「えー、それではこれから遠足の班決めをしたいと思います。みんな、三人一組で班を組んでねー」
中学生になってからそろそろ一ヶ月が経つ頃、数週間後に控えた遠足の班を決める事となった。近くにある動物園までの遠足であり、ほとんどが少し前から仲の良い友達同士で既に班を決めてる。
「せんせーい。
「そうねぇ……登校してきたら聞いてみるけど、とりあえず二人組が一つ出来るから、そこに入れてもらっていいかな?」
「おーい、悠樹。俺達三人で一緒に組もうぜー」
「ああ、もちろん……ん?」
誘ってきた友人二人と組もうとした時に、視界に見えたのだ。教室に隅っこに座っている女の子がその場から動かず、誰とも班を作っていない事に。
「えっと……確か、
そうだ、
「おい、どうしたんだよ」
「ん?いや、ちょっとな……悪い、今回はパスしてもいいか?」
「えー……しょうがねぇな。じゃあ、他の奴でも誘うか」
友人からの誘いを断り、俺は椅子に座ったまま俯いてる草野の所まで行く。そして目の前まで近付いても顔を上げず、気が付いていない草野に声を掛けた。
「なぁ、草野」
「ひゃいっ!?え、ええっと……き、騎之くん……?」
「おう、騎之悠樹だぜ俺は」
驚かせてしまったらしく、草野は可愛らしい悲鳴を上げた。それにしても俺の名前を覚えてくれていたのか。俺はちょっと忘れ気味だったのに。
「ど……どうしたの?い、いつも一緒にいる友達と組まないの……?」
「そう思ったんだけどな、
俺はそう言って友人二人と俺は喋った事のないクラスメイトを指差す。あいつらには悪いが、そういう話にさせてもらう。
「え……そ、そうなの?」
「ああ。でも他のみんなももう組み終わってるし……俺と組んでもらってもいいか?」
「う、うん!いいよ……!」
よし。これで断られたらどうしようかと思ったが、うまく話が進んでくれて助かった。じゃないとこいつ、他の班に入ったら孤立しそうだったしな。
「そろそろ決め終わったかなー?えっと……あっ、騎之くんと草野さんの所が二人一組だね。二人共、安芸さんを班に入れても大丈夫?」
「はっ……はい」
「俺もいいですよ」
というか安芸をこの班に入れる為に草野と組んだんだからな。大丈夫も何も最初から望んでた事だ。
「それじゃあ、今から配る用紙にそれぞれの名前を──────」
「なるほどなぁ、ぼっちの草野と休んでる友達の安芸を組ませる為にと」
「マジでお人好し過ぎるだろ、お前」
「あのまま一人にして空いてる班に入れられたら、楽しめるか分からないだろ」
放課後、誘いを断ってしまった友人二人に事情を説明したが特に何も言わずに納得してくれた。俺の行動を理解してくれる友人で助かったぜ。
「でもそれ、草野に言う気はないんだろ?」
「ああ。言ったら謝ってきそうだしな」
「絶対に言ってくるぞ、ああいう子は」
(き、騎之くん……ご、ごめんね……それと、ありがとう……!)
廊下からドアの窓越しに教室を覗き込み、話を聞いていた優衣は心の中で謝罪とお礼を口にしていた。
──────四年後、
「ねみぃ……」
昼休みに入った俺は購買で買ってきたパンを食べ終え、机に突っ伏した。昨日、遅くまでアストルムをやってた上にテスト勉強も徹夜でやってたからな……音楽でも聞きながら昼寝でも──────
「おい、悠樹!」
「……何だよ。俺、今眠いんだけど」
────しようかと思ったら突然声を掛けられた。しかも大声で。俺の昼寝を邪魔してきたのはあの中学一年の遠足以来、優衣と共に親しくなった安芸真琴である。
「放課後、すぐ屋上に来い!」
「屋上に?どうしたんだよ、また喧嘩でも売られたか」
「ちげーよ。ちょっと聞きたい事があるんだ。いいか、すぐにだぞ!」
そう言って真琴は自分の席へと戻っていってしまった。一体何なんだ?聞きたい事があるならここで聞けばいいのに……おかしな奴だな。
「ま、真琴ちゃん……もうちょっと優しく……」
「優衣?真琴がどうしたって?」
「えっ!?う、ううん!な、何でもないよ!?」
隣の席で優衣が何か呟いていたような気がしたんだが、気のせいだったのか?
「そういえばさ、優衣はレジェンド・オブ・アストルムってゲームやってるか?」
「えっ!?う、うん……」
「実はさ、ちょっと前に優衣と同じ『ユイ』って名前のプレイヤーと出会ったんだよ。いや、こんな偶然もあるんだなっておも……って、あれ?いない……」
優衣の奴、一体どこに……トイレにでも行ったのか?まぁ、とりあえず真琴に言われた通り放課後、屋上に行ってみるか。
「────……で、ちゃんと来たけど」
「あ、あわわわっ……!?」
「……何で真琴じゃなくて優衣がいるんだ?」
放課後、すぐに屋上に来たが真琴はどこにもおらず、代わりに優衣がいた。真琴はどこに行ったのか、どうして優衣がここにいるのか……だがそれを聞いても優衣は顔を赤くし、目をグルグルとさせた状態である。
「あーもうっ!めんどくせぇなぁ!」
「うひゃっ!?ま、真琴ちゃん!?」
すると屋上のドアを勢いよく開け、真琴が現れた。今までそこに隠れていたのか……いや、何であんな所にいたんだあいつ?
「おいっ、悠樹!!」
「お、おう」
「────この後、あたし達とアストルムやるぞ!」
ゲーム(無印)では主人公、優衣、真琴の最初の関係は知り合い程度でしたが、ここでは友人関係からスタートです!