ファントムオブキル〔鋼鉄編〕   作:超高機動俺

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第一章 後編

二人が眼を覚ました頃、彼もちょうど同じ時間に起きてしまっていた。

 

「ったく、どーしてこんな時間に起きちゃうかなぁ」

 

早朝、4時くらいか。日の光がほんのりと赤く見えてはいるが、それでも外はまだ暗い。朝飯の用意でもするか・・・。

もう一度眠る気にもなれず、彼はふらふらと右へ左へとしながらキッチンに向かって歩いていく。

その時だった。彼の耳に微かな異音が届く。それは、この町にある音では無い。

・・・まさか

急ぎ家を出てバイクに乗り、長老のいる家の方へと走っていく。

 

「じいさん、どうなってんだ!?」

「分からぬ!四門全てに攻撃を加えられておる!」

「報告!北門がもう持たない様子です!」

「避難はどうなってる!?」

 

長老の家はある種の司令室にもなっているのだが、それがフル稼働。まさしく切羽詰まる状況だった。

 

・・・何かが倒れる音と共に、機械の駆動音が鳴り響く。

 

間違いない、あの音・・・門が、破壊された。奴等が来る。

 

「・・・不味いぞ!破られた!」

 

誰かが叫んだ。間違いないらしい。

 

「何ッ!?むぅ・・・!防衛隊の者はシェルターの前に砦を建てろ!ワシが直接指揮を執る!」

「りょ、了解です!あの、彼は・・・」

「・・・」

 

静かに外を観察する彼に、長老が言葉をかける。

 

「お前さん。避難が終わってない者を探してくれないか?」

「・・・分かった。任せろじぃさん」

 

長老の家を出て、バイクのシートに座り、アクセルを回す。

向かうのは北門。・・・残っている人を探す。逃げ遅れてくれるなよ。

 

 

 

 

夜明けを、二人は見ていた。輝く星々が太陽の光に溶けていく。その光景を。

 

「はぁ、もう朝?」

「えぇ。さて、あの方が起きる前に戻りましょう」

「んー」

 

木から離れようとした、その時。

 

何かが炸裂したような音が聞こえた。

 

「何の音ですか!?」

「・・・門の方向から。嫌な予感がする」

「くっ・・・避難をお願いします。私が戦う事になるかと」

「分かった。・・・って、戦う?」

「言ったでしょう?私達には力がある。力を持つ者は、戦う義務がありますから」

 

鞘から剣を抜き、逆手に持つ。そして、静かに呟いた。

 

「神機開放(クロース・オン)」

 

彼女の剣が黄金に輝く。その輝きは人々を導く星の輝きか、それとも人々の欲望を糧とする輝きかは定かではない。だが、今目の前で起こる光景に、ただ立ち尽くすことしか出来ないアマネ。

 

「これが、ティルフィングの力・・・」

 

光の中から現れたのは、見覚えのある殺戮兵器。しかし、それは動く気配も無く、ただ何かを待つようにそこに経立っている。

 

「でも、なんで・・・」

「ここの人々が殺戮機械や殺戮兵器と呼ぶもの。その全てを総称し、“ファントム”と呼びます。私の力は、これを操り、人に害為すファントムを・・・全て、停止もしくは消滅させること。あの果実には、操縦権を失ったファントムを操れるようになるという力があるのです」

 

ただし、一つだけですが。と付け加え、その機体に乗り込んだ。

 

バイザーが光を放ち、駆動音が響く。

 

「アマネ、先ほどは私の話を聞いてから、と言いましたが、危ないと感じた時はその果実を食べてください。それは身体能力を底上げしてくれます。危機回避くらいは出来るようになりますから」

 

彼女は向かう。阿鼻叫喚の地獄絵図が広がっているであろう、北の門に。

 

 

 

 

「・・・なんてこったよ」

 

もう、遅かった。さっきまで命であったものであろう欠片が辺りに散らばっている。・・・少年や、少女の靴。皺の入った手。それらは全て、殺された者達の遺品なのだろう。

 

「・・・分かってた、はずなんだけどな」

 

殺戮機械が跋扈している光景を見つめつつ、そう呟く。それは、いつも見てきた光景と同じで、ここでは最も見たくなかった光景で。そこに、希望は無かった。昨日まではあったはずの小さな幸せすらも食い荒らされた後だった。

 

ここに来てから5年。壊されることが常の、賽の河原のようなこの世界で、この町だけは安全だと思っていた。・・・思ってしまっていた。

 

何処かから、蚊の鳴くような声が聞こえてくる。

 

「誰かいるか!」

「・・・こっ・・・ち・・・!」

「たす・・・け・・・」

 

助けを呼ぶ声、辺りをもう一度見直す。・・・この辺りだ。門が吹き飛ばされたときの破片が家を潰し、二人を閉じ込めたのだろうか。

 

「生きてるか!?生きてるな!怪我はないか!?」

「無い・・・!」

「大丈夫!」

 

子供の声だ。

 

「よし!絶対助けるからな!」

 

一つ一つ、二人をその場所に縛り付ける物をどかしていく。それでも、一人では限界があった。

 

「ぐっぬぬぬ・・・」

 

何か、地面が揺れるような感覚がある。その揺れは、背後から。

 

「クソっ・・・こんな時にか」

 

腰を上げ、振り返る。そこにいたのはやはり、あの機械共。

 

「なぁ・・・こっちはお前らが踏み潰して、消えそうになってる火を絶えさせないようにしてるだけで精一杯なんだよ。邪魔しないで貰えるか?」

 

今はせめて、後ろの子供くらいは守らなくては。

そう思った、時だった。

 

「ねぇ、あそこに誰か居るの?」

「あぁ、どうも逃げ遅れた・・・ん?」

 

声をしたほうに目線を向ける。そこに居たのは、黄金の林檎を持ったアマネだった。

 

「お前!なんでこんな所に・・・!」

「これをどかせばいいの?」

「それは俺がやる!だから逃げろって・・・!」

 

アマネは持っている林檎を見る。

 

「私、あんたに甘えてた。兄さんの姿を重ねて、何でも許してもらえると思って。でも、それじゃダメ。・・・もう、守られるだけで、誰かの背中を見送るだけの自分なんて、要らない」

「・・・!?待て、お前何をっ」

 

禁断の果実を、口にする。

 

 

 

「・・・あれ?」

 

雷鳴が轟く渓谷。彼女の勝手知ったる町では無い。

灰色の、彼女の心の中を表す、心中風景・・・。

 

目の前には黄金の鶏が居る。彼女を見据え、逃げることも無く、そこにただ留まっている。

 

「・・・分かった、私の力」

 

その言葉に反応し、その鶏は黄金の翼を翻し、大空へと飛び去った。

そして後に残ったのは・・・歪な形をした、異形の剣。その銘を、アマネは手にする。

 

「私は、レーヴァテイン」

 

稲妻が、彼女の周囲を駆け巡る。

 

 

 

「・・・アマネ?」

「はぁ、下がって」

 

彼の制止と心配を振り切り前に出る。今度は、私が守る番。

 

右手を振り上げ、手のひらを大きく空に向かって開く。それに呼応したように、空が灰色に染まっていく。

 

「私は、もう・・・守られるだけじゃないし」

 

雷光が走る。それは、空からの輝き。彼女の右手には、剣があった。

 

「アマネ、お前・・・」

「その名前はもう呼ばないで。自分勝手でわがままで、守られるだけのアマネはもう居ないの。ここにいるのは、レーヴァテインという戦う存在だから」

 

そう言って、彼女はソレを切り捨てる。アマネの名と、共に。

 

「・・・お前の事もいろいろ聞きたいし、ティルフィングが何処行ったのかも知りたいが、今は救助が先だ!手伝ってくれ!」

「はぁ・・・私がやる。あんたがバイクの用意してて」

 

そういうと片腕だけで瓦礫を持ち上げ、中にいた二人の子供に呼びかける。

 

「早く出て。今なら安全だから」

「アマネお姉ちゃん!ありがと!」

「ありがと!」

「向こうに走れ!あっちならまだ奴等は来てないから!」

 

彼の言葉を聴き、二人は指差した方向に走っていく。

 

「なぁ、アマ・・・いや、“レーヴァテイン”だったか」

「うん。どうするの」

「・・・乗れ。シェルターに行く」

「嫌よ。あんたのやろうとしてる事、分かってるから」

「でもなぁお前」

「言ったでしょ。もう守られるだけは嫌なの。・・・背中を見送るだけなんて」

 

彼女の握り拳が少し震えている。

 

「・・・乗れ」

「だから・・・!」

「ティルフィングを探しに行く。彼女も、今のお前と同じ力を持ってるんだろ?」

 

そうで無ければ、あの荒野を生き延びた理由が見つからない。彼はアマネの、レーヴァテインの力を見て、確信した。彼女が、何かを知っていて、その事を話そうとしていたのだと。

 

「ティルフィングなら北門に向かってた。会ってないの?」

「へ?いや、知らない・・・って事は・・・門のすぐそばか」

「早く出して。私がアンタを守ってあげる。・・・めんどくさいけど」

「馬鹿言うな。こちとら何度荒野を抜けてきたと思ってる。・・・無理はするなよ?」

「そっちこそ」

 

彼の背中に背中を合わせて、レーヴァテインはバイクに乗る。二人は、ティルフィングと話すために走り出した。

 

 

 

 

「ッ・・・!」

 

雪崩れ込んでくるファントムを次々と薙ぎ払う。しかし、門に空いた穴を埋める方法が無い。結局、街の中には何体か残っている。現時点でアレを破壊出来るのは自分一人。しかし、ここを離れればこの穴から撃破した以上にファントムが入ってくるのは確実。

 

「どう・・・すれば・・・ッ!?」

 

そんな時だった。背後からエンジンの音が響いている。

 

「まさか!?」

「おいレーヴァテイン!状況が読めないぞ!何で機械同士が戦ってる!?」

「あの機体、アレがティルフィング」

「・・・機械だったのか!?」

「違いますッ!中に乗ってるんです!」

 

気づいた。彼女に“宿った”力と、彼に“宿っている”力に。

これならば、この状況を変えられる。

 

「アマネ!私の機体に取り付いてください!」

「はぁ・・・?ま、いいけど」

「え、俺は?」

「・・・ファイト」

「ファイトじゃねぇよ!かっこよく背中は任せた、みたいな事言うつもりだったのに!」

 

そういう彼をよそに、レーヴァテインはバイクから跳躍し、ティルフィングの機体の肩に立つ。

 

「・・・ねぇ、ティルフィング。アイツ、どうするの?」

「大丈夫です。私がファントムを倒し続ける限り、第一に狙うのはこの機体ですから」

「へぇ」

 

ファントムはティルフィングの機体に飛び乗ったレーヴァテインに狙いを定め、攻撃を繰り返す。それをレーヴァは会話をしながら軽い身のこなしで避け、その一瞬の隙をティルフィングが切り裂いて止めを刺す。

 

そしてバイクで動き続ける彼も、何かを感じ取っていた。

 

「なんだ、この感覚・・・?」

 

分からない。しかし、理解不能の恐怖の感情では無く、到底人の言葉では表現しきれない、居心地の良さと言えばいいのだろうか?いや、その言葉でもない。とにかくこれは負の感情では無いことだけは確かだ。

 

突然、視界がぐにゃりと捻じ曲がった。

 

世界が、ゆっくりと、変わっていく・・・?

 

 

 

「何だ・・・突然・・・?」

「ここは、私とあなたの繋がり。マスターと呼ばれる資格のある、バイブスを持つあなただけが訪れる事の出来る、キル姫の精神世界」

「マスター?バイブス?キル姫?おい、もっと分かるように・・・」

「えぇ。すぐに、分かりますから」

 

ティルフィングの額と、彼の額が優しく触れる。

膨大な情報がその触れた部分を通し、彼の頭の中へと流れ込んでいく。

 

「分かりましたか、マスター。私の目的は仲間を集め、ファントムを全て破壊する事」

「でも、これはお前の旅だ。俺がマスターというのは」

「いいえ。・・・思い出さないのですね」

「思い出す?」

「こちらの話です。気にしないでください。・・・マスター、あなたの力は私たちの心と繋がるんです」

 

 

「・・・やるべき事か」

「マスター、指示を!」

「分かってるさ」

 

一つだけ、かすかに見える事柄がある。それは、何かを助け、救って、抱きしめてくれた背中。この街を訪れる、ずっと前に見た記憶。

そうだ、俺は憧れたんだ。この滅び行く世界の中で輝く、最後の希望に。

 

静かに、深く、呼吸する。

 

「レーヴァテイン用の神機を奪う!手伝ってくれ!」

「はい!」

「へぇ、わかった」

 

一人の人間の魂の輝きに引き寄せられ、一つのファントムが襲い掛かってくる。

 

「邪魔を、しないでッ!」

 

ティルフィングの機体が、それに立ちふさがる。両腕と両足で、その機械の動きを止める。

 

「マスター!止めました!」

「あぁ、分かってる!レーヴァ、準備は?」

「いつでもいい。マスターに任せる」

 

完全に動けなくなったファントムの足に触れる。

 

「・・・今までずっと不思議だった、この力はこうやって使うんだな」

 

ファントムの目の光が消えた。膝から崩れ落ち、うつ伏せに倒れる。完全に機能が停止し、沈黙。

それに反応したのか、周りのファントムが一斉に迫り始めた。迫り来るファントムから二人を守るティルフィング。しかし、この量はそう長くはもたないだろう。

 

「レーヴァテイン!急げ!間に合わなくなる!」

「分かってる!・・・ここっ!」

 

剣を機体の背中に突き刺した。

すると、曇り空を漂う暗雲が、雷鳴を轟かせる。その雷鳴は音だけでなく、閃光を放つ。

稲妻が剣に向かい、剣からは何本もの雷の鎖が延ばされ、機体に貼り付けられていく。

そして最後に、大きな、途轍もなく雷が、彼女と機体を包み込んだ。

 

「レーヴァテイン!?おい、大丈夫か!?」

「・・・全く、この機体随分手荒。でも、これでめんどくさくなくなった・・・!」

 

機体の色が変わる。白銀の機体。

 

「これが・・・神機“レーヴァテイン”・・・」

 

そして、機体の形も変わっている。ファントムの様な禍々しさは無く、まるで地上に降りた天使の様で。

 

「ティルフィング、手伝う」

「えぇ、お願いします!」

 

その戦う姿はまさに戦乙女。

 

「キル姫、とはよく言ったものだな・・・」

 

自分に出来る事はない。彼女達に任せよう。

 

 

 

「マスター、顔泥だらけですよ?」

「はぁ・・・何で私まで・・・」

 

二人に顔を拭かれてる。

 

「そりゃ逃げ回ってたんだから当たり前だろ・・・」

 

門を越えてきたファントムは全て倒した。破壊された門は瓦礫で防いだ。

・・・犠牲はあったが、これは勝利だ。

 

「おい、大丈夫・・・なんじゃ、これは?」

 

長老を筆頭に、防衛隊の人々がやって来る。それぞれがその異様な光景に口を開くしか無かった。

 

「あぁ、皆無事だったのか」

「無事だったのか、じゃねぇ!何だこの状況、これじゃまるで・・・」

「勝ったぜ、俺たち」

「えぇ。この街に侵入したファントムは全て破壊。ここに全部集めました。後はこれが自然に消えるのを待つだけです」

 

その場の全員が、一斉に沸き立つ。これまで人々が久しく感じていなかった、勝利という感覚に。

しかし、その中で一人、レーヴァテインを見つめる者が居た。

 

「・・・アマネ、お前さん・・・」

「ごめん、お爺さん。でも、やりたい事が・・・やらなきゃいけない事が見つかった」

「・・・あぁ、わかっておる。お前の事は赤子の頃から見ていたからな。・・・分かっておる、さ」

 

 

 

 

その夜。マスターは長老の元へ来ていた。

 

「・・・何の用じゃ、こんな夜に。こんな老体に無茶をさせんでくれ」

「無茶は、もうさせないために来たんだ」

「・・・旅に、出るつもりなのじゃろう?」

「長い旅になる。しかも・・・」

「アマネも、連れて行く。そうじゃな?」

「・・・何で」

「あの子の顔を見れば察しはつくさ。お前さんよりも長い時間一緒におったからな」

「止めるつもりか?」

「馬鹿を言うな。ワシのような老人のワガママで、若い者の未来を潰すなどせんよ。ただ、約束がある」

「約束?」

「この街が消えるその前に、必ず事を成し遂げて帰って来い。よいな?」

「あぁ、もちろん。その時はじぃさんに勝利の報告をしてやるさ」

 

彼はその言葉を言うと、その場から離れた。

その姿を目で追う老人は、咳によってそれを遮られる。

その咳には、血が混ざっていて。

 

「・・・もう、会えんかもしれんな」

 

 

 

出発の日、だったのだが。

 

「お前らだけで行かせる訳にはいかねぇ!」

 

と、村の若い奴等が集まって来た。たった3人、しかもその内2人が女性ときたら、まぁ心配に思うのは無理もない。

 

「いや、大丈夫だって」

 

そう言っても、彼らは止まらなかった。いくら説明しても、彼らは決して納得のいった顔をせず、もうどうすればいいのか分からなかった。

 

「おぉ、おぉ、どうにか間に合ったな」

 

その間を掻き分けて、長老が数人の男と一緒にやって来た。

 

「・・・?お前さん達、そんな大人数で旅するのか?」

「違うんだよ。こいつら俺達が心配だからってついて来ようと」

「ふむ・・・お前さん達にはこの男がそこまで頼りなく思えるのか?」

「いや、そういう訳じゃなくて・・・」

「なら共に行く必要はあるまい。そも、お前さん達がここを出たら、一体誰がこの街を守ると?」

「うっ・・・」

 

皆が一斉に黙った。確かにそうだ。いくら彼らが心配だからと旅を共にして、帰る場所が無くなっては元も子も無い。

 

「ところで、旅はどうする?」

「え?あぁ・・・どうする?」

「バイクでいいじゃん」

「あれ二人乗りだからなぁ・・・」

「考えておらんかったのか・・・まぁよい。それならばこちらで用意した甲斐があったという物。これを使いなさい」

 

付き添いの男たちが押してきたのは、サイドカー付きのバイクだった。

 

「これならば三人でも乗れる。持っていけ。そして・・・ティルフィング、だったか」

「はい。なんでしょうか?」

「・・・魔の剣の名を持つもの。その意味と結末を、ワシは知っている。それでも、その名前を持ち続けると、言うんじゃな?」

「えぇ。これは、力の無い私に与えられた、唯一の希望ですから」

「・・・ならば、何も言わんさ。老人のお節介だったな」

 

 

 

エンジンの音が、街を抜けていく。

背中合わせのレーヴァテインの熱と、ティルフィングの決意を持った表情。・・・俺達の旅はここから始まる。

 

「ティルフィング、確認させてくれ。あの神樹の内部に、この世界を変える鍵があるんだな?」

「えぇ、必ず」

「じゃあ、変えてやろうぜ。このしみったれた世界をさ」

「えぇ」

「ん」

 

 

その旅は、謎だらけの未知の旅。荒野の中に輝く、希望の物語。

 




神樹に向かうため、荒野を突き進む彼らはバイクの故障のために、途中にある街に立ち寄った。それは神を信じ、この世界の救いを求める者達が集まる聖教街と呼ばれる場所。そこで出会った心優しき少女「ヤクモ」。彼女はこの街の救いを疑問に思っていた。

「人が救われるためには、何かを犠牲にしなくてはならないんですか・・・?」


その場所で信仰される神、果たしてそれは、人間を救うのか。


次回「第二章 前編 カミサマ」
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