提督はコックだった   作:YuzuremonEP3

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今回は大湊警備府の曙のお話です。それから一宮提督の苦労話的なものも書いていきたいと思います。

曙のお話は日記形式です。日付が飛んでいるのは抜粋していると思ってください。


第二百十四話

1月×日

 

今日から大湊警備府に配属されることになった。前のクソ提督は1ヶ月であたしを追放。その前のクソ提督は3ヶ月。あたしを建造したクソ提督は2ヶ月だったかしら。どいつもこいつもあたしの態度が気に入らないからとあたしを次から次へと大本営へやっては引き取り…ってあたしのことを知らなさすぎじゃない?

 

で、結局あたしはたらいまわしにされまくってここへきた。クソ提督が執務室にいないから、五月雨に聞いてみたらジャージで雪かきしてる人間が提督ですって!?こんなのが提督って…他のとこより大丈夫なのかしら…?

 

………

 

「おや、こんにちは」

 

「こんにちは」

 

雪かきしているここの清掃員か何かだろうか?に声を掛けられた。とりあえず提督に会わねばならないので挨拶だけをして素通りした。入り口でここの初期艦と言う五月雨に案内され、執務室へ案内されることとなった。しかし、執務室に通されても提督がいなかった。

 

「あれえ?提督、またどこか行っちゃったかなぁ…」

 

「は?なんで提督がいないのよ!?今日あたしが来るって聞いてるんでしょ!?」

 

「そ、そう言っていたんだけどぉ…さ、探してきまぁす!!ぶべらっ!」

 

踵を返して提督を探しに行こうとしたら躓いて転んでいた。ここの艦娘は大丈夫なんだろうか…心配になってきた。大体は執務室に偉そうにふんぞり返っているか、なんか頼りなさそうに座っているだけの置物みたいな提督かのどっちかなのに。執務室に居ないとは…。

 

「あ、曙だ」

 

「曙ちゃあああん」

 

「きゃっ!?」

 

ボーっと五月雨を探しているといきなり名前を呼ばれて背中に衝撃を感じた。

 

「潮、いきなり後ろから抱き着くと曙が危ないよ」

 

「え、えへへ、ごめんなさい。でも、曙ちゃんが来てくれたって聞いていてもたってもいられなくて…えへへ」

 

「ま、あたしも嬉しいけど。ようこそ、大湊へ。曙」

 

「潮に朧…?あんた達もここにいたんだ。まあ、前の所にもいたけど…」

 

「そうなんだ…どうして曙ちゃんはここに来たか…聞いてもいいかな?」

 

「それは後にしてほしいんだけど。今は執務室にもいないクソ提督を探して右往左往してるの。どこにいるか教えてくれない?」

 

「え?提督?提督ならあそこで雪かきしてるよ」

 

「はあ!?」

 

そう、実はさっき挨拶をした清掃員っぽい作業服をきた男こそ提督だった。中庭の雪をずっと窓から見えるところでせっせとかきわけている男の人…。

 

「あたし、呼んでくるね」

 

「私は曙ちゃんと執務室で待ってるね」

 

「ん、わかった。よろしく」

 

とんでもない…あれが…提督?頭を抱えるしかなかった。

 

………

 

「やあ、これは失礼しました。私がこの大湊警備府の提督です。名前はいちのみ「ああ、別に名前なんて聞かなくていいわ。どうせあんたもすぐあたしを追い出すんでしょうし」」

 

「は、はあ…」

 

「一宮提督だよ、曙。名乗っているのを遮るのはよくないと思う、たぶん」

 

「朧…あんた人の話聞いてた?」

 

「朧さん、ありがとうございます。あなたを追い出す…と言うのはなぜでしょうか?」

 

「あんた、あたしのこと知ってるんでしょ?態度がめちゃくちゃ悪くてクソ提督クソ提督って言うし、文句は言うし」

 

「はい、よくご存じです。よく…ご存じですとも…」

 

「………」

 

「………」

 

そう提督が言うと、提督も、潮も朧も少し悲しげな目をしていた。

 

「これからはここで生活していただきます。潮さんと朧さんとの相部屋でよろしいでしょうか?まずは朧さん達に警備府を案内してもらうと良いでしょう。これからよろしくお願い致しますね、曙さん」

 

「ふん、そんなこと言って、どうせすぐあたしを追い出すに決まってるのよ!このクソ提督!!!」

 

「あ、曙ちゃん…」

 

「提督、とりあえず曙を案内してくるね」

 

「ええ、よろしくお願いいたします。そう広くはありません。終わりましたらお部屋へ案内してあげてください。ああ、それとこれに必要な下着や服の申請をお願いします。サイズもお忘れなく」

 

このクソ提督は話をちゃんと聞いていないのだろうか?どうせすぐに追い出すに決まっているだろうに。曙はかなり不機嫌そうに朧と潮に連れられて執務室を後にした。

 

「……何とか無理を言って引き取らせていただきました。古井司令長官には感謝しなければなりません。この新米クソ提督…もう同じ過ちは繰り返しませんよ」

 

俯きながら一宮提督はそう独り言を漏らした。

 

………

 

1月〇日

 

一週間が経ったけど、クソ提督はあたしに対して何だその態度はとか怯えた様子なんかはない。むしろこのクソ提督と言うと困ったように笑っている。何なのここの提督は…でもどうせあたしを放り出す計画を立てているに違いないわ!さあ、あと何日であたしは追い出されるかしらね?

 

 

1月△△日

 

ここにきてから3週間経ったけど、追い出すどころか…足りないものはありませんか?とかわからないことがあれば何でも聞いてくださいねとか、怒っている様子も怖がっている様子もない。いちのみや提督…だっけ?いや、まだ安心してはダメ。クソ提督なんて信じたら負けなんだから!

 

日向さんも「うん、まあ頼りない提督だな」って言ってた。ほんとに頼りなさげで…結局最後はやめるか追い出すに決まってるわ。

 

………

 

2月×日

 

1ヶ月経った。練習内容、基礎から教えてもらわなくてもちゃんとできるとか、砲撃の基礎とかもう知ってるしとか、改装なんて言ってあたしの裸が見たいんでしょとかかなりガーガー言っているけれど…潮や朧に毎度止められて終わる。あたしが文句を言うたび、困ったような顔をして笑ってるし、なめてるのかしら?でも怒ったりはしない

 

「基礎がしっかりしていなければ応用は利きません。実際、うまく水面を走れていませんし、砲撃もブレがひどい。今一度、しっかりしないと実戦の際に大変な目にあいますよ」

 

グウの音も出なかったけど「うるさい!このクソ提督!」って言ってやった。こってり朧に怒られ、潮にまで怒られるなんて…はあ、もう何なのよ!!

 

あーもう!腹が立つ!

 

 

2月××日

 

前の場所で出撃をしたこともあったし、その時に比べれば余裕な海域だった。けどあたしは油断した。大破してしまった。悔しかったし、ムカついたからそのまま主力の所へ行かせろとクソ提督に言ったらダメと言われた。どうせあたしが沈んだところで大した損害はないでしょと言ったら「バカなことを言うんじゃありません!」と怒られた。その気迫に驚いて撤退してくださいの言葉に素直に従った。

 

帰って来て一緒に出ていた朧にまためちゃくちゃ怒られた。お風呂に入っていたらしい日向さんに脱衣所で事の経緯を説明し、怒られて撤退して帰ってきたと言ったら「まあ、そうなるな」だけ言われて頭を撫でられて「よく帰ってきたな」と笑顔で言われた。日向さんはよくわからない。

 

あたしは…生きている…帰って来て…朧に泣きながら「そのまま行ってたら沈んでたんだよ!そんなの絶対嫌だからね!」といわれ、沈むことに対して怖くなった。

 

今、夜の3時にこれを書いている。怖くて寝れないからだ。バカなことを言うんじゃない…か。そんな風に怒られたこと…なかったな。ほんとしょうもないことで怒られてケンカしたことはあったけど…

 

(よだれで日記帳がふやけた跡がある)

 

………

 

「………」

 

「よく無事で戻って来てくれました。曙さん、大破進撃はどんな状況であろうと許可しません。それは轟沈を意味します。先ほどは怒鳴ってしまい申し訳ありませんでした」

 

「いいよ、提督。あの時怒ってくれなかったら…」

 

「そ、そうです…」

 

一宮提督が謝罪すると提督は悪くないと朧と潮がフォローする。この3人、なんだか大破進軍、轟沈をひどく恐れているような感じがする。だからこそ提督は怒鳴ったのだろうし、朧は腕を掴み、潮は砲撃で破れた服がさらに破れてしまうほど強く引っ張り、泣きながら「ダメ!絶対ダメだよぉ!!!」と引き留められた。

 

そうしているうちに、提督からすぐに撤退の命令が下され、全員帰投となった。提督の隣にいた五月雨も心なしか小さく息を吐いて安心していたかのように思えた。

 

「今日はもう出撃はありません。曙さん、今日はゆっくり休んでください。潮さん、朧さん、すみませんが曙さんのフォローを」

 

「了解です」

 

「はい。わかりました。さ、曙ちゃん、いこ?」

 

朧たちに連れられ…部屋に戻った。1人でお風呂に入りたいと言うと心配そうな顔をされたが、逃げたり勝手に出撃したりしないからと何とか言いくるめて1人でお風呂へと向かった。ここはドックだけじゃなくて艦娘が疲れを取ったり汚れを落とせるお風呂がある。他のところにはなかった施設だ。何でも流れ者の妖精さんが作ったとのことだ。

 

「ん?曙か。今から風呂か?」

 

「日向…さん?」

 

「ああ、大破したのだったな。うん、無事に戻って来て何よりだ。以前のように…ああ、いや、すまん。何でもない。まあゆっくり休むといいよ」

 

「は、はあ…」

 

何かを言いかけたようだがやめたようだ。何とも歯切れが悪いが…あまり聞いてくれるなというような表情だったのでこちらも聞くのをためらった。それよりも早くゆっくりしたい。ドックで修復はしたが提督に怒られたことがモヤモヤしてしまって仕方がない。私なんて…どうせ使い捨てじゃないの…?

 

 

駆逐艦なんざ使い捨てなんだが、お前はその価値すらない。ああ、大本営行きの船が来た。とっとと出ていけ。

 

 

曙さん。あなたの代わりはここではいないんですよ。

 

 

以前のクソ提督とは…あの提督は違うのだろうか?執務室で泣きじゃくる潮と落ち着かない表情の朧の目の前でそう言われた言葉だ。どうしてあたしの代わりはいないんだろう?あたしが沈んでも別のあたしがいるじゃない?一宮提督の言葉が胸に刺さる。

 

「…あたしは…あたし…代わりは…いない…わかんない…わかんないよ…」

 

一宮提督の言葉に胸を痛めながらブクブクブク…と湯船を泡立てながら風呂に浸かるのだった。

 

………

 

7月×☆日

 

うそ…でしょ?あたしは…この警備府で2人目の曙…だったなんて。あのクソ提督が…かつて着任してしばらくしてからのこと、潮と朧と日向さんなんかと出撃したときに、自分の事なら大丈夫だからさっさと進撃の許可を出せと言うから出撃させたら…轟沈してしまったらしい。

 

そっか…だから潮や朧があたしが結構前に大破して進撃させろと言った時に思いきり止められたこと。それからクソ提督があれだけ怒ったことの合点がいった。日向さんが言いかけたことも…前のあたしが沈んだから、よく無事で帰って来てくれたって言ってくれたんだ。そう考えると……あたしはバカなことを言っちゃった。潮や朧をまた悲しませるところだったんだな…。ごめん、朧、潮。

それに、潮と朧は以前の曙との悲しみがあるはずなのにあたしを迎え入れてくれて…優しくしてくれて仲良くしてくれる。ありがとう…朧、潮。

 

(涙でぽつぽつとページがふやけている)

 

………

 

「どうしてあんたは駆逐艦1隻が大破したくらいで撤退を命じるのよ」

 

「それを聞いて何かあるのですか?」

 

「駆逐艦なんて前のクソ提督が言っていたけど使い捨てでしょ?だったらあたしや五月雨が大破したくらいでいちいち撤退してたら戦果の足しにならないわよ?」

 

「曙さん、その言い方は私は聞き捨てなりません。駆逐艦は使い捨て?他の提督はそうなのかもしれません。ですが、私は駆逐艦であろうが誰であろうが使い捨てなどと考えてはいません」

 

「はあ?主力を潰せば戦果になるんでしょ?あんたも新米ならもっと戦果を稼いでもっと昇進しようとか考えないわけ?」

 

「艦娘を犠牲にしたうえで昇進。そして上に立つことなど私は興味はありません。昇進すれば確かに良いのかもしれません。ですが、私は堀内提督のような艦娘の轟沈なく戦い、そして勝利を刻んでいきたい。ですから、私はもうこれ以上は轟沈艦を出すことはしたくありません」

 

「もうこれ以上?クソ提督、あんた艦娘を沈めたことがあるの?」

 

そう言うと悲しそうな目をして一宮提督は語った。

 

「ええ…ありますとも…それも…沈めたのは曙さんでした」

 

「は、え?」

 

その言葉に息が詰まった。声も出なかった。あたしを…沈めた?他の艦娘ではなく、自分を沈め…た?

 

「あれは私が着任して3ヶ月くらいでしょうか…大破した曙さんが…自分は問題ないからさっさと進撃の許可を出せと仰りましてね…その際、私はそれを信じました。艦娘が大破した状態で進撃するとどれほど危険かも知っていました。ですが私は慢心した。曙さんが大丈夫と言うのなら大丈夫だろうと。そして曙さんの言葉に気圧されてしまったことも原因でした。結果は…」

 

轟沈。主力艦は倒せたが結果として朧と潮が、漣が揃えば第7駆逐隊完成だね、と言い、曙もそれに対して早く漣を建造しなさいよこのクソ提督と言っていた曙を失った。

 

「私は世間知らずのボンボンです。ですから、私の認識、考えが甘かった。それこそが曙さんを沈めた。私は…朧さんと潮さんを悲しませた。日向さんにも随分と詰められてしまいました。胸倉を掴まれてどうして進撃を許可したと。言い訳はしません」

 

「じゃあ…新しくあたし…もう1人の曙を着任させた理由は…何?」

 

「潮さんと朧さんとよく相談したうえでの着任でした。行き場のない曙さんがいる。このままではひょっとすると解体されるかもしれない。半分脅しでもあったのですが、彼女たちはもう1度曙さんと一緒に居られるのなら早く呼んでほしい、と仰られたので…迎え入れました。彼女たちには感謝されました。漣さんが着任しないのは…私もよくわかりませんが」

 

ものすごく迫られて着任させて!と言われ、大丈夫なのだろうかと一抹の不安を抱えながらも着任させた。一宮提督曰く、以前の曙さんよりもとんがっていますね、という印象だったらしい。

 

今の曙が尖がっているのは無理もない。別の提督から冷遇され、たらいまわしのように泊地を転々としてきたのだから。そこも考慮しながら慎重に接してきたようだ。クソ提督と言われても困った笑みを浮かべ、朧に怒られながらも強く言い続けてきた。それでも彼は自分に冷たくするわけでもなく、平等に接し、寝具や衣服などもしっかりと用意してくれて…。

 

「……あたしを冷遇しない理由は…何?」

 

「なぜ曙さんを冷遇する必要があるのですか?私達は仲間です。朧さんや潮さんとは姉妹…いえ、親友であり…確かに曙さんの言うことは厳しいですが、皆を思っての事。自惚れかもしれませんが私のことも考えてくれての意見だと思っています。厳しいことを仰りますが、それも曙さんの優しさではないかと思っていますよ」

 

「は、はあ!?なんであたしがクソ提督に優しくしなきゃならないのよ!自惚れも大概にしろこのクソ提督!!!」

 

「…ははは、これは失礼しました」

 

「笑ってんじゃないわよこのクソ提督うううう!!!!!」

 

ソファーにあったクッションをぶん投げたが、秘書艦の日向に「おっと」と受け止められてしまい、クソ提督への攻撃は失敗に終わった。曙は耳まで真赤になって「クソ提督クソ提督クソ提督!!!」と言いながら退室した。

 

しかし、部屋に戻ってよく考える。潮や朧、五月雨…戦艦や空母、巡洋艦たちだけでなく、駆逐艦もしっかりと考えてくれている。過去に犯してしまった失敗…過ち。それをひどく後悔しているしそれを教訓に怒る、叱ることも覚えたと言う。

 

ああ、この提督なら信頼してついていけるかもしれない。

 

そう思う曙。しかし、さっきのことを思い出してまた耳まで真っ赤になってベッドでジタバタしていたら朧に「水泳でも習うの?」と変な目で見られてしまった。違うし!と答えるとじゃあどうしたの?と聞かれ、あうあうしか言えなくなるのだった。

 

「あ、曙ちゃん大丈夫?」

 

「どうせ提督に何か言われて嬉しいことでもあったんでしょ。事あるごとににクソ提督クソ提督って提督の話しかしないし」

 

「おぼっ!?おぼぼろぼろぼおぼぼ!?」

 

「なーんだぁ。曙ちゃんも提督の事が大好きなんだね♪提督優しいから安心できるよね♪」

 

「違う!違うったらぁ!!!なんであんなクソ提督のこと好きになんかならないといけないのよ!?」

 

「今日のクソ提督は~。今日はクソ提督がーって。曙。提督の事クソって言っちゃだめって言ってるよね?」

 

「は、はああああ!?」

 

「朧ちゃんよく曙ちゃんを見てるね~。あ、でも確かに提督のお話ばっかりだよね」

 

「う、うしおおおおお!?」

 

今日も大湊の第七駆逐隊の部屋は賑やかだなぁ。と微笑ましく思う吹雪であった。

 

………

 

9月♪☆日

 

今日はなんか僕のパパはーばっかり言うはっきり言って気持ち悪いのが来た。何でも大本営で提督になるための士官候補生らしい。クソ提督曰く、もう何年も士官候補生でいるらしい。落第生じゃん。偉そうに連れてきた艦娘に指示しているし、ムカついたから出たいと言って「負けないと僕のパパが黙ってないぞ」なんて言うから日向さん達とこてんぱんにしてやったわ!

 

ざまあみろ!あんたみたいな無能にあたしのクソ提督とあたし達が負けるかっての!あたしのクソ提督の指揮もさることながら、吹雪や那珂ちゃんさんの動きがすごかったわ!ま、まああたしもちゃんとクソ提督の指示通り動けたし、あたし自身の動きも完璧だったわ!おとといきやがれっての!万年士官候補生!「パパに言いつけてやるぅ!」だって!だっさ!!!!

 

※一部を修正テープで消した跡がある。

 

………

 

12月☆×日

 

今日は横須賀鎮守府の三条提督って人の艦隊との演習。クソ提督が無理やりねじ込んだらしい。何でも2年前のショートランド海戦とか言うすごい戦いに勝ったって言う提督だから…すんごいやばい艦隊だと思った。けど実際はどう?海に立とうとして転ぶ戦艦やたどたどしい空母。やばそうなのは雪風くらい?

ふん、楽勝よ!と言う雰囲気でのぞんだ。

 

甘かった。結果は勝負には勝ったけどいろいろと負けた。勝ったなんて言えない。戦略的勝利でもないわ。敗因は…慢心。いざ戦ってみたらいろいろとすごかった。特に雪風。雪風の動きはあたしも見習いたいと思った。

 

戻って来て真似しようとしてみたけどすぐに足がもつれて転んでべちゃべちゃになったわ。寒いし!

 

けどその悔しさはクソ提督も同じだったみたい。「勝った…とはお世辞にも言えません。曙さんが慢心していた、と仰るように、私も2年もブランクのある提督にここまでやられるとは…」って言ってた。今回は…負けにしといてあげるわ!次に勝負する時は…覚えてなさいよ!!!!

 

勝利を!クソ提督に!ってね!

 

※修正テープで消されている箇所があある。同時に寝落ちしたのかよだれでページがふやけてしまっている。

 

………

 

3月△日

 

ありえないありえないありえない!!!

 

クソ提督をハメて失敗させようとキス島の海図がめちゃくちゃ古いやつで全然役に立たないやつにすり替えられてたなんて!!!!一体どこのどいつよ!!!!クソ提督の顔に泥を塗らせようとした奴は!?ぶん殴ってやるんだから!!

 

結局三条提督に助けられて何とかなったみたい。日進さんが文句を言いながらも大急ぎで駆けつけて敵を改二になって甲標的ですんごい強くなった由良さんと敵を片付けたみたい。じゃなかったら…最悪三条提督のところはおろか、激怒してた九重提督の艦隊が危なかった。九重提督のところの艦隊は暁って艦娘が大破してて轟沈寸前だったそうなんだって。何とか帰れたみたい。

 

覚悟をしておけと言われました、と困った顔してたけどそこは説明くらいしなさいよ!!ほんと、クソ提督は何も言わないと言うか…言い返せないよわよわなザコ提督なんだから…

 

あたしがいないとほんとダメダメのクソ提督ね!

 

日向さんがしっかりしろと言ってたみたい。あたしも文句を言いたくなるわね。

 

※修正テープで消した跡がある。

 

………

 

9月△日

 

嘘でしょ?あたしが改二?改二になれるんだって!何でも大本営から突然あたしが改二になる設計図が発明されたって!あたしが!潮と同じ改二になれる!?

 

でも朧にはまだ改二の設計図は来ていない。そう考えると…喜んでもいいものかと思ってたんだけど…朧は「おめでとう。これでまた提督の役に立てるね」って言われた。

 

はああああ!?あたしが!なんで!あんなクソ提督のために!?って聞いたら…もう書くのやめよ…思い出すだけで朧にまたキーキー言っちゃいそう。でも、朧が祝ってくれるなら…練度も十分だし!やってややるわ!!

 

………

 

9月♪日

 

ふっふっふ。ついにきたわ!曙改二!!改二よ改二!これでもっともっと頑張れるわ!!

潮や朧、五月雨に吹雪に…榛名さんや日向さんにまで。それから…その、クソ提督にも祝ってもらって…クソ提督はどうでもいいけど、皆にお祝いしてもらえたのは嬉しいわ。

 

クソ提督はお祝いにあたしがほしかったネックレスを買ってくれた。いつの間にそんなの知ってたのよって言うと朧さんと潮さんが教えてくれました。だって!勝手にあたしのプライベートな独り言を暴露しないでほしいわ!改二や特別頑張った艦娘にはほしいものを買ってあげてるんだって…ったく…自分のお金なんだから自分で…と言ったら他に使い道がないんですだって。

 

ま、まあそこまで言うんだったらもらっておいてあげるわ!

 

ありがと…くそていとく

 

※修正テープで消されている。

 

………

 

12月〇〇日

 

あたしがここに来てもうすぐ2年。最初は…あー、今朝みたいにジャージで雪かきしてるクソ提督をスルーして…提督がいないじゃない!から始まったっけ。

そこからいろいろあったなぁ。朧や潮がいてくれて嬉しかったけど、やっぱりここの提督も…って思ってたけどそんなことなかったな。素敵な艦娘のみんながいて…みんながみんなで支え合って…いろんな大変なこともあった。轟沈するかもしれない怖さもあった。けど…あたしはみんなのおかげでやってこれた。これからも、ここにいるみんなとやっていく!アメリカ?から来たサラトガさんやフレッチャーなんかとも一緒に、ね!

 

それから…クソ提督。あたしをここまで面倒見きれないとか投げ出したりせずに面倒を見てくれたこと。感謝してあげなくもないわ。だから、これからもしっかりとあたしたちを引っ張っていきなさいよね!このクソ提督!!

 

………

 

「やっぱり提督が大好きなんだね、曙ちゃんって」

 

「最近はもうクソ提督の言い方があだ名みたいに柔らかい呼び方になってるもんね。まあ、ケンカしないからいいと思うけど」

 

「うんうん。提督ともうまくやれてよかったよね~。そっかぁ、もうすぐ2年になるんだねぇ。あ、朧ちゃん、提督にもお願いして何かお祝いしようよ~」

 

「そうね。それいいかもしれないね」

 

「うんうん!!みんなで新年のお祝いと一緒に曙ちゃんのお祝いも…」

 

「へー。それは楽しみね。で、あんた達何してるのかしら?」

 

「あ、曙…ちゃん」

 

「曙。出しっぱなしのクセは治した方がいいよ。じゃないとほら、「秘密の日記帳☆」も見られちゃうんだよ」

 

「見られちゃうんだよじゃないわよ!?置きっぱなしにしてたのは確かに悪いかもしれないけど勝手に読むなー!!!」

 

「風がぺらぺらとね…ね?」

 

「由良さんみたいに言っても通じるわけないでしょ!?プライバシーの侵害よ!!!!クソ提督に訴えてあたしだけ個室にしてもらうんだから!!」

 

「台風の時、暴風で窓がガタガタ鳴ってただけで潮にくっついて離れなかったのに1人で大丈夫なの?あと、また雪のドサッて落ちる音でピッとか言わない?」

 

「おぼ、朧ー!?え、ええと…」

 

「う、潮は~…曙ちゃんと一緒がいいなぁ…」

 

「う、うううう…!」

 

何を隠そう、この曙、怖がりである。台風の時は暴風で怖がり、夜に雪がドサッと落ちた音で飛び起きて朧を起こして何かいる!不審者よ!としがみついて怯えたりと意外な面が多い。その面を朧や潮は2年近く過ごしてきてよく知っている。そしてクソ提督クソ提督と言う言葉が提督への愛情表現だと言うことも知っている。

 

あたしはクソ提督のことが大っ嫌いなの!と言う割には「あたしにじゅーーーぶん感謝しなさい、このクソ提督!」など侮蔑でクソ提督と呼ぶわけではない。みんな知っている。クソ提督と言う呼び方こそが最大の愛情表現なのだと。一宮提督だって知っている。困った笑みを浮かべてはいるが、信頼されているんだな、と思っている。

 

そのお返しとして、朧や潮から何か曙さんがほしいと仰っているものはありませんか?と聞いたらにっこり笑って錨にピンクの石がはめられたネックレスを欲しがっていたので改二のお祝いに、と言うこと。日頃の頑張りと感謝を込めてと送ったのだった。

 

曙からは少将に昇進した際に隠れてこっそり作ったケーキで「祝ってあげないこともないわ。で、な、に!ニヤニヤしてんのよこのクソ提督!」と怒られたこともあった。

 

それでも彼は曙を信じ続けた。過ちを繰り返さぬよう大切に。もちろん朧や潮だって。彼にとっては皆大切な仲間なのだから。

 

大湊警備府所属、駆逐艦「曙」は…落ち着ける居場所を見つけた。しかしそれを表に出すことはない。いや、バレバレなのだけれども。彼女は、この警備府を。自分の居場所を。とても気に入っている。




大湊警備府の曙によるちょっとした一宮提督の過去も明らかになりました。

修正テープのところは読み飛ばさず、ちょっとある動作をしてみましょう。彼女の隠された一面を見ることができます。そしてニヤニヤしてくれると作者としては書いてよかったと思います(笑)

次回も未定ですが、紫亜と茉莉の話でも書こうかなと思っています。

次回もお待ちいただけますと嬉しいです。

それでは、また。
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