バンドリの彩ちゃんがポケモンの世界を冒険するようです。   作:なるぞう

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ギリギリクリスマスに間に合ったかな?
でも残念。クリスマスには全く持って関係ないお話です。
ブシドーーーーー!


第五十三話 ブシドーよ、その達人よ

さて、今回は、バトルフロンティアの施設、『バトルドージョー』から物語を始めることにしよう。バトルドージョーは、竹林の中に建てられた木造の施設。この建物は造りがやや特殊であり、建築の際に釘などを一切使わず、木と木を上手く削り、それらをパズルのように組み合わせて出来たものだ。さらに、建物の周囲には石畳や枯山水が使われた庭園が広がっており、見た者の心を清らかにする。内部もほとんどが木製であり、壁のいたるところに『以心伝心』、『風林火山』、『焼肉定食』などといった格言が書かれた掛け軸が飾られている。総じて、わびさび を全身で体感できる施設といえるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 さて、アヤはそんな施設の木製のバトルフィールドに立っている。彼女は、ギャラリーにいるヒナの一足早い声援を受けながら、フロンティアブレーンが来るのを今か今かと首を長くして待っていた。

 

「お待たせしました!」

 

間もなくアヤとは反対側に位置する扉が、透き通るような声とともに開いた。現れたのは、カヤヤタウンで出会ったボックス管理人の少女、イヴだ。

 

「い、イヴさん!?イヴさんってフロンティアブレーンだったの!?」

 

彼女は目をまん丸にして驚く。と、イヴは朗らかに微笑んだ。

 

「はい!ポケモンたちと修行に励んでいたら、オーナーさんに声をかけて頂いたんです。ということで早速ですが、アヤさんの武士道、試させてもらいます!」

 

 

「武士道……。武士道……」

 

アヤは考えた。武士道とは何か。武士道の意味は。だが、考えても考えてもいまいち答えが浮かばない。すると、イヴが、何かを誇るような雰囲気を帯びだした。

 

「武士道とは、清く正しい心です!それを人もポケモンも関係なく認め合い、分かち合うことが、天下泰平の第一歩。つまり、心と心を通じ合わせることが大切なのです!そこで、真の武士道を試すために、バトルドージョーではトレーナーがポケモンに指示を出すことを禁止しています!」

 

「エッ!それじゃあどうやってバトルするの?」

 

「ポケモンが自分で判断して、技を使い、攻撃を回避します。安心してください!心と心が通い合ったトレーナーなら、トレーナーが思った通りの行動をポケモンもしてくれるはずです!」

 

「だ、大丈夫かな……」

 

無論、アヤも自分のポケモンを信じているし、ポケモンたちも彼女のことを信頼している。だが、この前代未聞のルールにどこまで太刀打ちできるかは、未知数であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それではアヤさん、準備はいいですか?」

 

「うん!よろしくお願いします!」

 

数分後、両者はモンスターボールを構えた。そして、投げる。アヤの前にはサーナイトが、イヴの前にはエルレイドが現れた。

 

「よし、行くよ!サーナイト、シャ——」

 

開幕早々、アヤは慌てて口を手で押さえる。いつもの癖で、うっかりして技名を叫びそうだった。今の彼女にできることは、サーナイトを信じることだけだ。

 

「サーナッ!」

 

開幕早々ルール違反を犯そうとするアヤに対し、サーナイトは主が思い描いた技を的確に当てる。影の球はまっすぐエルレイドのど真ん中に飛んでいった。

 

「エルレッ」

 

しかし、エルレイドはサイコカッターでそれを一刀両断。やはり、一筋縄ではいかない相手のようだ。

 

「なんのこれしき!エルレイド、レッツブシドーです!」

 

イヴの声は可愛らしさが残りながらも勇ましい。それとともにエルレイドは一気に間合いを詰めてきた。

 

(ここでリフレクターを使えば後々まで安心して戦えるねサーナイトなら大丈夫)

 

と、アヤは高を括る。が、サーナイトが選んだ技はサイコキネシスだった。

 

「レイドッ!」

 

エルレイドは無駄のない動きでそれをかわす。次の瞬間には、毒づきをサーナイトにお見舞いしていた。

 

「サナッ」

 

サーナイトは大きく怯む。相手は追撃を仕掛けてくるはずだ。アヤがここは思い切ってテレポートで逃げるだろう。しかし、サーナイトはシャドーボールを打ち、すぐさま反撃に移ってしまった。対するエルエルレイドは炎のパンチでそれを打ち砕き、再びサーナイトを打ちのめした。

 

「サーナイト!」

 

「サナ……」

 

一応、アヤの声にこたえられるだけの力がサーナイトに残っている。しかし、かなり危ない状況。繊細な戦い方が求められる。ここを打破する手段はただ一つ。アヤとサーナイトの心を通わすこと。つまり、彼女たちの武士道にかかっているのだ。

 

(で、でもなぁ。直接指示は出せないしな……)

 

いつもなら簡単に打ち破れる状況も、今日は高い壁。アヤは考えた。この壁を乗り越える秘策を。

 

「そうだ!」

 

直感はもはや最大の武器。その秘策はすぐに舞い降りた。ならば、あとはそれを実行するだけだ。

 

「頑張れ!サーナイト!頑張って!」

 

思いついたことは実にシンプルである。自分も戦っている気になり、全力で応援することだ。

 

「サナ……!」

 

主の熱い声援。そして、それに交じってギャラリーから聞こえるヒナの声援。それらを受けたサーナイトはにわかに奮い立ってきた。

 

「エルレード!」

 

気が付けば、止めを刺そうとエルレイドが目の前に迫ってきている。

 

(サーナイト、ここはかわしてマジカルシャイン!)

 

彼女は応援をしながらそう思った。

 

「サーナッ!ナッ!」

 

と、サーナイトはヒラリと攻撃をかわし、マジカルシャインを放つ。両者の心がシンクロした瞬間だ。

 

(よしよし……、次はサイコキネシスで……)

 

アヤの目論見通り、サーナイトはサイコキネシスを見事エルレイドに当てる。エルレイドの攻勢は完全に崩れた。しかし、相手は武士道を極めた者たち。一度や二度のピンチでへこたれることは決してない。

 

「心頭滅却すれば火もまた涼し。臥薪嘗胆、初志貫徹!エルレイド、今こそ(まこと)のブシドーを見せるのです!」

 

「ルレッ!」

 

エルレイドは全身に武士道の精神を込め、サーナイトめがけて突っ込む。しかし、サーナイトは微動だにしない。じっと、迫りくるエルレイドを見るだけだ。

 

「……」

 

その光景に、アヤは思わず息をのむ。ここまではシナリオ通りの展開だ。

 

「ルレーッ!」

 

エルレイドの毒づきがサーナイトに襲い掛かる。アヤは心の中で『今だ』と、叫んだ。

 

「サッ!」

 

その瞬間、サーナイトはエルレイドの背後にテレポート。毒づきが空振ると同時に、シャドーボールを叩き込んだ。

 

「エルレ……」

 

エルレイドは足がふらつくのをこらえ、サーナイトをまっすぐ睨む。だが、間もなくプツンと糸が切れたように、前のめりにその場に倒れた。

 

「お見事……!」

 

そして、互いに一歩も譲らない激闘を簡単にまとめたイヴの一言で、美指導を試すバトルは幕を下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさに、獅子奮迅!荒武者の如き戦いざま、あっぱれです!よって、この『ブシドーのトロフィー』差し上げます!」

 

きらりと光る金のトロフィーがアヤの手に渡る。イヴの顔には、透き通った笑みが浮かんでいた。

 

「ありがとうございます!」

 

トロフィーを受け取ると、いつも通り観客に誇るようにトロフィーを掲げた——のだが、この時、彼女はすぐそこからイヴの妙にアツい視線を感じた。

 

「アヤさん!急で申し訳ないんですけど教えてください!アヤさんとサーナイトはどうしてそんな、素晴らしい武士道精神を持っているんですか?」

 

「えっ……?ぶしどうせいしん?」

 

「はい!アヤさん達はいつもどのような稽古をしているんですか?時間は?コツとかは?それから……」

 

イヴは目を輝かせ、アヤにあれこれ聞き出す。しかし、アヤが武士道を意識した練習をしたことなんて一度もないし、イヴに勝ったとはいえ武士道については分からないことが多い。とはいえ、折角勝ったのに何も言えないのはのはかっこ悪い。そこでアヤは、なんかそれっぽいことを言って、切り抜けようとした。

 

「えっと……それは……つまり……その……、楽しむことを目的にして……。あとは……基本を大切に……何度も何度も練習を……」

 

「なるほど……。千里の道も一歩から、ということですね!参考になります!」

 

ところが、底抜けの純粋さを持つイヴはそれをすべて真剣に吸収していく。完全にブシドートークのゴールを見失った。

 

「うえ~ん!やっぱり武士道は分からないよ~!助けて~ヒナちゃ~ん!」

 

ついに、アヤの悲鳴が上がる。だが、イヴの勢いはまだ止まらない。質問攻めは、まだまだ続きそうだ。

 

 




おまけ:イヴパーティー一覧

・イヴの肩書は『ドージョーマスター』です。


・手加減パーティー
☆エルレイド
☆ジュゴン
☆マルマイン

・本気パーティー
☆エルレイド
☆グソクムシャ
☆ライコウ


再戦するなら誰?(再戦時はダブルバトル)

  • りみ&たえ
  • 麻弥&蘭
  • 花音&薫
  • はぐみ&美咲
  • 宇田川姉妹
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