バンドリの彩ちゃんがポケモンの世界を冒険するようです。   作:なるぞう

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リュウコの石塔は漢字で書くと竜虎の石塔です。『竜』と『虎』のモデルが誰かは、暇だったら考えてみてください。


第三十三話 決戦の塔

 数百年前、この世界には『竜』という異名を持つ英雄と『虎』という名で恐れられる英雄がいた。両者は互いの野望と理想を成し遂げるため大軍を率いて、12年間の間に5回もこのシンシューを舞台に激戦を繰り広げた。この戦いは幾多の伝説や伝承を生み、とくに4回目の戦いのときに両軍の大将である両雄が、混戦のど真ん中で一騎打ちを繰り広げたという伝説は有名であり、一騎打ちがあったとされる地には、彼らの勇ましさを称えるために建てられた石塔がある。これがリュウコの石塔だ。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、リゲル団の基地から脱出したリンコ、ヒナ、そしてアヤの3人はリュウコの石塔のすぐ近くまで来た。だが、リュウコの石塔の入り口の前にはリゲル団員が待ち構えている。その数は何十……、いや100人は確実に超えている。何度もリゲル団と戦いを繰り広げている彼女達ですら、かつて見たことがない人数だ。どうやらサヨは作戦を成功させるべく、可能な限りの戦力をここにつぎ込んだようである。簡単には頂上には行かせてはくれないだろうということは予測済みだったが、流石にこの規模は想定外だ。

 

「こんな大人数……、どうすれば……」

 

それを目にしたアヤの足が思わずすくむ。しかし、リンコは全く動じず前へ進み出た。

 

「そんなに……心配することはないですよ……。アヤさんと……、ヒナさんなら……問題ないです……。なにしろ……、相手は……数だけが多い……ゴミクズ同然の雑魚ですから……。私が先陣を切るので……、中央突破しましょう……」

 

リンコの手から2つのボールが投げられ、ゲンガーとシザリガーが姿を現した。それを宣戦布告と受け取り、リゲル団員たちも次々とポケモンを繰り出す。アヤとヒナも、それぞれポケモンを数匹ずつボールから出した。

 

「ゲンガー、シャドーボール!シザリガー、クラブハンマー!」

 

ここで、リンコが声を上げた。ついに戦いの火ぶたが切ってとされたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、リンコの読みは大幅に外れた。下っ端から幹部に至るまで想像以上に強かったのだ。それもそのはず、リゲル団員たちは自分のポケモンたちに違法な薬を飲ませてドーピングしていたのである。途中でリンコ達もそれに気が付いたが、その時にはもう手遅れ。数で圧倒的に劣る3人はリゲル団に取り囲まれてしまっていたのだ。

 

「ゲンガー、撃って撃って撃ちまくれ!」

 

「ラグラージ!クマシュン!」

 

「サーナイト、戻って!いけ!カブトプス!」

 

それでもリンコもヒナもアヤも諦めずに応戦するが、戦況は芳しくない。倒しても倒してもきりがないのだ。どうやらリゲル団、ドーピングに加えて為にため込んだ元気の塊や元気の欠片を使いまくっているようだ。

 

「これじゃキリがないよ!」

 

ついにアヤから弱音が漏れる。と、そこに追い打ちをかけるかのように一匹のアーケオスがアヤに飛び掛かってきた。

 

「……!」

 

恐怖のあまり、彼女からは悲鳴すら出ず、頭に手を覆いしゃがみこむ。だがそれと同時に大地が揺れる足音が轟き、大木がメキメキと割れる音が響いた。

 

 

「ゴラース!」

 

そして轟く、怪獣のような、いや恐竜のような叫び。次の瞬間、アーケオスはその叫びの主に噛みつかれ、そのままひょいっと何処かへ投げすてられてしまった。

 

「えっ……」

 

恐ろし気な音に驚き、ゆっくりアヤが顔をあげると、目の前にはガチゴラスが悠々と立っていた。

 

「大丈夫ですか、アヤさん?」

 

急なガチゴラスの襲来に戸惑っていると、その首の向こうからひょこっととある少女が顔を覗かせた。ハナノシティのジムリーダーマヤだ。

 

「マヤちゃん……!?どうしてここに……!?」

 

それを見た瞬間、アヤはあまりの衝撃に叫びをあげた。すると、マヤは照れくさそうに笑った。

 

「フヘヘ~、何やらリュウコの塔で騒ぎがあるって聞いたからジムリーダー全員で駆けつけてきたんですよ」

 

「ジムリーダー……、全員……?」

 

と、アヤが首をかしげていると周囲に流星群が降り注いできた。慌てて空を見上げればランがフライゴンに乗り、リザードンに乗ったトモエと一緒に縦横無尽に空を駆け巡っているではないか。さらに地上に目を戻せばアコのアブソルがリゲル団の陣地のど真ん中で暴れて、彼らの連携をひっかきまわしている。そして、奇襲に混乱したリゲル団員はもれなくカノンのエンペルトと、リミのミミッキュの餌食となっていた。さらに別のところに目を移せばタエのホルードことおっちゃんと、ハグミのゴウカザルがリゲル団相手に無双。ハグミに至ってはトレーナーである自身もソフトボール用のバットを振り回し、オノノクスやカバルドンといった強敵を叩きのめしている。

 

「これがジムリーダーか……」

 

その光景を見て、改めてジムリーダーの強さというものをアヤは実感した。

 

「驚くことはないですよ。治安維持もジムリーダーの重要な仕事ですから」

 

すると、彼女たちの背後にキテルグマを連れた、黒髪の少女が現れた。

 

「誰なの……?もしかしてジムリーダー?」

 

と、アヤが聞くと彼女はゆっくりと首を縦に振った。

 

「私はミサキ。お察しの通り、ジムリーダーですよ。普段はウセイシティってところでジムをひらいているので、良かったら挑戦しに来てくださいね」

 

と、ミサキは簡単に挨拶をしながら、キテルグマで迫りくる敵を次々と一撃で仕留めていく。そして、敵があらかた片付いたところで一息ついたミサキがまた口を開いた。

 

「……にしても驚きましたね。まさかここに一般人がいるとは……。まぁリンコさんも一緒だから、それなりの理由があるんでしょうけどね」

 

彼女はそういうとちらりとリンコの方を見る。その様子から察するにリンコとミサキは知り合いのようだ。その証拠に、リンコは僅かに笑みを見せた。

 

「ミサキさん……、私達……これから石塔の頂上に行きたいんです……。それなので……申し訳ないんですが……、石塔の……入り口までの道を……確保してくれませんか……?」

 

「そのくらいお安い御用です。その代わり、石塔の内部はよろしくお願いしますね」

 

間もなく、ミサキを筆頭とするジムリーダーたちの活躍により、リゲル団の大軍の中に隙が生じた。3人はすかさずそこに突っ込み、リュウコの石塔の内部へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 石塔の内部は思ったよりは広いく、天まで届くようならせん状の道が伸びている。しかし、その道は経年劣化の影響でかなり不安定である。植物が生い茂っていたり、柱が途中で倒れていたり、道が崩壊していたり、決して安心できるような場所ではない。3人は、手持ちのポケモンと協力しながらそんな道を突き進んだ。しかし、あと一歩で頂上までたどり着けるというところで、彼女たちの耳は不快な機械音のような音をとらえた。

 

「アヤちゃん……、この音って……」

 

「うん……」

 

アヤとヒナはこの音に聞き覚えがある。リゲル団のアジトの地下研究室で聞いたレジギガスの音にそっくりだ。そう思った矢先、突如3人の目の前の道が割れ、全身が岩でできたポケモンがはい出てきた。さらに、同時に上から全身氷でできたポケモンと、全身が鋼でできたポケモンが降ってきて、3人を取り囲むように着地。

 

「レレレレ……ジジロロロロロ……」

 

「レジアーイス、レジアイスレジアイス」

 

「レジレジスチール」

 

その無機質な音は何とも言えない不気味さを醸し出す。この瞬間、アヤは3匹の正体を確信した。

 

「やばい、レジロックにレジアイス、レジスチルだ!」

 

場所や状況的に、恐らくこの3匹もリゲル団によって作り出された『伝説ポケモンのクローン』だろう。しかし、その恐ろしさは本物と全く同じ。アヤとヒナはそれを見にもって知っている。

 

「アーイス!」

 

「チール!」

 

「ロロロロロロ……」

 

 

そして、間もなく3匹のポケモンは一斉にアヤたちに向かって襲い掛かってきた。

 

「メタグロス!」

 

リンコはとっさにメタグロスを繰り出し、その攻撃をすべて受けきる。とはいえ、メタグロスも相当苦しそうだ。彼らが強敵である何よりもの証拠といえるだろう。

 

「かわいそうですが……、ここはこのポケモンたちに大人しくしてもらうのが……一番でしょう……。2人とも……、先に行ってください……。ここは私が食い止めます……」

 

こうしてリンコと3匹の伝説ポケモンの激闘が始まった。アヤとヒナはその間をうまくすり抜け、頂上への道を走ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頂上に着くと、サヨが腕を組んで待っていた。マリナ博士も隣にいる。

 

「アヤ、ヒナ……、やはり来たのね……。とりあえず、ここまでこれたご褒美に、マリナ博士はお返ししましょう。彼女の役目である最終調整はもう終わったことですしね」

 

サヨはマリナ博士の背中を軽く押し、アヤとヒナの方に歩かせた。

 

「マリナ博士!大丈夫ですか?」

 

マリナ博士が戻ってくると、アヤは彼女のところに駆け寄った。

 

「私は大丈夫だよ。でも……」

マリナ博士はサヨの背後でうごめく例の兵器『TRMK996』を見た。その表情はあまりいいとはいえない。事態は想像以上に深刻のようである。

 

「能力の不平等こそが、人々の憎しみや苦しみを生み、争いの種となる。私だけでなく、リゲル団員の多くがそれによって傷つき、苦しんできた。しかし我々は『能力』という壁に阻まれ、それを克服することができなかった。このような理不尽なことが許されていいわけがない。私たちはこの負の感情をここで断ち切る。ただそれだけです」

 

しかし、サヨは冷静にアヤたちの方を見るだけだ。と、ここでついにヒナが叫ぶように震えた声を上げた。

 

「だから、世界を平等にするの?みんな同じ能力と人格を持つ、工場で量産されたロボットみたいな人間にしていいの!?そんな世界、全然るんってしないよ!」

 

「そうだよ!私、この度の中でいろんな人を見てきた。でも、みんなそれぞれ違った輝きをしていた!世界は違った人が違った輝き方をしているからこそ面白いんだよ!」

 

さらにアヤも言葉を畳かかける。だが、サヨはため息をつき、あきれたようなそぶりをみせた。

 

「るんってしない?楽しい?くだらないわね。私は結果しか求めない。たとえそれが面白みに欠けるものであるとしても、理想がかなうのであるならば何の問題でもない。……やはり、私たちは分かり合えない存在のようね。仕方がないです、私の理想とする究極なる平等の世界をより確かなものにするために、2人には消えてもらいましょう。まずはアヤ、貴女からです!」

 

サヨはボールを手に取り、マンムーを繰り出す。対するアヤはマスターボールからレジギガスを繰り出した。戦いの幕開けだ。

 

 

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