えるのでしょうか」

 

ふむ……他にも色々と分からない単語が出てきたが、とりあいず周りからは俺が旦那、コッコロが奥さんあるいはお嫁さんに見られてるという事か。

 

「主さまが、わたくしの旦那さま……えへへっ♪」

 

コッコロの様子がおかしい。さっきから奥さんと呼ばれたり、俺が周りからはコッコロの旦那に見える事が理由みたいだが……そんなに嬉しいものなのか?

 

「奥さん、この魚は今が旬だよ!今日の晩ご飯にでもどう?旦那さんも大喜びだよ!」

「主さまが、お喜びに?あの、じゃあ、そちらのお魚をいただきます……♪」

「おぉっ、いい買いっぷりだね!それじゃこっちはどう?これは精がつくよっ、奥さん!」

「はい、いただきます。そちらも、買います……♪」

 

なんて思っている間にも、コッコロと店主の間で話がどんどん先に進んでしまっていた。というか、昼ご飯の食材ではなく、晩ご飯の食材を買う話になってしまっているんだが……。

 

「なぁ、コッコロ」

「はぅ……えっと、何ですか主さま?」

「そんなに買って大丈夫か?それに何匹も買っても全部は食べきれないぞ」

 

そもそも一匹が結構な大きさだし……コッコロが少食である以上、俺が食べるしかないが流石に多すぎる。ペコリーヌでもいればすぐに無くなるだろうが。

 

「あっ……そ、そうですね。わたくし、どうかしていました……前に本で読んだ事がございます。こういうお店の方は、女性客には必ず奥さんと呼び掛けるのですよね」

「そうなのか?俺はよく分からないが……凄い嬉しそうだったな」

「も、申し訳ありません。主さまが分かっていないまま、わたくしだけが嬉しくなってしまって……」

 

あたふたと慌てるコッコロだが、別に怒っていないけどな。ただコッコロがあんなにも嬉しがる理由が何なのかは気になるが。

 

「……もしもコッコロが俺の奥さんになったら、もっと嬉しいもんなのか?」

「へっ……い、いえっ、そんな恐れ多いこと出来ません。主さまにはきっと……わたくしよりも素晴らしい人がいるはずです」

 

恐れ多いって……奥さんになる事ってそんな難しいもんなのか?それにコッコロよりも素晴らしい人って言われても、こんな色々と頑張ってくれる子もいないと思うが。

 

「ですが……もしもそれが叶うのであれば、わたくしはとても嬉しいです♪」

「そうか……って、うおっ!?」

「ひゃっ……?」

 

突然俺とコッコロの全身が白く輝き出した。その光は弱まる事なく、今度は俺達の前に何か文字らしき物が現れ始めた。『CONNECT』と書かれているが……。

 

「なんて読むんだ、これ……?」

 

この光が何なのか全く分からない上に文字は読み方も意味も分からない。コッコロに聞こうとするが、その前に光と文字は少しずつ薄れていき、消えてしまった。

 

「な、何だったんだ……?」

「今のはもしかして……アメスさまの託宣にあった……?」

 

どうやらコッコロはアメスから何か聞いてるようだが……詳しくは知らないみたいだな。少なくとも、こういう事がいつか起こるって位か?

 

「奥さん、お待ち!……どうしたんだい、旦那さんと見つめあったりなんかして?」

「な、何でもございません。こちらで大丈夫でしょうか?」

 

……何だ?あの店の人、というかここにいる誰もが今の事が分かっていないみたいだ。もしかして俺とコッコロにしかあの輝きは見えていなかったのか?

 

「うん、ぴったりだよ!お買い上げありがとう、奥さん!」

「はい、ありがとうございます……えへへっ♪」

 

やはり奥さんと呼ばれて嬉しいのかコッコロは笑みを浮かべる。そして両手を魚が入れられた袋へと伸ばすが、コッコロが受け取る前に俺が横から袋を手に取った。

 

「あ、あの、主さま?重いでしょうし、それはわたくしが……」

「だからだよ、これは俺が持つ」

「おぉっ、優しいね旦那さん!」

 

荷物を持った事を褒められるが、小さな子に重い物を持たせるわけにはいかないだろう。コッコロとしては俺に持ってほしくないみたいだが、せめてこの位はさせてほしい。

 

「ですが……」

「なら代わりにさっきの光の事について、後で教えてくれ。何か知ってるんだろ?」

「……はい、と言っても少しばかりですが」

「別にいいさ、知ってる事だけで」

 

それにおそらく……アメスからも夢の中で説明ぐらいはあるだろうしな。




次回はゲームのバトル中に重要となるユニオンバーストのことについて書いていきます。
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