前編
────あなたは、夢を見ている────
────どこまでも非現実的な、美しく尊い夢を────
『くそっ……ま■こんな■■残っ■■た■……!』
『もうや■■う……?これ■上戦っても、■い事■■て一■も無■よ!』
『■■を■える……そ■■なら何■で■戦え■わ!』
『レ■さん!!■ヨリちゃん!!』
『私■邪魔を■る者■……■して逃が■■いっ!』
『世■も■前達も……私■ひざまず■■ぇっ!!』
──────────■■■■くんっ!!
「……ん……ぅん……?」
ここは……どこだ?それにさっきまで目の前まで繰り広げられていた戦い……だったのか?ボンヤリし過ぎていてほとんど覚えていないが、一体何だったんだ……?
「────おはよう。よく眠れたかしら?」
僅かに目を開き、顔を横へと向ければ少女らしき人物が俺の顔を覗き込んできていた。
頭上には赤い輪が浮かび、大きな花を付けた髪は紫色から下に向かって黄緑色へと変色している。そして何よりも目を引くのは背後に見える翼のようなもの……機械的に見えるが、どこも錆び付いている上に配線らしき物は千切れている。さらに左側の翼は付け根とも言える場所から先が無くなってしまっていた。
「眠かったらまだ寝ててもいいわよ?あたしも作業に集中したいし……あんたの相手、してる余裕ないから」
「……あんたは誰だ?それにここは……どこなんだ?」
辺りを見渡すが、確認できるのは噴水や生い茂った森……そして中心に見える真ん中から割れたクリスタルのような物体くらいか。あとは遠くに建物らしき物も見えるが、遠い上にまだ意識がハッキリしていないせいか見えづらいな……。
「やっぱりね……こっちはあんたの事をよく知ってるのに、初対面みたいな反応をされるとちょっと凹んじゃうわ……」
どういう事だ……?俺は彼女と前にも会った事があるのか?……でもいくら思い出そうとしてもそんな事は……というか、そもそも何も……覚えてない……?
「あたしは……まぁ、アメスとでも名乗っておくわ。最近は、もっぱらそう呼ばれてるから」
「ならアメス……1ついいか?俺、お前の事だけじゃない……何も覚えてないんだが……」
「それは当然よ。あんたは記憶喪失……記憶のほとんどを失っているんだから」
記憶喪失って……何でそんな事になってるんだ?いや、記憶がないんだから考えても仕方ないか……。
「アメスは知ってるのか?俺がどうしてこんな事になってるのか……」
「教えてもいいけど……たぶんすぐに忘れちゃうわよ?それにとっても長いからこの
……夢?ああ、だからこんなにもボンヤリとしているのか……。
「本当は現実であんたを導きたいんだけど……見ての通り私はボロボロにぶっ壊れててさ。自己修復が終わるまで動けないのよ。だから現実に関われないのよね」
「なら……どうするんだ?」
「大丈夫、あたしの代理としてあんたには『
「ガ、『ガイド役』……?」
『や■■起き■!■タシ■妖■のフ■■』
『ちっ■■って何よ!ワ■シは■■たをサ■■トする■■切なナビ■■ラよ!?』
「っ……?今のは……」
「どうしたの?まぁ、とにかくあんたの人生、つまり現実における水先案内人ね。詳しい話はそっちに聞いて」
今の、アメスには聞こえていなかったみたいだな。誰が喋っていたのか分からないが……何だったんだ?聞き覚えがあるような気がしたんだが……。
「……おっと。ごめん、今回はこの辺でお別れしなきゃいけないみたい。もっと、いっぱいお話がしたかったんだけど」
「でもお前の、その……自己修復とやらが終われば、自由に話す事が出来るんだろ?」
「ええ、そうね。まぁ、それまでの辛抱……ってとこかしら」
そう言ってアメス笑みを浮かべる。俺と話せる事が嬉しいというのは、その笑顔から容易に考えられるが……記憶を失う前、そんなに俺とアメスは親しい関係だったのか?
「じゃあ、またね。あんたの人生が、現実が、幸福なものであるように祈ってるわ」
その言葉を最後にアメスの姿は消え、周囲の光景は白く包まれていった。そして俺の意識は段々と薄れていき──────途切れたのだった。
とりあいずゲームと同じく区切りがいいのでこれで終わりです。
主人公の名前は、次話で出てきますよ~。