異世界来てまで戦いたかねぇですよ.... 作:魔法少女フィジカルボーイ
すみません。m(_ _)m
隼人少年が自ら吹っ飛ばした街道を直すのを馬車の上から眺めていると、先ほどまで馬用の鞭で少年を叩いていた御者をしていた赤髪の美少女と猫耳の美少女が寄って来た。互いに無言ではあるが、チラチラとこちらを見てくるので、こっちからも猫耳少女の眼をじぃーっと見つめるやるとすかさず目線をそらす。かーいーな。かーいーなぁ!
「ねぇ....」
猫耳美少女の反応で遊んでいると赤髪の美少女が話しかけてきた。
「あんた、隼人と同じ所から来たんでしょ?」
「ええ、時系列が少しずれていたみたいですが、大方」
「そう....。 その世界って、その、どうなのよ?」
「そうですね、一見すると平和であったように思います....」
「そう、そうなんだ....」
なるほど、ね。何が聞きたいのかよくわかった気がする。が、もう少し様子を見ようか。
「隼人はさ。目的を果たしたら出来れば帰りたいって言ってるのよね」
女の子が遠い目をしながら少年を見て言う。
「そうですか」
「平和なんだ......。ならそっちの方がいいのかも」
少女は続けて「隼人、いつも無理するから」と呟く。
「ですが、可能性という話ではありますが、あちらに帰るには推定ですが最低万人単位以上の犠牲かそれに匹敵するくらいの莫大な魔力が必要ですよ?数ある世界の中で一つの世界を指定するわけですから。それに帰れたとしても抑止力かなんかで、少年の存在自体があちらの世界ではなかったことになっているかもしれません。」
「そうよ、ね....」
「現実は残酷ですから。....ですから、今のうちに思う存分甘えておくが吉、ですよ」
「なっ! 別に甘えたりしないわよ! あいつは私がいないとダメダメなんだから!」
はい!ツン来ました!
やはり主人公の最初の仲間は貴族のツンデレ娘ですな! わかります!
「君たちよりだいぶん経験豊富な僕からの助言だがね。これからも冒険を続けていくなら甘えられる機会にしっかり甘えておきなさい。特に君のような女性ならなおさらね!....苦手でしょう?そういうこと」
「別にそんなんじゃないんだから! あいつは手のかかる弟みたいなもんで......。でも、そうね。危険は多いものね。あいつが、甘えたい時はその......別に甘えさせてあげるのも悪くない、......のかな」
ハイハイ、テンプレですね。
どこをとは言わないが、どう見ても少年の方が年上だろう。中高一貫校の高校三年生の少年と中学二年生くらいの彼女、くらいには歳の差があるのではないだろうか。.....ちなみにあちらの世界では二人は幼馴染で少年が上京して大学に行く一年前、みたいな設定かな〜。少年は学校でモテモテなヘタレ主人公みたいな立ち位置で(メソラシ)
「ね、ねえエミリー? 見てるなら手伝ってくれないかな? それか土精霊にお願いしてくれないかな?」
「ダメ。隼人がやったんだから隼人が直すの」
「そうなんだけど、鎧着たまま土をならすのって大変なんだよ......」
「隼人が悪い」
ふむ....、やはりヘタレ主人公に間違いないな。押しに弱そうだし(キメツケ)
「そういえばお嬢さん......」
「......レティ。レティ・フレイムハートよ。一応貴族だけど、隼人の知り合いならレティでいいわ。だからお嬢さんなんて呼ばないで」
「そうですか、では私もソラノで良いですよ、レティ様」
「......はあ。もうなんでもいいわ」
諦めたようにため息を吐くフレイムハート嬢。
どうやら難しいお年頃のようである。
「ハイハイハイ!」
すると横からトントンと腰をつつかれ、そちらを見ると勢いよく手を上げて返事をする猫耳美少女。
「ミィはミィなのです! 猫人族の長の娘、ミィなのです!」
ピコピコと動く猫耳。およそ尾骶骨あたりから垂れ下がった尻尾を見ると猫人族という種族がどういうものかがわかる。何度見てもかーいーなー!
「ミィちゃんですね、覚えました」
「ハイ! なのです!」
元気のいいミィ嬢。どうやらフレイムハート嬢と話しているのを見て気を許したようで、いつ話かけようか悩んでいたようだ。
「お兄さんは悪くない人なのですね!」
お兄さん......。懐かしい呼び名だな。
この歳になるともはやお世辞ですら呼ばれないであろうお兄さん呼び! 近所のわんぱくな子供みたいな感覚か。懐かしい。
「ええ、お兄さんは良い方ですよ!」
「そうなのですね! ハヤト様のお知り合いに悪い人はいないのです!」
「そうですねー! 隼人少年はカルマ値善振りですからねー!」
「なのですー!」
ニコニコピコピコとご機嫌そうに動く顔と耳。
それだけ言うとミィは隼人の方へと近づいていく。
「......獣耳っ娘はどこの世界でもだいたい癒しだにゃぁ〜」
「......ねえ」
「なんですか、思春期ですか?」
「違うわよ!? ....変な気は起こさないでね、知り合いを焼きたくないもの」
「安心してください。私はただ獣耳っ娘を愛でたいだけです。....それと、一応言っておきますが、僕は焼かれても死にませんので安心してください。」
殺されても死なないまである。
「護衛兼癒し要員として獣耳っ娘少年少女でも雇えないかね〜....」
「......あんまりかまうと嫌われるから注意しなさい」
「(嫌がる少女に無理やりってシュチュもイケるけど)ストレスを与えるようなことはしないさクハハハ」
ミィ嬢が隼人少年の仕事を手伝ったためか、あっという間に終わったようだ。
エミリーと呼ばれるエルフの少女も少し手伝ったのか、彼女の周りで土色の光がふよふよと浮かんで消えていった。
なるほど......、エルフといえば妖精とか精霊を使役してそうだからなぁ。
「ソラノさんお待たせしました」
「構わないよ。それに手伝わなくて悪かっね....」
「いえいえ。彼女達とも仲良くなっていただきたいですから!」
そういうとニコリと笑う隼人少年。
厭味などではない辺り、本当の意味で良い人間なのだろう。惜しいな。
「それじゃあ行きましょう。商業都市アインズヘイルまであと少しですよ」
皆で馬車に乗り込むと次はフレイムハート嬢と隼人少年が御者台に上った。
それは別にいいのだが、何故か美少女エルフちゃんにじーっと見つめられている。
「......何か用でも?」
「......別に」
とはいうもののじぃーっと見続けてくる。
ミィ嬢はというと、ひらひらと舞う蝶にちょっかいをかけていてこちらのことは気にしていない。
「貴女には自己紹介をしていませんでしたね。初めまして、ソラノ・カミシロと言います。気軽にソラノとお呼びください」
「知ってる。隼人に聞いた。私はエミリー。エルフ族」
それだけを淡々と言うとこちらのことなどお構いなく視線をそらすことなどしない。
なんとなく気まずいので少年に話しかけようとした時だった。。
「ねえ。貴方本当に今日初めてこの世界に来たの?」
「この世界は初めてですよ」
「そう......」
前世でも異世界でもあったことはないはずだが、ナンパなわけないか。
「ことらからも聞いていいかい?」
「どうぞ.....」
「先程隼人少年を手伝っているときに、エミリー嬢の周りにいたのは妖精か精霊、どっちなんですか?」
「精霊....。というか、よくわかったね」
「あちらの世界でも見かけましたので」
「そう......」
「ソラノさん、見えてきましたよ!」
そういって指差された先に見えるのは大きな街壁とそのサイズに見合った城門であった。
「あれが、商業都市アインズヘイルです。街から出ないのであればここ以上に娯楽や刺激の多い都市は少ないと思いますよ」
「(情報も集まりそうだし)案外僕に向いている街かもしれませんね」
「ふふふ。そうですね。ボク達もよく利用しますし、割と会う機会も多そうです」
商業都市というからには各方面からの名産品なども集まるのだろう。諸々にも期待できそうだ。
「それは心強いですね。知り合いもいないなかで隼人少年と出会えて本当によかったよ」
「いえ、それほどでも......」
どうやら照れたようで顔を少し紅潮させていた。
変なフラグが立ちそうだから是非ともやめてほしい。
フレイムハート嬢も睨んでないで、割ってはいいてくれ。そんな気はさらさらないから!
馬車の列に並んでいると僕たちの番になり、隼人少年をはじめ皆なにやらカードを見せている。
「あ、彼は私の知り合いで、俗に言う『流れ人』です。本日中にどこかのギルドでカードを発行しますので」
隼人が言うと門番は納得したように一瞥だけすると城門を通してもらえた。
どうやらカードは自分の身分を証明するもので、『流れ人』とは俺たちのような異世界から来た者を言うようであった。
「さて、到着しましたけどどうしましょう? どこかのギルドでカードを発行しないといけないのですが」
「ギルドというと冒険者ギルド、魔法士ギルド的なものですか?」
「それ以外でも商人、錬金術師、鍛冶師、製薬師などがありますね。まぁソラノさんでしたらどこでも大活躍しそうですけど」
「では錬金術師のギルドへ行きましょうか。僕のスキルは色々と応用が効きますし、直感ですがそこがベストみたいですので」
「ボク達は助かりますけど、いいんですか?」
「どのギルドに所属しようが、僕の目的は変わりませんから」
面倒ごとやテンプレ的イベントが確実におきそうな冒険者や商人、製薬ギルドは勘弁だ。
スキルの調節ができていないのに鍛治なんてしたら神剣とか作れそうで怖いし、冒険者ギルドや魔術師ギルドはレアスキル発覚でスローライフどころじゃあ無くなりそうだ。
「それでは錬金術師ギルドに向かいますね」
「恩人に何から何までさせてすまないね....」
「いえいえ。それにカードを作るなら説明があったほうがいいでしょうし」
ここまでくると逆にすげーわw
昨今生意気でいけ好かないクソガキばかりがはびこる現代日本に、こんな好青年がいたのか。
入ったばかりの新入社員を呑みに誘おうならば
『それ、仕事っすか? 残業代つきます?』
とかのたまいそうなご時世だ。
別に無理してきてほしいわけじゃない。呑みにケーションしようと言っているわけではないが、それでもどうかと思う。
しかも人が真剣に注意してくださっているのにもかかわらず、知らんぷりをしてスマホをいじり続けたり、イヤホンをかけながら話を聞くなんてものはマナー以前に人としてどうかと思う。そんな奴を社会的に強制排除したオレは悪くない。ま、こんな話は置いといてそろそろ_______
「つきましたよ。ここがアインズヘイルの錬金術師ギルドです」
降りてまず目についたのはわかりやすくフラスコと試験管がデフォルメされた怪しげな看板が目を引いていた。
初年は何てこと無いようにその扉を開き、私もその後に続く。
中は案外と小奇麗にしてあり、正面にカウンターがあることを除くと部屋数が多いように見える。
そのカウンターには受付嬢らしき女性がいて隼人少年がなにやら話しをしていた。
「しょ、少々お待ちください。ギルドマスターを呼んで参りますので」
女性はそれだけ言うと俺と隼人に一礼して出て行った。
「すみません。もしかしたら少し面倒なことになるかもしれません」
どうやら隼人の見せたカードの冒険者ランクと貴族地位に驚き、とりあえずギルドマスターを呼びに言ったようだ。
しばらくすると女性と共に腰を曲げた老婆が現れた。
「おやおや。ヒヨコが貴族たぁ化けたもんだね」
「レインリヒさん。相変わらず辛辣ですね」
お二人は旧知の仲らしい。
「それで、今回はギルドカードの申請ってことだが......私の記憶だとあんたに錬金の才能は無かったと思うがね」
「今日は僕じゃなくて、彼のをお願いに来たんですよ」
「ほーう。どれどれ。ふむ。最近ではなかなか類を見ないほどな才能があるようだね。いいだろう。ヒヨコとの縁が形になるのは望ましい。試験は無しですぐに作ってやるよ。どうせ急いでるんだろう?」
「えっと、それはまぁ.......」
「そうかい。それならすぐやるとするさね。ギルドの登録料は5000ノールだよ」
隼人少年に払ってもらう。普段から他人の金で飯食痛いとは思っていたが、年下に奢られるのは慣れない。
レインリヒというお嬢さんはお釣りを僕に渡すと、すぐにカウンターに座り粛々とカード製作を始める。
「本当に何から何まで付き合わせてしまってすみません。お金までいただいてしまって.......」
「いえいえ。そこまで切羽詰ってるわけではありませんから」
しかし急いでいるのは事実らしい。
なんというか、相手の申し出に対してきっぱりと『NO!』といえないのは日本人特有の性なのだろうか。
「ほら出来たよ。若造や、腕をだしな」
言われたとおりに腕を差し出すと手の甲に丸めた紙を載せられた。
老婆が目を見開くとその紙が燃え出し、しばらくすると紙がなくなり代わりに手の甲に赤い線が三本浮かび上がった。
「はい完成だよ。心の中で『ギルドカードオープン』と唱えてみな」
言われたとおり唱えると一枚のカードが目の前に現れた。
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神代空乃 : 錬金術師 Lv1
HP ???/??? MP???/???
STR : S VIT : S
INT : S MID : S
AGI : S DEX : S
アクティブスキル
時空間制御 Lv1
掌握 Lv1
絶対言語 Lv--
パッシブスキル
総合生産 Lv1
??眼 Lv1
アクティヴオートスキル
??殺し Lv1
???スキル
??? Lv--
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となっていた。
どうやらギルドカードにはユニークスキルは表記されないらしい。
ひょいっと老婆が僕のギルドカードを取り上げるとじろじろと見始める。
「相変わらず一番下はわからないんだね。それにしても流れ人にしてもやけにステータスが高いね」
その言葉につられて隼人もギルドカードを覗き込む。
すると少し引きつったように笑顔を固まらせていた。
「これは.......」
「参考までに隼人少年はレベル1の時どんな感じでしたか?」
「全ステータスD以上で、高くでもBより上はありませんでしたが.......」
Dか......隠したほうがよかったか。
「自分が普通でないことくらいわかっていましたが、これほどまでとは.....。」
「ここで見たことは秘密にします」
「助かります」
「まあ錬金に必要なINTとDEXがあっていいじゃないか。MIDもあるしこれは育てがいがありそうだ」
レインリヒがそういうとカードを返してきた。
「ちなみにカードは出してから30秒で消えるから落としても安心だよ」
言われたとおりすうっとカードが掻き消えていった。
「あ、もう一度出してもらってもいいですか?」
隼人少年にそう言われもう一度ギルドカードオープンと念じる。
「貸してください」と少年に言われたので渡すと何やらカードをピコピコといじっていた。
「よし。これでいつでも連絡できます」
そういって手渡されたカードには隼人の文字が追加されていた。
どうやらフレンド機能があるらしく、隼人少年の文字は白く光っていた。
次の瞬間、突然カードが振動し隼人の文字が点滅するとそこから声が聞こえてきたのだ。
『もしもーし。ギルドカードのフレンド機能にはこんなふうに遠距離からでも話せる効果があるんです』
そういわれて少年のほうを見ると、電話のように耳に当ててニコリと微笑んでいる。
『電話......いや、ネットゲームのフレンドチャットみたいなものですか』
『そうですねー。でもこれ5人までしか登録できないんですよ』
『....そんな貴重な枠に、零細錬金術師に使ってしまって良いのですか!?』
『ええ、もちろんです。これからよろしくお願いしますね』
さすがは主人公。男にまで優しい辺りが真の主人公なのかもしれない。
これではおちおちスローライフなんてできそうにないかもなぁ.......。
「つきましてはお礼としては物足りないかもしれないが受け取ってほしい......、仲間が再起不能になったり死んでしまった時に全快させることができる『フェニックスの尾』だ。」
「「.......はい?」」
アァァァアアアァ〜、なんかビミョいところで終わってしまい申し訳ないです。
ホント、すみません。ハハー_○/|_ 土下座