死んだクソガキTS転生して死神になる   作:小豆団子

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六話 瀞霊廷で

 

 

現在俺は瀞霊廷内にいる、小脇に抱えられて。

 

もう諦めた、コイツ話聞かないし暴れてもびくともしないし、どうしようもない。

 

 

「――あの場所が―――そしてあの場所が――あと、あの塔は―――」

 

 

聞いてもいないのに延々と瀞霊廷内を案内してくる。正直視点の高さが違うせいでとても解りづらい。

 

……後で自分で歩いて確かめないとな。

 

「おい浮竹、俺達は今何処に向かってるんだった?」

 

霊術院だろう? 断じて観光名所ではないはずだ。 だからさっきまでの速度でさっさと向かえ。というか俺の通行許可証はどなってんだよ。

 

「……ん? 銭湯さ!」

「はぁ!? 霊術院とかいう所に行くんじゃないのかよ!」

 

先生に話をつけるって言ってたし霊術院に行くのだとばかり思ってたよ!

 

「最初はそのつもりだったんだけどね。でも今の君は長旅のせいかとても汚れてしまっているし、疲れている様にもみえる。だから先生に紹介するのは明日にしよう。今日はしっかり休もう?」

 

疲れていると言えば疲れている、か? 

 

この世界に来てからずっと気を張り続けてろくに休めなかったが、それは何時もの事だ。もう慣れた。

むしろコイツとの全力鬼ごっこの方が何倍も疲れたわ。

 

それにしても銭湯ねぇ……。

 

川で水浴びをしたり手拭いで身体を拭いたりはしていたがお世辞にも綺麗とは言い難い。身体を清めるのに温かい湯に浸かれるなら越したことはないか。

 

「まぁいいや、それでその銭湯は何処にあるんだ?」

「もう見えてくるはずだよ……ほら、あそこさ!」

 

そこには漆喰で塗られた立派な店構えの銭湯があった。ちょっとした旅館の様にもみえる。

 

「ここが俺の行きつけの銭湯さ! 普段は寮の共用風呂で済ませるんだけど疲れたときはよく来てるんだ。ここには普通の湯の他にも薬草を溶かした薬湯もあってね、俺は身体が弱いから重宝してるんだ」

「お前が身体弱いとかねーわ」

 

身体つきも着痩せしてるがしっかり筋肉もついてたし鬼ごっこで見せた動きは凄いの一言だ。これで身体が弱いとか冗談が過ぎる。

 

「本当なんだけどなぁ……まぁ入ろうか」

 

浮竹はそう言いながら座敷に上がり男湯の暖簾をくぐっていく。俺を抱えて。

そのまま脱衣所に着くと俺のボロを手際よく剥いでいく。

 

「ちょっおまっ、待てや!」

「ん? どうかしたかい?」

 

どうかしたかい? ……じゃねーよっ! いきなり人の服を脱がせるとはどういう了見だ。完全にガキ扱いしてやがる。

 

というか今思い出したが俺の身体女じゃねーか。こっちに入って大丈夫なのか? 見た目年齢的にギリギリアウトな気がする。

 

いや……どうだろう?

適当に切り揃えた短髪はとてもじゃないが女がするような髪型には見えなし、身体の起伏だって直接触れなきゃ分からない程度だ。下だけ隠せば何とかなるか? 

女湯には入りたくない。入ってしまえば罪悪感やら何やらで俺のアイデンティティが崩壊してしまう予感がするのだ。

 

 

――よし、隠し通そう。

 

 

浮竹に背を向けて残りの服を脱ぎ、浮竹から手渡された貸しタオルを腰に巻く。

……完璧だ。

 

「よし行こうか」

 

浮竹は肩にタオルを掛け、慣れた様子で脱衣所から出ていく。俺もそれに続いた。

 

「流石にこれだけ早いと人が居ないね。貸し切りみたいだ」

 

まぁ、まだ子供が遊んでいる様な時間だし仕事上がりには早いだろう。

 

……それにしてもこの風呂場は半露天になっている立派な造りで驚いた。お高い旅館の温泉と比べても遜色無さそうだ。よく知らんけど。

 

 

かけ湯をして汚れを落としていたら先に洗い場にいた浮竹に手招きされた。

 

「どうかしたのか? ――うおっ!」

 

無防備に近付いたのいけなかったのか、いきなり腰に手を回されて確保された。

 

「よーし目瞑れよー」

 

そして俺の頭に湯を掛けてそのまま髪を洗い始めやがった。

 

訂正する、これはガキ扱いじゃない、拾ってきた野良猫扱いだ。

 

もう何も言う気にならねーわ……。

保護対象に入ってしまっている今の俺が拒否したところで、浮竹が良かれと思ったことは全てやってくるだろう。

 

 

あぁ、あったけぇなぁ……。もう知らん、されるがままだ、どうにでもなれ。

 

 

洗髪が終わるとそのまま首筋や背中と今度は身体が洗われていく。マッサージされているようで全身の力が抜けていく。

 

コイツ人洗うの上手いなぁ。繊細な指使いで気持ちよくしてくれる。でもやっぱり男だ。鍛えられているせいか思ったよりも手はゴツゴツしてるし剣ダコらしきものもある。俺もこうなりたいものだ……。

 

 

そうこうしているうちに上半身は洗い終わり下半身へと手が伸ばされっ……!?!? 

 

「待て! 浮竹!」

「ん?」

 

その、どうかした? みたいな顔は止めろ。

 

流石に下半身はヤバい、性別がバレてしまう。

 

コイツが女児を無理やり男湯に連れ込むロリコンの変態だと謗られたりするのはどうでもいいが、コイツに俺が女だとバレるのは不味い。

 

短い付き合いだし、性格を完全に掴みきれてないから的外れかもしれないが、子供の俺とまともに戦わなかったのと同じ様に女だから傷付けたくないとかいって戦わない主義だと面倒だ。見た目はこのままであっても年月さえ経てば子供だという理由で戦わないという選択肢は潰せるはずだ。だが女どうこうというのはいつまででも付き纏ってくる問題だ。

 

コイツをいつかギャフンと言わせるためにも、女だということは隠しておいた方が無難だろう。

 

 

「洗うのを止めろ浮竹、自分で洗える」

「そうかい? ちゃんと指の間も洗うんだよ?」

 

――こいつ! 

 

 

………………

 

 

…………

 

 

……

 

 

その後もなんだかんだあり、俺は今霊術院男子寮にある浮竹の部屋にいた。

普通は複数人で使っているらしいが、今日は同室の奴が医務室送りされているとのことだ。

うん……まぁ、想像だが警察学校みたいなもんだろうし戦い方を教える授業もするはずだ、こんな事もあるのだろう。

 

「布団はそっちのやつを使ってくれ」

「りょーかい」

 

銭湯でゆっくりしていたら思いの外時間が経ってしまっていた。

 

時間も時間だし先生とやらには話だけ通して詳しくは明日にという事になったのだ。

 

「お休み」

「あぁ……」

 

 

「…………」

 

「…………」

 

 

なんか視線を感じるんだが?

 

 

「…………」

 

 

「……なんか用か?」

「いやー、こういう場所で寝るのは初めてだろうしちゃんと眠れるのか心配でね」

「下らん心配してないでさっさと寝ろ」

 

 

そう言って布団に潜り込んだが未だに背中に視線を感じる。逆にこんな状況で眠れるかよ。

 

 

「……おい」

「どうしたんだい?  やっぱり寝れないかな?  なんなら今日は冷えるし一緒に寝るかい?」

「――ッ! さっさと寝ろっ!!」

 

 

 

 

どれだけぶりだろうか? こうして俺は久しぶりに布団の中で夜を過ごすのだった……。

 

 




原作最後に読んだの何年も前のせいで流石に内容あやふやだなぁ。
浮竹こんなキャラだったっけ?
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