バンドリの彩ちゃんがポケモンの世界を冒険するようです。 作:なるぞう
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ここは、おしゃれさ司る施設である『バトルコンテスト』内部の控室。突然だが、アヤはフリフリがいっぱいついた、ピンクを基調とした服装に身を包んでいた。
「よっ、アヤちゃん!アイドルみたいでいいよ!」
「まんまるお山にいろどりを!イェイ!」
カメラを持つヒナにおだてられ、アヤすっかりアイドル気分。絶え間なくきられるシャッターに向かって、次々とポーズをとっていった。
写真撮影が終わって、およそ十分後、アヤはついに今日の舞台に上がった。
「チャンピオンアヤ!」
「アーヤちゃーーん!」
沸き上がる歓声。その中からは微かにヒナの声も聞こえる。ようやく自分の功績が輝くときが来たのだ。彼女は満面の笑みで、手がすっっ飛んでいきそうな勢いで手を振る。もはや、そこはアヤのための空間といっても過言ではい。が、それは三日天下に終わった。想像を絶する大歓声に飾られながら、もう一人の主役がやってきたのだ。
「ワーーーーーーッ!」
「きたぁぁぁぁぁぁぁ!」
「こっちむいて~!」
「リサ姉―!」
アヤの視線の先から、黒と紫を基調としたドレスを着た茶髪の少女が歩いてきた。
「ヤッホ~!アタシはリサ。たしかアヤだっけ?今日はよっろしく~♪」
リサと名乗る少女の雰囲気は暖かく柔らかい。朗な表情も相まって、まるでずっと昔からの友達といるような感じだ。そんなことをアヤが思っていると、フィールドの横にジョーイさんと、2人のスーツを着た後年の男が姿を現した。
「あれは、なんですか?」
不可思議な光景に、思わずアヤは指をさしてしまった。
「あれは、審査員!今日のバトルは一味違うからね~」
リサの怪しげな笑みにアヤは身構える。すると、フィールドに掲げられた電光掲示板に2つの円形のゲージが映し出され、リサが再び喋りだした。
「今日のバトルでは、あのゲージが命。審査員がおしゃれじゃないバトルだって判断すると、あのゲージが減るんだ。10分間バトルして、あのゲージが多く残っていた方が勝ち。もちろん、時間が来る前にゲージが0になったり、自分のポケモンが戦えなくなったりしても負けだから注意してね~」
他の施設と同じく、変わったルールだ。しかし、アヤは珍しく動じていない。
(ポケモンが戦えなくなってもダメなんだよね。だったら、ゲージがゼロになる前にリサさんのポケモンを倒しちゃえばいいんだ!)
完ぺきな勝利の方程式が組まれた。彼女は、自身の圧勝を確信した。
こうして、バトルが始まった。リサが繰り出したポケモンはグレイシア。対するアヤが選んだのはサーナイトだ。
「サーナイト、十万ボルト!」
開幕早々、アヤはサーナイトを突っ込ませる。
「サーッ!」
サーナイトは慣れた手つきで十万ボルトを決める。そして、飛び上がり、マジカルシャインとサイコキネシスを当て、爆発音とともに降り立った。が、硝煙が晴れた先にあるのは非情な現実。グレイシアはほぼ無傷で立っていた。
「うっそ……!」
勝利の方程式は音を立てて崩れた。グレイシアの可愛さや、リサの雰囲気に惑わされ、相手の実力を見誤ったようだ。どんなに低く実力を見積もっても、ジムリーダーと同じくらいの実力は備えて——いや、それ以上の実力者かもしれない。
「アハハ!ここでは闇雲に戦っても勝てないよ!可愛く美しく可憐に!これが勝利の秘訣なんだから!グレイシア、お手本を見せて!」
「グレ~!」
グレイシアから、凍える風が放たれる。しかし、様子がおかしい。普通の凍える風は相手に当たったら吹き抜ける。だが、これはサーナイトにあたると、らせん状にサーナイトを取り囲んだのだ。
「サナッ!」
サーナイトは視界を遮られ上手く動けない。そうこうしているうちに、凍てつくカーテンを破り、グレイシアのアイアンテールがサーナイトの胴体を叩いた。凍える風は離散し、あたりに散らばる。そして、ダイヤモンドダストのように輝き、リサとグレイシアを飾った。
「えっ……!」
同時に、アヤは言葉を失った。チラリと電光掲示板の方に目を移したところ、自分のゲージが3分の1近くごっそり減っているのだ。どうやら、先ほどいつも通りの戦い方が相当響いたらしい。対するリサのゲージは1ミリたりとも減っていない。いつも通り一筋縄ではいかない戦いになりそうだ。いや、今までノウハウがそのまま使えないとなるといつも以上に厳しい戦いになるだろう。
「えっと……。あの……。サーナイト、10万ボルト!」
とりあえず、アヤはサーナイトにこう指示した。理由?そんなの大したものではない。ピカピカ光っていてちょっときれいそうだからである。
「グレイシア、冷凍ビーム!」
案の定、適当に撃った技なんてリサに通用するわけなかった。冷凍ビームは十万ボルトを突き破る。割かれた十万ボルトは、氷の光線に反射し、芸術を作り上げていた。
「サァ!」
正面からの冷凍ビームをかわすことくらい、サーナイトにとってわけないことだ。しかし、アヤが恐れていることは例のゲージだ。恐る恐るそれを見ると、またゲージが減っていた。もう半分を切っている。やはり、普通に戦うことは大きなマイナスのようだ。
(ど、どうすれば……。あっ、ヒナちゃんならこういう時……。いや、ヒナちゃんが見せ方を気にして戦っているの見たことない!)
アヤは四苦八苦した。様々な案が一瞬で現れ、一瞬で消えていく。と、その時、ふと奇策が浮かんだ。結構突飛な案だが、もう制限時間まで僅か。考えている暇はない。
「サーナイト、歌に合わせて動いて!」
アヤはそれだけ言い残すと、歌いだした。
「♪あ~ららら~」
突然響きだした歌声に、誰しもが戸惑う。ただ、サーナイトだけは主の指示を守り、可憐に舞いだした。その光景は、さながら演劇のようである。
「まさかトレーナーが歌うとはねぇ。面白いじゃん!アタシ達も負けないよ。グレイシア!」
「レー!」
グレイシアはシャドーボールを放つと、煌めくアイアンテールでそれを叩く。シャドーボールはいくつかに分離し、規則正しくらせんを描きながらサーナイトに迫った。
「サーナッ!」
サーナイトは目の前に念動力の壁を作り、それを空中で止める。そして、すかさず十万ボルトを放った。黒い物体を明るい閃光が彩る幻想的な光景。意外と上手い歌声もその世界を作る住人の一人だ。
「♪ラララララ~、ふんふふふ~ん」
可憐な歌声とともに、リサのゲージも徐々に減りだす。手ごたえを感じたアヤは今度は足踏みを初め、次第には踊りだす。その姿はもはや、夢と希望と勇気を与える完ぺきなアイドル。そのせいか、サーナイトの動きもより美しく、より逞しくなっている。
「サーナッ!」
突如、サーナイトは歌のサビと思われる部分で大きく距離をとった。
「ん……?」
あまりにも不自然な間合いにリサは戸惑う。
「サーナーット!」
サーナイトは再び十万ボルトを放った。しかも、ただの十万ボルトではない。電気が長距離を駆け抜ける間に、サイコキネシスで器用に電気の流れを操り、歌詞に沿った様々な模様を編み出していくのだ。
「グレッ……!」
読めない電流に振り回され、グレイシアは直撃を浴びる。また、リサのゲージが減った。これで、リサとアヤのゲージはほぼ同量。終了時間までも秒読み。次の一撃で勝負が決する。
「グレイシア!凍える風!」
「グレェ!」
リサとグレイシアの渾身の一撃を、サーナイトはマジカルシャインで迎え撃つ。凍える風はマジカルシャインに阻まれ、不思議な光を反射させながら儚く舞い散る。その神秘さに魅せられた観客は、誰しもがこの瞬間がバトルの終了であることに気が付かなかった。
こうして戦いが終わった。
「はぁはぁ……。人前で歌うのって疲れるな……」
潤いを失った喉のダメージをこらえならがら、アヤはゲージの方を向いた。ゲージは、ミリ単位の差ではあるがアヤの方が多く残っている。彼女はまた、激闘を制したのだ。
「よ、よかった!やったね、サーナイト!」
「サーナッ!」
アヤはサーナイトのところに歩み寄ると、ハイタッチをした。そのころ、リサはグレイシアに微かに悔しさがにじんだ笑顔を見せていた。
「あちゃ~、あと少しだったんだけどな~。でも、今日のグレイシア、最近で一番おしゃれだったね!よくやったぞー、えらい!」
「レイシ~ア!」
リサに頭を撫でられ、グレイシアは甘い鳴き声を奏でる。そして、彼女たちはトロフィーを持ち、仲良くアヤのところに歩き出した。
「さっきのアヤとサーナイト、本物のアイドルみたいだった!あのバトルを見ていたせいか、敵だったけれどもなんだか元気が出てきたよ!と、いうことでこの『おしゃれなトロフィー』はそのお礼。受け取ってよ!」
リサの手から、カラフルなリボンでデコレーションされたトロフィーが、アヤの手に渡る。
「よーし!おしゃれなトロフィー、ゲットだよ!イェイ!」
アヤはトロフィーを片手に、空いた手の親指と人差し指を垂直にし、何かを撃つようなポーズを決める。
「サナ……」
その傍らで、サーナイトは主がとる謎のポーズに戸惑っていた。
おまけ:リサのパーティー一覧
・リサの肩書は『コンテストメイヴ』です。
・手加減パーティー
☆グレイシア
☆パンプジン(特大サイズ)
☆サメハダー
・本気パーティー
☆グレイシア
☆クレセリア
☆ドサイドン