[凍結]私は真の英雄への道を歩む   作:りどれー

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やっと誤字報告機能のやり方わかった……。
細かいところで見落としがちなのに、わざわざありがとうございます。


二章「想いをぶつけろ!雄英体育祭!」
第一歩  それぞれの想い


 (ヴィラン)のUSJ襲撃事件の翌日はさすがに臨時休校となったが、私がやることは普段と特に変わらない。いつも通り早起きして、日課のランニングをしていた。

 

「おはよう! ちーちゃん!でも、昨日は大変だったんでしょ? 少しはゆっくりしてもいいんじゃないかしら?」

 

 そして、帰宅と同時にいつも通りの元気満点の挨拶と共に、背中からタックルされた。

 

「……おはよう、母さん。でも、危ないから後ろから抱き着くのはやめてって何度も言ったでしょ。あと、一応ここは外。人の目を少し気にしてほしいかな」

 

 そう、この元気というものを体現したような快活な女性が、私の母である。ついでに言うと、

 

「はあぁぁぁ。よし! 今日も健康! そして今日も可愛い! さすがちーちゃん、最高!!」

 

 ……かなりの親バカである。

 

「……でも、少し体の芯に疲れが残っているみたいだし、休みはちゃんと取った方がいいからね?」

 

「う……。わかった、ありがとう」

 

 こんな感じでまじめに心配してくれるので、もうすぐ一緒に暮らして10年になるが、私は母に勝てないと思ってしまう。

 ちなみに、母の名前は赤黒(しん)。個性は『診断』らしく、触れた相手の健康状態がぼんやりとわかるらしい。触れれば触れるだけその精度が上がるとは聞いたが、別に抱き着く必要はない。

 

「さて、というわけでシャワー浴びてきちゃいなさい! その後はしっかりごはんを食べること!! ご飯は元気の源だからね!!」

 

「……うん、そうだね。じゃぁ、シャワー浴びてくる」

 

「いってらっしゃい。あ、そうだちーちゃん」

 

「……ん、何?」

 

「後でいいから、今日中にお父さんにも無事だよって電話しておくこと。……すごく心配してたからね」

 

「……うん、それはわかってる。ごめんなさい」

 

 現在単身赴任中の父だが、ある意味母以上の親バカであり、私のヒーロー科への入学を最後まで反対していた人である。……というよりも、今も賛成はしていない。最後まで説得し続けたので表立っての反対はしていないが、やはり昨日の事件で相当心配をかけたようだ。

 

「よし! ほら、お父さんのちーちゃん大好き病は仕方ないんだから、しっかり話しておけば大丈夫よ。私からも昨日の内にしっかり話しておいたし!!」

 

「……ありがとう」

 

 

 これが私の今の家族。

 あの冬の事件から今に至るまで、私を支えてくれている、大切な家族。

 

 

「というわけで!! お父さんを元気づけるためにも、このメイド服を着て今日は1日過ごしましょうそうしましょう!!」

 

「…………はぁ」

 

 

 ……私を好きなのは嬉しいのだが、やはりそれ(親バカ)はちょっと困る。

 

 

◇◇◇

 

 そして更に翌日。

 

「おはよう」

「「「相澤先生復帰はえええ!!!!」」」

 

 全身包帯でミイラのようになっているが、病院で寝ていなくて良いのだろうか。

 

「俺の安否はどうでも良い。何よりまだ戦いは終わってねぇ」

「「「!!??」」」

 

 

 

「雄英体育祭が迫ってる!!」

 

「「「クソ学校っぽいのきたあああ!!!!」」」

 

 

 

「って、(ヴィラン)に襲撃されたばかりなのに大丈夫なんですか!?」

 

 当然の疑問が出てくるが、それに対して相澤は答える。

 逆に開催することで、雄英の危機管理体制が盤石であると示す、という考えがあるということ。

 そして何より、雄英の体育祭は最大のチャンスであると。

 

(ヴィラン)の襲撃程度で中止していいイベントじゃねぇ。雄英(ウチ)の体育祭は日本のビッグイベントの1つ。かつてのオリンピックに代わるもの、それが『雄英体育祭』だ。当然、プロヒーローもスカウト目的で見る。そこで見込まれれば、将来につながるってわけだ」

 

 そう、それが雄英体育祭。

 年に1回。計3回しかない最大のチャンス。ヒーローになるためには絶対外せないイベントである。

 

(……そう、絶対に外せない。ヒーローになるため、本物の英雄になるためには)

 

 

 相澤の言葉に俄然やる気の出ているA組の面々であったが、通常授業は当然のようにある。

 しかし、雄英体育祭への興奮はなかなか収まらないもので、休み時間になる度にその話題で盛り上がっていた。

 そしてそれは、昼休みになっても再燃していた。

 

(……よし。今日はいつもと少し変えて、ステーキ丼を食べてみよう)

 

 ……だが、昼食が大切な栄養であることに変わりなく、血尋はいつものように真っ先に食堂に向かおうとした。

 

「皆!! 私!! 頑張る!」

 

 そこには顔がうららかしていない麗日お茶子が拳を上げていた。

 そこで思わず足を止めた血尋は、そのまま緑谷や飯田、麗日と一緒に食堂に行くことにした。

 

 

「お金欲しいからヒーローに!?」

「あー、究極的に言えば。なんかごめんね、不純で。飯田くんとかお兄さんへの憧れとかもあって立派な動機なのに、私恥ずかしい……」

 

 道すがらヒーローになる理由を話していた面々だが、麗日は自身の理由を話すと、恥ずかしそうに縮こまっていた。

 比較対象にされた飯田は、生活の為に目標を掲げることは立派だと肯定していたが、やはりお金のためというのは意外な理由だった。

 そして、少しだけ詳しい理由を語った麗日は、決意を瞳に宿して言った。

 

「私は絶対ヒーローになってお金稼いで、父ちゃん母ちゃんに楽させたげるんだ」

 

「……はぁ、そこまでしっかりした目標があるなら、何を恥ずかしがる必要があるんだ。家族の為というのは、十分に立派な動機だと思うぞ」

 

「そうだよ麗日さん! 憧れだけじゃなく、現実的なことも考えてるんだ。恥ずかしがる必要ないよ!」

 

「え、いやぁ。赤黒さんやデクくんにそう言ってもらえると、なんか別の意味でこっぱずかしいなぁ。っとそうだ、赤黒さんの理由も教えてよ。実力は十分にあるんだし、きっとすごいヒーローになりそうだもん!!」

 

 決意を宿した瞳をすぐに恥ずかしそうに伏せた麗日は、照れ隠しのように血尋へと話題を振った。

 

「……はぁ、そうだな。言わないというのは不公平か。詳細は話せないが、ある男を捕まえるためだ。そのためにはヒーローに、いや英雄になる必要があるんだ」

 

「捕まえる……? でも英雄っていうのは」

 

「……詳細は聞かないでほしい。ただ、仮に捕まえたとしても、私が英雄でなければきっと耳を貸さないだろうから。だから目指す、それだけだ」

 

(……そう、詳しくは話せない。それに、もう1つの理由(誰かを守りたい)は、無力な自分が願った想い。余計に話しにくい)

 

「そういえば、オールマイトみたいなヒーローが目標だって言ってたもんね。赤黒さんの中では、ヒーローと英雄っていうのは違うものなのかな?」

 

 

「……そうだな。これはあくまで私自身の考え方なのだが、ヒーローと英雄というのは昔と今で意味が変わってきたと思うんだ。個性発現以前、まだヒーローが表舞台にいない時代は、まさしくヒーロー=英雄だった。

 しかし、今の社会は違う。ヒーローというのは一種の公務員であり、職業として認識されている部分がある。

 私が目指すのは英雄。職業として認識されている昨今のヒーローではなく、オールマイトのような、誰もが心の拠り所とするような本物の英雄だ」

 

 

 そう語る血尋の瞳は、緑谷達が息を呑むほど真剣だった。

 

◇◇◇

 

 その後緑谷は、唐突に現れたオールマイトに昼食に誘われ、血尋達と別れることとなった。

 

 そして、オールマイトと2人で秘密の会話をしているが、その内容は緑谷にとって衝撃的なものだった。

 

 ヒーローとして活動可能な時間がついに1時間を切ったこと。

 マッスルフォームを維持するのさえ、精々90分が限界だということ。

 

 そしてUSJ襲撃事件での話となり、いよいよオールマイトは本題に入った。

 

「ぶっちゃけ私が平和の象徴として立っていられる時間って、実はそんなに長くない」

 自分の限界が近いことを。

 

「君に力を授けたのは、"私"を継いでほしいからだ!!」

 自分の想いを。

 

「君が来た!! ってことを、世の中に知らしめてほしい!!」

 

 緑谷に、雄英体育祭で求めるものを。

 

 




体育祭編、始まります。
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