[凍結]私は真の英雄への道を歩む   作:りどれー

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難産でした。


第四歩  雄英体育祭第二種目(前編)

 血尋が1位を取った瞬間から、経営科は大盛り上がりだった。

 

「前評判もすごかったけど、本番でこの活躍は素晴らしいね!!」

「あぁ。ルックスは文句なし!! 大胆不敵な発言と、それに見合う圧倒的な実力!! 彼女を売り出して成功しないなんてありえないよ!!」

「それに、現段階で男性女性両方の支持を獲得しつつあるわ。カリスマ性も十分。……お姉様って呼んでもいいかしら」

 

 そして、それはスカウトに来ていたプロヒーロー側でも起きていた。

 

「いやぁ、今日は来て良かった!!」

「本当だね。USJのことがあったから興味を持ったけど、あれほどの逸材がまだ1年生とは」

「……あの子がプロになったら勝てる気がしないぞ」

 

 観客は皆、圧倒的な差で1位となった血尋を称える。

 その実力を見て、納得する。

 彼女こそが、ヒーローなのだと。

 

(……スタジアム内は大体好意的な感想かな。このままのペースで勝ち上がれば、より多くの人が認めてくれるはずだ)

 

 そして、それこそが血尋が目指していたものだった。

 影に隠れたままでは、本当の英雄になれない。

 少なくとも同世代の中では抜きんでた実力を付けてきた今、人々に知ってほしかったのだ。

 

『私が来た』と。

 

 

 血尋の独走に目を奪われていた観客達だが、レースはまだまだ続いている。

 1位を獲られた悔しさを噛みしめながらも、必死で駆けていく生徒達の姿がそこにはあった。

 

 その中でもトップを走るのは轟と爆豪の2人。

 第二関門突破直後辺りから轟に追いついた爆豪は、スロースターターらしく徐々にペースを上げていく。

 轟はそれを見つつ、抜かせまいと奮闘していた。

 

 

 

 そして迎えた最終関門では……。

 

『うおおおおお!? 轟と爆豪の後方で大爆発!? 何があった!?』

 

 トップを走っている2人に追いつくために、地雷を利用して一気に加速した緑谷がいた。

 第一関門で入手した鉄板をうまく利用した戦法と、ド派手な爆発に会場も盛り上がる。

 

 しかし、悲しいかな。

 緑谷は2人を抜いた直後に失速。

 そのまま抜き返されてしまった。

 

(くっそ!! 失速するのは当たり前だ。どうすればいい。追い越されたら、もう抜き返せない。でも、周りに利用できる物はもう──)

 

 血尋が駆け抜けた道に、つまりゴールまでの一直線にはほとんど地雷が残っていなかった。そこが明暗を分けて……。

 

『2位争いを制したのは!! 轟だあああ!! 爆豪あと一歩及ばず!! 次いで緑谷!! お前地味にすげえ!! マジで惜しかった!! てかイレイザー、お前のクラスのやつが地雷のほとんどを爆発させちまったぞ!? どんな教育しやがった!?』

『俺は何もしてねぇよ。あいつらが勝手にやったんだろ』

 

 

 「さぁ、第一種目終了よ!! 予選通過は上位42名。そして次からいよいよ本選よ! 第二種目は何かしら!? っというわけで、コレよ!!」

 

 ディスプレイに表示されたのは『騎馬戦』の文字。

 

 2~4人のチームで騎馬を組むこと。

 基本ルールは普通の騎馬戦と同じ。違う点は、先ほどの結果に従い各自にポイントが振り当てられること。

 ポイントは下から5Pずつ。1位だけは1,000万Pと破格のポイント。目指せ、下克上!!

 

「「「1,000万!!??」」」

「ええ、そうよ。上を行く者にはさらなる受難を。それが雄英よ!」

 

 周囲にいた者が一斉に血尋を見る。そんな莫大なポイントを与えられた彼女は、

 

「ふふっ、素晴らしい。ありがとうございます」

 

 思わず漏れてしまった笑い声と共に、感謝を述べていた。

 

「……。んっんん!! 制限時間は15分。チームの合計ポイントが騎馬のポイントとなり、騎手はそのポイントが表示されたハチマキを装着してもらうわ。取ったハチマキは首から上にかけること。ハチマキを失おうが騎馬が崩れようがアウトにはならないから、15分後に獲得していたポイント数上位4チームが最終種目に進出よ」

 

(ふむ。私のポイントを獲れば1位が確定する。しかしこのルールだと難しいな。ペアでは協調性に問題があると思われ、4人フルでは圧倒的活躍が実現しにくいという可能性がある。……ここはこだわらずに、1つ確認をしてみるか?)

 

「あくまで騎馬戦なのだから、悪質な攻撃なんて行ったら一発退場よ。それじゃ、今から15分。チーム決めの交渉タイムスタートよ!」

 

 血尋は自分の中で考えをまとめると、ミッドナイトの合図と共にある人物の元へ向かった。

 

「……緑谷(・・)

「あ、赤黒さん!?」

「私とチームを組まないか?」

「えぇ!? なんで僕と!?」

「……そうだな。大きな理由は2つだ。USJの時に緑谷の中に本物の英雄(ヒーロー)を感じたことが1つ。もう1つは競技が終わってから話すとしよう。君の個性に関することだからね」

「えっ」

「さて、緑谷は今回の作戦はどう考えている? ないようなら私が決めるが」

 

 それは何気ない会話のようで、しかし血尋に限って言えば滅多にない問いかけだった。

 USJのときのように、緑谷に作戦を任せていた。

 個性の話と聞き驚いた緑谷だったが、全ては騎馬戦の後と判断したのか説明を始めた。

 

「!? えっろ、作戦はある(・・)。そのためにも、今からチーム交渉をしてこようと思うんだけど……」

「デクくん! 組もう!! あ、赤黒さんもしかしてデクくんとチーム組んだの?」

「麗日さん!? チームはもちろん大歓迎だけど、良いの?」

「……あぁ、緑谷とはたった今組んだばかりだよ」

「そうなんだ! 仲良い人とやった方が良いもんね!」

 

 麗日の笑顔に緑谷が凄まじく不細工になった。麗日の笑顔がうららか過ぎたらしい。

 しかし、これで3人。あと1人は……。

 

「えっと、麗日さんの個性で軽くすれば機動力はかなり上がるんだ。そして騎手はフィジカルが強い人が良いから赤黒さんでほぼ確定かな。あとは更に機動力を上げられる人か、一番怖い不意打ちに対応できる広い防御力を持つ人が良いと思うんだけど」

「……ふむ、なるほど。それなら提案がある。私が騎馬になれば良い(・・・・・・・・・・)。そうすれば機動力は確保できるから、防御力の高いやつを選べる。私も不意打ちが怖いと考えていたからな。そして、それに打ってつけの個性の持ち主を知ってるぞ」

「え、赤黒さんが騎馬? ……そうか、何を早とちりしていたんだ僕は。赤黒さんはフィジカルが強いけど、機動力もすごいのはさっき見たばかりじゃないか。なら騎手にこだわる必要はないんだ。懸念は一番ポイントを持っているのに自分が騎手でなくて良いのかって所だけど本人が認めてるんだ、そこは問題ない。そうすれば不意打ちという最も読めない手段への対策をした方が良い」

「緑谷、話聞いてるか?」

「!? ごめん。えっと、防御力のある人だよね。僕も思いついてるから、話してくるね」

 

 そう言って緑谷は集団の中に走っていった。

 

 

 

「1位の人!! 私と組みましょう!!」

 

 緑谷が見えなくなった所で、血尋は唐突に後ろから声をかけられた。

 

「私のドッ可愛いベイビーたちが目立つためには、やっぱり注目されないといけないわけですよ! あなたは最初からかなり目立っていますので、ぜひ便乗というか利用させて下さい!!」

「ふむ……。君はサポート科かな? おまけに自分が自信を持てる装備を今持っていて、それをどんどん使ってほしいということかな?」

「その通りです! 私のドッ可愛いベイビーたちが目立てば大企業の目にも留まるということでして、それはつまり大企業の目に私のベイビーが入るってことなんですよ!!」

 

 言いたいことはわかるがマシンガントークの少女に麗日が圧倒される中、血尋はいたって普通に対応していた。

 

「……はぁ、普段なら素晴らしい誘いだったのだが、すまない。私はもう組む相手を決めてしまっていてね。この体育祭が終わってからでも良いだろうか?」

「そうですか!! では、いつでもサポート科までどうぞ! 私発目明です! あなたは将来性高そうなので、ぜひ私のベイビーを目立たせてあげてください!!」

 

 そして嵐のごとく発目は去っていった。次の利用相手を探すのだろう。

 

「なんていうか、すごい子やったね……」

「ん、そうか? 自分を売り込んでいくんだ、かなり自信があるのだろう。あのタイプはクセがあるが特定の分野で強いタイプだ」

「あのタイプって……、知ってる人でいるん?」

「…………私の母親だ」

「あー、うん。……がんばって」

 

 

 

 

『さァ上げてけ鬨の声!! 血で血を洗う雄英の合戦が今!! 狼煙を上げる!!』

 

「麗日さん!」「っはい!!」

「赤黒さん!」「ん」

「常闇くん!」「ああ……」

 

よろしく!!

 

 雄英体育祭 第二種目 騎馬戦 スタート!!

 

 




はい、ごめんなさい、最終種目考えると大きくいじれませんでした。
騎馬戦難しい。


原作コミック読んでると、ルール説明の時に上位4チームって言ってないんですよね。競技始まってからいきなり2~4位狙いが云々言ってるので、ただのミスなのか。
なので人数いじってもいけるかなーと思ったのですが、そうなると全試合おかしなことになり断念しました。ごめんよ、発目。



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