バンドリの彩ちゃんがポケモンの世界を冒険するようです。 作:なるぞう
あと今回はちょっとキャラ崩壊注意です!苦手な方は注意してください!
ハガネールを手に入れた日の夜、ポケモンセンターの宿泊部屋でくつろいでいたアヤのもとにマリナ博士から電話がかかってきた。
「あっ、マリナ博士!」
『アヤちゃん久しぶり~。元気にしてた?冒険はどう?』
アヤがシグレタウンを出てからマリナ博士も自分の研究で忙しく、アヤと連絡する時は今回を除くと一回しかない。ましてや前回はリゲル団のことについての相談だったため、呑気に話せる空気ではなかった。そのためゆっくり話すのは今回が初めてである。
「——あっ、はい!……そうなんですよ~!」
久々に聞く懐かしの声。思い出話は盛り上がる一方だ。
「アーヤちゃん!誰と話しているの?」」
ところが、反対の耳から聞き覚えがある声がすると同時にアヤの手から図鑑がぶんどられた。犯人はシャワーから戻ってきたヒナだ。
「もしも~し?話しているのは誰ですか~?アヤちゃんの友達?」
そして、あたかも自分のものであるかのようにしゃべりだした。マリナ博士もこれにはびっくりだ。
『えっと……。どちら様でしょうか……?』
「私?私はヒナ。アヤちゃんと同じポケモントレーナーだよ!」
『ヒナ……?あぁ!キミがヒナちゃんなんだ!さっきアヤちゃんから話は聞いたよ。一緒に旅しているんだってね。あっ、そういえば自己紹介がまだだったね。私はマリナ。これでも伝説ポケモンや幻のポケモンの研究をしている研究者なんだ』
「研究者?それって物知りな人のことだよね?」
『物知り……?まぁ、そうなるかな?』
「うわぁ~!それじゃあさ、なんかこうるんってくる場所知らない?ちょうど私達、次に行く場所決めていたんだ!」
この時、アヤの目には電話の向こうで困惑しているマリナ博士の顔がはっきりと見えた。
『るん……?それって楽しいところって意味かな?う~ん……、特別な楽しい場所は知らないなぁ。でも、景色がきれいな場所なら知っているから、そこを教えてあげようか?』
「うんうん!教えて教えて!」
ヒナの目の輝きが増す。するとヒナは図鑑をベットに置き、スピーカーモードにした。どうやらアヤと一緒にマリナ博士お勧めの場所を聞くつもりのようだ。
『私がお勧めするのはズバリ『月の楽園』!ここには大昔、シンオウに伝わるとある伝説ポケモンが現れたっていう言い伝えがあるんだ。しかも最新の研究でこの言い伝えが、ただの言い伝えじゃなくて本当に起きた出来事なんじゃないかっていう説も出ていて、今研究者の間で一番ホットな……。あっ、ごめんごめん。そんな研究の話はどうでもよかったね。とりあえず、月の楽園って場所はすごく景色がきれいな場所なんだ。特にきれいなのは満月の夜!』
「満月の夜……。るんってきたーーーーー!ねぇ、マリナさん!その月の楽園ってどこにあるの!?」
『ホマチシティとハルサメシティの間、11番水道の西側にあるよ。道のりがちょっと険しい上に、街から離れているせいで観光客はほとんどいないけど、苦労していく価値はあると思うよ。私も1回見たことあるけど、あれは一生忘れないだろうな』
「そんなに綺麗なんだ!う~んるるるるるんってきた!マリナさん、ありがとね!」
そう言うと、ヒナはアヤが止める間もなく電話を切った。直後、アヤに月の楽園に行こうとせがんだのは言うまでもない。
そんなわけで数日後の夜、アヤとヒナは月の楽園にいた。そこはもはや大自然の美しさを凝縮した場所といっても過言ではない。見渡す限り、一面の緑。ところどころにある小さな池は雲一つない夜空を映している。そして極めつけはそれを照らす、今にも手が届きそうなほど大きな満月。おかげでどれも淡く、神秘的な光を放っている。ここまでの道中は今までの冒険でも5本の指に入るほど過酷であったが、その苦労を忘れるほどの大絶景だ。写真では決してこの感覚は伝えきれない。ここにたどり着いた人だけが味わえるご褒美ともいえるだろう。
「うわぁ、すごくきれい……」
「うん……」
アヤはもちろん、ヒナも何もしゃべらず景色を楽しみながらのんびりと歩く。そこはまさに二人だけの世界……、と言いたいところだが、遠くの方に人が見えた。
「あっ、あの人も景色を見に来たのかな?ちょっと話しかけてみようよ!おーい!」
突如、ヒナが走り出した。アヤもそれを追いかける。
「こんばんはー!キミも景色を見に来たの?」
そしてヒナはその人影にいきなり話しかけた。
「ヒッ……!だ……、誰……?」
するとその人影の顔がヒナと、ようやく追いついたアヤの方を向いた。月明かりに照らされる顔には見覚えがある。人影の正体はリンコだった。2人にとって、これで三回目の遭遇だ。
「なんだ……、アヤさんとヒナさんでしたか……。よかった……。知っている人で……」
リンコもアヤとヒナと分かるとホッと胸をなでおろした。まぁ、自分しかいないと思っている空間で急に声を掛けられたら誰でも驚くだろう。
「久しぶりですね……。2人とも……元気そうで何よりです……。まさか……、また会えるとは思ってませんでした……」
「はい、私もびっくりです。でも、またリンコさんと会えてうれしいな」
優しい光の中でリンコとアヤは笑顔をかわす。一方のヒナは、リンコの足元に落ちていた数冊の本をパラパラとめくっていた。
「これってリンコさんの本なの?どういう本なの?」
「これは……推理小説で……、こっちが神話の本で……。これが『
「リンコさんって本が好きなんだ!」
「はい……。もしよかったら……、ヒナさんも読んでみますか……?」
「えっ!いいの!?読む読む!どれがいいかな~」
本をあれこれ物色するヒナを見守るリンコの表情はとても優しい。見ているアヤまで和むほどである。
「私……、こういう静かで人気がない場所が好きなんですよね……」
すると突然リンコがアヤに話しかけてきた。
「仕事柄……人前に立たなければいけないことが多いんですけど……、私、大勢の人の中にいることは……得意じゃないんですよね……。まぁ……、好きなことだから、今の仕事を選んだこと……後悔はしてはないんですけどね……。ただ、いつも人前にいると疲れちゃうので……、たまにこういう場所で……、一人の時間を楽しむんです……」
「一人の時間を楽しむ……?もしかして私達、邪魔しちゃいました?」
「大丈夫ですよ……アヤさん……。もう十分一人の時間は楽しめましたし……、なにより……、あなた達とは一度話をしてみたかったので……。よかったら……、その……、すこし私と……この辺を歩いてみませんか……?」
意外な申し出であったが、アヤが断る理由はない。アヤとリンコ、そしてヒナは三人で夜の散歩を楽しんだ。
3人の会話は思った以上に楽しいものだった。リンコの話はどれも、2人が知らないような面白い話ばかり。話のネタは尽きることがない。と、思われたが、この和やかなムードもあまり長くは続かなかった。遠くの方に、大自然に似合わぬ、人口的な明かりがこうこうと放たれているのを、3人は見つけたのだ。
「なんだろ……あの光……?」
アヤは直感的に嫌な予感がした。そして、それは見事に的中。その明かりの下では見覚えのある黒い服や白い服を着た人が数人うごめいている。リゲル団の幹部と下っ端だ。よくよく目を凝らせば、明かりのもとでは様々なポケモンが、鎖や縄で縛られ、逃げようがない状態でモンスターボールに入れられている。
「リゲル団……、今度は何を企んでいるんだろう?」
「わからないけど、あんなことするなんて許せない!いこうよ、アヤちゃん!」
しかし、アヤとヒナが走り出そうとしたとき、リンコがスッと前に出て二人を遮った。
「待ってください……。ここで迂闊に戦えば……、この自然が……壊れてしまいます……。私も……、今すぐにでも……あのリゲル団を……ぶっ殺してやりたいところですが……、ここはなるべく穏便に……、話し合いで解決しましょう……。力づくで解決するのは……、あくまで最終手段です……」
そう言うと、リンコはスタスタと歩いて行った。
「ねぇヒナちゃん……、本当に話し合いで上手くいくのかなぁ?」
「う~ん、どうだろう……」
なんだか嫌な予感はするが、確かにリンコの言うことも一理ある。結局2人も顔を見合わせながら、リンコについて行ったのであった。
結論から言おう、リゲル団との話し合いは案の定決裂した。
「ヒャハハハ!この俺たちに作戦を『止めてくれ』っていうのか?いい度胸しているねお嬢ちゃん!」
3人は完全に囲まれ、煽られまくられた。だが、言い出しっぺのリンコはそれが始まってから黙り込んでいる。それをいいことに、リゲル団のあおりは加速する一方。だが、ついにヒナが反撃に出た。
「うるさいな~!さっきから黙っていれば人の悪口ばっかり!悪いことをしている人にあーだこーだは言われたくないね」
すると近くにいた女幹部が彼女を鼻で笑った。
「悪い事とは失礼な。私たちは、『3日以内に大量のポケモンを、手段を選ばず捕獲して来い』という命令を忠実にこなしているだけ。そのために、ポケモンが多いこの地で、彼らの寝込みを襲って効率よく捕獲しているだけよ」
「我らがリーダーサヨ様は言った。『犠牲無くして勝利は無い』と。これも世界平和のためよ。悪く思わないでちょうだい!」
さらにもう一人の女幹部もそこに畳みかける。静かな地に、不穏な高笑いが響いた。
「世界平和のため?これのどこがそうなの!?」
もはや黙ってられなかった。あまりのひどさに、アヤも拘束されたポケモンたちに指をさしながら加勢。しかし、リゲル団は詫びる気配すらない。
「なんだ嬢ちゃん?この俺たちに文句があるのか?」
「それなら八つ裂きにされても文句はないだろうな?」
すると、ニヤついた下っ端がボールを片手にアヤに迫ってきた。気が付けば周の下っ端や幹部たちもゲッコウガやマグカルゴ、コロトックといったポケモンを繰り出している。その数およそ10体。彼女が涙目になったのは言うまでもない。だが、ここで長いこと沈黙を貫いてきたリンコが口を開いた。
「さぁ……、八つ裂きにされるのは……どっちでしょうかね……」
彼女の顔は相変わらず穏やかだが、その目は全く穏やかではない。さらに、この時アヤとヒナは見てしまった。リンコがさりげなくボールをポケットから取り出し、ボールを握った腕を怒ワナワナ震わせているのを。明らかに臨戦態勢に入っている。こうなっては、もはや穏便に解決する手段は立たれた。
「お願い、キルリア!」
「いけ、ポリゴンZ!」
アヤとヒナは同時にポケモンを繰り出した。しかし、ここでリンコが再び彼女たちの動きを止めた。
「2人とも……待ってください……。ここは……私だけで十分です……」
「そんな!こんな大人数、1人じゃ無理ですよ!キルリア、シャ——」
「大丈夫だといっているのが……分かんないんですか……?」
アヤの声を遮ったリンコの声には、気のせいか苛立ちがこもっている。これにはアヤも言うことを聞かざるを得ない。こうしてリンコの、一見無謀にしか見えない戦いが始まった。
「ゲンガー……、お願いします……」
「ゲーッ!ゲッゲッゲッッゲ!」
リンコが繰り出したのはゲンガーだ。その不気味な笑い声は、聞いているだけで背筋が凍りそうである。ところがリゲル団は退く様子はない。
「行くぞ!お前ら!ゲッコウガ、悪の波動!」
「コロトック、シザークロス!」
「マグカルゴ!火炎放射!」
リゲル団のポケモンの攻撃が、四方八方からリンコのゲンガーに襲い掛かる。だが、リンコは微動だにしなかった。
「命知らずの……雑魚ですね……。この私に……逆らったこと……後悔させてあげましょう……。ゲンガー、シャドーボール!」
「ゲーッ!」
ゲンガーの周りに黒い影の塊が現れる。それも一つではない。2つ、3つ……、その数はどんどん増えていく。そして、ゲンガーに攻撃が当たる直前、それらは一斉に発射され、全弾敵に直撃した。
「ガッ!」
「グゴッ!」
「ロ~ク……」
それは一瞬の出来事であった。たった一撃であれだけいたリゲル団のポケモンが全滅したのだ。
「なに……!あれだけいたのに……!ハッ!そういえば、このゲンガーと黒い髪の女、何処かで見たことあるぞ……。確かコイツは……!クソッ!なぜここにいる!?」
その時、1人の男幹部が舌打ちをしながら顔を強張らせた。勿論、アヤとヒナにはこの意味が分からない。だが、リンコは分かったようで、不敵な笑みを浮かべた。
「あっ……、私のことようやく気が付いてくれましたか……?で……、どうしますか……?私の正体を知ったうえでまだ抵抗しますか……?私は全然かまいませんよ……全員まとめて……地の底に……堕とすだけですから……」
間もなく、例の幹部の耳打ちの影響でリゲル団に動揺が広がった。あるものは歯を食いしばり、ある者はおびえ、目に涙を浮かべている。
「チッ……。仕方がない、ここは退くわよ!ポケモンも好きにしなさい!」
結局、リゲル団たちは女幹部の指示でポケモンを残したまま何処かへと消えていった。
「ゲンガー……、この明かりを破壊して……」
間もなく、ゲンガーがリゲル団が持ち込んできた照明を木端微塵に破壊したため、月の優しい光が戻ってきた。そして、その後3人は協力してとらわれたポケモンを解放し、事件を無事終わらせたのであった。
「よかった……、何とか解決して……。ねぇキルリア?」
「キルル~」
全てが終わり、一息つくアヤとキルリア。だが、ヒナはリゲル団が去っていった方角をジーっと見ていた。
「おねーちゃん……、どうしてあんなポケモンを粗末にするような命令を出したんだろう……。昔のおねーちゃんなら絶対にそんなことしなかったのに……」
ヒナはボソッと呟く。
「どうかしたんですか……ヒナさん……?なんだか……、とても悲しそうですが……。それにおねーちゃんが命令をって……、どういうことなのですか……?」
するとそこへリンコが隣にやってきた。その表情は、先ほどまでのいら立ちが漂うものではなく、実に穏やかなものである。
「あっリンコさん……。実はね……」
そのせいか、ヒナも自分の思っていることを何の抵抗もなく話せた。勿論、姉のサヨののことも含めてだ。
「——なるほど……、つまり……ヒナさんはリゲル団のリーダーサヨの妹なんですね……。それで……、昔との余りの違いに……戸惑っていたと……」
「うん……。まぁ、おねーちゃんをそうさせちゃったのは私のせいなんだけどね。だから、私はせめてもの責任をとってリゲル団を倒すことにしたの。アヤちゃんと一緒にね」
ヒナの視線がアヤの方に向く。彼女はそれを受け、力強く頷いた。
「フフフ……。よかったですね……ヒナさん……。頼もしい仲間がいて……。それじゃぁ……私も応援としてこれを……2人に……」
リンコはポケットから2つのアメを取り出した。
「これは……不思議なアメという道具で……、ポケモンのレベルを上昇させることができる道具なんです……。その……、よかったら使ってくださいね……」
「そうなんですか?ありがとうございます」
そしてアヤは、アメをもらうが否や早速不思議なアメをキルリアに与えた。
「キルッ?」
するとどうであろうか、キルリアの体が突如光り輝いたのだ。
「これは……もしかして……!?」
アヤもこの光は何度か見たことがあるものである。
「サーッ!」
光が消えると、楽園に透き通るような美声が響き渡った。キルリアは見事、最終進化系のサーナイトへと進化を遂げたのである。
「これが……サーナイトか……」
その美しい見た目に見とれていると、サーナイトはアヤの方に右手を伸ばしてきた。どうやら握手をするつもりのようだ。
「これからもよろしくね、サーナイト……」
彼女たちはこれからも支えあうことを誓い、握手を交わした。
「おめでとうございます……アヤさん……。これは……、見事なサーナイトですね……。あっ……、そうだ……!」
すると、そんな仲睦まじい彼女たちを見てリンコはまた何かを取り出した。今度は、宝石のように輝くまん丸い石だ。
「これは……?」
それを見たアヤは当然首をかしげる。リンコは微笑みながらこの石について話し出した。
「これは……『サーナイトナイト』というメガストーンと呼ばれる石の一種で……、これを特定のポケモンに……、この場合はサーナイトに持たせておくことで……、進化を超えた進化……『メガシンカ』をさせることができるんです……。私……、サーナイトナイトは2つ持っているので……、よかったらアヤさん……、これもらってくれませんか……?」
「メガシンカ……?よくわからないけどすごそう……。ありがとうございます!」
アヤはサーナイトナイトをもらうと早速それをサーナイトに持たせ、叫んだ。
「よーし、サーナイト!め、メガシンカ!」
しかし、何も起こらない。そして、それと同時にリンコはハッとした。
「あ……!言い忘れてました……。メガシンカを使うには『キーストーン』っていうものを……トレーナーが持っていないと使えないんです……」
「そうなの……?」
アヤはおもむろにがっくり肩を落とした。
「そんなに落ち込まないでください……アヤさん……。キーストーンが無ければ……、手に入れればいいんです……。確か……、ハルサメシティのレックウ寺で認められれば……キーストーンが貰えたはずです……。まぁ……、もらう段階になる前に挫折する人も多いらしいですが……。でも……、きっと……アヤさんとサーナイトなら……問題ないと思います……」
「うぅ……。なんか不安だけど、何事もチャレンジだよね。よーし!それじゃぁ、キーストーン目指して頑張っちゃうぞー!」
アヤの元気一杯の声が、夜空に響いた。
ちなみにりんりんのあの性格のモデルはコンボイ司令官とその他のサイバトロン戦士(わかる人だけわかってくれればいいや☆)