[凍結]私は真の英雄への道を歩む   作:りどれー

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今回はオールマイト視点となります。そして……。


第四歩  個性把握テスト(裏)

 緑谷少年の担任が『あの』相澤くんと知り、私はこっそりとA組のテストの様子を見ていた。結果はなんとかなったというのが正直な感想だが、相澤くんも緑谷少年に感じ入るものがあったのだと思えば、嬉しい結果でもある。

 

「合理的虚偽ね、本気で除籍するつもりだったくせに、相澤くんのウソつき」

「……見てたんですか、オールマイトさん。俺は嘘は言ってませんよ。見込みなしだったら除籍処分と言っただけです」

「つまり、君も可能性を感じたってことだろ、あの緑谷少年に」

「少なくとも、現状は様子見です。自分の力をほとんど扱い切れてない。あんな奴、初めてですよ。しかし、あなたがそこまで気にするとは、何かご存知なんですか?」

「いや、少し気にかけてるだけだよ。個性を使うと体を壊してしまうようだしね」

 

 

 そうして少し確認する程度にするつもりだったのに、相澤くんから思わぬ反撃を受けてしまった。

 

 

「で、オールマイト先生。気になるというのなら、赤黒の方はどうなんですか。あいつは能力的にはかなり高くまとまっている。戦い方のスタイルも近接型で、自分を客観的に見ることにも優れている。あなたがアドバイスをすれば、それをすぐ自身の糧にするでしょう」

 

 ……赤黒少女のことを聞かれるとは。いや、彼女は入試1位、気にするなという方が無理な話か。

 

「そうだね。赤黒少女は確かに素晴らしい素質を持っていると思うよ。いや、素質というのは本人に失礼か。凄まじい努力の賜物だろうからね。もちろん私は今年から教師なのだから、彼女にも自分が教えられることは教えていくつもりだよ」

「そうですか。では、明日の準備がありますので、失礼します」

 

 そう言い去っていく相澤くんを見送るが、先ほどの問いかけのことを考えてしまう。

 

 おそらく、いや、間違いなく。彼女(赤黒少女)は緑谷少年にとって大きな壁になるだろうから。

 

「それに今回のテスト、本当の全力じゃなかった(・・・・・・・・・・)

 

 入試の時と比べて明らかに動きの悪かった彼女を思い出し、そう呟いた時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いいえ、あれは全力でしたよ、英雄(オールマイト)

 

 私の後ろに彼女(赤黒少女)がいた。

 

 

「……入試の時とは色々条件が違いましたから。私の全力は先ほどのテスト通りです」

 

「やぁ、赤黒少女! テストお疲れさん。盗み聞きとは感心しないぞ。それに、なぜこんな場所にいるんだい? クラスの皆とはぐれたのかい?」

「……はぁ、盗み聞きしたわけではなく、たまたま聞こえてしまった(・・・・・・・・)だけです。クラスメイトの方には用事があると言いましたので問題ありません。それよりも、お伺いしたいことがあります」

「ふむ、何を聞きたいんだい?」

 

 そうしてなんとか平静を装っていた私だが、次の彼女の言葉は予想外のものだった。

 

 

 

 

「……はぁ、近くだとよくわかる。英雄(オールマイト)、あなたはどうしてそんな重傷を負っている(・・・・・・・・・・・)んですか?」

 

「……ッ!!??」

 

「……あなたの活躍した事件は全て知ってます。ですが、そのような傷を負った記録はどこにもない」

「あ、赤黒少女!? 私が重症とはなかなか笑えない冗談だよ!?」

 

「血の匂い」

 

「!?」

 

「内臓を傷つけた時に出る苦く重厚な匂い。それが喉元まで上がり、喀血(かっけつ)を何度もした残り香から、予想するに内臓をひどく傷つけ、かつ完治していない」

 

「不自然な呼吸。無意識化での呼吸を上手くできていない。時折漏れる喘鳴音から予想するに呼吸器に重篤な損傷がある」

 

「そして何より……。あなたからは、以前ほどの力強さを感じない(・・・・・・・・・・・・・)

 

 

 

 絶句するしかなかった。

 

 

 

英雄(オールマイト)。何があれば、どんな(ヴィラン)と戦えば、あなたがそれほどの傷を負う?」

 

「………………。完敗だよ、赤黒少女。確かに私は胃袋全摘、呼吸器官半壊、体に今でも残る大きな傷がある。その影響で全盛期の私と比べたら確実に弱くなっただろうね。だが、お願いがある、赤黒少女。このことは」

 

英雄(オールマイト)

 

 ここまでバレていては仕方がないと打ち明けようとしたが、なぜか遮られてしまった。何か気になることがあったかと思ったが。

 

「事実確認はけっこうだが、肝心なことに答えていない。どうしてそんな傷を負った? あぁ、いや違う。どんな(ヴィラン)に負わされた?」

 

「……赤黒少女。ここで話したことは秘密にしてほしい。ヒーローとは常に命懸けの仕事だ。世間に発表できない事件も当然ある。そして、私のこの傷は、とある強大な(ヴィラン)との戦いの結果だ。そいつの詳細については話せない。だが、奴はその時に倒したから、安心してほしい」

 

 一番聞かれたくない、いや、話せないことだった。詳しく聞かれないためにも、はっきりと言い切るしかなかった。やつのことを伝えるわけにはいかない。

 

 

 

「……はぁ。わかりました、英雄(オールマイト)。これ以上は聞きませんし、誰かに言いふらしたりもしません」

 

「!そうか。すまない、そしてありがとう」

 

「……いえ、こちらこそ、話していただきありがとうございました」

 

「そうか。……よし! それでは、私は明日から始まる授業の準備があるから、ここらで失礼するよ!君もクラスにお戻り」

 

 一応はなんとかなったと思った私は、肝心な言葉を聞き逃してしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、本当に良かった。あなたはやはり英雄(・・)だ」

 




血尋ちゃんは苗字が赤黒ですから、ね。

そして、書き始めたときにやりたかったことのひとつ、オールマイトの怪我バレ達成しました。

本当はこれをAパートにして、戦闘訓練に入ろうとしたのですが、思ったより文字数多くなり、キリが悪くなってしましましたので、今日はここまでで。

閲覧ありがとうございます。
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