バンドリの彩ちゃんがポケモンの世界を冒険するようです。 作:なるぞう
なんとかサヨを退けたアヤたちに襲いかかってきたのは、アグノム、ユクシー、エムリットの超能力で引き起こされた瓦礫の嵐だ。直撃したらただじゃすまないのは一目瞭然。今はアヤのサーナイトの超能力で防げているが、サーナイトは先ほどの戦いのダメージを引きずっている。その証拠に足がおぼついていない。
「博士……」
この危機的な状況を前に、アヤはマリナ博士にすがりつく。すると、彼女は冷静に状況を見ながら口を開いた。
「アグノム、エムリット、ユクシーは、三匹が力を合わせればシンオウの伝説ポケモンであるディアルガとパルキア、どちらか一方と互角の力が発揮されるっていうことが研究によってわかっているんだ。でも、この力は今まで間違いなくそれ以上の力だね。このまま放っておけば街が危ないかも……」
「そんな……、どうしよう……」
そうアヤが言っている間も、3匹の猛攻は激しさを増すばかり。サーナイトのパワーも目に見えて落ちている。もはや一刻の猶予もない。と、ここでマリナ博士はポケットからボールを取り出した。それもただのボールではない。一般販売されている中でも最高級の性能を誇るハイパーボールだ。
「これでなんとか捕獲して、あの3匹を捕獲できればいいんだけど、あれだけ暴れていられると捕獲は無理だね……。アヤちゃん、悪いんだけど2人と協力してあの三匹をおとなしくしてくれるかな?」
「わかりました」
アヤは深く頷くと勇気を出し、アグノムの前に立った。それと同時にリンコはエムリットの前に、ヒナはユクシーの前に立った。
「いいですか……、この3匹は……強いです。2人とも……気をつけてくださいね……」
「だいじょーぶだいじょーぶ!私達ならこんなメノクラゲのお化けみたいなやつなんて楽勝だよ!」
ヒナは相変わらず無邪気な笑みを浮かべている。このごに及んでもまだなお平常運転なのは流石だ。
「キョウウン」
「キュウウン」
「キャウウン」
彼女たちの動きとほぼ同時に、ユクシー、アグノム、エムリットも3人に向き合う。
「よ、よーし!いけ、ムクホーク!」
アヤはサーナイトを引っ込め、ムクホークを繰り出した。
「いっけー!テッカニン!」
「ゲンガー、お願いします」
それに続き、ヒナとリンコもポケモンを繰り出す。シンシューの命運をかけた戦いがいま始まろうとしといた。
戦いの火蓋が切って落とされると、早々にリンコとヒナはエムリットとユクシー相手に激戦を繰り広げる。
「ムクホーク、燕返し!」
2人に続き、アヤも戦火の中に飛び込んだ。
「ホーク!」
ムクホークは勇ましい鳴声を響かせ、アグノムに突っ込む。しかし、その翼がアグノムに届く寸前に、ムクホークの体は見えない力によって突き飛ばされた。アグノムの神通力だ。
「キュウ」
この時、アヤはアグノムが一瞬淡い光を発したのを目にした。良からぬ予感が彼女の頭をよぎる。しかし、アグノムの動きは止まっている。攻撃する絶好のチャンスだ。彼女はムクホークに今度は電光石火を指示した。
「ホークッ!」
今度の攻撃はアグノムのど真ん中に直撃。
「今だ!連続で燕返し!」
アヤの声とともにムクホークが攻撃を叩き込む。しかし、直後にムクホークは謎の力によって地面に思いっきり叩きつけられた。時間差で攻撃する特殊な技、未来予知だ。つまり、アグノムが動きを止め、先程淡く光ったのは未来予知を使ったからなのである。アヤの良からぬ予感がここで当たってしまったのだ。
「ホークッ……!」
ムクホークは必死に空に戻ろうとするが、アグノムが瓦礫を飛ばしてくるためなかなか飛び立てない。こうなってはムクホークが勝てる可能性は低い。アヤはそう判断し、ムクホークをボールに戻した。そして、新たにハガネールを繰り出した。
「ガッネール!」
ハガネールの巨体が、アグノムを見下ろす。しかし、アグノムは全く臆せず攻撃を畳み掛ける。
「ハガネール、ボディパージ!」
だが、アヤは反撃の指示を出さなかった。どれだけ攻撃を受けようと、彼女は素早さをあげるボディパージを指示し続けた。
(アグノムの火力くらいならハガネールは余裕で耐えられる……。でも素のハガネールスピードじゃアグノムに追いつけない……。だから、今は耐えながらスピードを上げて『あのタイミング』を待てば……)
「キュウウン!」
その時、アグノムが再び淡い光を放つ。未来予知の兆候だ。その瞬間、アヤがついに動いた。アグノムは未来予知を使うときに僅かに動きが止まる。アヤはムクホークとアグノムの戦いを見て、この弱点を見破ったのだ。
「今だ!ハガネール、アイアンテール!」
「ガッネール!」
鋼鉄の尾がアグノムに振り下ろされる。それは、通常のハガネールをはるかに上回る素早さで、アグノムの急所を捉えた。
「キュウ!」
アグノムの勢いが衰える。ふとアヤが目を移せばエムリットとユクシーもかなりのダメージを負っている。
「マリナ博士!」
「わかったよ、アヤちゃん!」
アヤの叫びとともに、マリナ博士はハイパーボールを3つ、矢継ぎ早に投げた。アグノム、エムリット、ユクシーはハイパーボールの中に吸い込まれ、それぞれその中に封じられたのであった。
「終わったの……かな……」
戦いの静けさの中で、アヤは呟いた。そこにはリゲル団も怒りに満ちたポケモンもいない。聞こえるのは風が吹き抜ける音、ポケモンの囀りのみ。文字通り、平和な光景だ。そうとわかった途端、彼女の体から一気に力が抜けた。
「よかった……。私、勝ったんだ……」
アヤはその場にヘナヘナと座り込んだ。今の彼女中は疲労感と解放感でいっぱいである。するとそこにマリナ博士がやってきた。
「アヤちゃん……、凄かったよ!なんかこう……、旅に出た時とは別人みたいだった!」
「マリナ博士……!えへへ、ありがとうございます!」
アヤは照れを隠すように笑顔を見せる。だが、彼女はふと気がついた。少し離れているところでリゲル団の兵器を見ていることに。
「ヒナちゃん……」
アヤは立ち上がり、ヒナのそばに寄った。その顔はいつも無邪気な彼女の性格似合わず何処か浮かない顔である。
「ハッ……!アヤちゃん!」
ヒナはアヤの存在に気がつくと笑顔を見せた。が、その笑顔はどこか硬い。原因は間違いなくサヨだろう。
「えっと……、あの……ヒナちゃん……。あまりうまく言えないけど……、きっと、いつかサヨさんとも仲直りできるよ。私はそう思うな」
『あまりうまくは言えないけど』と一応保険はかけておいたものの、本当にありきたりな言葉である。アヤはその下手くそさをごまかすために笑いながらそう思った。しかし、ヒナは表情を緩めると『ありがとう』と、いつもの無邪気な笑顔を見せる。と、その時、リンコが2人のところに寄ってきた。
「アヤさん……ヒナさん……、ありがとうございます……。貴女たちと……、ポケモンの協力がなかったら……きっとシンシューは大変なことに……なっていたでしょう……。本当に……ありがとうございます……!」
リンコはアヤとヒナ達に何度も何度も頭を下げる。
「まぁ、私とアヤちゃんならこのくらいダダーンってあっという間に解決できて当然でしょ!ね、アヤちゃん!」
「へっ、う、うん!」
得意げに胸を張るヒナに対し、不意にヒナから話を振られて戸惑うアヤ。和やかな光景に、ヒナとマリナ博士、そしてリンコは笑い声を上げた。
「うぅ……、こんな時までからかわれるなんて……」
アヤは少し肩を落とした。そして、リンコはそんなアヤの方を見て微笑んだ。
「2人は本当に……、仲がいいんですね……。だから……、ポケモン達も……あんなに輝いて見えるのかも……しれないですね……」
「輝いている?私のポケモンが?」
「はい……、眩しいくらいに輝いています……」
リンコは再度アヤに穏やかな笑顔を見せる。そして彼女はサザンドラをボールからだし、その上に乗る。すると、本調子に戻ったヒナが声を上げた。
「え〜、リンコさんもう行っちゃうの!もっと話そうよ!あっ、どうせだったら私たちと一緒に旅しようよ〜」
「一緒に旅ですか……。楽しそうですね……。でも……、他の仕事で忙しいんで……ちょっと無理かな……」
「そんな〜。リンコさんも一緒なら、今よりもるんるんるんってする旅になりそうだったのに〜」
「私も、リンコさんと旅してみたかったな〜」
ヒナとアヤは少し残念そうな表情を浮かべた。
「2人とも……、そんな残念そうな顔しなくても……、大丈夫ですよ……。私たちなら……そう遠くない未来に……、きっと……また会えますから……」
「えっ、どういうこと?」
アヤは首をかしげる。
「それは……、その時が来ればわかりますよ……」
そういうと、リンコは優しい顔で手を振る。そして、サザンドラを飛ばせ、颯爽とどこかへ飛んで行ってしまった。
「あーあ、リンコさん行っちゃった……。でも、また会えるならいっか。さぁーてアヤちゃん!気を取り直して新しい街にでも行きますか!」
「あっ、ヒナちゃん!待ってよ!」
ヒナの声威勢のいい声と、アヤの慌てる声が澄み切ったそれに響いた。
伝説ポケモンやリゲル団との決戦も終わったところで、彩ちゃんの旅もいよいよ終盤へ!次回、いよいよ最期のバッジをかけたジム戦です!(いつ投稿になるかわからないけど……)
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