死んだクソガキTS転生して死神になる   作:小豆団子

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十二話 現世

 

 

あれから更に時は流れ、知り合い達もどんどん確固たる地位に着いていっている。

先ずは浮竹と京楽がそれぞれ十三番隊と八番隊の隊長に着き、夜一も後少しといったところの様だ。

 

 

――そして俺は……現世行きが決まっていた。

 

 

その決定に不満があるわけじゃないのだが、あいつらに会えなくなるのは多少寂しく……もならないが、変な感じがする。

 

隊長曰く「お前はもう少し視野を広げた方がいい」とかなんとか……全く余計なお世話だ。

 

だが決まってしまったものはしょうがない。結局、副隊長を下せなかったという未練はあるものの、帰ってきた時に倒せばいいのだと思い直す。

 

そして適当に挨拶をすませた俺は、現世へと旅立つのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現世に着いてみればそこは、江戸時代だった。

 

「あー……まだそんな時代なのか?」

 

小学校中学校と真面目に授業を受けていなかったので正確な年号は覚えてないが、江戸時代が終わったのは1800年代半ばだという記憶があった。それを鑑みれば現代日本が舞台だったはずの原作の物語が始まるのは二、三百年は先だろう。

 

「どうすっかな」

 

先ずはあの時の二人相手にタメ張れる様に強くなる事が最優先だ。

だが、一応ここはアイツが愛していた世界なわけだし、それまで生きていられたのなら……主人公達に手を貸すってのも悪くない選択かもしれない。

……バトル漫画なら強いヤツも多いだろうしな。

 

現世においてまともな仕事をするつもりは更々なかったのだが、サボり続けていると魂魄の均衡がどうとかで世界がヤバイらしい。原作前に世界が終わるなんて事は流石にないと思うが、どこまで影響があるかは分からないのだ。

初めて目標を見つけられた人生なのだし、世界を滅ぼさない程度には仕事をしようと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「待てコラァ!」

「ひぃっ!? お助けをー!?」

 

院生時代に学んだ事を記憶の奥底から引っ張り出して、彷徨える魂を見つけては問答無用で魂葬していく。

 

魂葬の作業そのものはつまらないものであるのだが、極稀にいい事もある。

 

 

 

 

それは戦国の世に名を馳せた、一流の武芸者達(霊)との手合わせだ。

 

道半ばで散った兵や、生涯を全うして大きな流派を起こした達人。

霊魂となり肉体の楔から解き放たれた武芸者共は冥土の土産、と嬉々として相手をしてくれるのだ。

 

つーか、戦国時代の奴等が未だにうじゃうじゃ残ってるとか、前任者の奴はどんだけ仕事してなかったんだ?

まぁ前任者も十一番隊の奴だったみたいだし、虚狩りしかしてなかったんだろうなぁ……。

 

 

閑話休題……先ずは目の前の事に集中しないと、相手に失礼だよな。

 

「……準備はよいでござるか?」

「ああ、いつでも来い」

 

相手が刀を抜き構えを取る。

刀は武士の魂とはよく言ったもので、大抵の兵どもは何故か刀を持っていた。

 

あの頭の右側に刀を掲げるような構え……示現流だったか? その真正面から敵を粉砕するスタイル、嫌いじゃないぜ。

 

コチラも斬魄刀を抜き、上段に構える。

 

………………ッ!

 

「キィエエエイッ!!」

「オラァッ!!」

 

同時に踏み込み全力で刀を振り下ろす。

 

 

――ガギィイイインッ!!

 

 

ぶつかり合う刃と刃、だが互いに弾かれる様な事はなく、更に一歩を踏み込みそのま鍔迫り合いとなった。

正面から迫り合うも、上背のある向こうはコチラに覆い被さる様にして体重をかけてくる。

 

この状況、体格で劣るコチラが不利か……。

 

――至近距離で相手と目が合う。

 

コチラを打ち破らんとする意識、剣気が心地よい。霊圧のぶつけ合いとはまた違った感覚だ。

だがコチラも負けるつもりは無いのだ。正面から睨み返し気合いを入れ直す。

 

「……オッ、ラァッ!!」

 

負けてなるものかと全身の力を込めて相手の刀を上へと弾く。

相手の胴がガラ空きになるも、それはコチラも同じ事だ。だが意識していた分、俺の方が復帰は早い。

 

ヤクザキックで相手を押し退けると同時に飛び退る。

 

「我が一の太刀を防ぎ切るとは、末恐ろしい童でござるな」

「これでもアンタよりかは歳上なんだがな?」

 

「さあ次だ……!」

「参る!」

 

現世の猛者達が使う剣は霊術院で習う様な対虚用の剣技では無く、対人用に磨かれた剣技である。それは俺みたいなヤツにとって宝の山なのだ。

 

まぁ魂葬する前の、趣味と実益を兼ねたちょっとしたサービスみたいなものだ。俺の糧となるがいい。

 

 

因みに俺の今の身体能力はそこらの武士とそう変わらない。何故ならば、現世に着いてからは常時、謎の拘束具を身に着けているからだ。

鉄下駄みたいな発想で造られたその修行用拘束具は、そこらの死神ならば霊圧とそれに伴う身体能力までもを一般人クラスにまで抑制してしまうという一品だ。現世に来る前に、修行用にと夜一の家からかっぱらってきた。

効果は兎も角、形状はどうにかならなかったのかねぇ? 首輪型って……。

 

 

 

 

「ここまででごさるか……」

「……そうだな」

 

俺は馬乗りになっていた相手を開放する。

 

「最後に良い土産になったでござるよ」

「へっ、そりゃよかったよ…………じゃあな」

 

満足そうな相手に近付き、魂葬を施す。

 

「あばよ」

 

こうして俺は、満足そうに消える相手を見送ったのだった。

 

 

 

 

最近では幽霊界隈で噂を聞きつけたのか、俺に挑んでくるヤツがそれなりに多くなっていた。そのおかげで、こうして現世においても喧嘩相手に困る事はなくなっていた。

確かに同格以上の相手と戦う事は少なくなったが、様々な剣士や虚と多く戦えたおかげで、剣の技量であったりよくわからん能力への対応力は上がった様に思える。

 

刳屋敷隊長の言った通りになっているのが少々気に入らないが……。

 

……まぁ何処にいようと関係ない。俺は俺として、最高の喧嘩をするために強くなり続けるだけだ。

 

 

 




誤字報告いつもありがとうごさいます。助かってます。
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