そして長いことお待たせしました。第六駆逐隊の集合です。
それから磯波、浦波も姉と再会です!
「来たわよ」
「いきなりそう言われてもな」
ため息交じりに玲司の目の前で妙に鼻息の荒い男…いや、オネエ。九重提督。
………
「アタシよ。九重よ。今そっちに向かっているの。今日は名古屋辺りで泊まって明日そっちに着くつもりでいるわ。ああ、天龍ちゃん、磯波、浦波、暁、雷もいるの。泊りで行くからよろしく頼むわ~」
昨日いきなり電話がかかってきてこれである。しかもその時は宿毛湾から向かいながら電話をしていたのだと言う。「今明石海峡大橋を渡っている最中よ」と、私メリーさん的な電話であった。向かいながら、かつ泊りでいきなり訪問すると言うことに頭がついていかなった玲司は「あ?あ、ああ。おう」と言うしかできなかった。
電話を切って数分。ぽかーんとする。大淀に提督!と大きな声で名を呼ばれるまでポカーンとしっぱなしであった。そして何とか事態を飲みこんだ玲司は妖精さんや吹雪たちを呼び、駆逐艦寮の空き部屋(いつも妖精さんが掃除はしている)のベッドメイクを準備したり、食材はしっかりあっただろうか?と食材の確認(当然十分にある)。さらに紫亜、茉莉への説明。大忙しであった。
「ああもう!あいついきなり何なんだよ!!!もっと事前に来るって言っとけっつーの!!!!」
「九重提督もかなり思い付きで行動する節がありますからね…」
「こっちの準備も考えてくれよ…マジで…悪いなぁ、紫亜、茉莉…」
「い、いえ…わたしたち…は、平気…だか、ら」
「千客万来ね。まあ、それだけあなたが慕われているということよ。あなたが謝る必要はないわね。なぜなら、私たちがイレギュラーな存在なんだもの。あなたのお友達とは言え、何がどうなるかわからないから賢明な判断よ。心配しないで。あそこはあそこで結構快適な物よ」
「本当に申し訳ない!この埋め合わせは何とかする!」
「ふふ、じゃあ茉莉と私の好きなロールキャベツでもお願いしようかしらね」
「あ、あの…カ、カキフライ…も。お手伝い…しま、す…から」
「わかった。それで手を打とう。あれ?それって皐月と文月の好物じゃなかったか?」
「あら、さすが。ふふ、茉莉が文月達にお願いされていたのよ」
「なんだ…そう言うことか…」
「でも、私もあの子達の好物が好物なの。だからロールキャベツ。お願いね」
「カキフライ…は文月ちゃん…です」
「あの子たち結構渋いものを好物になったな。わかった。その時は腕を奮おう」
「楽しみにしているわ」
そうして今日の朝、紫亜と茉莉は地下シェルターに入っていった。何度もごめんな、と言うと紫亜が苦笑しながら「もう、大丈夫だってば」とたしなめるくらいだった。
そして昼過ぎ、「来たわよ」とだけ言って得意げにやってきたわけである。何時から出てきたんだ、と言うと朝早くよ。とだけ返ってきた。
「来たのはいいけどもっと事前に連絡くれよ…って言うか執務は大丈夫なのかよ…」
「ええ、その辺なら問題はないわ。重要な書類はこの磯波と浦波と片付けてきたから」
「で、何で磯波と浦波はメイド服なんだ?」
「かわいいからに決まってるでしょう?」
何言ってんだこいつ。と言いそうになってしまった。
「い、磯波は…そのぉ…普通の服がいいと言ったのですが…」
「浦波も普通の服がいいと言ったんです…」
「何言っているの?アンタたちはその方がかわいらしくて似合うのよ!」
「おい、これ強要じゃねえか?パワハラか?パワハラじゃねえか?憲兵呼ぶか?どうしてもらう?アイスピックで1秒で20回刺されるか?グリンされるか?」
「なんだかんだで気に入っているくせに!?鏡の前でクルクル回ってかわいい♪って言ってた磯波と常にほつれがないかを気にしてここほつれてませんか?って聞いてきて毎日着てるくせに!?」
「ぴゃっ!?」
「ど、どうしてそれを!?」
(気に入ってるのかよ。一種の反抗期か?)
「へいへい。ケンカしてねえで今日来た理由を伝えろっての」
「ん?ああ、そうね。だいぶ前のことだけど、キス島の時、暁と雷…水雷戦隊を助けてくれてありがとう。その時に暁と雷が三条クンのところの響と電にずいぶんとお世話になったそうだからね。で、どうしても暁と雷がお礼を言いたいからって聞かなくて。異動で横須賀まで車で来れるようになったし、助かったわ」
「暁よ!その節は…ありがとうございました。お、お礼はちゃんと言えるし!」
「雷よ!何かお手伝いすることはない?雷にどんと頼ってくれていいのよ!」
「いや、お客さんにお手伝いさせるわけにはいかないな。大丈夫だよ。暁、ちゃんとお礼が言えて偉いな。その節は…なんてレディに相応しい言葉だな」
「ちょ、子供扱いしないで!れでぃなんだから当然よ!」
「おっと、そうだな。暁はレディだもんな」
「ふっふーん♪当然よ!横須賀の司令官は暁の事をよくわかっているわね!まったく、暁の司令官も…」
くどくどと文句を言い始める暁。ショートランドでも子ども扱いすることが多くてすぐぷんすかさせてしまっていたため、暁のご機嫌取りは慣れたものである。雷が暁を止めている。
「…三条クン、あとで暁のご機嫌の取り方、教えてちょうだい…」
「ああいいぜ。暁はああいうとこ、かわいいんだけどかわいいって言うと怒るからな」
「そう!そうなのよ!だから教えてちょうだい…」
ぼそぼそとしゃべる九重提督。暁をどうやらいつもぷんすかさせているようだ。この暁に通じるかは不安だが、ちょっとまとめておいてあげよう。そう思った。
コンコンとドアがかわいらしく、控えめにノックされたので入室を促すとガチャッとノックとは裏腹に勢いよく入ってくる小さな影が2つ。暁と雷の来訪を心待ちしていた響と電だ。
「い、電ちゃん…そんな勢いよく入ったらダメだよぉ!」
同伴していた吹雪の制止も聞かず、さらにまた蝶番がミシッと言うくらいの勢いで響がドアを開け、ズダダダと駆けていく。
「暁ちゃん、雷ちゃん!いらっしゃいなのです!やっと会えたのです~!」
「ダー。本当に久しぶりだね。また会えてうれしいよ」
「電!響!会いたかったわ!あの時は本当にありがとうね!」
「あ、ああ…響…電…会いたかったわ!司令官と雷から聞いたわ。暁を助けてくれて…ありがとう…ありがとぉ…!暁…生きてるわよ!」
「暁ちゃん!よかったのです…よかったのです!!」
「ハラショー…本当に、無事でよかったよ…」
「うっうっ…うわああああああん!!!」
響と電を抱きしめて泣く暁。キス島の作戦。あの時、暁は奇襲を受け、瀕死の重傷を負った。あと一撃をもらえば轟沈…そんな状態だった。何とか駆け付けた玲司の艦隊にいた響と電が雷と共に必死になって暁を守り抜いた。もちろん響たちだけでない。阿武隈達もそうだし、天龍も必死だった。
それでも何があってもまずは暁を守ろうと必死だった響と電。その話を聞いて絶対。ぜーーーーーったい会いたい!と耳にタコができるくらい九重提督は利かされていた。
幌筵泊地から横須賀へゾロゾロと行くわけにもいかない。何せ遠い。だから時間がうまくできたらね、とはぐらかしていた。しかし、予想外の宿毛湾泊地への異動となり、新しい車も買い…納車された車でドライブよ!!!と言うと横須賀へ行きたいとまた暁が言い出したので来たのだ。
同時に宿毛湾でかつてバカな提督により、沈んだとされる姉、吹雪が生きていたことを知った磯波と浦波も、本来ならば書類の処理を任せたかったのだが、ついていきたいと言ったのだった。
働きづめではかわいそうね…と2人も連れていくことにした。ちなみにリベッチオも行きたいと言ったがそうなるとマエストラーレ、グレカーレ、シロッコまで連れて行きたいと言い出すため、そこは却下。またフグのように頬を膨らませて怒っていたと言う。それにグレカーレにシロッコが問題児すぎてやばいと思ったのも却下した理由だし、車に乗りきらない。
書類はローマとイタリアが片付けている。意外と書類作業もできるのだ。帰った際にこの「終身名誉秘書艦」の磯波、浦波がいる。万が一はない。完璧だ。
「ふふ、よかったね…電ちゃん、響ちゃん……?あの、九重司令官…でしたっけ?何ですか、その服を持って私を見て…」
「オーホホホホホ!!!!磯波ぃ!浦波ぃ!吹雪を逃がさないで!!!これを着せるわよぉ!!!」
「りょ、了解しました!」
「ふぇええええ!?なになになになに!??!?!?!」
「吹雪姉さん、ごめんなさい!!!!」
「一体何なのーーーーー!?」
「提督、失礼しますね」
「あー、はい…」
今回は首をへし折られそうになったリ、目つぶしされそうになることもなかった。事態を察した大淀がそっと彼の目を塞いだのだった。
………
「ううう……は、恥ずかしいよぉ…」
「素晴らしいわ!さすがは磯波と浦波の姉、吹雪型ね!!!!最高よ!磯波と浦波と吹雪のメイド姉妹!!!!これは映える!映えるわよぉ!!!!!」」
「ほわぁ、吹雪ちゃんかわいいのです~」
「ハラショー。これはかわいいものだね」
「電ちゃんも響ちゃんもやめてよぉ!」
九重提督の襲撃を受けた吹雪は「磯波ちゃんと浦波ちゃんの服、かわいいなぁ…」と思っていた服を着せられた。メイド服と言うらしい。自分はこんなの似合わないしなぁ…と思っていたのだが、九重提督が大興奮して写真をスマホで撮りまくっている。その姿は…あの人に似ていると思った。
「フヒーヒヒヒヒヒ!!!!いいぞぉ!いいぞぉ!!!!映えるぞぉ!!!!!ああああああ!!!!インスピレーションきたああああああ!!!!!」
そう、あのおばさんに…。
「吹雪ってば意外と大胆な下着をつけているのねぇ。お尻が半分見える下着なんて。まあ、女の子は服は質素に。脱いだら下着がすごいって言うギャップがまた燃えるし萌えるわね」
「わああああああ!!!!!!!!なんで言っちゃうんですかああああああ!?!?!?!?!」
「オレ…あんな下着履いたら恥ずかしくて死ぬわ…」
「天龍さん!?」
「聞いてない聞いてない…俺は何も聞いていない…」
「そういえば間宮さんが吹雪さんのことを心配していましたね。派手な下着が多いけど…何か不埒な男性に変なことをされていないでしょうかって…」
「おい、変な男って男は俺しかいないぞ」
「じー」
「俺の趣味じゃねえよ!!!」
「ですが…提督が下着のカタログを…「松子おばさんだ!!!あの人、何でか吹雪にすげー派手な下着渡してんの!」」
「それを止めない提督も提督で…って鳥海さん?どうしたんですか?顔を真っ赤にして…ま、まさか…鳥海さんも提督の魔手へぶっ!!!」
暴走が止まらない大淀にチョップをかます玲司。
「いったぁ…何するんですか!この暴力提督!ブラック提督!」
「黙らっしゃい!人にあらぬ嫌疑をかけておいてからに!」
「私のパンツのことでケンカしないでくださあああい!!!」
「ハラショー。吹雪のパンツはどれも凝っているね。時々パンツの意味を成しているのかわから「わああああ!!!響ちゃん!!!内緒にしておいてよぉ!!??」
「はわわ、吹雪ちゃんのパンツは危険がいっぱいなのです」
「あらあら、さすが姉妹と言ったところかしら?磯波と浦波も下着は凝ってるのよねぇ。まあ吹雪みたいにお尻が見えるとかそう言うのはないけど」
「提督…あの、磯波達の下着を暴露するのは…」
「天龍ちゃんよりはマシでしょー?天龍ちゃんなんかもうほぼ丸見えのTバックとかあるしぃ、きわっきわの紐の下着とかあるしぃ」
「おいいいいいいい!!!!内緒にしといてくれって言ったろおおおおお!!!!ありゃ提督のためにオレがこっそり買ったやつなのにいいい!!!」
「あらー、嬉しいわねぇ。また今度買ってあげるわねー」
「………赤いやつで黒いレースのやつ…」
「派手ねぇ」
「ねえ雷?司令官たちは何を話しているのかしら?パンツ?」
「暁は気にしなくていいと思うわ!そういえば暁のパンツ、ゴムが伸びていたから換えておいたおいたわよ!」
「ほんと!?ありがとう!あのボクカワウソのパンツ、お気に入りなのよ!」
「あのですね、そういう話はぁ…よそでやってください!!!!!変態!どヘンタイ!変態提督ズ!!!」
「俺まで巻き込むな!!!!」
こんな中、浦波は自分の下着がバレないかドキドキしているのだった。なぜなら吹雪並みに浦波の下着は派手なのだ。あの姉にしてこの妹あり、である。ちなみに磯波は普通の綿パンツであることをここに記しておく。
艦種問わずみんなと仲良く。ギャーギャーと騒ぎ合う毎日。これがやっぱり艦娘と親睦を深め、連携をうまくできる秘訣よね…と九重提督は思う。まあ、レディの下着のことは彼は紳士だけに把握はしていないみたい。中にはどんな下着を履いているのかなぁ?と提督命令でパンツを見させたりするような提督も昔はいたらしいが。
しかし、お互い別々の場所にいるとは言え、第六駆逐隊がここに集結するのは見ていて嬉しいものだ。いちにんまえのれでぃ(なぜか変換できない)暁、現宿毛湾のお母さんの1人、雷。横須賀のフリーダムハラショー娘、響。奇跡の蒼き涙を持つ電。きゃいきゃいと仲良く話し合っているのを見ると心がほっこりする。
「暁ちゃんと雷ちゃんに横須賀鎮守府をご案内するのです!司令官、九重司令官もいいですか!?」
「ええ、いってらっしゃい。姉妹仲良くね」
「なのです!」
「ハラショー。ここがいかにいいところかを案内するよ」
「晩飯はオムライスだからな。晩飯までには終わるんだぞ」
「んんっ!!提督、晩ご飯です」
「なのです!晩飯には戻るのです!」
「こら、電ちゃん!!!もう!!提督のせいで雪風ちゃんや電ちゃんの言葉遣いがー!!!」
「大淀は苦労人ねぇ…」
「はぁ…もう…ほんとに…」
「摩耶さんも、ですね。司令と摩耶さんは主犯ですよ」
「うちも天龍ちゃんがねぇ…」
「九重提督もですか…」
「天龍さんには困ったものです。リベッチオさんがメシー!!!って言いながら入ってくるものですから…」
「ザラさんが怒ってましたね。ただでさえポーラさんの酒癖の悪さで頭を悩ませているのにリベちゃんやシロッコちゃんまでうつっちゃうから…」
「ふふ、みんないろいろ苦労してるんですねぇ」
「叢雲姉さんも怒ってましたね…」
「叢雲ちゃん!?」
吹雪が叢雲に反応した。無理もない。彼女にとって叢雲と言う名は過敏に反応するには十分すぎる。
「あ、吹雪姉さん…ごめんなさい…今いる叢雲姉さんは…」
「そう…か。そう、だよね」
僅かな希望だったがそれは虚しくも外れた。無理もない。なぜならば自分が知る叢雲は目の前で…海の藻屑と化したのだから。どれほど苦悩したことか。自分にもっとチカラがあればと。そうして闇に飲まれかけたこともある。
「い、今の叢雲ちゃんは…元気?」
「はい、とても元気ですよ」
「天蓋ベッドは嫌だとか、この間は髪の毛をヘアアイロンでロールしてあげてお姫様みたいねーと言ったら私をいい加減お姫様扱いから解放しなさいよ!とかお怒りだったわねぇ」
「もう、提督。あまり叢雲姉さんを怒らせないでください。2時間くらい、この間愚痴を聞かされたんですからね?」
「とは言えあのかわいさと気品よ?お姫様に仕立て上げたくなるじゃない!むう…アタシが言ったとおりにこの写真を見せたらもっとこう…いい何かを仕立ててくれないかしらね…」
「叢雲だろ?だったら大興奮して何かデッサンしてくれるんじゃねえかな。あの人、売り物は全部艦娘の写真とかを見たり、実際に会ったりしたことで思いついた服を一般の人に向けて作ってるからな。ケンカが絶えねえのなんのって…」
天災…いや、天才カリスマファッションデザイナー、黛 松子。一世を風靡した型に囚われない自由なデザインで一流アイドルや女優までもを虜にしたと言う伝説のファッションデザイナー。そう九重提督は語る。黛ブームと言う現象まで、全盛期には起きたらしい。
「今?摩耶や鳥海見て鼻血出しながらえろい下着出すスケベ親父みたいになってるぞ」
そうしてやれブームだ何だでとにかく作れ作れ、描け、描け、とにかく出せば売れると言う自分の理想からかけ離れたものを作らされ、服に着せられただけの偶像を見て嫌気が差し、彼女は忽然とその世界から去った。当然、ブームに乗っていた人々は残念がった。しかしそれも数ヶ月も経てば忘れ去られた。
そして現在、彼女は再び脚光を嫌々ながら浴びた。あの一大ブームを巻き起こした彼女が再び日の目を浴びた。が、それが原因でお客とのケンカが絶えないらしい。あれを作れ。こういうのを作れ。私に似合う服を作れ。
「ケッ、そんなオークみてえな体系したババアが銀座のセレブなんざ聞いて呆れるね。まずはそのオークみてえな体系を艦娘ちゃんみたいなイケイケバディにしてから出直して来な。あたしの服が汚れるよ」
「ぬわんですってぇ!?このわたくしをお、オ、オークって何よ!」
「これだよこれ。こんな体系してんだ。そんな奴がわたくしをもっと輝かせろだぁ?脂っこいケーキとか食い倒してんのかい?脂ぎって顔がテッカテカに輝いてんだから十分だろ」
「ムキーーーー!!!言わせておけば!!何がカリスマデザイナーですの!?失礼にもほどがありますわ!」
「偉そうにいきなりしみったれた店ねぇとか言い出したあんたも失礼千万だろうが!!!!だからこっちも失礼で返してやってんだよ!さっさと帰れ!クソオーク!!!!斧でも持って狩猟でもしてきな!!!」
「何て店ですの!?わざわざ来てやったと言うのに!!!」
「来てほしくて来てんじゃねえや!あたしゃ自分の好きな服を作りてえからやってるだけだ!誰が頼んだっつーの!!」
こうして銀座のセレブの間では評判は悲しいかな☆1が何百個と言うレビューがついている。一方で親切にしていただきました。とか☆5の評価はそれ以上に多かったりする。
「ったく…近所の人間だけでいいんだ…あー、めんどくせえったらありゃしないねぇ」
いつだかこんな話を聞かされるくらい嫌がってたなぁ…と玲司は思い返した。
「なるほどねぇ…ところで、ここの艦娘ちゃんに何人か会ったわけだけど…あの服って…」
「ああ、ほぼほぼ松子おばさんが仕立ててくれたやつだな。浴衣とか晴れ着もほら。この吹雪、きれいだろ?」
スッと見せたのはいつぞやに翔鶴や扶桑、鳥海達と一緒に行ったときに着せてもらった晴れ着だ。デザインは松子。製作者は横須賀の妖精さん。
「言葉までなくしたか…」
と言うくらいに大興奮していたっけか。
「うわあ、吹雪姉さん、きれいだなぁ」
「ぬう…さすがは伝説のデザイナー…艦娘ちゃんに最高に合うようにデザインしている…」
「んでこれが夏のお嬢さんモードの雪風」
「ぴゃあああああ!!!!!」
「提督うるっさ!!!!!」
「えへへへ、は、恥ずかしいけど…これ、本当にきれいで…華やかで…また着たいなぁ」
「それならちゃんとほかんしてあるですよ。きようとおもえばいつでもきれます」
「ぬわんですってぇ!?はよ!それを見せなさい!はよ!!」
「提督、落ち着いてください。ふぁあ…いいなぁ…かわいいですねぇ」
プロのデザイナー。そしてプロの機織り職人が作り上げた最高の振袖。他にも浴衣なんかもある。それらは妖精さんが機織り部屋の奥、防湿、防虫がばっちりな保管室に大切に保管されている。細かい気配りを忘れない。最高の仕事をしたものを粗末にはできない。
そして横須賀の艦娘が着ている服も、間宮と妖精さんがしっかりと傷まないように洗濯を心掛けている。
「く、くう…明日必ず連れて行ってもらうわよ!」
「わーってるって…松子おばさんに電話しておくか……あー、もしもしってうるっさ!!!!何だよもう!あーうん、そう。うん。で、遠くから友達の提督が艦娘を連れて…あー、うん。吹雪の妹…うるっさ!!!落ち着けって!!!!」
1分1秒早く連れてこい。即刻連れてこいと言うが無理、明日なと言うと「なん…だと…」と言われて落胆する松子にため息をつく玲司だった。
………
「さあ、どうぞ。ここが私の部屋だよ」
「お邪魔しまーす…」
「ちょっと待っててね。今お茶沸かすから!」
……私達の部屋も広いですが…ここの広さはもう一つ広いな…と磯波は思った。満潮に散々言われているので下着はすぐにタンスにしまうようにした。文月や島風たちが来たときにまずいことになる下着もあるからだ。まあ…パジャマなんかは脱ぎ散らかしっぱなしだが…。
「磯波姉さん…吹雪姉さんって…けっこうズボラと言うか…ってもう畳んでるし…」
「吹雪姉さん?このような自堕落な生活をしているのですか?いくらなんでも脱ぎっぱなし、お布団も片付けていませんし、何ですかこれは?」
「えっ?あ、ああ、あのぉ…そのぉ…」
再会の喜びも束の間、突然始まった磯波のお説教。あれ?磯波ちゃんってこんな子だっけ?ちょっとおどおどして…これじゃあまるで白雪ちゃんのようだ…。え?一体どうなってるの?
「いいですか?お片付けは大切なんですよ?」
「あの…磯波姉さんはそのぉ…提督と天龍さんがズボラなのと…リベッチオちゃんやシロッコちゃんって言うすっごくその…言い方は悪いけどぉ…大変な子がいたりね?あとポーラさんって言うすっごいお酒飲みな艦娘がいて…それで強気に出ないと…いつまでも…そのぉ…」
浦波が説明する。なるほど、ここで言う龍驤先生のような酒癖の悪い人や、夕立ちゃんや響ちゃんのような何て言うか…世話の焼ける子がいるわけで…しかも司令官がズボラって…。
そういえば磯波ちゃんも浦波ちゃんも書類整理やお片付けが得意だったっけ…?
「提督達のおかげで慣れたんですよ」
ああ、なるほどってそうじゃない。
「わああああ!!!!そこのタンスは開けちゃだめええええええ!!!!!!」
引き出しを開けたとたん、色とりどりの下着。パンツ!パンツです!がいっぱい入っていた。
「うわー…吹雪姉さん、すっごいパンツの量って…なにこれ…うわー!うわーー!!」
「あ、あう…あう…あう…」
磯波は見た。見てしまった。そう、満潮に不潔よ!!と顔を真っ赤にしてあらぬ誤解をかけられた例のパンツを。その他にも見た目が中学生くらいの吹雪が履くには刺激的過ぎるパンツの群れ。あ、ちゃんと綿パンツもあるけど…これは奥底にしまわれている。
「ふ、吹雪姉さんは…こ、ここここ、こんなす、すごい、し、したぎをはいてるんれふか」
耳まで真っ赤になっている磯波。手で顔を隠しながらも指の隙間からチラチラと刺激的なパンツを見ている浦波。これまた顔が真っ赤である。
興味に駆られたのかその上のタンスを勝手に、悪いと思いながらも開けてしまった。あ、ブラは普通…でもない。色はド派手だ。ええ、これ…服を着てても透けるんじゃ…。
「ちゃ、ちゃんとキャミソールも着てるよぉ…」
「そ、それにしてもすごい…吹雪姉さんって…大胆なんですね…」
「なんか明らかに引いてるよね磯波ちゃん!?」
「い、いえ、そんなことはないれふよ?ひ、人の下着の趣味にそんな口出しは…ええっと…その…」
「そ、そんな磯波ちゃんだってメイド服の下はきっとド派手なパンツとか履いてるんだよね!?それでもって浦波ちゃんとうまぴょいしてるんだよね!?」
「うまぴょいって何ですかぁ!?きゃー!きゃああああ!!!ス、スカートをめくらないでくださいいい!!!」
「う、うわーーーー!!うわーーーーーーー!!!!黒のパンツにガ、ガーターベルト!?えっちなのはいけないと思いますううう!!」
「いやああ!!姉さんやめてええええ!!!」
「ふ、吹雪姉さん!?ちょ、ストップストップーーーー!!!」
「浦波ちゃんもそうだよねぇ!?磯波ちゃんがこういうことだから浦波ちゃんもうまぴょいしてるよねぇ!?」
「だからうまぴょいってなにーーーーー!!!!きゃああああああ!?」
「白!白です!白のパンツ!フリル付き!ガーターベルトはもちろんあり!!!!!じゃあブラはどうなってるのかなぁ!?」
吹雪がぐるぐる目にしながら磯波や浦波のスカートをめくっては大騒ぎである。そしてメイド服を剥ごうと襲い掛かっている。ダメだ。これ以上はR-18のタグをつけなくてはならない。
「ちょっと、うるさいわよ吹雪。なにし………て……」
「あ…」
磯波たちにとっては救世主だろう。騒ぎを聞いてやってきた満潮。その光景を見て目を開いて固まっていたが…。
「何やってんのよあんたはああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
満潮の怒鳴り声が駆逐艦寮に響いた。たまたまお昼寝中だった島風はわっひゃああああ!?と飛び起きるくらいの大きな声だった。
………
「不潔よ!やっぱり吹雪は不潔よ!!!!!」
「ち、違うんだってば満潮ちゃぁん!」
「何がどう違うのよ!?磯波?と浦波?あんた妹のスカートめくってパンツ見て何考えてんのよ!!」
「わ、私のパンツやブラをね?見られたから…」
「だからって妹を襲う形で下着を見てもいいって言うことにはならないわよね」
「う、うう…」
ド正論に反論ができない。危なかった。満潮さんが来てくれなかったら私達はどうなっていたのでしょう…と磯波はホッとした。
「あの…満潮さん…ありがとうございました…」
「あんたが大声を出してくれてよかったわ。こうしてうちの変態不審者を憲兵に突き出す前に未然に防ぐことができたわけだしね」
「満潮ちゃぁん…」
「何よ変態不審者。あんたのせいでうちがド変態の艦娘の集まり、ひいては司令官が時雨たちが言っていたクズみたいな司令官と同レベルに見られるのよ、その責任、取れるのかしらね」
「返す言葉もございません…」
「それにしても…何?特Ⅰ型は下着に凝ってるのが主流なわけ?」
「これはそのぉ…提督の…趣味と言うか…願望と言うか…」
「よし、憲兵さんに電話してくるわ」
「わあああ!待ってください!あ、あの…その…浦波たちも…気に入っては…いますので…強要されてるとかそんなのじゃなくてですね…」
「………この姉にしてこの妹らありってところね…あんた、宿毛湾に他の姉妹は?」
「む、叢雲姉さんがいます。その…提督にお姫様みたいな衣装や…ヘアアイロンで髪をお嬢様っぽくされて…嫌がってはいるのですが…」
「よし、通報するわ」
「それがその…提督の前ではいやいやと言うんですけど…自分のお部屋の鏡の前でくるくる回って嬉しそうにしているので…」
はあ…と満潮はため息をついた。宿毛湾の特Ⅰ型は何と言うか…変な方向に走らなければいいけど。と呆れた満潮であった。
「この様子だと吹雪はとにかく、磯波と浦波は松子おばさんにめちゃくちゃにされそうね」
「私もそう思う…な」
「あんたも行くんでしょ?またハレンチな下着をもらってこないようにしてよね!って言うか何よこれ!あんた、私が履きなさいてって言ったパンツを下に入れてこの派手なパンツ履いてるの!?」
「ち、違うよぉ!い、今はほら!普通の「見せなくていいってば!!!!」」
ああ、満潮ちゃんってしっかりしてるんだなぁ…と磯波と浦波は思うのであった。後に元宿毛湾のいなくなった満潮と聞いて涙を流して喜び、抱き着いてきたものだから「な、なによ!?べ、別に私は何ともなかったんだから!」と戸惑いながらも元宿毛湾の仲間が生きていたことを何よりも喜ぶ満潮。そして嬉しそうにほにゃりと笑う磯波。にっこり笑う浦波。
そのあとは延々と満潮が吹雪に対する愚痴をこぼす。片づけをしない。ひどいときはパンツも脱ぎっぱなし。干しっぱなし。ゴロゴロしてはお菓子のカスをこぼしっぱなし。ほんとに私がいないと散らかしっぱなしなんだから、妹としてあんたからも姉に何か言ってあげてよ、と言われて苦笑するしかなかった。
久しぶりの再会だったのだが…何だかドタバタになった再会になった吹雪型姉妹。それでも、やっぱり喜びをしっかりと噛み締めるのであった。もちろん、満潮も同じく、生きていた喜びを顔には出していないがしっかりと噛み締めていた。
九重提督の来訪。
今回は吹雪型の玲司に保護された吹雪とは別々になって生きていた磯波、浦波のお話を書いてみました。相変わらず吹雪の下着ネタになってしまいました…が、磯波や浦波もうわーうわーと言いながらも、やっぱり宿毛湾に来てからは「メイド服にはガーターよね!」と言う九重提督の言葉に最初は「うわあ…」と思っていたのですが、つけてみるとかわいい。オーバーニーソックスがずり落ちないと言う理由からかわいいガーターベルトをコレクションしています。やっぱり吹雪の妹ですね(笑)
次回はお待たせしました。第六駆逐隊のかわいいお話を書こうと思います。
次回もお待ちいただけますと嬉しいです。
それでは、また。