提督はコックだった   作:YuzuremonEP3

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とある不届き者への制裁を。
今回は過激な表現が多いです。気分が悪くなった場合はブラウザバックをし、好きな歌を聴いたり嫁艦ちゅっちゅをしてください。


第二百五十三話

私の名前は足助 雅(あすけ みやび)。瀬戸内海の監獄で看守を務める海軍所属の者だ。

 

監獄と言っても今は囚人はいない。ここは特殊な監獄であり…めったなことでは人が収監されることはない。ここは艦娘に対して激しい性的暴行を働いたリ、艦娘を売りに出す…つまり、国家機密を一般人に利益を得て売り払う者を社会へ出すことのないように飼い殺しにしてしまう場所だ。

 

艦娘が現れてより、見目麗しい艦娘に対して性的な暴力を働く者は少なくない。しかし、艦娘には今でも法整備がなされておらず、性犯罪を犯したとしても厳重注意がほとんどであったか、懲戒解雇として一般社会へ放り出され、のうのうと生きている輩ばかりだった。

 

そこで本当にごく一部の者…司令長官と今は亡き清州副司令長官、虎瀬大将。そして…刈谷君で外道共を生かしておいたところで再犯を重ねる者が後を絶たず、ここを設立した。

 

ここは死刑の執行の場でもなければ拷問を行う場でもない。何をするのか?簡単である。「何もしない」である。

分厚いアクリルガラスで私達の事務室と牢獄は仕切られ、外道が何をするかは逐一監視ができる。しかし、こちらが怒鳴ろうと、外道が泣き喚き叫ぼうと、お互いの声は聞こえない。

 

外道の一日は本当に何もできないのだ。三食の食事は与えるが娯楽は何もない。完全防音の窓から外を眺めることしかできない。筋トレや瞑想などをすることは可能だ。だが、それだけである。ではそんな場所に人間を置くとどうなるか?発狂するのだ。

 

「暇は無味無臭の劇薬」

 

とはよく言ったもので、じわじわと精神を追い詰められ、最後には気が触れて自殺を図るか何らかの病により死に至る。死んでも本土に帰ることはできん。速やかに灰となり、海に撒かれる。本土では行方不明扱いとなる。そうなると仮に遺族が居た場合にも、死亡の扱いができないため、向こう数年間は支給金などに困るわけだ。まったく、自分でもよくこんなものを思いついたものだ、と思う。

 

「提督。ご飯だよ」

「ああすまない、北上君」

 

彼女は私を補佐してくれている艦娘、北上だ。彼女もまた、外道によってひどく性的暴行を働かれ、心に深い闇を負う者だ。私と刈谷君で助け出し、以降は私の右腕となった。

 

「これ以上あたしみたいな不幸な艦娘がいなくなることを祈って、あたしも提督と一緒に外道を見るよ」

 

酔狂な考えだが…彼女なりの復讐なのだろう。目が隠れるくらいに髪を伸ばし、目の周りは隈で黒い。猫背で陽気さはない。彼女はそれだけ傷を負ったのだ。ならば、私もそれに応えて外道共の命を刈り取ろうじゃないか。

 

「で?ここに来たのは?また何かやらかしたのが来るの?」

 

外道が収監されない場合は大本営が直管の呉分業所で事務仕事を北上君と行っている。だが、外道がやって来ると連絡を受けた際はここへ移動し、外道が死ぬまでここで生活をする。不便だが…致し方あるまい。

 

「うむ。今回は極上の外道だ。北上君の目が必要になるだろう」

「へえ…ああ、あいつか~」

 

「そうだ。今回は…収監し損ねたあの外道の息子…安久野 拓哉(あくの たくや)だ。フン、国民的アイドルに似つかわしい男になるように、と名付けたようだが…」

 

「えー、キッモ。ダッサ」

 

「そうだね。今回は…とてもやり甲斐がある。北上君、ひとつよろしく頼むよ」

「はーい」

 

安久野 楠男。名前の通り屑の中の屑であったが、うまく金を使って逃げられてしまった。深海棲艦ではなく、私の目の届く内で屠りたかったが…無念だった。しかし今回はきっちりと手を回した。邪魔者である大府の者も今回は手が出せなかったと見える。

 

無理もない。ここはいつの間にか「どこにはあるかわからないがこういう場所がある」と言う噂が海軍内で広まっている。そしてそこに刈谷君が一枚噛んでいるとなれば…手を出す愚か者はそうそういないだろう。性欲に支配され、人としての理性を持たず、この国を…我々人類を守ってくれる守り神にその劣悪な情欲をぶちまける畜生にも劣る下等生物は…この足助が断じて許しはしない…!!

 

………

 

数日後、司令長官直属の海軍憲兵、四宮君が醜い何かを引きずってやって来た。

 

「足助殿、依頼されておりました輩をひきずって参りました」

「放せええええええ!!!!!僕を誰だと思ってるんだあああああ!!!?!?!?」

 

来て早々うるさいな。ずいぶんと元気がいい。しかしやかましい。

 

「ああ、四宮君。遠いところをご苦労様だったね」

「いえ。ずいぶんとお待たせいたしました。早速引き渡しをさせていただきます」

 

「ここはどこなんだよおお!?僕を無視していないで答えろよ!ブヒッ!?君は…き、北上か!?ブヒヒヒ!!!!これはいい所に来たなぁ!ここが僕の泊地かな?提督として君をかわいがってあげようねぇ」

 

早速北上君に情欲をぶちまけるとは…切り替えの早い奴だ。北上君はと言うと汚物を見るような目で見ているのだがね。さて…北上君の目は、どうこいつを見るか。

 

「………キモ」

「ブヒッ!?」

 

「む…」

「フン」

 

まあ、見るまでもないのだが。彼女…北上君は見るだけでそいつが性犯罪者かどうかを見極める。艦娘に対して犯したことはないと言い張る外道も、彼女が一言「キモ」と言えば、調べてみると婦女暴行を働いたことがあるとわかるくらいだ。この間消えた宿毛湾の馬鹿も、艦娘はおろか人間にさえ暴行を働いていたのだと言うから始末が悪い。

 

「てか、臭。何これ。数ヶ月洗ってない便器?」

 

確かに、眉をひそめたくなるくらいの悪臭だな。不衛生極まりない。女性は嗅覚が男性よりも敏感だと言うから、北上君にとっては私達よりも臭うのだろう。

 

「北上ぃ…いい態度だねぇ。その態度を改めさせる必要があるね。さあ、お前たちはもう不要だよ。僕が北上の面倒を見るからねぇ…クヒヒヒヒ」

 

とりあえず笑い方と顔が不愉快極まるので五ヶ丘君に折られたと言う鼻を踵で蹴っておいた。

 

「ギャア!!?」

「うるさいぞ。お前が提督?笑わせる。大府にまんまと騙された不法侵入者が。ここには貴様を守る法はないぞ。貴様が艦娘に対してしでかしたことと同じだ。ここでは…私が法だ」

 

「ふじゃけるな!僕は提督なんだ!何だ犯罪者犯罪者ってこいつも!お前もクビにしてやるからな!ガアアアアア!!!!?!?!?」

 

「誰の、権限で、謳ってんだテメエ。貴様にそんな権限があると思っているのか?貴様はただの性犯罪者だ。ああ、そうだ。貴様に聞いておこう」

 

救いようのない言葉が返ってくるだろうが…一応聞いておくのが私のポリシーだ。

 

「貴様は罪もない艦娘に汚い性欲をぶちまけ、穢したな。さらには潜水艦娘を幽閉し、機が熟した時に売り払って至福を肥やそうとしていたようだが…そんな艦娘に対し、後悔の念や申し訳ないと言う気持ちはあるか?」

 

そう問うてみたが、やはり返ってくる言葉は下劣なものだった。

 

「後悔?何のことかな!?!?あそこの艦娘達は僕のものだ!!!!僕が何しようと勝手じゃないか!!邪魔をしやがって!!!!あいつらだって喜んでたさ!!!気持ちいいってねええええ!!!!!」

 

「何だと…この野郎!!!」

「………キモ」

 

とりあえず腹が立ったので地面にキスをしておいてもらった。鼻がまた折れたようだ。固定しておいてやらないと、これが原因で死なれても困る。

 

「あがががが…」

「さっさと入れ。ここで貴様は一生を過ごすんだ。安心しろ、衣食住は保証してやる」

 

牢獄へ放り込んでやった。何かをアクリルガラスを叩いて喚いているが私達には聞こえない。

 

「くっさ…もーさいっあく…」

「一応…無臭の消臭剤を大量に持ち込みました…船も臭くてたまりません…」

 

「四宮君、大変だったね…気を付けてな」

「ハッ。ありがとうございます。司令長官には無事届けたと報告しておきます」

 

「うむ」

 

四宮君もこんな悪臭発生装置と共に数時間…いや1日を共にするとは…災難だったな。だが、もう気にする必要はない。こいつはとことん放置するだけだ。

 

「提督、さっきからあたしを見る目がキモすぎなんだけど」

「耐えてくれないか…何かあっても君に危害を加えさせることはない。私が全てあいつの面倒を見よう」

 

「ごめんね…提督」

「気にしないでくれ。こちらこそ、君をこのようなことに巻き込んですまないね」

 

「ううん…これがあたしの役目だと思うんだ。あたしがされてきたことが…あいつらの死に目をみることで…ちょっとでも晴れると思うからさ」

 

「そうか…何なら、刈谷君や五ヶ丘君の所へ行っても構わんのだよ?」

「あたしは提督以外誰も信用しない。提督が信用できる人だと言っても、あたしは信用しない」

 

「私は提督ではないのだがねぇ…」

「あたしには提督なの。そうでないといけないの。そうでなきゃ、あたしの存在意義がない」

 

「そう、か…」

「自分勝手だっていつも言ってるけど…ごめん」

 

「北上君が謝ることではない。君の信念はいつもしかと受け止めているつもりだ。では、今回は何週間もつかはわからんが…私達の仕事を始めるとしよう」

 

「はーい」

 

この北上君…そして、リンガでひどい目にあった艦娘達の怨みを晴らすことにはならんが…私の職務を全うするとしようじゃないか。

 

………

 

「くそぉ!!ふざけるな!!!!僕を誰だと思ってるんだ!!!おい出せ!僕をこんな所に閉じ込めておいてタダで済むと思うな!!!」

 

安久野拓哉。彼は選ばれた勝ち組であり、どんな要望も通じると信じて疑わない男だった。彼は父が強姦した女性を金でモノを言わし、妊娠までさせた挙句にこのような醜い風貌と性格に育てたのだった。と言っても金だけやって育児などするはずもない。拓哉が産まれたあとも執拗に強姦をして堕胎までさせたわけだが、母として…精神を壊しながらも中学生までは育てた。しかし、彼女は精神を病み、自殺。

 

以降はなぜかかわいい息子として…そして後継ぎとして金を注ぎ込み、より醜悪に育てたのがこれである。父と同じで喚けば全て周囲の人間が折れ、同級生でさえ強姦し、父の金でもみ消した。中絶の資金さえ出させ、危険な目に遭いそうになれば父について回るゴロツキを使ってもみ消す最低の人間…と呼ぶのも躊躇われるようなモノに育った。

 

こうして思うがまま生きてきた者であるが、大府にそそのかされ、その汚い欲望を吐き出せる場所があると言われた。リンガである。彼は極上の美女を好き放題し、ハーレムを築こうとしたわけだがわけのわからない醜い男(自分で言う)に顔面を陥没させられ、イケメンな顔(と信じて疑わない)を台無しにされたのだった。

 

簡素な治療だけを済まされ、ここへ連れてこられた。ここがどこかもわからない。そして、また醜い男が邪魔をして北上に手を出せないでいたし、蹴られた。こんなことは許せない。あいつを失脚させてここを乗っ取り、あの北上を目の前で犯してやる。口の利き方がなっていない北上はゆっくり調教してやろう。僕がいないと生きていられないくらいに…ね…。

 

「ブヒヒヒヒヒ…!!!!」

「醜悪な笑いをこぼすな。汚らしい」

 

「何を!?」

「ようこそ、私の城へ。ここではお前は生活を保障される。よかったな。ほら、飯だ」

 

「なんだこれ!野菜なんか食えるか!僕はお肉しか食べないんだ!最高級の松坂牛のステーキでも用意してもらおうか!!!」

 

食生活においても怠惰。ジャンクフードをこよなく愛し、父の金でステーキなどをむさぼる。野菜や魚は一切食べない。そのおかげでブクブクと肥え太り、風呂にも入らないためにひどい悪臭を振りまく。歩く公害であると言ってもいい。

 

「そうか。ではそうしてやろう。ライスは食べるのか?」

「当たり前だろ!」

 

「そうか。では用意しよう」

「あとは…北上を食べたいなぁ…ブゲッ!!」

 

足助が蹴りをいれる。

 

「私のかわいい助手を貴様にやるはずないだろう。その汚い獣欲は我慢するんだな」

「はあ!?!?!」

 

「食事だけはいいものをくれてやるんだ、我慢しろ」

「ふざけるなよお前!僕は女もいないとダメに決まってるだろ!ヒッ!?」

 

「貴様は囚人だ。食事の自由だけを与えられるだけありがたく思え。なぜここにきて貴様に様々な自由を与えなくてはならんのだ?艦娘に自由を与えたのか貴様は?」

 

「ブッ、ブッピィ…」

「醜く醜悪なにおいを放つ貴様に艦娘など過ぎたものだ。せいぜい大人しくしていろ」

 

この野郎…ふざけやがって…!本当に殺してやるからな!パパの部下に言って殺してやる!僕が声をあげればあんな奴!

 

この男はどこまでもお気楽だった。ここに部下が来てくれて、助けてくれて、あいつを殺して、北上を自由にできる。そう信じて疑わない。しかし、この男はここで朽ちるしかないのだ。それがこの男の運命。

 

「ふふん、いい焼き具合だねぇ。僕の口に合う肉だね!」

 

最高級の松坂牛をこれでもかと食べる。昼間から食べるステーキは最高だねぇ…そう思いつつ食した。晩ご飯も楽しみだね!とまたのんきだった。

 

夕飯はあのブ男が作ったチーズたっぷり。ハンバーグも神戸牛のひき肉をつかったハンバーガー。フライドポテトにコーラ。皿一杯のポテトにギットギトのハンバーガーは彼の口に合った。これならここで生活するのも悪くはない。ゲームやテレビをよこせと言ったら却下されたが。退屈だ。けど、これなら食事までの時間を期待して時間を潰せばいい。だが、この男は気づいていないのだ。足助がなぜこのように食事を自由にさせるのかを…。

 

………

 

「ねえ、なんであんなのにいいご飯食べさせるの?」

「ひどい偏食家のようでね。ああいう肉類とジャンクフードしか好まんようだ」

 

「だからってこんな高い肉…アレ、そんなお肉の味わかんないでしょ」

「さてね…まあ、死ぬまで短いんだ。好きなものを与えても良いだろう。それに…」

 

「それに?」

「これを見たまえ」

 

「ん?診断書?」

「ああ。アレの診断書だ」

 

「うわぁ…」

 

北上はその診断書を見てなるほどね、と思った。そこには…

 

「高血圧、高脂血症。糖尿病さえ発症しかけている。腎臓もあのように塩分の濃いステーキではね。弱っている。ならば…ここでさらにこのような高カロリーの食べ物を与えればどうなると思う?」

 

「提督って本当に残酷だねぇ。まー、あんなキモいのは早く消えてほしいけどさ」

「北上君がそう言うのなら食費は大きいが与えるに十分だろう?」

 

「そうだね…しょうがない。我慢しよ…」

「すまないね、北上君」

 

「いいよいいよ。提督の思惑がわかったしさ。それに…性犯罪者なんて苦しんで苦しんで…苦しみ抜いて死ねばいいよ」

 

北上は心の底からそう思っている。あの時間は地獄の苦しみのようだった。誰も助けてくれず、汚い劣情と体液にまみれて。それを助けてくれたのが足助提督だった。彼はもう提督業から引いている。事務員兼外道の始末係。一時は彼が率いる艦隊に組み込まれていたこともある。彼が提督から引くと言った時は何としてでも自分を連れて行ってくれと言った。

 

「艦隊に入らないのは本来ならばよくないのだが…君は事情がある。古井司令長官にも頭を下げて私の助手にしてもらうよう手配しておいたよ」

 

彼は優しかった。だが…外道には極度に厳しかった。この人なら私の心の闇を晴らしてくれる。そう信じて今日までついてきた。幾人もの外道をここで骸に変えた。彼女の怨みは晴れたのだろうか?それとも尽きぬだろうか?それはわからない。彼女にも。足助提督にも。それでも、彼女はこれこそが正しいと信じて彼と共にこの死の道を歩いてきたのだ。卑劣な目にあってきた艦娘も救われると信じて。

 

………

 

極上の食事にありつけはしたものの、暇で仕方がない。何せ何もできないし、北上はこの部屋にやってこない。あの男しかここに来ない。北上をここに連れてこいと言ったが聞き入れてもくれないし、基本的には最初だけあの男もここに食事を持ってきただけで、それからはドアにある小さなシャッターから食事を与えられるだけになった。

 

ふざけるな、こんな飼育小屋の豚に餌をやるみたいな飯の寄越し方をしやがって。腹が立つ。それでもここの食事はうまいため、我慢してやっていた。肉は極上。毎日ポテトや甘いジュースが食事に与えられる。本当ならおやつもほしい。そう言ってやったが無視された。こちらが呼んでも見向きもしない。あ、北上のお尻が見えそう…見えろ!見えろ!見えない…。

 

北上、本当は誘ってるんだろ?そんなお尻を見せてさぁ。だったらこっちに来いって言うんだ。腹が立つ。この僕を無視するだなんていい度胸だ。絶対にグチャグチャにしてやる。あんなブ男と仲良く話しやがって…この僕がいるのに…!!!

 

暇だ…何もできない。ブ男と北上を見てるか、外を見ているだけの生活も飽きた。

 

「おい!ヒマだぞ!ゲームかテレビを出せよ!僕がヒマしてるんだぞ!!!おい!!聞けよおい!!!!」

 

いくらガラスを叩こうが、大声をあげようが見もしない。

 

「おい!!!!!いつまで僕を無視するんだ!!!!!僕の言うことが聞けないのか!!!!?????」

 

ちくしょう!ちくしょう!!!僕を馬鹿にしやがって!!!!絶対許さないからな!!!絶対許さないからな!!!!

 

ぐう…ちょっと怒鳴って呼んだだけで疲れた…もういい…めんどくさい…しんどいなぁ。体が重い…。ああ、昼寝しよう…。

 

安久野が来て1ヶ月。1ヶ月だが毎日高カロリーの食事を摂っているがため、すごい勢いで太っていたのだった。当初は足助も2週間くらいで発狂すると思っていたがなかなかに図太いらしいな、と思った。

 

「ふむ。もう1ヶ月か。まあ無神経なだけになかなかに壊れんか。しかし、体は目に見えて変わったな」

「キッモ。ブクブクとまあ…豚みたいにブクブクと…」

 

「北上君。それでは豚に失礼だ。あれは豚よりも遥かに下等な外道だよ」

「それもそうだった。失礼しました~」

 

ここから安久野の崩壊が始まった。それから3日ほどは毎日飽きもせず全力で叫んでは寝るを繰り返していた。

 

「うわ、キッモ!!あたし見て何かしてる!」

「北上君、君は自室に戻りなさい。良い傾向ではあるが、北上君にはきついものになる」

 

「ううん…やらせておけばいいんだよ。あたしはもう気にしない。あー、スカートの下にジャージ履くかぁ」

 

いつしか食う、自慰をする、寝るになった。本当に3つの欲に忠実である。このまま順調に崩壊してくれれば私はこれ以上手を加えることもない。

 

「おい!ポテトもお肉も塩味が足りないぞ!もっと増やせ!」

「いいだろう。後悔はしないな?」

 

「何の話だ!いいから早くしろ!!!!」

「わかった」

 

こういうことは聞く。正直これでは塩辛くて私達は食べられんな。しかしアレは喜んで食している。自分の体を痛めつけているとも気づかずにな…。

 

「ん…むぅ…ん?」

「提督?待たせたわね。さあ、加賀も呼んだし、あなたの好きそうな艦娘をいっぱい連れてきたから…楽しみましょう?」

 

「ぶ、ぶひーーー!!!陸奥じゃないかぁ!?退屈で死ぬところだったよ!!いいともいいとも!!やっぱり君たちには僕が必要だったんだぁ!ぶっぴーーー!!!いい身体だなぁ!!!ヒヒヒヒヒヒ!!!」

 

「うっわ、何あれ?」

「ほう、ついに精神が崩壊したか。無様に腰を振って…どうやら幻覚を見ているようだな。妄想の世界で、おそらくリンガの艦娘とお楽しみの最中ではないかな」

 

「キモ…」

 

そう。本当に陸奥達を呼ぶはずがない。ついに精神がこの退屈に耐えられなくなり、幻覚を見るようになっていた。そして、いないはずの艦娘を相手に虚しく空を振る腰。その様は、あまりにも滑稽であり、無様だった。ああ、手はしっかりと動かしている。ふむ。良い傾向だな。

 

北上君には申し訳ないが、これで全て整った。もう間もなく、この外道は…死ぬだろう。さあ、見せてくれ。貴様が無様に死にゆくところをな。

 

「アハハハハハハハ!!!!どうだい!気持ちいいだろう加賀ぁ!僕に怯えておいて、本当はこうしてほしかったんじゃないか!!!あああ!最高だあああああ!!」

 

深夜になっても延々と行為を繰り返す(と思っている)とは。すさまじい欲望であるな。そうだ。いいぞ。頑張れ。食事を摂って行為を繰り返して…馬鹿は死んでも直らんからな。それが幻であると気付いた時の絶望した顔が楽しみで仕方がない。

 

安久野はその日も艦娘との情事の妄想で自慰を楽しんでいた。

 

「ハァッハァッ!!!どうだ夕雲ォ…僕のは気持ちいいだろー!?ブヒー!!」

 

「今日も凝りもせず、よくやるねぇ。部屋が汚すぎてもう入りたくない」

「北上君、見たまえ。何やら胸を押さえているね」

 

「あー、うん。それがどうかした?」

「くるぞ」

 

「え?」

 

足助はニヤリと笑った…。それは、間違いなくあの男の最期を確信している笑みだった。

 

「ハァッハァッ…クッうう…何だ…胸が苦しいな…痛いと言うか。おおおお!!!巻雲そこを舐めるなんて偉いよー!!!ヴっ!?」

 

視界が白くなった。あまりの胸の痛みに倒れ込んだ。「アガッ、カッ、カヒュッカヒュッ!!!グアア…な、何…」

 

「おはよう。良い夢は見られたかね?」

「あ、だ、だれ…いた…胸…いた、助け…」

 

防護服を着こんだ誰か。これは足助だ。部屋はあらゆる汚物にまみれている。何もかもを忘れて行為に耽っていたためだ。こんな所は衛生的に危険すぎるので防護服での入室となった。もがき苦しむ安久野を見る目はゴミを見るかのよう。

 

「何、ずいぶんと楽しんでいたのでね。どうぞ。続けたまえよ」

「ちがっ、アガアアア!!!胸…胸がいだいのおお!!!!」

 

「うむ、当然だろう。おそらくだが貴様は心臓の血管に血栓が詰まったか、動脈瘤でも弾けたんじゃないかね」

 

「ブヒ…?」

 

「貴様、方々の病院にかかっていたな?まあ、貴様の父親が息子可愛さあまりに通院させていたのだろうが、貴様はまるで話を聞いていなかったようだな。貴様は多くの生活習慣病にかかっているのだ。いや、それよりも重大かもしれんな」

 

「は、はい?」

 

「心臓の血栓。動脈瘤。腎臓病。糖尿病。高脂血症、高血圧。ハハハ、素晴らしい体をしているな。それでいて、塩を増やせとはよく言ったものだ。これらを爆発的に加速させると言うのにな」

 

「あ、ああ…ま、まさか…」

 

「私は医者ではないからな。囚人の希望は極力答えてやるとも。それが死に直結する要求ならばな…自ら命を縮める選択を取ったのは見ていておもしろかったぞ」

 

「あが、ああ…あ、あれ…陸奥…加賀…あれ?今僕と楽しんでた…夕雲…え、どこ、どこへやったの…?」

 

「ああ。君が楽しんでいた艦娘か?」

 

そのあと、足助は苦しむ安久野に顔を近づけ、見下すように笑う。

 

「何を言っているんだ貴様は?そんなものいるはずがないだろう?」

「えゅっ?」

 

「貴様が見ていたと言う艦娘は幻覚だよ。退屈のあまり、気が狂った貴様が生み出した幻影だ。その割に、毎日頑張っていたな。その結果、さらに心臓に負担をかけてこうなる結果を早めたわけだがな」

 

「え、ええ…しょ、しょんな…ぐうう!!びょ、病院!病院へ…!」

 

「残念だがここは離島でな。呉からヘリを呼ぶにも。船を呼ぶにも数時間かかる。そこから病院へさらに数時間。貴様がもつのか?呼ぶのも手間だ」

 

「そんな…たすけ、…たすけてええええ!!うぐうう!!」

 

「貴様は許しと助けを乞うた艦娘や人に対してそう言った時、何をした?笑いながらそれを無視し、犯したな?ならば、私が貴様を助けてやることもない」

 

「あうう…そ、そんなぁ…僕は…僕はあの娘たちが喜んでいると…き、北上…君も…僕に犯されたほうが…楽しい…よね、ね?」

 

「北上君…」

 

「キモ。くっさ。早く死ねよ、下衆」

「ぶひ…」

 

「艦娘も貴様が死ぬことを喜んでいるようだ。だから安心して死ぬがいい。父親の最期を見届けられなかった無念が私にもある。貴様の死を見届けて笑うことにしよう」

 

「いや、死にたく、な…カヒュッ!」

 

「貴様にもはや明日は必要ない。貴様の見苦しい生き様を見るのはもう飽きた。さあ、早く貴様の命の炎をが消える瞬間を私達に見せてくれ。言い訳は地獄にいる貴様の父親に言うがいい。もっとも…親子そろって地獄の業火に焼かれることになるだろうがな」

 

「あ、あう…うああ……………ブヒッ」

 

私が死を命じたかのように、安久野は苦しみ抜いて死んだ。口からは血の混じった泡。まったく、外道と言うモノは死ぬ間際まで。そして死んでからも汚いものだ。

 

「あーあ。やっと死んだねぇ。きったな。この部屋、もう使えないんじゃない?」

 

「しんぱいいりません。われわれのちからを使えばにおいもしみもぜんぶきえます」

 

「そうなんだ…妖精さんってすごいんだねぇ。で、それホッケーマスクじゃん。臭くないの…?」

 

「われわれははながありません。においはわかりませんので。よーしおまえら、さぎょうをはじめるぞー」

 

「北上君。ここに長く留まるのはよろしくない。ここは妖精さんに任せるとしよう。まあ、私はこれを始末するから、今日は休みたまえ」

 

「……いいの?」

 

「体が震えているじゃないか。トラウマが蘇ったのだろう?なら、部屋にいなさい」

 

「……ごめんね…提督」

 

「いいとも。今回の生活もこれまでだ。ゆっくり休みなさい」

「…ありがと、提督」

 

こうして今回の囚人との生活は終わった。この外道に穢されたリンガの艦娘は、艦娘を思う優しき提督、五ヶ丘君だ。刈谷君の後輩である。きっといいようにしてくれるだろう。

 

安久野に関しては離れの炉で火葬した。決して丁重に葬るわけではない。骨の一つさえ残さずに存在を消す。それだけだ。そして少しだけ船を使って海へ出て、そこで骨をまき散らす。外道がここにいたと言う痕跡さえ残さない。それが私のポリシーだ。

 

………

 

『そうかい。海に消えたか』

「ああ。今回はこれで終わりだ。私の役目も終わりだよ」

 

『ありがとうな。んじゃあ、あとはあんたにメインディッシュだな。あんな野郎は前菜にもなりゃしねえ』

 

「ふふ、そうか…首を長くして待っているとしよう」

 

メインディッシュ。刈谷君が追い続ける獲物。それをここに放り込み、絶望に暮れる姿は見ているだけでもおもしろいものだろう。年内にはカタをつけると言うことだ。奴は外道の中では安久野など比較にもならん。待とうじゃないか。あれがいなくなれば海軍はよりよくなる。来るがいい。大府。貴様はこの足助 雅が地獄へ叩き落としてやろう。

 

「提督ー、ご飯だよー」

「おお、そうか。では刈谷君、くれぐれも気を付けて」

 

受話器を置いて食卓に着く。ふむ、良い匂いだな。

 

「いやー、あたしも食べたかったんだ、松坂牛のステーキ。はい、ポテトにニンジンのグラッセもあるよ。あとこれね、だし巻き」

 

安久野が死んだことで結構な量の肉が余ってしまった。これがなくなるまではここで生活になるな。もったいないのでね。しかし、私も食べたかったのは事実だ。そして私の食事には欠かせないのが北上君が焼いただし巻き。ほんのり甘く、それでいて半熟な焼き加減がたまらない一品だ。

 

「では、いただきます」

「いっただっきまーす。あむ。んー、おいしー!」

 

「ふむ。さすがは上等な肉だね。ポテトの揚げ加減も素晴らしい」

「んふふー、ありがと。塩まみれだなんてもったいなーい。ちょっとのお塩でいいのにね」

 

「外道にこのような良い肉の味はわかるまい。質の悪い牛肉でもよかったかもしれないね」

「でも、あたしはこれにありつけたからよーし」

 

「そうだね。うむ…よい塩加減だ。それに…だし巻きもたまらないね」

「もー。提督はいつもだし巻きを褒めるよねー」

 

「北上君のだし巻きはそれだけ絶品なのだよ」

「褒めても何もでませーん」

 

「はははは…」

 

北上君との夕食。これが良いのだ。彼女はこうして傷を癒して笑えるようになったのだ。それだけでも、私が引き取った意味があった。

 

明日も、明後日くらいまではこうして2人で生活を楽しむとしよう。そして、再びやってくるであろう外道を始末するために、英気を養うとしようじゃないか。

こうすることでしか、私は彼女たちの怨みを晴らせない。晴れるかもわからんが…少しでも救いがあるのなら、私は地獄の番人をいつまでも続けるつもりだ。




今回は安久野を葬る回でした。父親に関しましてはスッキリしない、と言うお言葉もございましたが今回はいかがでしたでしょうか?
すっきりしたと言って頂ければ幸いです。絶望に染まっていく安久野を書いていて私はスッキリしました。

次回は大本営に集まった全提督。大本営会議です。ついにレイテ沖海戦が火ぶたを切って落とされます。その前にとある新米提督の艦娘をまとめる話などもありますが。

次回をお待ちいただけますと嬉しいです。
それでは、また。
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