[凍結]私は真の英雄への道を歩む   作:りどれー

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前話のタイトルを、前編に修正しました。


第六歩  戦闘訓練(後編)

「今回のベストは赤黒少女だ! さて、理由のわかる人!!」

 

「はい! オールマイト先生。赤黒さんはまず、ペアで冷静に作戦を組み立てることから始めました。今回は即席のペアのため、事前の相談は必須であったと思います。そして、お互いの個性や戦闘能力を理解した上での作戦立案、及びその実行力が素晴らしかったですわ」

 

「うん! まさにその通り。大まかなところとしてはそこだね。そして」

 

「それだけではありません。轟さんの個性でビルが凍結していった時も、とっさに葉隠さんを抱えて対応。素晴らしい対応でしたわ」

 

「だよねー! 訓練が始まる前に葉隠が靴とかも脱ぎだしたときはびっくりしたけど、あのままだったらやばかったもん! ていうか、お姫様抱っこしながらジャンプしてなかった?」

 

「ケロっ、多分轟ちゃんの氷結がビルを介して凍ることがわかってたんじゃないかしら? 空中にいれば安全だと確信してないと、とっさにあんな対応はできないと思うわ」

 

「まさにエレガント。でも僕の方がもっとエレガント」

 

「……葉隠の裸の氷漬けか。ハァハァハァ、轟もイイ趣味してんじゃねえか」

 

「……うん! 私の言いたいことを先に言っていくのは君達の"個性"かい!?」

 

「でもよー、オールマイト。なんで轟と障子があんなあっさりやられたのかイマイチわからねえんだ。葉隠は捕縛テープを持っただけだし、赤黒もダッシュで近づいただけに見えたんだよな」

 

 

 そう、答えはどんどん出てくるものの、画面越しに見ていた彼らには、何が起きたのかいまいちわからなかったのだ。

 葉隠が戦闘服(コスチューム)を脱いでいき、それから少しして一気にビルが凍り始めた。赤黒が何かを抱えるような仕草をしたあとに跳躍し、凍結から見事に逃れた。ここまでなら誰もがわかることであるが、そのあとの行動がよくわからなかったのだ。

 

 

 

~葉隠視点~

 

 うぅ~、恥ずかしい。今絶対顔紅いよ、私ぃ~~。あんな可愛くてきれいな顔してるのに、なんで言うことがいちいち男前なのかなぁ。確かにビルを一気に凍らせてきたら対応するとは言ってたけど、まさかお姫様抱っこされるとか思わないじゃん!? おまけに私裸だったのに!!

 

「……はぁ、すまない葉隠。とっさに抱えてしまったが、怪我はないか? 訓練後に改めて謝らせてくれ。まずは作戦通りにいくとしよう」

 

 あああああ!なんなのこの子!? 私の透明化(個性)真っ赤っ化(まっかっか)にするつもりか!?

 

「う、わかってるよ! びっくりしただけだもん!でも、こんな子供騙しみたいなので本当に良いの? 私、テープを持つだけだよ?」

 

「……あぁ、それで大丈夫だ。捕縛テープの片方を階段を上がり切った場所、高さ160cmの壁に貼り、もう片方を葉隠が持ち、反対側で待機。地面に垂らしたテープは、轟か障子が来たらピンと張るだけで良い。人力でのトラップだが、葉隠がやってくれるなら有用性が高くなる上、すぐにできる。ありがとう」

 

「ど、どういたしまして!」

 

 ……もうやだこの子。笑顔きれいすぎ。

 

「……入ってきたな、会話しているようだが、ん?これは……」

 

 うわ、会話聞こえるんだ。個性で五感の強化があるって言ってたけど、それだけで1つの個性みたい。って、もう来るんだ。早いなぁ。

 

 「どうしたの?

 

 「……そろそろ来る。後は作戦通りに

 

 そう囁いて、階段を上がり切れば見える位置について、目を閉じた。

 よーし、人力トラップトオルちゃん!がんばるぞー!

 

◆◇◆

 

 ……っきた!!

 

「……はぁ、いくらなんでも不用心、いや、私達をなめすぎではないか?」

 

 あれ? なんか怒ってない? って違う違う! テープだ!

 

 うわ、氷すごっ。って、赤黒さんダッシュ早っ!?

 

 「……はぁ、それがなめていると言ったんだ」

 

 うわー、一瞬だ。パンチ?を顎に当てたように見えたけど、目の前の私でも残像みたいにしか見えなかったよ。これ、多分私以外は何が起きたかわからなかったんじゃないかなぁ。

 

 

『……作戦はシンプルだ。葉隠の個性を活かした奇襲と、それに対応する隙を突いて私が一気に意識を刈り取る。2人が一緒に行動するかどうかはわからないが、奇襲自体には確実に対応するだろう。うまくいけば1人はその一瞬で倒せる。もし私の攻撃にも対応されるようならば、葉隠のもつ捕縛テープで死角から再度奇襲を頼む。ただ、相手が轟の場合は、近づきすぎないように注意してくれ。見えない分、轟の個性に捕まった時のリスクが高い。だから、2人が一緒に行動していた場合は障子の相手を頼む』

 

 

 あんなこと言ってたのに、2人同時に終わっちゃったから、もしかして不機嫌そうなのかなぁ。

 それにしても、さっきより目が紅くなっていた(・・・・・・・)気がしたけど、気のせいかなぁ。

 

~葉隠視点 終~

 

 彼女(赤黒血尋)はひどく残念な気分だった。

 彼女は、推薦組であり、個性も強く、身体能力も優秀な轟に期待していたのだ。

 それなのに結果がこれ(圧勝)である。今回の屋内戦闘訓練は絶好の対人戦闘の場だったのに、文字通り一瞬で終わってしまった。

 

 彼女(赤黒血尋)はA組に入った時、特に2人の人物に関心を持っていた。

 爆豪勝己(入試2位)と、轟焦凍(推薦組)だ。

 だが、先に行われた戦闘でのあまりに幼稚な爆豪の姿には、自分勝手ながら失望してしまっていた。

 だから、轟に期待していたのに、彼の精神性もまた、未熟なものだった。

 

(……他の人達も、根本的な戦闘能力が低い。ならば、仕方ないか(・・・・・)

 

…………………………………………………………………………………………………………

 

「お疲れさん! 緑谷少年以外は大きな怪我も無し! しかし真摯に取り組んだ!初めての訓練にしちゃ上出来だったぜ! それじゃあ私は緑谷少年に講評を聞かせねば。皆は着替えて教室にお戻り!」

 

 そう言い残し、オールマイトは急いで出て行ってしまった。訓練以降、すっかり静かになってしまった爆豪や、呆然自失としていた轟達のことも気にはなったが、すでに活動時間限界ギリギリだった。

 

 

 

「なぁなぁ! 帰りはみんなで反省会しねえか!?」

「おー、いいねいいね!やろやろ!」

「俺も参加するぜー」

「もちろん僕も☆」

 

 下校時間となり、皆が帰り支度を始めるころ、そう切島が呼びかけた。

 女性陣元気筆頭の芦戸を皮切りに、多くのクラスメイトが参加表明をしていった。

 

「あ、おい爆豪!お前はどうする?」

「……」

 

 切島が声をかけるも、爆豪は無言のまま教室を出て行った。訓練後から一言も発していない。普段の彼の様子からは考えられない状態だが、それほど衝撃だったのだろう。

 

「帰っちまったな、仕方ねえか。あ、轟はどうする?」

「……すまん、用事がある」

「そうか、悪ぃな、引き留めて。また明日な!」

 

 そして轟も帰っていった。切島がクラスを見渡すと、多くの生徒が残っているようだったが、とある目立つ人物がいないことに気づいた。

 

「あれ?葉隠、赤黒の奴いねえけど、帰っちまったのか?」

「うん、なんか行くところがあるって言ってたし、すぐ帰ったんじゃないかな?……って、なんで私に聞いてきたのかな!?」

「え、いや、ペア組んでたし、何か知ってるかと思っただけなんだけどよ」

「あ……、うん、そっか」

 

 そうしてクラスで始まった反省会。午後のヒーロー基礎学での興奮からかガヤガヤとしているが、内容はいたってまじめなものだった。

 

「にしても、第1戦はすごかったよな。ビル壊したのも、大怪我したのもあの試合だけだし。めっちゃキレてたけど、何話してたんだろうな」

爆豪(あいつ)はいつもキレてるだろ。大怪我といや、緑谷のやつ大丈夫かよ。まだ医務室だろ……」

「まぁ、あんまり遅いようだったら見舞いいこうぜ!」

 

 まだ出会ってから日は浅いが、彼らは全員ヒーロー志望。怪我したクラスメイトを心配する者は多かったため、切島の提案に全員が参加表明を出していた。

 

「第2戦はなんていうか、オールマイトと赤黒たちの解説聞くまでは何が起きたかわからなかったぜ。葉隠は作戦を知っていたから別として、障子、実際んとこどうだったんだ?」

「……あの訓練では反省しかない。轟の個性の凄さに目が行き、集中しきれていなかった。それに、捕縛テープに目が行った時も轟が凍らせた瞬間に気を抜いてしまったんだ。赤黒にダメ出しされたが、まさにその通りだったよ。お互いの個性を活かすなら俺と轟は分かれて行動すべきだったんだ」

「まぁ、解説の時の赤黒もすごいっつうか。痛いところバンバン突いてきてたよなぁ」

「ケロっ、赤黒ちゃん、可愛い見た目ではっきり言う子よね」

「だよねー! あ、そういえば葉隠!気になってたんだけど、あの時は赤黒にお姫様抱っこされてたの?」

「!?」

「あぁ、そんな感じの恰好しとったもんね、赤黒さん。葉隠さんが透明だったからわからなかったけど、実際どうだったん?」

「さ……されてたよ! すっごい恥ずかしかったよこんにゃろおおおおお!!」

 

 そんなやり取りをしていると、緑谷が腕にギプスをつけた状態で戻ってきたが、爆豪がすでに帰ったと知るや否や教室を飛び出していった。

 麗日から2人が幼馴染だと聞いた一同は、2人の関係性をなんとなく察したのだった。

 

 しばらくして反省会を終えた面々はそれぞれの帰路についた。

 ちなみに、葉隠透の"個性"は真っ赤っ化にならずに済んだが、芦戸達にからかいのネタを提供することになってしまったのだった。

 




オールマイトの言いたいことは、葉隠の裸の氷漬け(嘘です)

閲覧ありがとうございます。
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