[凍結]私は真の英雄への道を歩む   作:りどれー

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本日2話目です。

タグに「鬱描写(念のため)」を追加しました。


第八歩  USJ襲撃事件(前編)

 マスコミによる騒動が起きた数日後、ヒーロー基礎学の時間がやってきた。

 相澤は『RESCUE』と書かれたプレートを見せながら、授業について説明し始めた。

 

「今回のヒーロー基礎学、俺とオールマイト、そしてもう1人の3人体制で授業を行う。内容は、災害水難なんでもござれの人命救助(レスキュー)訓練だ」

 

 コスチュームは、着ることで不利な現場もあるだろうからと着用自由、バスで移動するためすぐ行動するようにと告げた。

 救助活動は、ヒーロー活動の重要な1つだと、皆盛り上がりながらも急いで準備を進めていった。それぞれに得意な現場があり、懸ける思いもある。今回のヒーロー基礎学もまた、生徒達のやる気を際限なく上昇させていた。

 

 

 

「バスの席順がスムーズにいくよう出席番号順に二列で並ぼう!」 

 そう皆をまとめだしたのは飯田だ。

 昨日の騒動の後のHRで、パニックを沈めた飯田を見ていた緑谷が、委員長の座を譲ったのだ。ちなみに緑谷自身は赤黒のことも相応しいのではと考えたが、直前にしていた会話で本人にやる気がないことを知っていたため推薦しなかった。

 

 

「こういうタイプだったか! くそぅ!」

 バスは飯田の予想を外れ、対面式で座るタイプだったため、せっかく並んだ意味がまるでなかった。なんとも空回りする男だ。

 

 そうして進むバスの中では主に個性に関する話題で盛り上がっていた。

 緑谷が蛙吹に、オールマイトに似ている個性だと言われ動揺していたり、爆豪の性格がクソを下水で煮込んだようだと評され、言い得て妙だと皆が納得していた。爆豪本人はキレていたが、いつものことなので誰も気にしなかった。

 そして、

 

「すげー、USJみてぇだ!!」

 

 そんな感想が思わず出てくるドーム型の建物に着いた。

 相澤に引率されて中に入ると、そこには1人のヒーローがいた。

 

「水難事故、土砂災害、火事、エトセトラ……あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場です。その名も、ウソの災害や事故ルーム!」

「「「本当にUSJだった!!??」」」

 

『スペースヒーロー:13号』、災害救助で有名なヒーローが今回指導を担当してくれる最後の1人だったようだ。

 彼の個性は『ブラックホール』。文字通りあらゆるものを吸い込み、チリにしてしまう個性であり、それを利用することで災害救助に役立てている。しかし、一歩間違えれば簡単に人を殺してしまう個性でもある。

 

「君達は、相澤先生のテストで自分の最大限を知り、オールマイトの戦闘訓練でそれを他人に向ける危うさを知った。君達の個性は人を傷つけるためではなく人を救うためにあるのです。今日はそれを学んで帰って下さいな」

 

 そうして素晴らしい演説を終えた13号に万雷の拍手を送るA組の面々だった。

 

「ところで13号、オールマイトはどうした?……なんだそれは、不合理の極みだな。仕方ない。それじゃあ、まずは……!?」

 

 さっそく授業を始めようとした相澤だったが、何かに気づいたように後ろへと振り返った。

 

 そこには、黒い靄があり、そこから悪意に満ちた(・・・・・・)瞳が向けられていた。

 

「全員一塊になって動くな! 13号、生徒を守れ! あれは……(ヴィラン)だ!」

 そう相澤が叫ぶのと同じくして、黒い靄が一気に広がり、中から多数の人間が出てきた。

 

 中でも特徴的なのは3人。

 黒い靄をまとった人物、悪意に満ちた瞳を向けてくる全身に手をつけた人物、そして、脳みそが剥き出しの大柄な人物。

 

「なんだよ……、オールマイトが、平和の象徴がいないじゃないか。せっかくこんな大衆連れてきたってのに」

 悪意に満ちた瞳で、男は喋りだした。

「……子供を殺せば来るのかな?」

 

 それが、人命救助(レスキュー)訓練のために訪れたUSJを戦場に変える言葉だった。

 

◆◆◆

 

「……っ相澤先生、交戦許可をっ」

「だめだ、赤黒! 俺達は教師、お前達は生徒! 自己防衛は構わないが、広場(あそこ)に突っ込むのは許さん。上鳴! 通信状況はどうだ!?」

「……ダメです先生! 多分、電波妨害できる個性持ちがいる!」

「ちっ、13号、避難開始! 学校への連絡を試しつつ生徒を安全な場所へ!」

 

 そう相澤は告げると、目元を隠すゴーグルをつけ、戦闘態勢をとった。

 

「先生1人で!? 無茶だ! イレイザーヘッドの戦闘スタイルは個性を消してからの捕縛だ。あの集団を相手にするのはっ!?」

「一芸だけじゃヒーローは務まらん。こっちの心配してないでさっさと13号の方に行け、緑谷! 13号、頼んだぞ!」

 

 そして相澤は一気に階段を駆け下りていき、(ヴィラン)の集団相手に有利に戦い始めた。

 

「すごい……!多対一こそ、先生の得意分野だったんだ!」

「緑谷、馬鹿なことを言ってないで早く避難を開始しろ」

「ご、ごめん赤黒さん」

「13号先生、飯田なら初動のスピードと持続力に優れている。通信手段が全滅の現状、学校への直接連絡が最適かと思われます」

「! わかりました、ありがとう赤黒さん。飯田くん! 外へ出たら、先行して学校へ救援要請に向かって下さい!」

 

 そうして皆で避難を開始しようとした時だった。目の前に黒い靄が現れた。

 

「はじめまして、我々は(ヴィラン)連合。僭越ながら、この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせていただいたのは」

 

 それは、広場に現れたものと同じで、

 

「平和の象徴──オールマイトに息絶えていただきたいと思ってのことでして」

 

 特大の悪意をみなぎらせていた。

 

 

 

 目の前に現れた(ヴィラン)の考察、そして現状何が最適な行動なのか、少女(赤黒血尋)は必死に思考を巡らせていた。

(……おそらく空間移動(ワープ)系統の個性持ち。靄の部分で個性を発動していたようだし、物理攻撃が効くか怪しい。ならば13号先生に任せるのが最適、だけど──)

 

「まぁ、それとは別にして、私の役目はこれ」

 そう言って黒い靄が動いた時だった。13号が牽制もかねて個性を発動しようとすると、

 

「その前に、俺達にやられることは考えなかったのか!?」

「ハッ! モブはモブらしくおとなしくしてやがれ!!」

 

 切島と爆豪の2人が、13号の個性の射線上に躍り出て黒い靄に攻撃をしかけた。

 

「ダメだ2人とも! どきなさい!」

 

(──やはり直情型っ。……気持ちはわかるが今は抑えろ)

 

「危ない危ない、生徒と言えど金の卵。だからこそ、──散らして、嬲り、殺す」

 

 そう言い、一気に黒い靄が広がった。

 

(この状況、最適解はなんだ。優先順位を考えろ)

 

 13号が必死に個性で吸い込むが、周囲に生徒がいることもあり黒い靄全てを吸い込むことができておらず、(ヴィラン)の近くにいた生徒達から靄に飲み込まれていく。そしてその中に飯田天哉(救援要請組)がいた。

 

「っ飯田」

「赤黒くん!?」

 

 だから、飯田を突き飛ばし、少女(赤黒血尋)が代わりに靄に包まれた。

 

 

 




USJ編は全4話構成(予定)です。
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