プリンセスコネクト ~ロストメモリー~   作:白琳

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今回はキャル編第1話です!
ちなみに、キャラクターそれぞれの原作でのストーリー全部を描くわけではありません。いくつかを抜き出していく感じです。


第6話 尾行(キャル編)

「えっと……主さま、今何と……?」

「いや、だから街を1人で出歩いてきてもいいかって」

 

俺とコッコロがランドソルを訪れてから数日が過ぎたものの、まだ知らない場所は沢山ある。だがいつまでも出掛ける度にコッコロと一緒では、彼女も疲れるだろう。

 

「で、ですが街には他人に暴力を振るうなど悪さをする人もいます。もしも遭遇してしまったら……」

「そんな心配すんなって。この辺りだけなら大丈夫だろ?」

「それは、おそらく……ですが……」

 

どうやらコッコロの中では俺を1人で行かせていいか、止めるべきかで分かれているようだ。この辺りが安全だとは思っているみたいだから、それを信じて行かせてくれないだろうか?

 

「……分かりました。主さまがそこまで仰るのであれば、わたくしは止めません。ですが、なるべく早くに帰って来て頂けるとわたくしとしては安心です」

「ああ、遅くはならないようにする」

 

まぁ、そんな事も言われなくてもそうするつもりだが。暗くなってしまうと視界が悪いし、色んな人が出歩くようになる。コッコロに余計な心配は掛けたくないし、俺も面倒な事には巻き込まれたくないからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それが、今よりも数時間前……つまり今朝の事である。

 

「……まずい」

 

あろうことか──────道に迷ってしまった。コッコロがおらず、道案内をしてくれる人もいない為に気を付けていたんだが……どうやら興味がある物を見ようとあちこち歩いている間に、随分と遠くまで来てしまったらしい。

 

「どうする……?」

 

適当に歩いた所であの宿屋に戻れるとは思えない。ランドソルは俺が思っている以上に広いし、逆にさらに迷ってしまうかもしれない。誰かに話を聞ければいいんだが、あいにく周りには誰も──────

 

「……ん?」

 

今、後ろを振り向いた瞬間に遠くで誰かが隠れたような気がした。もしかしたら俺の気のせいかもしれないが……いや。

 

「どうやら違うみたいだな」

 

隠れたと思われる壁から黒い尻尾のような物が出ていた。あの尻尾……どこかで見覚えがある。確か……そうだ、キャルだ。俺が目覚めた場所で何故か気絶しており、診療所へと運んだ後に夕食を共にした少女────そのキャルが何故ここに、そしてコソコソと隠れているんだろうか?

 

「とりあえず……道案内を頼めないか聞いてみるか」

 

名前も知らない赤の他人に尋ねるよりも、互いを知っているキャルの方が話しかけやすいだろう。まぁ、と言ってもそんなに親しいわけでもないが……。

 

「おい、キャ────」

「ニャ~」

 

名前を呼ぼうとすると、俺の足下をスルリと何かが通っていった。何だろうかと思い、視線を向けてみるとキャルと同じ特徴である耳や尻尾などを生やした小さな生き物であった。

何だ、あれ……?と思っているとそれは見えている尻尾に興味を持ったのか、掴もうと前足を上へと伸ばし始めた。

 

「ん?……ああ、何かと思ったら猫だったのね」

 

振り返ったのか尻尾が壁の後ろへと消え、代わりに出てきたのはやはりキャルであった。俺からもキャルからも互いの事は見えているはずだが、どうやら猫とやらに集中しているせいで俺は見えていないらしい。

 

「かわいいなぁ、あたしの下僕にしてあげよっか……♪」

「ニャウン?」

「ふふっ、冗談よ。あたし、大事な任務の途中なの。お前らと違って野良じゃないからね、ペットだから……ご主人様の役に立たないと、()()()()()()()()()

 

猫の頭や顎下などを撫でながら、キャルはその猫に色々と話しかけている。言葉を理解している……とは思えないが、ペットとかご主人様とか……捨てられるとはどういう事だ?

 

「にゃあにゃあ鳴いてる。えへへっ、かぁわいい……へ っ?」

「おっ?」

 

不意にキャルがこちらへ顔を向け、ようやく俺に気付いた。確かにあの猫という生き物は可愛いと思うが、キャルがあんな顔をするとはな。初めて会話した時の印象から気が強いイメージしかなかったし。

 

「にぎゃあああああああっ!!?」

「ニ゛ャアッ!?」

 

顔を真っ赤にしたキャルは次に大きな悲鳴を上げ、その声に驚いた猫は一目散にどこかへ逃げていってしまった。

 

「あ、ああ、あんたっ!いつからそこにいんのよ!!」

「キャルがさっきの猫に気付いた頃からだが?」

「それって最初っからじゃない……あぁっ、もう!」

 

キャルが俺の襟を掴み、勢いよく自身の方へと引っ張っる。俺とキャルとの顔の距離が一気に縮まり、一瞬心臓が跳ねたような気がした。が、今のが何だったのか考える前に、キャルが口を開き──────

 

「今ここで見た事を誰にも言うんじゃないわよ、言ったら殺すから!」

「分かったから……離してくれないか?」

 

そう言うと、キャルは俺を放り投げるように離した。そんなに見られたのが嫌だったとは……これからは見ていないフリをするよう気を付けるか。

 

「ったく……あんた、こんな所で何してるのよ?」

「何をというか……道に迷っててな。どうしようか考えてたんだ」

「えっ?という事はあんた、迷子なの?だからさっきからずっとウロウロしていたのね……」

 

……何故キャルはその事を知っているんだ?俺は確かに迷子ではあるが、この辺りを行ったり来たりしていた事は一言も言ってないんだが……それにさっき隠れた事も踏まえるともしかして……。

 

「キャル。もしかしてお前、俺の事を尾けていたのか?」

「ふぇっ?な、な、なに言ってるのよあんた?そ、そんな事するわけないじゃない。自意識過剰なんじゃないの?」

「いや、でもだったら何で……」

「あははっ、おかしな事を言わないでよね。殺すわよ~♪」

 

……何だろうか。さっきとは違い、『殺す』の言葉の重みが違う。顔は笑っているんだが、こちらの方が本気に聞こえる。

 

「……そうだな。悪かったな、突然変な事を言い出して」

「うんうん、分かれば良いのよ~♪……ふぅっ、何とか誤魔化せたわね!」

 

これ以上問い詰める気はないが……やはり尾けていたんだな。理由は何だろうか?さっき、会話が通じない猫と話していた位だし、もしかして俺と親しくなりたかったんだろうか?

 

「なぁ、キャルってこの辺りに詳しいか?できれば道案内を頼みたいんだが……」

「そう言われても、あたしもこの街にはあまり詳しくないのよ。まぁ、やれば出来なくもないけど……迷った原因のあんたに指図されるのはムカつくわね」

 

いや、キャルが迷ったのは自分のせいだろう……というかこの街に詳しくないという事は、キャルはランドソルに住んでいるわけではないのか?

 

「一応聞くけど、目的地はどこなの?」

「宿泊している宿屋に戻りたいんだ。この街の広場まで行ければ、その後は大体分かるんだが……」

「ふーん、そう。宿屋に……ん?あっ、という事はこれってチャンスじゃない……!」

 

キャルは何やら俺に背を向け、ブツブツと呟いているが……どうしたんだろうか?チャンスがどうのこうの言っているみたいだが……。

 

「……よし。気が変わったわ、あたしが道案内してあげる」

「いいのか?ありがとうな、これで助かる」

「お礼なんていいのよ~、困った時はお互い様でしょ?」

 

何がキャルの心を変えたのか分からないが、とりあいず宿屋には戻れそうだな。ただ外に出てから大分時間が経っているし、コッコロはかなり心配しているだろうな……。

 

「……ふふっ、このままこいつの寝床を突き止めてその近所にあたしも宿を取れば……朝とか夜にもこいつの監視ができるわ。あたしって、なんて運がいいのかしら♪」

「何か言ったか、キャル?」

「えっ!?う、ううんっ、何も言ってないわよ。さ、さぁ、そうと決まればさっそく向かいましょう!」

 

何故かキャルのテンションが上がっているんだが……どうしたんだ?この短い間に何かいい事でもあったんだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、無事宿屋には辿り着いたが、散々心配をかけてしまったコッコロからは説教を受けてしまった。まぁ、何もなかったから許してくれたし、今後も1人で出掛けのは気を付けるよう注意されただけで反対はされずに済んだから良かったが。

……そういえば、窓際からキャルが隣の宿屋から逃げるように出ていくのが見えたが……どうしたんだろうか?




最後のキャルについてはゲームをやっている人なら何があったのか分かります。

コッコロ、キャルとRe:Diveでのメインキャラクターが続いていますが、次に描くのはペコリーヌではありません。
まだ予定ですがペコリーヌの話を出したら、その後に上記3人組でのオリジナル回を出すつもりです。
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