ORGA【鉄血のオルフェンズ×ARIA】 作:DDD弾血王オルガ・イツカ
初投稿。
水の惑星 1
長い夢を見ていた気がする。
果てなく長い旅の夢。
ある場所を求めて彷徨い続ける夢。
そこにたどり着ければ、きっと──
『当機はまもなく、惑星アクアの大気圏に突入します』
聞きなれない、機械的な声と台詞が耳に入る。別にそれが煩わしいわけではないのに、 眠りは解けていく。
「おはよう。オルガ」
聞きなれた、優しくて懐かしい声が聞こえる。それが嬉しくて朧げな世界は確信を持つように鮮明になる。
「おう。ミカ」
◇
「ここは、一体?」
目覚めたオレの視界には合理化されて無駄のない空間に羅列した座席に座る人々が映った。
座席の横側にある窓の外は真っ黒でポツポツと小さな明かりが見える。見覚えがある風景だ。
「宇宙船じゃないかな。普通の民間人が乗る。地球から出発したみたい。オレたちはこういうのに乗ったことないよね」
隣に座る、もう会えないはずの家族が平気な風で言う。そうだ。オレたちはもう会えないはずだ。だってオレたちは──
「ミカ、オレらはどうしてこんなところに……」
「昔オルガが言ってた。死んだあとは天国に行ってそこで皆んなとまた会えるって。その次は生まれ変わって、また会える。オレたちは繋がっているんだって」
オレとミカは生まれ変わったっていうのか? だけど、姿形は昔のまんまだ。ミカは小柄だけど逞しいやつで黒い髪の毛の男だ。今も記憶にある昔のミカも変わっていない。
オレも自分の顔は鏡がないことには拝めないが、色黒の肌にノッポな感じはどう見たって昔のオレそのものだ。知っている生まれ変わりとはなんだか違うような気がする。
ただ、こうして座っているといつもは気になる背中の突起物が無いようだった。
「生まれ変わりかぁ。ホントにあるなんてたまげたなぁ」
「オレも驚いた」
そう言うミカはクールなままで、そんなに驚いているようには見えない。周りを見て、今の状況を確認しているようだ。
スゲェよ、ミカは。
「なぁ、ミカ。この宇宙船はどこに向かってるんだ?」
オレより先にここにいて、今も環境に順応するためにシステムフル稼働のミカなら何かわかったかもしれない。
「ああ、それなら火星だよ。天井から聞こえる声が言ってた」
「火星⁉︎ そりゃ、あの火星か? オレらの故郷の」
「いや、火星は火星なんだけど、ここの火星はオレたちの故郷とは違う火星みたいなんだ」
違うってどう違うんだ? 火星といったら地球や月以外に人が住めるようになった星でオレたちが生まれたあの赤い星じゃねぇのか?
『みなさまにお知らせいたします。本船はただいま、電離層を抜けました。
到着までしばしの間、眼下の景色をお楽しみください』
宇宙船のアナウンスと思われる声がそう告げる。乗客の人々の顔には笑顔が見える。一体、何が起こるというのか。
程なくしてその現象は起きた。瞬きをしていた束の間に。
無いのだ。宇宙船の天井も床も壁も。自分らの座る座席以外が取っ払われて、それだけで空を飛んでいる。
「なんだこりゃ! 墜ちる! 墜ちちまう!」
ビックリ仰天して慌てふためき、思わず目をつむる。ミカの前ではカッコいいオルガ・イツカでいなくちゃいけないのに、みっともねぇ。
「オルガ、大丈夫。天井も床も壁も無くなってない。きっとスクリーンに外の映像が映し出されているか、壁や床が透明になったんだよ」
「なんだよ……」
驚いているのはオレだけ。ほかのみんなは外の景色を楽しんでいるようで、はしゃぐ声が辺りから聞こえてくる。
だったらオレも負けてらんねぇ。この瞬間をとことんまで生き抜く。それがオルガ・イツカだ。
覚悟を決めて目を開く。
そこには──
──そこにはどこまでも続く蒼色の空と海が広がっている。
オレの知る火星とは似ても似つかない。
青と白の世界がそこにはあった。
オレの筆は止まんねぇからよ。