バンドリの彩ちゃんがポケモンの世界を冒険するようです。   作:なるぞう

44 / 66
投稿遅くなってすみません!
前回に引き続き、チャンピオン戦です!
ちなみにりんりんは、悪タイプやエスパータイプのポケモンも使ってますが、一応『ゴーストタイプの使い手』です。


第四十三話 一進一退

「ンドーラ!」

 

「レレジジジ……」

 

リンコのサザンドラとアヤのレジギガスは、ボールから飛び出た後互いにしばらくにらみ続けた。リンコのサザンドラは、間違いなく彼女が普段移動に使っているサザンドラだ。前々から強そうな雰囲気はあったが、フィールドで感じるそれは格別だ。体が殺気でできているといっても過言ではないその様は、アヤがひるむのには十分すぎる気迫だ。

 

「いきますよ……サザンドラ……。悪の波動……!」

 

「ザンドーラ!」

 

そんな中、ついにリンコとサザンドラが動き出した。サザンドラの闇の力が三つの口に集中する。その瞬間、レジギガスはサザンドラに飛び込んだ。

 

(スロースタートが解けるまでの時間を、怪しい光で稼ぐのは不安定すぎるし、何より技を余分に一つ使っちゃう。それなら、相手の動きを見て先読みして……)

 

これはアヤが導き出したレジギガスの戦い方である。正確に言えばほぼヒナの入れ知恵ではあるが、この際そこは触れないでおこう。それはともかく、レジギガスは悪の波動を見事かわし、サザンドラの右頬に冷凍パンチをくらわせた。

 

「やった!」

 

とりあえず、今回はアヤの読みが勝った。だが、油断してはならない。これはギリギリのせめぎ合いの序の口に過ぎないのだ。一瞬でも目を放したり、気を抜いたりすれば敗北につながる。そんなバトルを、アヤとリンコは長く繰り広げた。そして、その激闘の末、サザンドラはレジギガスの足元めがけて『大地の力』を放った。

 

「レレジギガー!?」

 

足元からの攻撃に耐えきれず、レジギガスはバランスを崩す。そこにサザンドラは容赦なく気合玉を打ち込んだ。

 

「今です……!サザンドラ……、竜星群……!」

 

「ザンドーラ!」

 

ここでリンコが止めを刺しに来た。サザンドラの口から光球が放たれ、彼女たちの頭上で煌々と輝く。この光球から無数の隕石を相手に落とすのだ。これを食らえばさすがのレジギガスといえど、ひとたまりもない。しかし、この時。アヤの目に、メタグロスの攻撃の影響で亀裂が走ったフィールドの床が飛び込んできた。よく見ればその亀裂はメタグロスとカブトプスが戦った時よりも広がっている。そして、かなり傷んでいる。おそらく原因は、ライジングランドオーバーや地震、大地の力など、床を傷めつける技を散々使ってきたからだろう。

 

「もし、あれが使えれば……!レジギガス、あの亀裂に手を入れて!」

 

「レレジギガガァ!」

 

レジギガスはアヤの指示通り、亀裂に巨大な手を突っ込んだ。するとどうであろう、手を入れた部分を起点に床の一部が持ち上がったのだ。

 

「ギガギガギガガァ!」

 

竜星群が放たれる直前、レジギガスは、その持ち上がった床の一部を渾身の力で上に投げ飛ばした。岩塊となった床は光球に激突。大爆発を巻き起こした。このパワーを見た瞬間、アヤはスロースタートが解けたことを確信。彼女は攻めに出た。

 

「レジギガス!握りつぶす!」

 

「レジレジギガガガギガァ!」

 

レジギガスは爆風で怯むサザンドラの首をがっしりと握りつぶし、そのまま背後の壁に押し付ける。そして、空いたもう片方の手で冷凍パンチをお見舞いした。

 

「ンド~ラ……」

 

レジギガスが手を放すと、サザンドラは飛び上がることなく床に堕ちた。それを見たリンコは優しい声を掛けながら、サザンドラを引っ込めた。が、その温厚な表情はすぐに豹変した。

 

「なるほど……、流石伝説のポケモン……。パワーが桁違いです……。パワーだけなら……、私のポケモンでも太刀打ちできないでしょうね……。そう、パワーだけ(・・)なら……。ポケモンバトルがパワーだけではないことを、アヤさんに教えてあげましょう……。オーロット、お願いします……!」

 

不敵な笑みを浮かべるリンコ。そして、そんな彼女の前で不気味に笑うオーロット。それを見たアヤの背筋に冷や汗が垂れる。彼女の体が本能的に危険を察しているのだろうか。しかし、それに対しアヤの頭の中は妙に楽観的であった。彼女は本気を出したレジギガスを過信しているのだ。

 

「オーロットって雰囲気的にゴーストタイプだと思うけど……。リンコさんの今の言葉って『ノーマルタイプの攻撃はゴーストタイプには効かないよ』ってことなのかな?うーん、なんかよくわからないけど本気を出したレジギガスなら問題ないはず。レジギガス、冷凍パンチ!」

 

「ガガガガガ!」

 

冷凍パンチはオーロットをぶっ飛ばした。しかし、オーロットはぶっ飛ばせながらもレジギガスの体に小さな種を植え付けた。相手の体力を奪い、自分の体力を回復させる技である宿木の種だ。さらに、オーロットは着地すると、あらかじめ持っていたオボンのみを美味しそうに食べた。これで、体力は回復。冷凍パンチのダメージはチャラだ。そして、そこからオーロットは不穏な動きを始めた。

 

「オーロット……、呪いです……」

 

呪い。それは、自分の体力と引き換えに相手の体力をジワジワ削る荒技である。さらに、レジギガスの体力は、この技の効果に加え、宿木の種の効果でみるみるうちに体力が減っていく。慌てたアヤはレジギガスをオーロットに突っ込ませた。

 

「ローット」

 

レジギガスが放った思念の頭突きは、オーロットにクリーンヒット。しかし、次の瞬間アヤは目を疑った。攻撃を受け、着地したオーロットがまたオボンの実を食べているのだ。

 

(あれっ?リンコさんのオーロット、さっきもオボンの実食べていたよね……。ポケモンは一つしか道具が持てないはずだし……、見間違えだったのかな……?)

 

アヤは自分にそう言い聞かせながら、再度レジギガスに攻撃の指示を出した。しかし、攻撃を受けたオーロットは、またオボンの実を食べているのだ。3度も同じ光景をみせられては、彼女もこの状況を信じざるを得ない。間違いなく、オーロットはオボンのみを3回食べていた。

 

「な、なんで……」

 

今までに遭遇したことない展開にアヤは混乱する。対するリンコは、そんな彼女の前でほくそ笑んでいた。

 

「オーロットの特性は『収穫』。一定の確率で消費した自分の持ち物を再利用できるようになるんですよ……」

 

「そんなことってありなの!?」

 

アヤは驚きながらも、またレジギガスに攻撃の指示を送った。いくら相手の守りが硬くても、攻撃しなければ勝てないからだ。しかし、レジギガスの渾身の攻撃はオーロットの『まもる』で簡単に防がれてしまった。さらに、そうこうしているうちにもレジギガスの体力はどんどん減っていく。結局アヤは、オーロットを攻略することができず、レジギガスの体力切れを迎えることになったのであった。

 

「戻って、レジギガス」

 

アヤはレジギガスを引っ込めた。そして、タイプ相性的に有利なムクホーク——ではなく、相性不利なサーナイトを繰り出した。彼女はいくら相性がいいとはいえ、攻撃特化気味なムクホークではレジギガスの二の舞を踏む羽目になると判断したのだ。

 

(サーナイトなら変化技も色々使えるし……。『あの技』さえ決まれば……)

 

彼女はそう思いながら、サーナイトをメガシンカさせた。その美しい姿は、いつ見ても美しく、凛々しく、頼もしいものである。

 

「さて……、アヤさんはタイプ相性が不利なポケモンで……、どう戦うんでしょうか……?」

 

リンコは余裕そうな表情で宿木の種を指示。しかし、サーナイトは自慢の超能力ですべてはじき返した。そして、サーナイトはオーロットの前で手の指を立てた。挑発だ。これこそアヤが狙っていた技である。挑発を受けたポケモンは激怒し、変化技をしばらくの間仕えなくなるのだ。

 

「ローット!」

 

もちろんオーロットも例外ではない。オーロットはお家芸を封じられた恨みといわんばかりに、ウッドホーンを放ってきた。しかし、サーナイトは冷静にそれをかわす。そして、シャドーボールを数発当て、止めにサイコキネシスを打ち込み、危なげなく勝利を収めた。

 

「お疲れ様です……オーロット……。お願いします……、シザリガー……!」

 

「ザリガーッ!」

 

オーロットを倒し、ホッとできたのも一瞬であった。代わりに、フィールドに現れたのは巨大なハサミを持つ荒くれものだ。

 

「シザリガー……、アクアジェット……!」

 

シザリガーはリンコの指示を受け、瞬時に距離を詰めてきた。この技自体はアヤもカブトプスによく使わせているため全く珍しくないが、技の質がカブトプスより数段上だ。苦し紛れにサーナイトに10万ボルトを使わせ、かろうじてそれを当てるも、その勢いは全くとどまらない。シザリガーは、いともたやすくサーナイトの懐に潜り込んだ。

 

「今です……。ハサミギロチン……!」

 

リンコの声がすると、その巨大なハサミはサーナイトの体をバッサリと切り裂く。一撃必殺。サーナイトはあっけなく戦闘不能に陥った。

 

「戻って、サーナイト」

 

アヤはサーナイトを引っ込めた。そして、すぐさまムクホークを繰り出した。

 

「ホーーーーク!」

 

ムクホークの勇ましい声が、今日も相手を威嚇する。勢いだけなら間違いなくムクホークの勝ちだ。

 

「ムクホーク!燕返し!」

 

「シザリガー……、クラブハンマーです……!」

 

ムクホークがフィールドに現れると、アヤとリンコは同時に動いた。

 

「ホーク!」

 

「ザリガーッ!」

 

逞しい翼と強靭なハサミがぶつかり、鎬を削る。その様子を見れば、シザリガーの一撃は極めて重いということは一目瞭然だ。普通の技でも一撃必殺に近い威力を持っているとみて間違いないだろう。が、この時のシザリガーの動きを見て、アヤは違和感を覚えた。サーナイトと戦った時と比べ、何処か動きが鈍いのだ。

 

(もしかしてあのシザリガー、痺れている……?)

 

アヤの直感は正しかった。実は、先ほどサーナイトが撃った十万ボルトの追加効果でシザリガーはマヒ状態に陥っていたのだ。今の彼女にとってチャンスを逃すという選択肢はなかった。アヤは、ムクホークの俊敏さを活かして攻撃を畳みかけようとした。だが、そんな甘い発想で倒せるほどチャンピオンのシザリガーは甘くはない。迂闊に近づけば、巨大なハサミを振りかざして威嚇してくるし、ちょっと隙を見せれば剣の舞で火力を底上げしてくる。それの上、不意に見せてくるハサミギロチンが怖い。結局アヤはリンコのペース飲まれ、一進一退の攻防に身を投じる羽目になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シザリガーとムクホークの激闘は長かった。どちらも一歩も身を引くことはなかった。結果的に、両者ともに体はボロボロだ。しかし、言い換えれば次の一撃で勝負が決まるということだ。

 

「いくよ……!ムクホーク、ブレイブバード!」

 

「ホーク!」

 

勝負を決めるべく、アヤはムクホークを突っ込ませた。対するシザリガーはアクアジェットで勢いをつけながら、ハサミを振りかざしている。クラブハンマーにアクアジェットの勢いを上乗せするつもりのようだ。しかし、アヤには妙案があった。

 

「ムクホーク!斜め上に電光石火!」

 

シザリガーと激突する寸前、ムクホークはシザリガーの真上に躍り出た。その瞬間、シザリガーはムクホークの真下を通過。同時にアヤとムクホークの眼は、ガラ空きになったシザリガーの背中をとらえた。

 

「ホーク!」

 

ムクホークはシザリガーの背中に、真上からインファイトを叩き込んだ。死角からの一撃に、シザリガーはなすすべもない。

 

「ザリガ……」

 

シザリガーは倒れた。リンコはそのシザリガーを優しい顔つきでボールに戻した。

 

「シザリガーが倒されましたか……。すごいです……アヤさん……。私をここまで追い詰めた人は……、久しぶりです……。楽しい……。ここまで楽しい勝負は……、初めてかもしれません……。さぁ、アヤさん……。次が私の……最後のポケモンです……。闇より深い……影の支配者……。頼みましたよ……、ゲンガー……!」

 

リンコがボールを投げると、ごっそりと周囲の気温が奪われた。背筋が凍るほど冷えるフィールド。そこには今、漆黒の影が現れ、ニカっと不気味な笑みを浮かべている。リンコの最後のポケモンであるゲンガーが、アヤたちの前に現れたのだ。

 

「ゲーッ」

 

ゲンガーは戦いを前にしても、その辺を漂ったり、意味もなく鳴き声を上げたり、笑ったりと気ままに動いている。まるで、アヤたちをからかっているかのようだ。しかし、あやにとっては

その余裕さが、逆に恐怖をそそるのだ。

 

(ダメダメ!こんなところで……、弱気になっちゃ……!)

 

彼女の中の恐怖は時間がたつにつれ増えるばかり。この思いを吹き飛ばすかのようにアヤは叫び、ムクホークにブレイブバードの指示を送った。しかし、ゲンガーは軽々とそれをかわした。

 

「ゲンガー……、催眠術です……」

 

「ゲーッ!」

 

さらに、追い打ちをかけるかのように催眠術がムクホークに直撃。ムクホークは床に堕ち、深い眠りに陥った。アヤがどんなに叫んでも起きる気配もない。

 

「無駄ですよ……アヤさん……。ムクホークの意識は深い闇の中……。誰の声も届きはしませんよ……。ゲンガー……、ムクホークを楽にしてあげてください……。ヘドロ爆弾です……」

 

リンコがそう言うと、無情にもゲンガーはヘドロ爆弾を発射。それでもなおアヤは叫び続けたが、ヘドロ爆弾はムクホークをひん死へと追いやった。

 

「お疲れ、ムクホーク。ゆっくり休んでね」

 

アヤはムクホークをボールに戻すと、そのボールをそっと撫でた。さて、これでつかの間のリードも終わった。アヤも残っているポケモンはドダイトスのみだ。

 

「いくよ……、ドダイトス!」

 

「ドダーッ!」

 

彼女がボールを投げると、目の前に大陸のように巨大で勇猛なポケモンが姿を現した。彼女たちにとって、最期の戦いの火ぶたが切って落とされたのである。

 




今後の話の流れを決めるアンケートです。気が向いたら答えてくれると嬉しいです。

彩ちゃん以外を主人公にしたスピンオフ回見たい?(スピオンオフ回書いていると、本編の終わりがいつになるか分かりません)

  • 本編の進みが遅くてもいいから見たい!
  • スピンオフはいいから本編進めて……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。