正義の味方   作:寄居虫

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同族嫌悪

ヲタクは面倒くさい。

 

俺はゲームヲタクだ。

 

つまり俺は面倒くさい。

 

ゲームヲタクは細かく細分化されている。

 

分け方にも色々あるが、一つはジャンルで分けられている場合だ。

 

対戦格闘ゲームが好きなヲタクは『格ゲー勢』と言われる。

 

シューティングゲームが好きなヲタクは『スコアラー』と言われる。

 

音ゲームを好きなヲタクは『音ゲー勢』と言われる。

 

他にはゲーセンのどこに生息しているかで分けられる場合もある。

 

ゲーセンのそのコーナーにしかいかない者が『鉄拳勢』『ガンダム動物園』などとくくられる。

 

本人達は『ガンダム勢』『エクバ(エクストリームバーサスの略)勢』と言っているが、奇声や鳴き声をあげる事が多いので周りからは侮蔑をこめて『ガンダム動物園』と言われているのだ。

 

贔屓のメーカーで分けられている場合もある。

 

格闘ゲームの中でもカプコンのゲームが好きなヲタクを『カプゲー勢』、アークシステムワークスのゲームが好きなヲタクを『アーク勢』などという。

 

それ以外にもジャンルではなく好きなゲームで分けられる場合も多く『ぷよぷよ勢』『ギルティ勢』『弐寺(ビートマニア2デラックスの略)勢』などと・・・とにかく細分化しようと思えば、いくらでも細かく分けられる。

 

ヲタクは『あいつらと一緒にするな』という拘りが面倒くさい。

 

その最たる例が『セガヲタク』だろう。

 

とにかくセガヲタクは『セガ人』『セガマニア』などに分けられる。

 

『セガ人』とは「古来からのディープなセガ好き」の事で本当に面倒くさい。

 

何が面倒くさいって「セガインタラクティブは『セガ』ではない。

 

『セガ』は死んだのだ。

 

『セガ』とは今は亡き『セガエンタープライゼス』の事だ」などと言う。

 

本当に面倒くさい。

 

そして俺は『セガ人』だ。

 

俺にしてみると『セガインタラクティブ』を何故『セガ』扱い出来るのかわからない。

 

SNKが韓国企業に身売りしてた時代に「『SNKプレイモア』のゲームは『SNK』のゲームじゃない」という理屈が理解出来て何で「『セガインタラクティブ』は『セガ』じゃない」という理屈が理解出来ないのかわからなかった。

 

これだけ細かくヲタクを分類するのはヲタクだけだ。

 

非ヲタクにしてみると『ヲタク』は同じ一くくりでしかない。

 

ゲームヲタクもアイドルヲタクもアニメヲタクも同じなのだ。

 

バイトの後輩が言う。

 

「先輩、ヲタクなんですよね?

 

じゃあ、AKB48とか好きなんですよね?」

 

俺がAKB48を好きとか有り得ない。

 

他のアイドルが好きという可能性はあるが、よりにもよってAKB48とは・・・。

 

『セガ人』にとって秋元康とは、セガの仇敵だ。

 

セガが死んだ一因は『ドリームキャストの失敗』だろう。

 

そして当時のドリームキャストのプロデューサーこそが秋元氏その人なのだ。

 

秋元氏はドリームキャストと運命を共にするどころか、沈没船から逃げ出すネズミのようにドリームキャストを見捨てた。

 

しょうがない、セガから著名人である秋元氏に名前を借りようと「プロデューサーになって欲しい」と依頼したのかも知れない。

 

今後、秋元氏がゲーム業界に近付かないなら何時までも恨み節を言っているべきではない。

 

しかし秋元氏はAKB48のゲームを出す。

 

「この首なしメガネ豚が!」

 

セガ人の怒りがピークに達したのは想像に難くない。

 

なので俺はAKBグループのアイドルがテレビに出てくるとテレビを消す。

 

だが非ヲタクにしてみると俺は『AKBヲタク』と大差ないのだ。

 

そんなこんなもあり俺は『ドルヲタ(アイドルヲタクの略)』拒絶反応を示した。

 

そんな理由がある拒絶とは別に俺は『声優ヲタク』、『声ヲタ』『声豚』に拒絶反応を示した。

 

何故だろうか?

 

セガの末期に『セガ最後の打ち上げ花火』として『サクラ大戦』が作られ、大量にセガハードに『声豚』が流れ込んで来て『声豚』を見ると『セガの末期』を思い出すからだろうか?

 

ハードの末期は何故か『ギャルゲー専用機』と化す。

 

ドリームキャストもその例に漏れず沢山のギャルゲーが発売された。

 

ギャルゲー専用機と言えば『声豚御用達』とも言える。

 

『声豚』がいる、という事は『セガ敗北の歴史』を思い出す、と言う事で俺は見たくないのかも知れない。

 

しかしゲームと声優は切り離せない。

 

ファミコン時代ならいざ知らず、ゲームのキャラクターにもほとんど声優が声をあてている。

 

しかも『シュタインズゲート』など元々ゲームだった物をアニメ化するというのも珍しくない。

 

アニメは『声豚』のホームグラウンドだ。

 

違法にアップロードされたアニメもある。

 

だが、権利者の許諾を得て期間限定でアップロードされたアニメもまたある。

 

そういったアニメを見ていると・・・。

 

「さすが○○(声優の名前)さん演技が上手い」

 

「さすが声優」

 

「○○(声優の名前)www」

 

・・・というコメントで溢れている。

 

俺は拒絶反応を感じると同時に頭に血が昇る。

 

「誰がその役やってるかなんて普通は興味ないんだよ!

 

オメーらアニメ映画で芸人や人気芸能人が声優やってると『ファンに媚売ってる』って言うじゃねーか!

 

オメーらが『どの声優が声をあててるのか』に拘るなら同じ事じゃねーか!」

 

しかし非ヲタクはそんな事は気にしないという。

 

それを気にするのは『俺がヲタクだから』だ。

 

要するに同族嫌悪なのだ。

 

ラノベやアニメを見て「また俺TUEEE!かよ」「また異世界物かよ」なんて事を言うのもまたヲタクと言うのと同じである。

 

「・・・と言う訳で水争いが隣の村との間に起きております。

 

先代の村勇者は隣の村の村勇者との争いで相討ちになり命を落としました。

 

是非とも我々の代わりに隣の村の村勇者と戦っていただきたい。」村長が言う。

 

さっき『戦わなくても良い』って言ってたじゃん。

 

昔日本でも水は争いを生む元で『我田引水』など、水を巡るトラブルの痕跡は今でも残っている。

 

でも何で俺が何の思い入れもない村と連中のために命をかけて戦わなくちゃいけないんだよ?

 

俺にとってはどうでも良い事でも村人にとっては大事なんだろうな。

 

しかしコイツらは『水は大事だ』って同じ思いを抱いてるんじゃないか?

 

何で仲良く水を半分ずつ出来ないんだろ?

 

コイツらが相手に抱いてる恨みは相手もコイツらに抱いてる恨みな気がする。

 

結局は『同じ穴の狢』『同族嫌悪』なんだろう。

 

馬鹿馬鹿しい。

 

俺がかつて大騒ぎしてた事も、興味ないヤツにとっては本当にどうでも良い事だったんだろう。

 

しかしコイツら、俺の名前も聞かないで名前も知らないヤツに命がけで村を救わせようとしてんのか。

 

本当に良い性格してんな。

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