ORGA【鉄血のオルフェンズ×ARIA】   作:DDD弾血王オルガ・イツカ

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水の惑星 2

 

 

 

『ようこそ。水の惑星「AQUA(アクア)」へ』

 船内にアナウンスが響く。

 ゆっくり下へと降りていく宇宙船。大パノラマは消えて元の白くて清潔的な空間に戻った。

「アクア? 火星じゃねぇのか?」

「今はアクアって言うんだって。一五◯年前テラフォーミングされて、上とか下の方の氷が溶けて水びたしになったってアナウンスが言ってた」

「へぇ。つうことはやっぱりオレらのいた火星じゃないんだな」

 オレらのいた火星のイメージは赤と黒。青と白のこのアクアとは真逆だ。

 

「さてと、ついたみたいだし、取り敢えず外に出ようぜ。何事も立ち止まってちゃ、進まねぇからよ」

「うん。そうだね」

 そう言ったものの、さっきの透過されたスクリーンだかのせいで、ビビってしばらく動けなかった。

 お先にどうぞと降りる人たちを見送る。乗客はあと数人ほどという頃にやっと足の痙攣が収まった。

 いつのまにか、懐に入っていたパスポートやらなんやらの書類にはしっかりとオレやミカの存在が証明されている。不思議なこともあるものだ。

 この際だから、出るのは最後でいいかと一番後ろに座っていた大柄の乗客を見送り出ることにする。

 その乗客はトレンチコートに帽子を深く被った謎の人物で横にも縦にもデカイ。宇宙船の座席と座席の間の通路を横歩きでギリギリ歩いていく。

 オレとミカの座る座席の横をその人物が通った。

 一瞬だけ目が合う。

 猫のような鋭い眼がこちらを見ていた。

 睨んでいるわけではない。

 あれはどちらかというと微笑んでいるようには見える。

 不思議な人だ。

 

 ◇

 

『マルコポーロ国際宇宙港へようこそ。ネオ・ヴェネツィアに観光のお客様は三番ゲートよりお進みください』

 気を取り直し宇宙船の外へと出る。

 凝り固まった体をほぐしながら案内通りに進んでいく。

「ネオ・ヴェネツィア?」

「昔、地球にあったヴェネツィアっていう街を再現した水上都市なんだって。他にもアクアには昔地球にあった街を再現した場所がいっぱいあるらしいよ。ここは特に観光地として有名らしい」

「地球か。そういえば海といえば地球だよな」

「うん。でもここの地球はマンホームって呼ばれてて、すごく発展しているんだけど、今の地球の海は訳ありらしいんだ」

「そっか。訳ありか。だからみんな海を見て喜んでいたんだな」

 しばらく空港を歩いていると景観が先の宇宙船に準じたものではないことが伺える。それはちょっと変だ。

 オレの知っている火星ではないことはわかったが、宇宙船で地球と火星を行き来できる。しかしオレの記憶では地球と火星を行き来するにはかなり時間がかかる。乗客の様子からしてそこまでの長旅には思えなかった。つまり、ここの技術はオレらの知っている世界よりも進んでいるって事だ。

 それなのになんでこの街は──

 

 どうやら言語に問題はないようで、問題なくオレとミカは空港の出口を見つける。

 ハイテクな自動ドアをくぐり抜けたその先には──

 

 大海と青空のもと。海の上に佇む建物。迷路のように張り巡らされた水路。夢物語の中でしかありえないはずの都市がそこには在った。

 

「なんだコイツは。まるで話に聞いた古代文明じゃねぇか。厄祭戦の前にあったっていう滅んじまった文明の再現なのか?」

 オレたちのいた世界で語り継がれてきた厄祭戦という人類の存亡をかけた機械との戦い。そこで途絶えてしまった人々の暮らし。

 話に聞く古代文明によく似た街がそこにはあった。

「地球暦2303年ってあるけど、オレたちの知ってる暦とは違うね」

「ああ、もしかしたらこの世界では厄祭戦や戦争が無かったからこんなに気の遠くなるほど暦の数字がでかいんだな」

「なんかそれいいね」

「そうだな」

 目の前にある青の世界はまったくの未知だ。これから何が起こるかわからない。だけどそれはオレがこれまで感じてきた不安ではなかった。

「よっしゃ。さっそく街をブラついてみようぜ。百聞はなんとやらだ」

「うん。行こう、オルガ」

 爽やかな潮風と優しい潮騒に見守られてオレたちは駆け出した。

 新天地ネオ・ヴェネツィア。ここでオレとミカの新しい世界が始まる。

 今まで感じなかったこの感覚。

 これはきっと。

 きっとワクワクだ。

 この世界にはある。

 きっとある。

 オレたちの。

 居場所が。

 

 

 

 

 

 

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