ソードアート・オンライン ヘイスト・バレット   作:I_Ryuji

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Chapter.1 伝説再び

 『ソードアート・オンライン』これは、VR技術を飛躍的に進歩させた科学者・茅場晶彦により創られたフルダイブVRMMOの先駆として世に広まった。だがサービス開始に告げられたデスゲーム宣言、当日ログインした1万人が強制参加、そしてゲームオーバーは現実の死を意味するという過酷な事実だった。

 この剣の世界で大勢のプレイヤーが散っていく中で、『黒の剣士』キリトは仲間達と共に幾多にも渡る生死の狭間を掻い潜り、ヒースクリフの正体を見抜き撃破、ゲームは本来の目標である100層の3/4、75層で幕を閉じたように見えた。

 だが謎のバグが発生しデスゲームは終わらなかった。その正体を突き止める為に突き進んだ76層から彼等は下層への立ち入りが出来なくなった他、英雄キリトは『ホロウエリア』に飛ばされた挙句、一人の少女を見つけた。これまで以上に凄まじいボスとの死闘、ホロウエリアにて再び相見えたPKレッドギルド『ラフィンコフィン』の殺戮者『PoH』との血戦、全てを撃破し遂に『フィリア』と名乗る少女を救出したのである。

 本当に来てしまった本来のゴール『紅玉宮』にてラスボスを倒すも、アークソフィアで見つけたNPC『ストレア』のバグによって現れた本当のラスボスを撃破し、再び現れたヒースクリフの謝罪と再戦、キリト達は之を打ちのめし、遂に完全なる完全攻略を成し遂げたのである。

 その後、キリトこと桐ヶ谷和人がVR世界に囚われていた時にサービスを開始していたALOの新エリア・スヴァルトエリアにて起こった『クラウドブレイン事件』、遥か未来の電脳世界と融合し変形してしまったスヴァルトエリアにてハルユキ達と挑んだ『ミレニアムトワイライト事件』、残存していたSAOのデータをそのまま移植し広大なフィールドとして再編された「SA:O」にて負の感情を持ってしまったNPCによる仮想世界存続を賭けた『アインクラッド創生事件』を解決し、シノンの誘いで参入したGGOにて、もう一人の主人公との出会いと物語を経験した。

 

 ここでは彼の事をHNでこう言おう、「フランクリン・クリントン」と。

 

~某日 ダイシーカフェ~

 「シノン、GGOの事で話があるんだろ?」

 眼鏡を掛けた女子高生、シノンこと浅田詩乃が来店する。ダイシーカフェというバーの店主からコーヒーを頂き、黒髪の少年の反対側に座った。

 「流石ね、もう仕入れてるのね。」

 「キリトったら最近いつもこうなのよ?GGOの超巨大アプデだーって、ガキみたい。」

 「っせーな、次なるフィールドってなったら、ワクワクするのは当たり前だろう?」

 隣にいるブロンドの髪の少女はアスナこと結城明日奈、そして彼はキリトこと桐ヶ谷和人だ。SAOサバイバーでありながらもVR世界の何処に於いても2名は夫婦の様に仲良しで、また優れた戦闘能力に長けている。シノンこと浅田詩乃がプレイするVRMMO・『GGO/ガンゲイルオンライン』にて、シノンは百発百中のスナイパー『ファントムバレット』と云われ畏れられているが、キリトも別ゲーの殆どに於いて剣士である故に銃と剣を扱う『ガンソード』の使い手として名を馳せ、アスナも自由飛行型VRMMO・ALOにてヒーラーでりながらも突如特攻してくる様から『バーサクヒーラー』と名が付くほどのアタッカーであり、その経験をGGOでも活かしている。

 「今日はこの3人だけか?」

 「どうやらそうみたいね。それじゃ、この3人で先行して話しましょうか。」

 GGOの超大型アップデートということで、どうやら日本中にもフライヤーが飛び交っているようだ。

 「『あなたもロスサントスの暮らしを体験してみませんか?前代未聞の超大型アップデート・ヘイストバレット、近日公開』?なんじゃこりゃ。」

 「しかも、新エリアの入場資格が結構キツイよ。対象年齢C(15歳)以上?」

 「いやいや、元々VRゲーム自体が僅かながら出会い系みたいなものだから15歳以上というのもあまり不便という訳じゃないだろ。」

 そこへ暇な店主が近付いてくる。

 「ロスサントス?ヘイスト?・・・ほほう、遂に『ロックスターゲームス』の大人気シリーズもVRに参戦か!」

 「エギル、知っているのか?」

 彼も和人達と同じサバイバーであり彼らの頼れる商売人、エギルことアンドリュー・ギルバート・ミルズである。黒人だが訛りの無いほどに日本語が喋れる上、VRMMOでは重武器専攻やタンクとしてその力を発揮している。

 「俺はVRゲームが出る前から、PS4でよくやっていたもんだ。それがまさか、GGOで経験できてしまうとはな。しかも15歳以上に下げたとなれば、憧れるプレイヤーも多いだろうさ。何せ自由度が高すぎて何年プレイしても飽きないからな。」

 「よく知っていて嬉しい限りね。・・・まぁ、実は私もGGOに出会う前の鬱の時、気晴らしに大量PKしていたものよ。」

 「・・・お前、年齢確認されなかったのか?」

 「身長では多少疑われたけど、BBAメイクしたら何の疑いも掛けられずに通ったわ。」

 「年齢制限?どういうことだ?」

 詩乃は無知の和人と明日奈に、密林でGTA5を探してレーティングを見せた。

 「・・・」「・・・」

 「そういうこと。D(17歳以上)までのゲームなら、年齢確認しなくてもいいけど、Z(18歳以上のみ)はタバコ及びお酒の年齢確認とほぼ同様なのよ。まぁ、そこのゲームショップの店員の見る目が無かっただけ。」

 「お前、よく買えたよな・・・。」

 ミルズもその度胸に感心する。そこに、テレビ電話の着信がミルズのPCに入る。

 「GGO・SBCグロッケンマイルーム・Silica?」

 「おー、もしかしてGGOからテレビ電話でも掛けているのか?」

 【もしもしー、もしかしてそっちにキリトいるー?】

 「おう、いるぜ。」

 【お、見えた見えた。ちょっとー!なんでまだインしてないのよー!!こっちはもう間もなくの超大型アップデートの時間までごった返してて大変なんだから!!】

 【アスナさーん!皆さんもう来てますよー!】

 この気が強そうな少女は、『ぼったくり鍛冶屋のリズベット』こと篠崎里香、そして隣はGGOでは養育費が異常にかかると言われるビーストテイマーのシリカこと綾野桂子。その後ろにはSAOやALO、更にSA:Oを渡り歩いて来た仲間達と、更に外には大勢のプレイヤーが準備アップデートで追加されたSBC空港入口に向かう姿が見える。

 「丁度良かった。実はこれから皆で新しいアプデについて話そうとしていたんだ。」

 和人のスマホの画面に、白い服を着た少女の姿が映る。

 「皆さん申し訳ないです。パパの学校終わりに皆さんに一斉送信を試みたのですが、携帯会社もお手上げの電波障害でシノンさんにしか届きませんでした(´・ω・`)」

 彼女はAIのユイ。SAOのMHCPとしてプレイヤーの精神を直していた最中でエラーが蓄積した結果具現化してしまった幼い少女。一度削除の危機に晒されたが、引きこもり時代の和人が培ったPC技術で救出し、ミレニアムトワイライト事件では記憶をリセットされてしまうが、現在は全ての記憶が戻りつつある。因みに彼女には妹がおり・・・

 「お姉ちゃーん!早くこっち来なよー!」

 「ストレア!もうちょっとしたらパパの部屋から向かいますね!」

 彼女はストレア。彼女もまたMHCPであり、容姿的に彼女の方が姉なのだが、SAO事件76層以降で現れたという理由もあり、彼女はユイの妹と何故か定義されている模様。ユイがサポートAIで非戦闘であるのに対し、ストレアはプレイヤーとして、多少のフェアプレイリミッターが課せられているものの、エギルと同じ重武器担当である。

 「ではこれより会議を始めようと思う。・・・と言いたいのだが、実は未だ俺達は何も知らないのが現状だ。シノンとエギルが唯一プレイ経験があるらしいから、ここからは2人にバトンを渡す。」

 ミルズと詩乃が先頭に入り、GTAの世界を説明する。

 

 GTA・・・GTAとは『GrandTheftAuto』の略で、アメリカのゲーム会社・ロックスターゲームスが誇る大人気シリーズである。アメリカ国内の都市を忠実に再現した架空の犯罪都市・ロスサントスにて繰り広げられるクリミナルアクションにして、リアルを最大限に追及したオープンワールドゲーム。細部にまでこだわったマップにより、飽きが来ないのも特徴的。オンラインゲーム化は本線4作目から始まり、GTA4(同様に後作のGTA5も)を購入してネット環境が整っている人が、ストーリーモードと同じマップで暴れ回る事が出来た。PKありレースあり強盗ありの何でもありなGTAオンラインは、数々のゲーム実況者によって生配信されたり、様々なゲームが入り乱れる昨今でも有名なゲームとして話題を呼んだ。

 

 「そんなGTAオンラインが、遂にGGOを介してVRMMOに参入って事か。」

 「そこまで言うってことは、GGOにはないシステムもあるって事よね?」

 【どうやら、飛行機が出るみたいですよ?しかも戦闘機!】

 【今までは無かった水上でのバトルもあるみたい!】

 「よしエギル、空港のオープンは何時だ?」

 「午後10時からだそうだ。だがSBCグロッケンはあの数だ、出来るだけ有利な状況下で始めたいにしても、あれでは無理があるぞ。」

 【キリト、実は私から提案があります。】

 テレビ画面の奥から聞こえる清楚な少女の声。リアルでも同じ様に聴こえ、和人は彼女だと分かった。

 「プレミア!お前もいたのか!」

 【人込みはあまり慣れていませんが、アイングラウンドとは違う戦いは新鮮でとても心地が良いです。これが、キリトという愛人を持った安心感でしょうk】

 その瞬間、アスナの横膝蹴りで画面から撃墜された。

 【はいプレミアちゃん、要件を話しましょうねー(ニッコリ)】

 【ゲフっ、実はロスサントスへ向かう空港はSBCグロッケンだけではありません。通常mobと戦うフィールドであるオールドサウスにも存在しています。アイングラウンドではキリト達が付き添いでないと危ないですが、ここでは殺されても大丈夫だと言われたので、二丁拳銃(ダブルアームズ)の練習に一人行っていたら、以前までは無かった施設の前で5体の機械兵器にボコボコにされている4人組を発見ました。カマを掘れると思って私も行ったのですが、手も足も出ませんでした。】

 「どこら辺なんだ?」

 【市街地エリアの外れ、草原地帯です。浮遊兵器が3体、歩行兵器が2体です。】

 「あー、アクエリ〇〇がいる場所かー(´・ω・`)しかもヱ〇ァンゲ〇ヲンが門番てアカンやつや・・・」

 「よし、6時に俺の部屋に集合、遅くても3時間前にフライングスタートを計るぞ!!」

 ロスサントス正式解放はSBCグロッケン空港営業開始時間の午後10時。まだ誰もロスサントスには足を踏み入れてない事から、オールドサウス空港を解放すれば一番乗りは確定していた。が、オールドサウスを取り囲む使徒は、1体倒すのも一苦労である。

 

●オールドサウス・北草原地帯

 「見つけた・・・。」

 和人・・・この世界ではキリトと呼称しよう、彼は仲間達と市街地を抜けて、空港の聳え立つ大草原地帯へと足を踏み入れた。場違いな戦国武将風衣装の会社員が敵を捕捉する。

 「こりゃチ〇コの小せぇガキは近寄らないのも頷けるなぁ。機械兵がウヨウヨいやがる。」

 彼はクラインこと壺井遼太郎。SAOでは風林火山という同じ会社の仲間クランを立て、黒の剣士キリトと共に最前線攻略組として活躍した。女運には見放されているが、エギル同様に男気がある。

 「運営の話は間違っていないようだ。ロスサントスエリアは3日前から開放されているのだが、本来のサービス開始日は今日で、この空白の3日間は先行入場期間という話らしい。俺達みたいな大勢で挑むことを前提としてこのレベル帯且つ敵の数にした訳か。」

 「物理的に一筋縄ではいかないようね。私シノのんとビル上行ってくる!」

 「ええ、行きましょう。」

 「よし、狙撃班はアスナとシノンに任せよう。俺達はコイツらを引き付けながら、この門番を叩く!!」

 戦国乱世の如く、敵に向かって一目散に突撃する命知らずの野郎達。野郎と言っても少女が多いが、様々な武器を専攻している多種多様・十人十色なプレイヤーである。

 「リズ!ショットガンは射程が短いんだ、まだ近付くな!」

 「了解!ヱヴ〇が来るまで待つわ!」

 キリトの指示でタゲを取りつつ後退する。出来るだけ狙撃班に向かないよう、怪しまれないようにビル陰に隠れる。

 

 ・・・その頃、同じオールドサウスのフィールドには、色違いの黒の剣士風コスチュームの青年が居た。

 「よっし、この辺でいいかな?」

 「あんたが不慣れな光剣を練習してたのって、これが目的~?」

 「ああ、そうだが。」

 図星でも表情一つ変えない青年と、その青年の隣に就く少女、その後ろから必死について来たAIプレイヤー。

 「マスタぁ・・・、もう違法リアルスパイダーマンみたいに早く登り過ぎですぅ・・・。」

 「ははは、それは言えているな。ここは実際の所、僕達しか知らないPK専用空芋スペースだからな。」

 「いつも真っ向勝負してるくせして、どうしてスナイパーする必要があるのよ?」

 「僕は大嫌いなんだ、自分勝手にPKしておいて、不利だと分かればすぐ逃げる事しか頭にない卑劣なクズ共。今回のアップデートを聞いて、再び火が点いたってのも理由だな。」

 「つまり、マスターが志す正義を通す為のビル砂って事ですね!」

 物分かりの良いAIパートナー・アファシス(Type-X)にグーサインを出す青年。

 「けど、あと3時間弱で新マップはオープンなのよ?私達5人でもクリア出来やしない新マップへの優先入場口の門番、どう攻略するっていうのよ?」

 「出来るさ。ほら、光剣が機械装甲に当たって響く鈍音が聞こえないか?そして夥しく輝く光学銃弾のスターバースト、おまけに聞き覚えのある廃人プレイヤーの指示の声。」

 「マスター!キリトです!!」

 ビルの屋上から覗くと、5体の門番に無謀に挑む十数名の姿。だが5体の巨体mobの連携に、ダメージを与える事が出来ないでいた。

 「いつもの精鋭を連れてでも早くマップが見たいんだね・・・。」

 同じくAIパートナーを連れて来た、妖艶な美女がビルに辿り着く。

 「天空からのキルが絶えないで困ってるって、PK集団からの苦情が相次いでいたかと思えば、あなたがここを開拓したのね?修正する気はないけど、いい眺めだわ~。」

 「全く、遅かったじゃないか。」

 「お待たせして申し訳ありません、リーダー。」

 「丁度いいくらいだ、アイツら、消耗してきてる。」

 「で、どうするの?漁夫の利を狙って高みの見物を続ける気?」

 そう言われると、青年は鼻で笑った。

 「まさかな。今日のオープンに先駆けて、提携するアカウントで所持している武器全般のゲーム内持ち込みが解禁されたのもあるが、僕は仲間を平気で見捨てる様なクズではない。」

 そう言われると、思い出したように少女も鮮やかな迷彩の武器を取り出した。

 「じゃ、今日はプレイヤーじゃなくてあのデカブツを芋っちゃいます?」

 「ツェリスカ!デイジー!ビルから降りて、アイツらの後ろから迫る敵mobやプレイヤーの取り締まりに当たれ!!」

 「承知致しました。」「了解よ!」

 ビルから飛び降りて、アサルトライフルやショットガンを装備し着地する。

 「よし、カーナ。」

 「待ってました!何をすればいいでしょうか?」

 「前線の支援を、キリトのお株を奪う形で頼む。」

 「了解であります!」

 カーナと呼ぶ青年のアファシスが、ビルから跳躍して両手に光剣を構え、浮遊兵器へ飛び降りた。

 「さあ行くぞ、クレハ!!」

 「アンタこそ、弾の無駄撃ちすんじゃないよ!フランクリン!!」

 

 「俺達が束になって戦っても、まさか1体も倒せないなんてな・・・!」

 「ユイちゃん、もしかして選択を間違ったという可能性は無いのかな?」

 【いえ、これ以上にやり残した必須クエストはありません。寧ろ、これを倒せばいい筈です。】

 「・・・仕方ない。この空港は誰か一人でもクリアすれば、以降はリポップしようが自由に通れるようになる。俺が全てのタゲを集める!その隙に、1体ずつ集中砲火で仕留めろ!!」

 キリトは意を決し、単騎突撃を試みた。しかしタゲを集中させるスキルを使おうが、全ての敵がキリトに集まる訳ではなかった。皮肉にも、2体の浮遊兵器がアスナの方向へレーザーライフルの銃口を向けた。

 「くそっ、しくった!アスナ!避けろ!!」

 が、地面に放射されたレーザーは地を焼きつつアスナに向けて一直線に突き進み・・・

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