その後どうなったかなど、わざわざ語る必要はないだろう。
本物の英雄が現れたのだ。
もちろん、彼は相応のダメージを負った。
脳無の攻撃力と防御力はさすがのものであり、
そう、互角に張り合った。
ならば、そこに英雄を奮起させるものがあれば、どちらが勝つかなど分かり切った話だ。
重傷の
埃塗れの子供達、
そして、血塗れの少女。
彼は、心の底から後悔した。
だからこそ、こんな目に合わせた敵を相手に容赦などしなかった。
◇◆◇
オールマイトが脳無を殴り飛ばした時、ほとんどの生徒が視線を彼に向けていた。
感嘆と、歓声が混じる、まさしく英雄の物語。
だから、1人の少女が倒れたことに最初に気付いたのは、唯一彼女を気にかけていた緑谷だった。
「っ!? 赤黒さん!!」
その言葉に、全員が目を向けた。
クラスでも目立つ金髪に、
誰もが知るその実力、
命懸けの足止めを成し遂げた彼女が、
赤黒血尋が倒れていた。
「赤黒さん!?」
慌てた緑谷が再度声を上げつつ駆け寄るが、直後に悲鳴を上げた。
「っ!? 顔が真っ青だ。おまけに体が冷たくって!?」
彼女はまるで、死人のようだった。
「……。……しん、しんぱい、するな」
「!? 赤黒さん!!」
「……ただの、はんどう、だ。……すこ、し。血を、うしないすぎた」
そう話している間にも、どんどん彼女の体温は下がっていき、顔は白くなっていく。
「ッッオールマイト!! 早く、早くリカバリーガールの所に!!」
「わかっている!! 急ぐぞ、もう少しだけ耐えてくれ! 赤黒少女!!」
「…………、ま、まって。いく、なら、しょくどう、に」
「食堂? いや、そんな場合じゃないよ!?」
「……いい、から」
「……わかった。「オールマイト!?」だが、それで大丈夫なんだね?」
「……は、ぃ」
◇◆◇
そこは雄英高校の誇る食堂『ランチラッシュのメシ処』
雄英生の胃袋を満たすその場は、現在戦場と化していた。
「もぐもぐぱくぱくもぐもぐぱくぱく……ごくっ」
赤黒血尋を連れてきたオールマイトと緑谷は、そのまま
「もぐもぐぱくぱくもぐもぐぱくぱく……ごくっ。おかわり。同じもので良いので、あと10皿頼む」
あんぐりと口を開け、1人の少女の食事風景を見ていた。
そして……
「もぐもぐぱくぱくもぐもぐぱくぱく……ごくっ、ふぅ」
「……はぁ、ありがとうございます、
彼女の横には、ステーキ定食の皿が
「……えーと、んっんん!! いや、無事で良かったよ、赤黒少女! 顔色も戻ったようだし、もう問題ないと思って良いのかな?」
「……はい。皆も心配をかけさせたな、すまなかった」
「「「あ、はい」」」
そこにはA組の面々もいたのだが、皆同じような反応しかできなかった。
「えーと、赤黒さん。すごい食べるんだね?」
そんな中、
全員の視線が、その答えを聞きたがっているのか、少女に向けられる。
「……はぁ、2度目だ緑谷。それは女性に対して失礼だぞ、と言いたい所だが、さすがにこれは説明しないとまずいか。さて、なんと言うべきか……」
そう言って彼女は、自分の口に手をやり、
「まず、大前提として、私の個性は『吸血鬼』。異形型の個性になるのだが、真価を発揮するには血液摂取が必要でな。今回はまぁ、自分の血を飲むことでそれを行ったわけだが……。
ただでさえ血を流していたのに、
それで先ほどまでの私は、重度の貧血と限界を越えた個性の反動で栄養失調状態だったわけだ」
「…………えーと、だから食べたってこと?」
「その通りだ。食事でとったエネルギーを回復力に回せば、多少は貧血も治まる。ついでに言うと、個性のせいか自分の血液以外では輸血しても意味がなくてね。だから一応、自分の血液は輸血用にとってあるんだが、今は家にあるからな、すぐに取ってこれなかったんだ」
「……え、輸血ができない!?」
「ああ。自分以外の血液は、体に入れば個性のためのエネルギーになってしまうようでな。そういう個性だと諦めている。おまけに……血液はあくまで個性のためのエネルギー源で、実際の栄養にはなりにくいんだ。だから、食事の代わりにならないというのが面倒なところだな」
「……。うん、なんとなくわかってきた。つまり赤黒さんは、普通の食事は必ず必要で個性の本領を出すためには血液が別途必要になってなのに個性の限界を越えると食事でとったエネルギーすらも消費をし始めるってことかだから普段は大量の食事をとってエネルギーをためておくことでいざとなったら血液を摂取することで本気を出すことができる状態にしないといけないのかかなり燃費の悪い個性に思えるけど実際にあの敵を相手にできたと考えると間違いなくトップクラスに強い個性だだから彼女はブツブツブツ……」
「…………はぁ。おい、緑谷、それはさすがにまずいと思うぞ」
今度は緑谷に対して、全員が引いていた。
「ただ、その考察で間違いない。私も先ほど気づいたことだがな。自分の体のことだ、よくわかる」
そう彼女は締めくくった。だが、そこで話は終わらない。
「それに……気づいたことは、それだけじゃない」
そう言って、彼女は、嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「私は、私のやるべきことを再認識できた。私の目指す道は間違えていなかった」
そう、今回彼女は、初めて誰かを守れた。
「そして、ありがとう緑谷。お前がいたから、私は、自分の
そう、今回彼女は、
「
そう、彼女は、初めて
「失礼なことだったと思う、猛省しよう。だから」
だから、彼女は、赤黒血尋は、
「雄英高校1年A組、赤黒血尋。個性は『吸血鬼』。目指すのは、オールマイトのような
この日初めて、1年A組の一員になった。
◇
今年の雄英高校ヒーロー科に入学したのは40人。
圧倒的な実力で主席をとった
苦難であり、挫折であり、
新しい仲間である。
というわけで、USJ編及び1章、無事完結しました。
今まではっちゃけてなかったので、発散させてください。
さて、この物語はまだまだ続いていくわけですが、1つの節目は達成できました。
ようやく、血尋が本当の意味でA組の一員となったわけです。
個人的には、USJ編、特にオリジン回でどうなるかなぁと思っておりました。
割と好き勝手書きましたからね。
お気に入りも100を突破しまして、嬉しい限りです。
ヒロアカというと、最近はクロスオーバーものが人気のイメージですので、こんなシリアスが漂っているもの読む人いるかなぁと思っておりました。
さて、長々としたことや裏話は活動報告にぶつけます。
この後は、少し更新頻度を落としつつ(多分)、まったりしながら職場体験までいきたいと考えております。
職場体験編は重要な章ですので、乱れたプロットを修正しつつ、しっかりしたものを書きたいと考えております。
……感想あるとインスピレーションわくので、せっかく1章終わったことですし、書いてもらえると嬉しいです。
では、次章は体育祭編。の前に閑話を挟みます。
1章後半では、キャラクターが好き勝手動き始めたため、描写の足りない部分が多くなってしまいました。
テンポを気にしてたのもあり、状況説明や心情を、主人公以外かなり省いてしまったんですよね。その補完をしたいかな、と。
では、閲覧ありがとうございました。