バンドリの彩ちゃんがポケモンの世界を冒険するようです。   作:なるぞう

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第二十五話 探検!冒険!サファリパーク!

ウノトキシティにはシンシュー唯一のサファリパークがある。シンシュー屈指の人気観光地であるここは、小さい街程度の広大な敷地で放し飼いされているポケモンの展示は勿論、年中無休で様々なイベントやアトラクションを行っている。それは、ヤナップ、ヒヤップ、バオップ達のダンスショー、全国各地の有名なポケモントレーナーを呼んで行うエキシビジョンマッチ、深夜のパークを探検するツアーなどなど、どれもクオリティは天下一品だ。だがこのパークで一番目玉であるのは常時開催している『ポケモン捕獲ゲーム』である。これはパーク内でだけ使える『サファリボール』という緑色のボールやエサや泥を使って、パークのポケモンを捕獲するというゲームであり、なんと捕まえたポケモンはそのまま持ち帰ることもできるのだ。そうと聞いては見逃すわけにはいかない。アヤとヒナも早速サファリパークに行き、このゲームに参加したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「よーし、一杯ゲットするぞ~!」

 

「おーっ!

 

ゲーム開始直後、アヤとヒナはポケモンが生息しているエリアの門の前で意気込んだ。そしてアヤはエリアのマップを広げた。

 

「えっと、すぐそこが草原エリアで……、他には花畑エリアに山エリア、砂漠エリアに沼地エリア……。ほかにもいっぱいあるな。とりあえず花畑エリアとかよさそう!ねぇヒナちゃん、まずは——」

 

だがアヤが声をかけたとき、ついさっきまで真横にいたヒナはいなかった。慌ててヒナを探してみれば、彼女はもう門のはるか向こうで意気揚々と歩いている。

 

「あっ!ちょっと待ってよ!ヒナちゃーん!おーい!」

 

このままでは二人ははぐれてしまう。アヤも駆け足で門をくぐったのであった。パーク中に聞こえるような叫びをあげながら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、どうにかこうにかしてアヤはヒナに追いついた。だが、本番はここからだった。ここにきてアヤの中に眠っていたドジっぷりやおっちょこちょいさが見事に発揮されてしまったのだ。投げたボールは当たらないし、お気に入りの髪留めのゴムをどこかに落とす。池に行ったら踏み外して全身ずぶぬれに。沼地エリアでは転んで全身泥だらけ。一番奥の山エリアに着いたとき、アヤは心身ともにボロボロであった。さらに残念なことに、その真横でヒナがピンピンしているせいで、その悲惨さはより際立っているのだ。

 

「あーあー、今日はついてないな……」

 

アヤは近くの岩に座割り込んだ。もうボールもない。抑えようとしても自分のあまりにもダメダメすぎてため息がでる。ところがその横でヒナは妙に目を輝かせていた。

 

「そうかなぁ、私は面白かったけど。アヤちゃんが池に落ちたり、ぬかるみにはまったり、バッフロンに追いかけまわされるところとか!あとあんな大きなドラピオン相手に6回も連続でボールを外すのはすごいと思った!とにかくどれも私ひとりじゃありえないことだから見れてすっごいるんってきた!アヤちゃんってやっぱり面白いなー」

 

「ヒナちゃん……、それ褒めていないでしょ……。そんなこと言われても嬉しくないよ~!」

 

どれも悪気はないことは分かるのが責め手の救いである。それでもどこか心がズキズキ痛むのは変わらない。もちろんため息が泊まることはなかった。逆に増える一方である。

 

「私ってポケモントレーナーに向いてないのかな……」

 

アヤは嘆いた。すると、それを見計らったかのような見事なタイミングで一匹のポケモンが岩陰から飛び出してきた。

「ゴローッ!

 

出てきたのはゴローン。だが、それはアヤが知るゴローンとは違った。なんと色が岩石のような灰色ではなく、眩い金色なのだ。つまり、このゴローンは色違いなのである。

 

「えっ……、どうしよう……!」

 

色違いのポケモンは非常に珍しい。ポケモントレーナーの中には色違いのポケモンを集めることに全てをささげるというトレーナーもいるということを、アヤも以前聞いたことがある。そうとなればアヤもトレーナーの端くれとしてぜひ手に入れたいところだが、ここで問題が起きた。実はアヤ、落としたり無駄に外したりしたせいでサファリボールの残りがゼロなのである。これでは捕まえることができない。と思っていた矢先、ヒナが何かが入った袋を差し出してきた。

 

「はいアヤちゃん、私の分のサファリボールあげる」

 

「えっ、いいの……?」

 

「うん!だってポケモン捕まえるよりアヤちゃん見ていた方が面白いんだもん!」

 

「うぅ~、なんか複雑な気持ちだけどありがとう!」

 

ヒナはまだ一つもボールを使っていなかったため、残量は十二分ほどある。

 

「よし!絶対ゲットするぞ!」

 

アヤは一発目のボールを投げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 アヤと色違いゴローンの格闘は想像を絶する長さであった。ゴローンはゴローンで中々逃げないし、アヤはアヤで中々ボールを当てられない。仮に当たったとしてもすぐにボールから出てしまう。そして時間はたち、ついにアヤのボールは一つになってしまった。

「頑張れー!アヤちゃん!」

 

後からはヒナの声援がする。それを受け、アヤも大きく息を吸い吐く。泣いても笑ってもこれが最後の勝負だ。

 

「よし……!いけ、サファリボール!」

 

アヤの手からサファリボールが離れる。そしてそれはゴローンの頭に向かって真っすぐ飛ぶ——と思いきやギリギリ当たらず、むなしい音を立て近くの岩でバウンドし、何処かの岩陰に飛んでいった。色違いのゴローンはそれをあざ笑うかのように、去っていった。

 

「うそ……色違いの……ゴローンが……」

 

アヤの心に喪失感という名の穴が開く。さらに追い打ちをかけるように、今さっき外したサファリボールが虚しい音を立てながら足元に転がってきた。

 

「あれ……?」

 

だがそのボールを拾い上げたとき、彼女は目を疑った。なぜかそのボールは空ではなく、中身が入った状態だったのである。状況的に考えられる原因は一つ。さっき外したボールが跳ね返った拍子に偶然、ゴローンとは別のポケモンに当たったということしか考えられない。

 

「一体なにがゲットできたんだろう……?」

 

生憎、無許可でサファリパーク内でポケモンをボールから出すことは禁止されているので今すぐ中身を確認することはできない。こうしてアヤとヒナは、未知なる新たな仲間に胸を躍らせながら波乱のサファリパークを後にしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして一時間後、アヤとヒナは街の中でもひときわ賑わっている広場にいた。目的は勿論、アヤが偶然ゲットした新しいポケモンと初対面するためである。

 

「さーて、どんなるんってするポケモンが入っているのかな~?アヤちゃん、早く開けてよ!」

 

「う、うん……!」

 

アヤの胸も期待でもはや限界まで膨れ上がっており、今にも破裂しそうだ。可愛いポケモンかな、それともたくましいポケモンかな……。様々なイメージがアヤの脳裏を横切った。

 

「よーし、出ておいで!私の新しい仲間!」

 

そして、ついに心を躍らせながらアヤはボールを投げる。するとどうであろうか、アヤとヒナを巨大な影がすっぽりと覆いつくした。目の前に現れたのは巨大な鉄壁……。いや、全ポケモン屈指の巨体を誇るハガネールだ。

 

「ネール!」

 

ハガネールの咆哮が街に轟く。まさかこんなバカでかいポケモンが入っていたとはだれが予想しただろうか。アヤが腰を抜かしたのは言うまでもない。

 

「え……えぇ……!」

 

彼女から悲鳴でもない驚きでもないよくわからない声が出る。すると、そんな彼女のところにハガネールがその迫力満点の顔を近づけてきた。

 

「ネール?」

 

だが、今度はアヤが怖がらないような優しい声だ。どうやらこのハガネール、怖そうな見た目に反し、結構人懐っこい性格のようだ。その証拠に、強面についている2つの目は澄んでいる。よって、アヤもハガネールの性格に気が付くのには時間はかからなかった。

 

「えへへ、さっきは怖がっちゃってごめんね。心配しなくてもいいよ、ハガネールも今日から私の仲間だから」

 

彼女はそーっとハガネールの下あごに手を伸ばしなでた。

 

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