死んだクソガキTS転生して死神になる   作:小豆団子

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四話 流魂街の中心で

 

 

思い立ってから、どれだけの時間が経っただろうか……? 漸く流魂街の中心地、瀞霊廷のお膝元までたどり着くことができた。

 

ちなみにここが流魂街という場所であることや、中心地に瀞霊廷という場所があるというのは長い旅路の中で得た知識だ。

名前が無いと何かと不便だからな。

 

何年経ったか覚えちゃいないが、本当に時間がかかってしまった。

本当は真っ直ぐここに向かうつもりだったのだが、途中で強い奴が居ると聞けば西へ東へ北へ南へ喧嘩を売って回っていたら思いの外時間過ぎ去ってしまっていたのだ。

 

 

その時の喧嘩相手についてだが、有り体に言ってしまえば俺より強い奴はいなかった。そもそも俺の身体のスペックは他の奴等と比べて相当高い。戦闘技術云々の前に集中すれば相手の踏み込みから呼吸、瞬きに至るまで把握できてしまえる。そんな俺に敵うはずもないだろう。

しかしながら全く無駄だったとは考えていない。

 

武術というのは結局のところ相手に打ち勝つ為の技術であり、そこには一定の理論が存在しているのだ。自分より強い奴相手に生き残るには? どうやれば勝てる? そういった考えが実践されている。

 

この世界は前世とは違い、普通に殺しがまかり通る様な場所だ。予測できない攻撃をくらって死にましたじゃ話にならない。

しかしそれを防ぐための経験を積むのも普通は命懸けの環境だ。そんな状況で余程へまをしなければ死にようがない俺は幸運なのだろう。

 

 

喧嘩した相手の得物は刀や槍は勿論、斧や金棒、更には鎖鎌や手裏剣というヤツまでいた。そしてその誰しもが相手に勝つために趣向を凝らしていた。

相手を効率的に殺すための技術。相手の防御を打ち破るための技術。洗練されているとは言いがたいが、多くの技術と考えがそこには存在していた。

 

俺はそんな奴等と戦う事でそれらの技を観て、読み解いて、学んできたのだ。

 

 

喧嘩するにあたって流石に刃物相手に素手でどうこうするのは倒すだけなら兎も角、相手の技を引き出すのには少々不都合だった。そのため道中で何本か刀を拾って(奪って)いたりする。

 

今の身体のサイズで太刀を使おうとすると地面を擦って鬱陶しかったので適当な位置で折って短くし、取り回しを良くしてある。

 

使い道は専ら相手の刃物を受けたりいなすためであって、斬撃に使うことはほとんど無い。

強くなるというのが俺の目的であり、一方的に喧嘩を吹っ掛けておいてそのまま殺してしまうのは流石に憚られる。そもそも殴る方が性に合ってるし手加減もしやすいしな。

 

 

そして喧嘩の内容(相手からしたら殺し合いか)だが、普通に戦う奴は余程腕に自信がある奴だけで、基本は生き延びてなんぼの戦い方ばかりだった。

不意討ちは当たり前で目潰しに金的(今は無いけどな)、地形利用はお手の物だ。斬り結んだ瞬間に死角から暗器が飛び出してきたり、組み付いたところに手下が現れたりとバリエーションに富んでいた。

 

流石にあの二人がこんな小細工を使ってくるとは思わない。しかし何事も経験だ。俺と同等以上の身体能力を持っているヤツが同じ様な事をしてきた時には、多少役に立ってくれるだろう。

 

 

 

………………

 

 

…………

 

 

……

 

 

 

「にしても、あそこにゃあんま近付きたくねーな……」

 

瀞霊廷は美しく汚れのない街並みで、地面だって石畳によって舗装されていた。

 

なんというか……文字通り住む世界が違うのだ。地続きではあるのだが、完全にアチラとコチラで分けられてしまっている。近付く気にすらならない。

 

そして四方にある門? というか関所か? は基本的に通行証を持つ者しか出入りできないという。

 

なんだそりゃ……?

 

一瞬、自分の幼子ボディを利用して保護される形で侵入を試みようとも思ったのだが、虫酸が走ったので秒で却下した。

それにそんな事ができるなら今頃難民で溢れかえっているだろうしな。

 

強行突破も考えはしたが、中で活動する事を考えれば悪手だろう。

 

 

中心地であれば色々と情報が集まると思っていたが、入れないとは宛が外れてしまった。

壁の外側は瀞霊廷のお膝元といってもあまり発展している様には見えず、実際集まってくる情報も今までの噂に毛の生えた程度のものだ。あの二人の情報は全く掴めていない。

 

 

「取り敢えず一周してみるか……」

 

 

瀞霊廷の周りをぐるりと一周しつつ、それぞれの地区で話を聞いてみようと思う。

 

 

………………

 

 

…………

 

 

……

 

 

「待てー!」「捕まんないよーだ!」

 

 

「……子供の声か?」

 

 

声のする方へ目を向けてみれば、何人かの子供達が遊んでいた。

 

今までも子供はいたが、こうして何人も集まって遊んでいるのを見るのは初めてかもしれない。それなりに治安はいいらしい。

 

そのなかに背の高い人物がいるのに気が付いた。白の着物に藍の袴を着ていて、この辺りであっても質の良い仕立てだと一目見てわかる。

 

白髪だったのでどこぞの爺さんが子供と遊んであげてるのだと思ったが、近付いてみると存外若いようだった。

見た目で言えば自分よりも五つかそこら歳上だろうか? 前世で言えば高校生くらいの長身痩躯で、白髪ショートヘアーの少年だった。

 

 

――あいつ、かなり強そうだな……。

 

 

子供と一緒に鬼ごっこに興じているが、動きに無駄がないのが解る、体幹も全くブレていない。

 

 

おし、喧嘩売るか。

 

 

取り敢えず背後からの不意討ちだな。それで警戒して本気になってくれるだろう。

 

 

「死ねおらぁっ!」

 

 

丸腰っぽかったので刀を含む荷物を置いてから、助走をつけて後頭部へと跳び蹴りをかます。

 

「おっと!」

 

ちっ、かわされたか。

 

「こらっ! いきなりは危ないぞ! 鬼ごっこにもルールはあるんだし、一緒に遊びたいならちゃんと皆に入れて欲しいって言わないと!」

 

こいつ……ッ!

 

子供扱いたぁ許せねぇ!

取り敢えず頭かち割って本気にさせてやる……絶対にだっ! 

 

若白髪野郎の腰に正面から組み付く。

 

「おや今度は相撲かい? 相手になるよ」

 

くらえ! 投げっぱなしスープレックス! 

 

「おっ、なかなかやるね!」

 

くそっ、びくともしねぇ!

つーか細くみえたけど意外とがっしりしてるし筋肉もしっかりついてるな。腰の後ろに腕を回しているせいで頬がこいつの腹に押し付けられているが、結構硬い。

 

腰回りや肩や腕も触ってみる。

 

おぉ……。

 

「あはははっ! くすぐったいよ!」

 

はっ! 俺は何を!? 

 

どっ、どうすれば!? 俺はどんな想定外の事態にも対応してきただろう!? そう、こういうときはあれだ! 三十六計逃げるに如かず、だ! 

 

「おっ、覚えてろよ!?」

「明日もここでまってるよー!」

 

 

 

 

 

 

 

くそっ、何やってるんだ俺は……。

 

強くなるためにあの若白髪野郎と喧嘩しようとしたのに、不意討ちを簡単にいなされてしまったうえ、俺の見た目のせいか子供扱いされてしまった。

 

あいつ、人畜無害そうな顔していながら確実に俺より強いな……。

自分より明確に強い奴に逢ったのはあの二人以来初めての事だった。

 

 

逃げてきてしまったがあいつは明日も待っていると言っていたしちょうどいい。何度でも挑戦し続けて本気にさせた上であいつに打ち勝ってやる! 

 

 

「首を洗って待ってろよ! 若白髪野郎!!」

 

 

 

 




少々時代が合わないかもしれないですがお目こぼしを。
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