横須賀鎮守府の事をものすごく嬉しそう、楽しそうに話す吹雪は、本当に私が知っている吹雪とは違う吹雪なんじゃないかって思うくらい笑顔で語ってくれた。宿毛湾とは違う、おいしいご飯。駆逐艦同士で遊べる楽しい時間。厳しいけど確実に強くなっているとわかる龍驤さん指導の鍛錬。あんたはええ素質がある、と誉められた時の話なんかもう外に声が漏れてるんじゃないかってくらい大はしゃぎで。
「それでね!それでね!」
と日記を見せてくれた。つい最近始めたばかりなんだけど、とページ数は少なかったけど、生き生きと描いている絵やかわいい文字。書類に書く文字も結構達筆だったと思うんだけどこういうかわいい文字も書けるのね。
「この赤い文字、司令官?」
「そうなの!司令官と秘密のやりとりしてるみたいだよね!」
日記を抱えてさらに声が大きくなった。もう一度見せてもらう。
「吹雪も日記を書くことにしたのか。かわいい字を書くんだな。この間書類に書いてもらった字もきれいだったけど、こっちはかわいくて吹雪らしさが出ているよ。雪風といっしょで、いつでも持ってきてくれ。司令官もがんばってお返事書くから」
えへへと笑う吹雪。このやりとりと吹雪の表情でこの鎮守府はいいところなんだと思う。私はより司令官の事が気になった。悪人ではないだろうと言う考えから大丈夫だと言う考えに持って行きたい。信じた瞬間に裏切られるのはさすがに私も辛い。それでは荒潮と一緒になってしまう。
「ねえ、吹雪。司令官のことがもっと知りたいわ。もっと教えてくれないかしら」
「え、ええと…。うん、優しい、料理がおいしいって言うのと…ええっと、元コックさんでぇ…雪風ちゃんや皐月ちゃん達がすごく懐いてて…」
「つまりあんまりわからないってことね」
「ごめんなさい…」
まあそれだけ信頼してるってことなんだけど。やっぱり最初は怖かったみたい、またアイツみたいにされるんじゃないかって。優しく頭を撫でてもらって全部吹き飛んだみたい。吹雪の顔がすごいとけるくらいみたい。
「司令官に頭を撫でてもらうとね、ほわぁってあったかくなるんだぁ」
「あ、ああ、そう…」
そう言ってにまにま変な顔をしているとノック。
「はーい?」
「時雨だけど、吹雪、大丈夫?何かあった?大きな声が聞こえたけど…」
ほら言わんこっちゃない…大声ではしゃぎすぎていたのを何かあったのかと心配になってきたみたい。慌てている吹雪。
「あわわわ、ご、ごめんね時雨ちゃん…はしゃぎすぎちゃって…」
「誰かとお話中かい?なら、楽しそうだね。僕も混ざってもいいかい?」
「うん!満潮ちゃん。いいよね?」
時雨か。悪くはない。頷くと黒いパジャマ姿の時雨を招き入れる。なるほど、こうやって自由に各自の部屋でじっとしているわけではなくて寝泊まりしてるのか。比較してばかりだけど、あそこではこんなことはいっさい許されない。見つかれば何をされるかわかったものじゃないし、みんな怖くて出れるはずもなかった。
/
私や霞、朝潮型がアイツに出ろと言われたときは朝潮姉さんと大潮姉さんは出撃だろうと思ったのか気合いを入れていた。司令官のお役に立てると。散々駆逐艦なんてすぐに大破して使えない役立たずだと言われていたのに、どうしてそこで役に立てると思ったのか。
私はすぐに嫌な予感がした。結果は案の定、変なところに連れて行かれ、薄暗いたくさんの艦娘のうめき声や助けを求める声のする場所。ああ、やっぱりな…と私は思っていたので大したことはなかった。
(人間様に逆らうなよ艦娘)
猛烈に反発した霞は最初にやってきた人間に反抗的だとすぐ殴られた。髪を引きずられ、どこかに連れて行かれたと思ったらお腹が紫になるほど殴られていたり、注射?って言うものをされた痕が何個もあったり。あっと言う間に霞はいつもの強気な態度が壊れ、私達が声をかけただけでも怯えて謝るようになった。
妙高さんがやめてと言っても止まらない。何日か戻らず、心配してやっと戻ってきたと思ったら
「こわい!こわい!みんなこわい!やだ!もうやめて!もういたいことしないで!ごめんなさい!ごめんなさいするから!」
霞と疑うくらいのことになっていた。
「かすみ、いらないこ…かすみは…わるいこ…ごめんなさいしても、だめなこ。みんな、ごめんなさい。うまれてきてごめんなさい」
来た人間を殺してやろうかとも思ったけど、艤装もない私たちじゃ複数の人間に敵うはずもない。その頃から荒潮が激しく人間に抵抗し始めたっけか。あと少し、助けられるのが遅かったら、荒潮も同じ事になっていたんじゃないか、と怖くなった。
結局霞は元に戻らないまま。当たり前か。朝潮姉さんと大潮姉さんはついに裏切られたとわかったのか、ここの司令官やあの大男の司令官にも警戒をしている。荒潮は本当に手がつけられないくらい司令官達どころかここの艦娘にまで敵意を見せている。妙高さんはどうするつもりなんだろう。明日話をしてみよう。
「そっか、満潮達も酷い目に…吹雪と言い、満潮と言い、酷い目に遭ったね」
「あんたは?あと、村雨」
「僕たちはまだマシさ。雪風や翔鶴さん、大淀さんたちに比べれば。でも、今のここはとってもいいところだ。前の提督なんか話にもならない」
時雨というか、ここの艦娘も苦労したんだな。不幸自慢大会でもしたら接戦になりそう。私は勝てないだろうけど。この鎮守府に来てから悩み事が思いっきり増えた。司令官のこと。霞のこと。姉さん達。妙高さん。悪いけど自分の身の回りの人たちだけで精一杯で、宿毛湾のみんなのことは考えられない。
吹雪だけでなく、古株の時雨も司令官は良い人と言う。明日ゆっくり話してみよう。とにかく、今日はいろいろあって疲れた。吹雪と時雨が私にこの鎮守府のいいところをたくさん話してくれたけど
「お前ら早く寝ないと龍驤さんに明日しごかれるぞ!」と摩耶さんに意味わかんない脅しをされてしまったので寝ることになった。時刻は2130。時間がわからない空間にいたし、朝も夜もわかんなかったからよく眠れずにいたけど、久しぶりに時計と窓の外を見てガクンと眠気がやってきて、布団に入るとあったかいしやわらかいし。すぐに眠気がやってきて寝ちゃった。意識が切れる前に「満潮ちゃん。また会えてよかった」と声がしたけど、私はそれに答えられなかった。
/
朝、しっかり寝て起きたのが0700。完全に寝過ごしてしまい慌てたけど、吹雪も時雨も寝ていた。どうしようか悩んだけど、起こすのも悪いし…0730には吹雪が起きた。時雨は朝が弱いのか起きあがったけど30分ほどボーッと動かなかった。
「たまごやき…たべりゅ」
意味わかんない。
時雨は起きてこないし、吹雪は今日の下着を何にしようかで悩んでいて時間がかかりそうだったので先に着替えて、司令官なら食堂にいると言われたので向かった。
司令官は司令官とは思えない、頭にタオルを巻いて、制服でない格好で間宮さんと話してた。私に気づくと嬉しそうな顔をする。何がそんなに嬉しいのよ…。
「おはよう。満潮。よく寝れたか?」
「ま、まあ。うん。いっぱい寝た、と思う」
ダメ。大丈夫とわかっていても緊張する。そっかそっか、とどこか嬉しそうにしている。だから何がそんなに嬉しいのかな…。
「満潮から俺に話しかけてくれたのが嬉しくってさ。朝ご飯、何食べたい?」
「べ、別に!司令官が新しい司令官だし。話しかけるのは普通じゃない?」
「そうかな?朝潮達なんかは近づくなり怯えられちゃったからさ」
「……ごめんなさい。司令官が悪い訳じゃないんだけど…」
「なるようにしかならんさ。ゆっくりやっていくよ。そのうち心を開いてくれると嬉しいかな」
「司令官なら大丈夫じゃないかしら。アイツみたいに悪い奴じゃないんだし」
「アイツ…そっか。ありがと、満潮」
そう言って優しく笑ってくれる。あることを期待したけどそれはなかった。ちょっとがっかり。
「おはようございます!司令官!」
「………」
「おはよう、吹雪、時雨。なんだ、時雨はまだ寝てんなこりゃ」
「満潮ちゃん。ごめんね…時間かかっちゃって…」
「別にいいわよ。で、今日は昨夜私にはかせようとしたアレでもはいてきたの?」
「み、みみみ満潮ちゃん!?何言ってるの!?」
「めだまやき…」
「おう、いつも通りで結構だな!」
全然違うと思うんだけど。時雨はいつもこんな感じなのが意外。大きく笑いながら吹雪と時雨の頭を撫でている。私はまだここの一員になれないのかな…。少し寂しい。私も優しさに触れてみたい。声に出して勇気を出す…?ううん、やっぱり私は、まだ…。
しばらくしてたくさんの艦娘が集まり、食事を取っている。朝潮姉さん達の姿も。妙高さんと霞の姿もない。ダメか。
「満潮姉さん」
「わあ!?」
びっくりした。いつの間にか隣に霰がいた。びっくりして卵焼きを落としそうになった。危なかった。
「何よ、びっくりするじゃない!」
「霞姉さんに、ご飯を持って行きたい、です。行っても、だいじょうぶ?」
「…わかんないわ。妙高さんがいるから大丈夫と思うけど」
「ありがとう。霰、いってきます。霞姉さんと、一緒に食べます」
「そ、そう。よろしくね」
ぺこりと頭を下げ、よろよろとお盆を抱えて行く。危ないからと茶色の髪を束ねた人とお盆を分けて持って行くことになったみたい。霰と霞。私達とは少し違う姉妹だから。霞に何か思うところがあるんだろうな。
扶桑と、名取さんだっけか。二人も、お盆にご飯を乗せて出て行った。たぶん、朝潮姉さん達にかな。ちゃんと食べるかな…おいしいし、食べて少しずつ感覚を取り戻していかないと。ご飯食べて、すぐよくなるわけじゃないけど。
霰、霞をお願い。悔しいけど私じゃどうにもできない。あの子なら何か動きを見せてくれることを期待して、私は食事を進めた。
/
食後に私は執務室に呼ばれ、虎瀬中将と司令官に全部話した。宿毛湾のこと、そしてあの場所で霞がどんなことをされていたのかも。虎瀬中将の顔がすごい怖かった。
「利根。大本営に行く。磯風と木曾と共に出る準備をしろ。玲司、すまんが後を頼む。ここにはこの子達しかもう連れてこないでおこうと思う。深刻な子達だ。無理を言うが、任せた」
何か急ぐように虎瀬中将は出て行った。ちょっと怖い人だったから、私としてはよかったかも…。
「満潮…よく話してくれたな」
「別に。私はそうひどいことされてたわけじゃないし。アイツは大嫌いだし。霞をあんな目に遭わせた奴も。荒潮姉さんに何かした奴も。けど」
「けど?」
「これが最初で最後。吹雪や時雨の話を聞いて。ここのみんなの表情なんかを見て。司令官。私は司令官を信じる。司令官が本当に信頼できるのか、まだちょっとこわいところはあるけど。でも、私は人間って悪い人ばっかりじゃないって信じたい。だから。私は司令官を信じる」
「満潮。俺でいいのか?」
「司令官じゃないと無理じゃないかしら?信じるなら司令官が最後。司令官が裏切ったら私は海に出て一人で死ぬ。だから、私を裏切らないで」
「ずいぶんとまあおっそろしい頼みごとだな…いいぜ。完全に信じてもらえるように頑張るよ。改めて、よろしくな、満潮」
「…うん。で、さ…司令官。さっそくお願いがあるんだけど」
「ん?どうした?朝潮達のことか?」
「ううん。個人的なこと。そ、その…し、司令官も。私を信用してくれるなら…頭を…その。なでてほしいんだけど」
「???ふふっ、どうしたんだよ、いきなり」
ああ、顔が熱い。何よ。そこはわかったって一言言ってやってくれるだけでよかったのに。聞き返されたら逆に恥ずかしいじゃない!もう、この人鈍感だわ!
「な、何だっていいじゃない!別に、吹雪がやってもらってるとき嬉しそうで気持ちよさそうだったからとか…そういうんじゃないだけど!信頼の証としてしてほしいだけ!!!」
「わかったわかった。じゃあ、これからよろしくな、満潮」
スッと近寄って来て、そっと頭を撫でてくれた。何だろう、とっても落ち着く。吹雪ったらこんなことを毎日のようにしてもらっているだなんて。ズルい。私も吹雪に負けないくらい撫でてもらおう。この人なら大丈夫。案外私ったらチョロいのね。
でも、優しさと言うものに触れたかった。飢えていたんだ。私だっていろいろと吐き出したいものもある。それを安心して吐き出せる誰かがほしかった。宿毛湾の子達には無理だ。自分のことで精一杯だから。まだ余裕があるわけじゃない。けど、少しずつ吐き出して、吹雪たちみたいに毎日楽しく過ごせたらいいな。心からそう思うんだ。
/
頭を撫でてもらって少しほっとした。それだけで終わるわけにもいかない。これからのことを話さなきゃ。
「司令官。朝潮姉さんたちのことだけど…」
「ああ、朝潮。大潮。荒潮。そして霞に妙高…どう手を出したらいいか正直わからない…すまん」
「朝潮姉さんと大潮姉さんは私からも話してみるけど…正直私も自信ない…荒潮は理由もわからずにあれだけ敵意をむきだしにしてるから、正直私も…」
「荒潮の様子は手負いの猛獣みたいだった。満潮でもわからないとなると、ほんとにお手上げだな。事情を聞こうにもあれじゃあなぁ」
うーんと考え込む。朝潮姉さんと大潮姉さん。朝潮姉さんは正直建造されてしばらくは良かったけど、アイツに役立たずと言われてからはすっかり縮こまっちゃっておどおど。私か霞が決めてあげないといつまでもどうしようか迷いに迷って決められない性格になってしまった。
大潮姉さんは正直に言うと朝潮姉さんがいないと何もできなくなってしまっている。これも理由がいまいちわからないけど「朝潮姉さんが言うなら大潮も」と言う状態。たぶん、これもアイツが絡んでいると思う。司令官から聞いた大潮姉さんと、私の大潮姉さんと全然違う。そんな司令官が言うようなはいてんしょんがーる?意味わかんないんだけど元気な子じゃない。
「って、司令官。何でその大潮姉さんはここにいないの?」
「二年も前の話だ。それに、その時俺はショートランドって言うすごい遠いところにいたしな。嫌な話になるけど、その大潮はもういないよ…大きな戦いで出撃して、帰ってこなかった…」
悲し気な目。大きな戦い。よくはわからないけど、司令官が好き好んで沈めたわけじゃない、と言う理由はわかった。私たちは艦娘。戦う兵器。海で戦い、死ぬのなら本望、なのかな。でも、そんな悲しい目をしてるってことは、帰って来てほしかったんだ。吹雪も言ってたな。必ず生きて帰って来いって言ってくれるって。それは兵器に向かって言う言葉じゃないと思う。けど、そう言ってくれるなら何だか嬉しい。私もいつかは言ってくれるのかな?
「そう…それは…仕方ないわよ。私たちは艦娘。深海棲艦と戦う兵器なんだもん。沈むことだってあるわよ」
「満潮。これは俺の持論だが。艦娘は兵器であって兵器じゃない。兵器なら心なんてないよ。兵器なら食べておいしいなんて喜ばない。かわいい服を見つけてはしゃいだりしない。頭を撫でてくれなんて要求はしない。人間でも兵器でもない。満潮や朝潮達は艦娘なんだ。兵器じゃない、俺はそう思ってる」
お前たち兵器はなんて言うアイツとは話が全然合わなさそう。まあ司令官に口で負けそうなくらい、頭悪そうだけど。おっといけない、毒を吐いちゃった。そっか。司令官はそんな風に言ってくれるんだ。でも、だからこそみんながあんなに笑ってられるんだ。うん。司令官を信じて良かった。
「朝潮姉さんたちは、前のところの司令官に裏切られて人を信じなくなってる。それもかなりひどく言われてるから。私や荒潮は適当にウザいから聞き流してたけど、朝潮姉さんはまっすぐな性格だしね。大潮姉さんも純粋と言うか、私みたいにひねくれてないから」
「ぷっ、お前がひねくれてるねえ…頭なでてくれとか素直だと思うけど」
「う、うっさいわね!」
そうよ、私はひねくれてるのよ!全然素直じゃないんだから!意味わかんない!ったく、顔熱いったら…。手で冷ましてたらまた笑ってるし。何よもう…。
「で、で!荒潮は、正直私もわかんない。アイツのことは毛嫌いしてたし、裏切るも何もないはずなんだけど…」
「なるほどな。事情を聞こうにも、俺が聞いても教えてくれないだろうしな」
「私が行っても無理ね。司令官についちゃったわけだし。たぶん、大ゲンカになるわ。ごめんなさい…」
「満潮が謝る必要はないよ。荒潮をああ言う風にした奴が悪いんだ。しかし参ったな…。原因がわからないとどうしようもないぞ。必ず荒潮をああ言う風にしてしまった奴がいるはずなんだけどな」
荒潮については保留と言うか手がつけられない。仮に朝潮姉さんたちが司令官に心を開いたとして、そうなれば朝潮姉さんたちも敵と見ると思う。妙高さんはわからないかな…?いや、妙高さんだってわからないだろう。
「妙高は一体どういう理由でついてきたんだ?」
「妙高さんは私たちが売られるとわかったら物凄い勢いでアイツに止めるように言ったのよ。結局それがウザかったみたいで、そんなに私たちと離れたくないならお前も一緒だって。妙高さんを止めはしたけど。霞と一緒に止めた。でも、私たちを放っておけないって…。何度も霞のことをやめてって言って顔を張り倒されたかわからない。でも、妙高さんも私、話してみる」
「満潮、無理させるな。すまん」
無理なんて思ってない。私だからこそできることだと思うし。私にできることはやるだけ。やりもしないで無理だなんて言いたくないし、それで何かあったら後悔するだけだから。
「別に無理してない。私のほうがまだ信用されてるだろうなって思ったからよ。どうせなら、朝潮姉さんや大潮姉さんも、ここで一緒に仲良くやっていきたいし。妙高さんも、私たちを守ってくれた大事な人だから。一緒にいたい。それだけ」
「…わかった。満潮に任せるよ。協力できることは俺もしっかりやるから。すまん、頼んだ。お前任せになっちまうけど…」
「謝らないでよ…司令官が悪いわけじゃないんだし。ただ、いい答えが返って来るかはわかんないから。それだけ」
「ああ。まずは妙高を味方にしたほうがいいんじゃないか?妙高は頭の回転も早いし、公平に見てくれそうな気がするんだけど」
「そうね。霞の様子も見たいし、行ってくるわ」
そう言って私は執務室を後にした。うん。司令官といっぱいお話ができてよかった。やっぱり、信じて良かった。司令官が後ろにいてくれると思ったら、何だかいろいろやれそうな気がしてきた。
「……よし、やるわ!」
そう廊下でグッと力を入れて、まずは妙高さんの所へと向かう。
……
重巡寮、妙高さんの部屋。ノックをすると少し怯えたような感じで「は、はい…?」と声がする。妙高さんはいる。
「満潮です。入ってもいいですか?」
すぐにドアは開いて、妙高さんが招き入れてくれた。少し安心しているようだ。部屋には霞ともう二人。霞は茶色い髪の人の膝枕で眠っている。ええと、確か、大和さん。霰は霞の頭を撫でてじっと霞を見ている。
一体何があったんだろう?霞が懐くなんて。
「満潮さん、どうされたのですか?霞さんの様子を?……いえ、それとは別のお話もありそうですね。お聞かせ願えますか?」
「え…大丈夫、ですか?」
「提督と何か話されたのでしょう?確かに警戒はしていましたが、大和さんと霰さんのお話も聞かせていただき、おそらく…大丈夫だろうと判断したまでです」
……私がいなくてもよかったってこと?なんだ、肩透かしじゃない。でも、その方がやりやすい。
「そう。なら助かったわ。司令官と話してたことですけど…」
妙高さんは私の話を真剣な目で聞いている。大和さんもその話を聞いているようだ。私は構わず話を続けよう。朝潮姉さん、大潮姉さん、荒潮。妙高さん。そして…霞。私たちがここで笑って生活できるように。私の頑張りどころだ。
ここで満潮の視点はいったんお終いです。
朝潮、荒潮、そして妙高。それぞれの視点から話を進めていこうと思います。そして満潮の視点とまたつなげていく形となります。割と玲司は空気になるかもしれません()
日向師匠が改二になりますね。どんな能力を持っているのか楽しみです。いずれ一宮提督のもとにいる新たな力を持った日向改二と戦力が大幅に増した扶桑や翔鶴との一戦も書きたいですね。実現はするのかわかりませんが…
次回をお待ちいただけましたら嬉しいです。
それでは、また。