存在自体がカットな松子さんはさておき、私服に大変身した皐月たちと探検を続けましょう
追記
綾波がいないとのご指摘がありましたので加筆しました(12/1、2300)
「は、はい!かつてカリスマデザイナー!と言われた黛松子さんのお店でしたー…あー疲れた…」
そういってため息をこぼすしーちゃん隊員。それはもうセクハラ発言からボディタッチまでありとあらゆるセクハラ行為をしまくったため、お茶の間に放送できない事態になりかけたので店内の紹介はササっとだけ紹介された。
『伝説のファッションデザイナー、黛松子氏のお店…店内は女性向けの衣装が所狭しと並べられ、道行く女子高生から主婦の方まで足を止めて服を見て回る…斬新、かつ流行にとらわれない衣装であなたを一歩先へ進んだオシャレへと導く…』
これだけで松子の店は終わってしまった。結局、後で登場するはずだった梅が大根でぶん殴り、竹美がチョークスリーパーを決めてKO。皐月たちが一生懸命紹介してくれたシーンは丸ごとカットせざるを得なかった。もっとも、松子自身はテレビや雑誌の取材は全部NGを出しているのであるが、それよりもセクハラがひどかったとだけ言っておくことにする。
しかし、極上の女性であるしーちゃん、鹿島。そして皐月と文月がいたため、とりあえず簡単に紹介だけしてくれたら最高のコーディネートをしてやると言われて承諾。なお、しーちゃん隊員の胸を3回。おしりを5回はもんだ。のちにディレクターは語った。
「こりゃもう全部が放送禁止だわこの人」
それはさておき、しーちゃん隊員はかわいらしいミニスカート、サマーニットと変身を遂げていたわけで、疲れはあるものの、嬉しさは隠しきれていない様子。
「見て下さい!これがあの黛松子氏のコーディネートなんですよ!もうすっごくかわいいんですよね~。おっとと、今回はわたしが主役ではありませんので、そろそろ主役の皆様の登場とまいりましょうか!まずは皐月ちゃーん!」
「はーい!へっへーん!どうかなどうかな!?」
バーンと両手をあげて登場したのはまだまだ暑さが残る10月。夏の衣装でも問題がない暑さだったので今回、松子は涼しさを全面的に推したらしい。
「いや、熱中症になってもいいんだったら最新の冬服を着せたいんだけどさ」と語っていたが、さすがにそれは…と鹿島が待ったをかけた。
皐月の服装は元気さをアピールするためにショートパンツ。タンクトップの上に通気性の良い猫耳をあしらったパーカー。快活さをアピールするにはうってつけだろう。皐月はそのボーイッシュな性格と快活さがよく出ている。松子はしっかりそのあたりを見てコーディネートしていた。
「わー、皐月ちゃんかわいいなぁ!こう、元気はつらつ!って感じですね!」
「えへへ!動きやすくてすっごくいいよ!さっすが松子さんだよね!」
そういって店の方へ手を振ると松子はビシッと親指を立てていた。ちなみに、テレビの前の視聴者はモザイクに向かって手を振る皐月と言う謎の構図になっていて視聴者を困惑させた。
「うんうん!さて~、お次はぁ…文月ちゃんでーす!」
「はぁ~い。どうですかどうですか?かわいいかなぁ?」
文月はお嬢様、と言った感じの服だ。フリルがあしらわれたブラウス。スカートもフリルがあしらわれている。丈は膝上くらいで派手ではないが、いつも自慢のポニーテールにもピンクのリボンがつけられており、かわいさを前面的に押し出している。
視聴者はと言うと
「フミィ…フミィ…」
「世に文月のあらんことを」
掲示板においても文月教なるものが出来上がるほどである。ちなみに皐月に関しても妙な宗教ができているが、結局はへんたいふしんしゃの集まりである。
「うわ~、文月ちゃんもかわいい!素敵ですね~!」
「えへへ~♪しーちゃんもかわいいですよ~♪」
「あははっ、ありがとうございまーす!さぁてぇ…お次は〜、どこかのお嬢様ですか!?綾波ちゃんです!」
「あ、綾波は〜…そ、そんなこと…」
もちもちほっぺと吹雪にも言われているほっぺに手を当てながら困惑した様子の綾波。その衣装はどちらかと言えば質素な真っ白なワンピースに麦わら帽子。完全に夏衣装なのだが暑さゆえに夏モード。夏のお嬢さんである。なんと言っても特徴的な長い髪を横で束ねているのがシンボルマークと言っても過言ではない綾波だが、それを麦わら帽子を被せるために松子がセット。毛先がゆるふわウェーブがかかっており、足首まであるじゃないかと言う髪。
しかし、傷みはなく、サラサラとした髪が道ゆく主婦の方々の視線を釘付け。妖精さん印の謎成分入りシャンプーとトリートメントは伊達じゃない。
『こんな艦娘いたか?』
『にわか乙。よく見ろ綾波ちゃんだろうが』
『ダニィ!?綾波ちゃんだとぉ!?』
などのコメントからわかる通り、ほとんどが綾波だと気づかなかった。若干の化粧と髪をおろした松子のかわいい女の子発掘の慧眼は凄まじく、田舎から出てきたお嬢様が真のお嬢様になっちまった!と「#綾波お嬢様」と言うハッシュタグがトレンドの上位に躍り出た。ちなみに松子は鼻血を出して涎を垂らしながら綾波をゲヘゲヘ言いながらセットしていたため、最終的には竹美のチョークスリーパーであの世を見たらしい。
「えへへ、似合いますか?」
「綾波ちゃんすごぉい!お嬢様だよぉ〜!」
「いいなぁ。ボクもそんな髪の長さになったらお嬢様扱いされるかな?」
「さっちんはボクって言い方をやめてみたら〜?」
「えー!ボクはボクだよ!」
「司令官とお姫様ごっこしてもらう?」
「それだよ文月!」
「あはは、お姫様ごっこ、いいですね!綾波ちゃんもいかがです?」
「しーちゃんさん、恥ずかしいですよぉ…」
もじもじと恥ずかしがる綾波。それがまた恥じらう少女でかわいすぎる。養子にしたい。妹にしたい。娘にしたい。prprしたいなどの声が上がる。
『変態の つぶやき見つけ 特定な』
恐怖の575を読む憲兵さんのおかげで変態不審者は消えた。
「さあ、いよいよ真打ですよ!真打!みなさん、準備はいいですか?」
そういってニコニコとしーちゃん隊員が語ると、カメラの外から嫌ですぅ!無理ですぅ!と言う声が聞こえる。その声の主は…。
「さあ、ご登場願います!鹿島さ~ん!」
「わあああ!押さないでくださいいぃ!!きゃ、きゃああ!!」
「なんとなんと!あの鹿島さんがぁ!こんな風になっちゃいましたー!」
しーちゃん隊員が紹介する鹿島。それはなんと、いわゆる地雷系ファッション。鹿島がそんな衣装をするはずがない、意表をついたファッションを突いてきたのだった。ピンクのブラウスに黒いミニスカート…胸にも黒いリボンが。そして何より、ブラウスが胸部装甲により、ぱっつぱつである。松子はワンサイズ小さいブラウスを用意したのだった。
「いやー、鹿島ちゃん悪いねぇ、実に申し訳ない。サイズがこれしかないんだわフヘヘヘヘ」
そうしてぱっつぱつ。ブーツも太ももがむちむち。そんな地雷系ファッションで現れた先ほどまで清楚な印象だった鹿島だったが、この衣装によって小悪魔な衣装もイケることが判明。これを見たお茶の間の男性視聴者の脳を焼いた。
なお、こんな衣装に免疫がない若い学生男子は脳を焼かれて焦げるまでに至った。
『エッッッッッ!!』
『あー!いけません!お客様ぁ!あーいけません!!』
『おや。おやおやおやおや』
『なんと。なんと素晴らしい』
などSNSでも「鹿島ちゃん」「地雷系」「横須賀の女王」などと言う言葉がトレンド入りした。テレビに映れば映るほど、Poitterがいい意味で燃え上がる鹿島。その破壊力は女の子にも広がり、鹿島のウェーブがかかったツインテールをまねる女の子から地雷系のファッションが飛ぶように売れるなどの嬉しい追加支援もあった。
「ううう…なんてことをしてくれるんですかぁ…」
『目を潤ませてしーちゃん隊員の肩をポンポンたたいて非難する鹿島さん。しかし、その涙目もしぐさもかわいいのは実に映えます』
涙目の鹿島を見た男子学生は「アアアアアアアア!!!!!」と叫んで10分も経たないうちに再度脳を丸焦げにされた。
「あはは!鹿島先生、かわいいね!」
「鹿島先生みたいに文月もかわいくなりたいなぁ~」
「ふふふ、2人もかわいいですよ~」
皐月、文月、綾波もちょっとテンションが高い。
「カメラさん!鹿島よりも皐月ちゃんたちを撮ってくださ…えっ?カメラが鹿島を撮りたがっている?や、やめてください!やめてくださいぃ!!」
『これはカメラマンもカメラもくぎ付け。あいや、仕方ありませんね』
………
「おー、鹿島はこんな衣装も合うな」
「提督さんまで!もー!顔から火が出るほど恥ずかしかったんですからね?!」
「そうやって手をぶんぶんしてる様も今テレビで映ってる鹿島と一緒だなー」
「提督さん!!!」
(玲司さん、こういった衣装がお好きなのかしら?わたしも…い、いいえ…わたしには似合わないわよね…?)
「翔鶴さんも着てみたら似合いそうだよねぇ~。松子さんにぃ~おねが~いしてみよ~」
「ふ、文月ちゃん!?」
「おっ、いいね!翔鶴はチャイナドレスも似合って「きゃあああああ!?れ、玲司さんそれは秘密ですううう!!」」
翔鶴の秘密が執務室でバレた。
………
『商店街を歩いてしばらく。あっ!と言って駆け出した皐月ちゃんと文月ちゃん。その先にいたのは2人のご婦人』
「梅おばさああああああん!!!」
「竹おばさ~~~~ん!」
『どうやら顔なじみの方のご様子。ご婦人たちのお顔もパァッと花が咲く』
「あらぁ、皐月ちゃんに文月ちゃん」
「あらいやだわ。今商店街で噂になってるテレビの取材かい?もっと化粧しとくべきだったかしら?」
「無駄な抵抗…」
「あんた、明日は生きられないね」
「ひぇっ…」
皐月たちは八百屋の「美浜青果店」と肉屋の「知多精肉店」へとやってきた。そして店の前に立っていた梅と竹美を見つけて一目散に駆け出したのだった。しかし、皐月が盛大に転んでしまう。
「い、痛いぃ…」
「皐月ちゃん大丈夫~?走ったらめ~だよぉって鹿島先生に言われたよ~?」
『ここでアクシデント…皐月ちゃんが膝をすりむいてしまったよう。大丈夫だろうか?』
そう言ってナレーションが流れ、涙目の皐月が映し出されると世のへんたいふしんしゃがSNSで大騒ぎ。トレンドに「通報しました」「へんたいふしんしゃ」などのトレンドが今度は挙がった。
『さつ×ふみ…これは…いいものだ…!』
『皐月ちゃんの手当してあげたい…』
『皐月ちゃんprpr』
などの危ない発言が見受けられた。なお、その発言をしたリプライには『これは犯罪の臭いがするねぇ。君たち全員調べ上げるねぇ』と言うリプライが飛び、それが横須賀の憲兵であるとわかると一斉に発言は取り消されたとか。
「皐月ちゃん大丈夫かい?ほら、消毒しないといけないから見せてみな」
「梅おばさん、ごめんね…」
「もう、いけませんよ皐月ちゃん。鎮守府で言ったことを覚えていますか?」
「走らない…ごめんなさぁい…」
『鹿島先生はルールには厳しい様子。このあともしっかり皐月ちゃんは怒られてしまいました。でも、走ると危ないから、よいこのみんなも気をつけようね』とナレーターが語った。
「おほん…こちらがいつも横須賀鎮守府の台所を預かっている『美浜青果店』さんと『知多精肉店』です!」
しーちゃん隊員がばばーんと手をひらひらさせて紹介する、鎮守府のみんなからすればいつもの徳さんと茂さんのお店。
「それとぉ~半田鮮魚店だよぉ~!」
文月も楽しそうにしーちゃん隊員の真似をして、源の魚屋を紹介。徳三、茂、源と言えば『商店街三馬鹿トリオ』と言われているくらいの仲が良い3人組である。
『まーずは『野菜、果物は俺に任せろ』が合言葉の美浜 徳三(みはま とくぞう)氏。1円でも安く仕入れ、野菜を好きになってほしいと思い早30年。近くのスーパーよりも青果の売り上げが安いのに良い。それでいて新鮮かつおいしいお野菜をお届け。有名な農業大学を卒業し、農家になるのかと思いきや青果店を開いた変わり種』
徳さんの野菜に外れなし。近隣のスーパーが悲鳴をあげるほど良質かつ安価で野菜・果物を売る徳三。そして、愛嬌あるトークで主婦をがっつりキープする梅。この夫婦のおかげで一度も赤字になったことがないという。ドドン!と旬の野菜をザルに盛って笑顔な徳さん。横須賀鎮守府の皆からすればいつもとギャップがすげえ、とのことで笑いをこらえるのに必死だった。
『続いて新鮮、言ってくれればどんな部位も仕入れる、と豪語する店主、知多 茂(ちた しげ)さん。競りに茂さんが来た日にはどの精肉店の人も負ける天下無双の茂さん。最速最短で新鮮なお肉をお届けし、真心こめて今日もコロッケを揚げますと自信たっぷりのよだれもののコロッケがイチオシです』
真剣な表情でコロッケを揚げる茂さんの映像を見た摩耶曰く「竹おばさんにどつかれてるイメージしかねえんだけど」とのこと。
『半田 源(はんだ げん)さんのモットーは最高の鮮魚を食卓に』
この時点で瑞鶴が噴き出して全員だめだった。
「こんなこと言っといていつもちゃらんぽらんじゃーん!」と瑞鶴がまた言い出してまた全員アウト。笑ってはいけない常連店になっていた。
『見てくださいこの美しい包丁さばき。食卓に美しいお魚。今晩、いかがですか?』
「なんか源さんだけ適当じゃねえか?」
「そ、そんなことは…」
「源さん…お魚のことを機銃のようにお話しようとしてお話がまとまらなくて…」
「あー、源さんらしいわ。これトーク丸々カットされてんじゃね?」
「はい…」
「カンパチのお刺身おいしかったね、皐月ちゃん!綾波ちゃん」
「うん!」
「ほわぁ…素敵ですねぇ…」
「トークガン無視!」
皐月と文月、綾波はまったく源の話を聞いておらず、「とりあえずカンパチの刺身食いねえ!」と言って出したお刺身を「おいしいね~♪」と言って食べていてまったく聞いていなかった。
「おお!依佐美さんと並んで横須賀鎮守府のお台所をお支えしていると言う!」
「そうさねぇ…いつもありがとうねぇ」
「えへへ~♪」
「いつもおいしい食材をありがとうございます♪」
大所帯になりつつある横須賀鎮守府の台所を支える青果、精肉、鮮魚…。依佐美さんのお米屋さんと共に、毎日の食生活を明るくしているのは彼らのおかげである。大量の仕入れであるにも関わらず、質をそう落とさずに(さすがに海軍が契約しているところからの仕入れもあるが、それでも徳三、茂のところからは多く仕入れているし、源のところからも魚が好きな艦娘のために仕入れている)提供。横須賀の食卓を支えていることには間違いはない。
「そして、今日はこちら!なんとレアな一品!食べられた方は超ラッキー!『知多精肉店』さんの竹美さん手作り!白みその土手煮でーす!」
常連でもめったにお目にかかれない竹美が家族から直々に作り方を教えてもらった白みその牛筋の土手煮。竹美は関西風に土手焼きと呼んでいるが。絶妙な柔らかさと白みその甘味が抜群に合うと言う土手焼きをしーちゃん隊員がいただく。
「んっ!?んーーーーーー!!!」
しーちゃん隊員のきらきらした絶対うまいやつと言う顔に、視聴者もくぎ付け。
『これはよい飯テロ』
『なんというか…こう、手心と言うか…(ハラヘリ)』
『ごっちそーさまがーきっこえなーい!!』
突然の飯テロに視聴者が沸き立つ。
「おいしいです…それから…優しい味がしますね…」
「そうかい?そう言ってくれると嬉しいね。これを食べるとね、泣いて帰ってきたときや悲しい時があったときに元気を出しなって言ってくれて作ってくれたおばあちゃんを思い出すのさ」
「うう…泣ける話ですねぇ…」
「竹おばさん、おいしいよ~!」
「泣かずにほら、文月ちゃんみたいに笑って食べな!」
鹿島としーちゃんはうるっと泣いているが、文月と皐月と綾波は笑顔で食べている。よく食べよく笑い、そして海へ出て戦う。戦いなど苦ではないと言わんばかりの満面の笑顔でいつも接してくれる文月。元気いっぱいの皐月。控えめなようで勇敢な綾波。
商店街の人々に皐月と文月のことを聞いて回ると。
「かわいいですよね。艦娘って言われなきゃわかんないよ」
「孫みたいな存在じゃなぁ。向こうもおじいちゃんなんて呼んでくれるからつい甘やかしてしまうんじゃ!カッカッカ!」
「文月ちゃんのように優しく、皐月ちゃんのように元気な娘に育ってくれたらいいですね。今1歳なんですけど、見ていて本当にあんな子に育ってほしいなぁって」
「綾波ちゃんのようなお淑やかな女の子がほしいですよ。今夜主人と…(ここで放送が切れている」
「人間とは違って純粋、素直。でも、ちゃんとだめなことはわきまえている。ああ、かわいいなぁ…」
「あの子たちのおかげであたしゃ飯食えてんだ。艦娘ちゃんのおかげでいい服の案が浮かぶ(※ご本人の希望によりボカしております。音声も変えてあります)←実際にはこのあと放送できないことを延々と垂れ流して帰してくれそうになかったことでカット。カリスマデザイナーと言うイメージを壊してしまうのでモザイク処理。音声も変えてある。
『常連である3つのお店を満喫。皐月ちゃんと文月ちゃんはご機嫌でスキップしながら次のお店を目指す。本当にかわいらしい子たちですね』
「るんたった~るんたった~♪しーちゃんさぁん、次はねぇ~、文月たちのとっておきの場所なんだよぉ!」
「だよね!!この商店街に来てあそこに行かなきゃモグラだよモグラ!!」
「も、もぐら?」
「きっと、モグリと言いたいのでしょう」
『さすがは鹿島先生。彼女たちが言いたいことを瞬時に理解する。と、言っても、鹿島先生より彼女たちに詳しい艦娘がいるとか…?その名前は…摩耶さんと言うらしい』
………
『摩耶さんと言うらしい』
「はああああああああああああああ!!?!?!?!?!」
「うるさ!?何よもう!?」
「な、なななななんであたしが映ってんだよおおおお!?」
「ああ。鹿島さんがオッケー出したんだって。あと提督さんも」
「オラアアアア提督ううううう!!」
「ふぇええ…まよおねえちゃんがこわいのぉ~…」
「えっ!?あ、あ、か、霞!違うから、違うかんな?」
「まよおねえちゃ…しれーかん、きらい?」
「ち、ちがうよ!す、しゅき…ってちが!あーうーん」
「………」
横で最上がものすごい笑いをこらえて笑っている。摩耶は霞にいろいろと説明をする姿がおもしろくて仕方なかったらしい。
摩耶は実際にも文月や皐月の良き姉として、鳥海に嫉妬されるくらい優しく甘い。扶桑と並んで一緒に寝るお姉さんだろう。
今回、「いいお姉さんと思う横須賀鎮守府の艦娘は?」と聞かれて「摩耶さん!」と声をハモらせて言うくらいだ。そうして、摩耶の写真と同時に摩耶おねえさんと言う文字がついて摩耶、堂々のテレビデビュー。
このあと霞に内緒で顔を真っ赤にしながらクレームを入れたらしいが、「妹として私も晴れがましいです」と鳥海が言って結局怒りが引っ込んでしまい「そ、そっかー。鳥海もあたしのこといいお姉ちゃんって思うわけだな!ならいっか!あはははは!」と急にご機嫌になって、なぜか鳥海は摩耶から間宮アイスをもらったそうである。
ちなみに、写真はPR用にビシッとキメた笑顔のものだが、なかなかにきわどい胸元やおへそ、見えるのでは?と言うほどのミニスカートに健康的なふとももが相まってテレビデビュー。その結果、男子学生の脳を焼いた。
本年度の中学生、高校生の進路希望を「提督」と志望する学生の割合が急上昇。海軍としては大困惑だったらしい。
………
「ついたー!」
「ここだよぉ!」
またしてもババーンと手をかざした皐月と文月。次なる場所は横須賀鎮守府の艦娘が知らない人はモグリと言うほど。艦娘の誰もが商店街に来たら訪れる場所、その2である。それこそが
『カフェ「ルーチェ」…艦娘たちの憩いの場だそうで、誰もが1度は訪れ、そして何度でも行きたくなる場所。それこそがお昼はカフェ。夜はバーとして存在するこの「ルーチェ」…さて、では中に入ってみましょう』
「こーんにーちはー!」と皐月が勢いよく入店。するとマスターがニッと笑う。そのマスターの姿は初老でありながらもハンサムであり、嫌みもなく、清潔感ただよう髪を束ねた姿。それと同時に執事のような佇まいがお茶の間のマダムの心をくぎ付け。今時こんな紳士がいただなんて…と世の旦那さんは戦々恐々としたそうである。
実際にルーチェのマスターこと安城 宗治氏は紳士的であり、物腰が柔らかく、今その人が一番欲しているであろう飲み物、食べ物を提供することから遠方からでもやってくる常連がいるくらいだ。そしてその味も一級品。常に味を追求するストイックさも人気の1つと言えるだろう。
「いらっしゃいませ。どうぞこちらへ」
さわやかな挨拶と共に椅子を引いてご案内をする。どうぞ、と。何も言わずとも案内は紳士的に。お茶の間のマダムが「私も案内されたいわぁ」と言い出すので旦那さんは肩身が狭い。
「ありがとうございますー!」
「さあ、お次は皐月さん、文月さん。どうぞ」
「わーい!いつもありがとう、マスター!」
「ありがとうね~♪」
「綾波さんはこちらへ。素敵なお姿ですね」
「綾波だってわかったんですか!?嬉しい…ありがとうございます!」
「最後は鹿島さんですね」
「ふふっ、恥ずかしくていつも慣れませんね」
これぞ紳士。イケメンマスターによる案内。世のマダムはボリュームを上げるわ食い入るように見て家族の視聴の邪魔をしたりとマダムの脳を焦がしにかかる。
「はい!ではルーチェさんでランチ…さっきいろいろ食べ過ぎたのですが…」
「ははは、そんなに重くは出しませんよ。さて、皐月さん、文月さん。綾波さん、私のお店のイチオシはなんですかな?」
「「「ナポリターーーン!!」」」
「かしこまりました」
紳士的に一礼をすると、マスターは厨房へと入っていく。
「わー!ナポリタンですか!喫茶店の味!って感じですね!」
「あとね~あとね~、ハンバーグもおいしいし~…ケーキもおいしいよぉ~!」
「それからね!それからね!!」
皐月と文月によるルーチェのおいしいもの紹介が語られた。ドリア、グラタン、お子様プレート。モーニングのトーストのジャムも手作りな時があり、それが絶品。
玲司が真似できないと言う絶妙なパスタの茹で時間。炒め具合。味。それがマスターのパスタ。カルボナラーにボンゴレ。ボロネーゼ。なんでも用意してくれる。その中でも鹿島もイチオシなのがやっぱりナポリタン。ケチャップの絡み具合い。玉ねぎの甘味とピーマンの苦みとケチャップの酸味。もうこれが融合して最高においしいのだと鹿島が語る。
鹿島だけが語る理由は皐月たちはもう待ち遠しくてそわそわしてしーちゃん隊員の言葉が耳に入っていない。その姿もしっかりテレビに出ているわけだが
「娘がほしい。今すぐ。ちょっと作ってくるわ」
「すみません、この、皐月ちゃんください」
「犯罪宣言乙。皐月ちゃんみたいな子供作れ」
「フミィ…フミィ」
「まーた文月教信者が出た」
「お前ら文月ちゃんのるんたった~聴いて落ち着け」
皐月と文月の人気はうなぎのぼりだ。
待つこと数分、いい匂いがたちこめる。この間だけはルーチェは貸し切り。そうでなければ店内がごった返してしまうのだ。ルーチェ名物艦娘ウェイトレス。こうなるともう撮影どころではなくなってしまうので貸し切り。マダムたちが皐月たちが来るのだからとものすごく鼻息を荒くして飛んでくるはずだったのだがおとなしくハウスとなった。
『料理を待っている間に、心身共に疲れた現代人に癒しの空間を…喫茶「ルーチェ」…お昼は素敵なカフェ。夜は落ち着いた大人のバーに早変わり。ご自慢のパスタからおでんまで、何でも出てくる魔法の料理店。疲れた人々の癒しの場として今日も皆さんをお待ちしております』
「さあ、お待たせいたしました。ナポリタンですよ」
「わあ!ん~!いい匂い!それじゃあいっただっきまーす!……んー!おいしい!!いくらでも食べられそう!」
「おいしいよねぇ、しーちゃんさん!」
「ちゅるちゅる」
「皐月ちゃん、ほっぺにケチャップが…」
『本当の姉妹のような鹿島さんと皐月ちゃん。綾波さんの食べる速さが異常…胃袋、ブラックホールですか?見ていてほほえましい食事の風景。艦娘も女の子。おいしいものに目がないですね。かわいい服。おいしい食事。目をキラキラさせて今を生きる艦娘。彼女たちが我々国民を守り、助けてくれるのです』
………
「おっ、ここで艦娘ってのを前に出したのか」
「本当に私たちを前面へ押し出してくれて、支えてくれようとしているんですね」
大淀が胸をなでおろしていた。いや、ここまできて落とされたとあらばこのテレビ局に殴り込むぞ、と思う玲司。鹿島や皐月、文月たち。デザートのケーキと紅茶を堪能する。ふとスマホのSNSを見てみても、そんなことをしている暇があるなら海に出て国民を守れ、などの書き込みもあったが、逆にこれらは総スカン、炎上している。
「こんな女の子たちが海を守ってくれてるだなんて知らなかった」
「学校ではこんなの教えてくれない。かわいいし楽しそうでいいな」
「応援したくなった」
こんな声が多い。いい風が吹いている。艦娘を見る目がもっともっと支持的になってくれれば、海軍ももっと動きやすくなる。艦娘軽視派はもう大府もいなくなって壊滅寸前。刈谷提督や堀内提督も積極的に軽視派を排除しようと躍起になっているし、変わっていくだろう。
「しれーかん」
「ん?どうしたんだ、霞」
「さつきおねえちゃんとふみつきおねえちゃん、たのしそうだね!」
「そうだなぁ、ほんとに楽しそうだなぁ」
「しれーかん、かすみも。かすみもいってみたい。こあいけど、しれーかんやおねえちゃんがいるならこわくないもん」
「んん?んんん?」
「か、霞ちゃん?」
こちらは霞の商店街デビューの件で話が妙高や大和たちと盛り上がるのだった。
………
「ははは、ご堪能いただけましたかな?」
「ふー!大満足です~!皐月ちゃん、文月ちゃん、綾波ちゃん、鹿島さんのおかげでとーっても楽しめました!ありがとうございました!」
「えへへ、やったね文月!駆逐探検隊、作戦大成功だよ!」
「やったやったぁ~♪わぁい♪」
「うふふ♪お2人のおかげでしーちゃんさんも大満足ですね♪」
「とってもたのしかったです!綾波も大満足です!」
「はい!艦娘の素敵なところはまだまだあると思います!これからも艦娘のいる街での取材を続けていきたいと思います!さて、安城さんにご質問なのですが、安城さんにとって、艦娘とはどういった存在なのでしょうか?」
『この街の方々はどのように艦娘を思っているのか?核心をついていきましょう』
「艦娘とは…我々の救世主であります。深海棲艦と言う慈悲もなく我々を襲い、成すすべなく滅ぼされた街。いよいよだめかと言うときに現れたのが彼女たち。私の友人の言葉をお借りするならば、守りの女神と言ったところでしょう」
「守り神…」
「我々が海の幸をいただけるのも。友が漁に出て安全に帰ってこれるのも。ひとえに彼女たちのおかげです。私たち横須賀商店街の一同は艦娘を歓迎し、艦娘に感謝しております。否定し、蔑む理由などどこにありましょう?」
『海の守り神。最近では深海棲艦に取り囲まれたフィリピンを大規模な艦隊で制圧、解放した実績もあります。フィリピンからは大いに感謝をされたと先日報道がありました。それに一役買ったのが、この横須賀鎮守府の艦娘たちだということです。平和にはまだほど遠いのかもしれません。ですが、日本の平和は維持されているのです。誰に聞いても、感謝と尊敬。そして愛らしいという言葉をいただきました』
「これが横須賀の商店街の皆さんの暖かいご声援ですね!さて、今回の突撃取材はこれでおしまいでーす!次回もおたのしみくださいねー!今度はどこへ行こうかなっ!」
『突撃!あなたの街のいいところ。また来週』
こうして何の問題も憲兵さんのおかげで起きずに、視聴者の脳を焼くだけ焼いて第二十二駆逐探検隊の放送は終わった。
………
「皐月に文月、綾波に鹿島。よく頑張ったな。商店街のいいところもしっかり紹介できたし、みんなのかわいいところもばっちりだな!作戦は完全勝利だ!」
「わぁい!!さっちん!」
「いえーい!やったぁ!!」
「しれーかん、かすみもつれていってね」
「ああ、一緒に行こうな。大和や妙高、霰とな」
「うん!!」
この艦娘を全面的に押し上げる放送は、今まで何度やろうとしてもできなかったものだ。テレビの大口スポンサーであった「大府コンツェルン」の介入があり、さらにはその大御所、大府亀一郎のせいでもあった。
「艦娘なぞ所詮兵器じゃろうが。そんなもんを押し上げてアイドルにでもするつもりか?日本を腐らせるだけじゃ。奴らは兵器。それでよい。儂の命令が聞けんのならスポンサーを降りてやってもいいんじゃぞ?」
日本を腐敗させかけていた大府コンツェルンは疑惑どころか犯罪の総合商社と呼ばれるまでに落ちぶれ、あとはじわじわと倒産を待つばかりであろう。ゆえに、今チカラをつけている一宮コーポレーションがスポンサーにようやく名乗り出て、海軍、しいては艦娘を盛り上げてほしいと言ってきたのだ。それに飛びついたのがこの「突撃!あなたの街のいいところ」である。
結果として視聴率は最高30%をたたき出し、大成功に終わった。今後は艦娘のいる街を紹介する計画を多く続けるらしい。大湊、宿毛湾、佐世保、呉、舞鶴。あらゆる場所に取材を申し込んだが、佐世保が熱烈歓迎だったそうな。
「よーし、今日は頑張ったご褒美に皐月と文月と鹿島の好きなものを晩ご飯のおかずに並べよう!」
「わーい!!じゃあ皐月はねぇ!」
「文月は~ぶりのお刺身がいいなぁ~♪」
「うふふっ、今日はぶりしゃぶがいいですね♪」
「綾波もお手伝いします!」
「おっしゃ、今日はぶりづくしで行くか!!」
「「「わああああああ」」」
今回の作戦はS勝利。完全勝利である。そして、皐月たちはテレビで見せていた笑顔をそのまま持ってきたかのような笑顔でぶりのお刺身やぶりしゃぶを堪能するのであった。
第二十二駆逐探検隊、いかがだったでしょうか。
この子たちは本当に癒しになりますね。6年も7年もかけてようやく商店街の人たちの苗字がちゃんと設定されました(笑)
ちなみにすべて地名です。
よかったら調べてみてくださいね。
さて、次回は大規模作戦初参加になった五ヶ丘提督の作戦終了後はどう盛り上がっているのか?をお届けしようと思います。
定期的にここの霞や長波様のドタバタが書きたくなるのです。お楽しみくださいね。
それでは、また。