バンドリの彩ちゃんがポケモンの世界を冒険するようです。   作:なるぞう

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第五十七話 勇気を出して、えいえいおー!

バトルアドベンチャー。遺跡を模した迷路をゴールであるフィールドを目指して進み、道中で手に入れた道具を駆使して戦う施設だ。ちなみに、チャレンジャーが、迷路を進む様子は全てカメラで実況されており、観客はフィールドにあるモニターでリアルタイムで見ることができる。というわけで、アヤも迷路を進んでいたが、案の定遭難していた。

 

「ここどこ〜!ヒナちゃん助けて〜!」

 

既視感漂う悲鳴をあげながら進む彼女のもとに、さら不運はやってくる。なんと、歩いている最中にうっかり集めてきた道具を落としてしまったのだ。結局、アヤは情けない姿を晒した挙げ句、普通の倍近い近い時間をかけ、大した道具も拾えないままフロンティアブレーンが待つフィールドに向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アヤがフィールドにたどり着くと、元気が爆発したような声が耳に飛び込んだ。見れば、アヤの反対側に1人の少女がいた。彼女の名前はヒマリ。勇気を司るフロンティアブレーンだ。

 

「ようこそ!アヤさん、よくここまできましたね!その勇敢な姿、モニターでずっとみてましたよ!」

 

ヒマリは満面の笑みで、心の底からアヤを称える。これを見れば、迷宮での苦労は一気に吹き飛ぶこと間違い無し。文字通り元気をもらえるだろう。が、今回の彼女の言葉はまっすぐ届かなかった。

 

「そ、そんなお世辞言わなくてもいいよ……。逆に傷つくよ〜!」

 

アヤはすっかり肩を落としてしまった。

 

「えっ?私、なんかマズいこと言った!?」

 

しばらくの間、ヒマリがアヤを元気付けるのに奔走したのはいうまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、ヒマリのおかげ?で元気を取り戻したアヤは、戦いを前にして燃え上がっていた。

 

「迷路では、カッコ悪い姿見せちゃったから、バトルでは頑張るぞ〜!」

 

カッコいい舞台を作るために、彼女ははレジギガスを選び、ボールの外に出した。

 

「レジギガス!頑張ろうね!」

 

「……レジガガ」

 

スロースタートの影響か、反応がだいぶ鈍い。しかし、今日ばかりはそこまで心配する必要はなさそうだ。なにしろ、アヤの手元にはディフェンダーやサイコソーダ、すごい傷薬といった便利な道具があるのだから。途中で落としたせいで、普通よりも持ち込んだ道具の量はだいぶ少ないらしいが、これも大した問題ではない。スロースタートされ乗り越えれば反則的な破壊力を見ることができるのだから。要は、道具を駆使して本調子まで持ち堪えられればそれで勝ちだ。

 

 

「なるほど〜、なかなか珍しいポケモン使いますね〜。それだったら、私も全力で立ち向かわないとね!いけ!トドゼルガ!」

 

「トドー!」

 

ボールから飛び出たトドゼルガは吠えた。ヒマリに負けない活きのよさだ。

 

「レジギガス!これを使って!」

 

その咆哮を聞きながら、アヤはレジギガスにディフェンダーを投げる。

 

「ガガガァ!」

 

気のせいか、レジギガスの反応が少し良くなった気がする。と、アヤは思う。ところが、その矢先、ついにトドゼルガが先手を打ってきた。氷の牙である。

 

「レジギガス!雷パンチ!」

 

にわかに、レジギガスの腕に電撃が走る。そして次の瞬間、氷の牙とそれは激突した。

 

「トド……!」

 

いくらスロースタートが効いているうちとはいえ、水タイプを持つトドゼルガにとって、雷パンチは痛い一撃のはず。しかし、トドゼルガは顔を歪めながら必死に食らいついた。

 

「ガガ……!」

 

レジギガスは、腕と一体化したトドゼルガを地面に叩きつけ、振り解く。そして、再度、逆の手で雷パンチをぶちかました。本調子でないレジギガスを攻めに徹しさせるのは、アヤとしては珍しい采配だ。ここまで彼女が積極的に攻撃を指示し続けるのは、道具に身を委ねているからに違いない。

 

「よけて!トドゼルガ!」

 

ヒマリの的確な指示で、2発目の雷パンチは外れた。そして、トドゼルガはこれのチャンスを逃すまいと冷凍ビームを放ってきた。

 

「レレ……!」

 

レジギガスは凍りついた。アヤは慌ててラムの実で治した。が、これは少し困った展開である。相手が冷凍ビームや氷の牙を覚えている以上、また凍らされるリスクがあることに、アヤは気がついたのだ。もう、氷状態を治す手段はない。次に凍ってしまったら、そのまま敗北の道をまっしぐらだ。

 

「どうしたんですかアヤさん!凍るのがそんない怖いですか!?なら、凍る暇もなく、レジギガスを倒してあげます!トドゼルガ!」

 

アヤが攻撃を躊躇したことを好機と見たか、ヒマリは札をきった。トドゼルガは絶対零度を放った。

 

「ギガギガァ……!」

 

間一髪。レジギガスはかわす。なかなか危ない状況だった。しかし、絶対零度のおかげでアヤは踏ん切りがついた。下手に長居して、絶対零度を撃たせる回数を増やすわけにはいかない。

 

「レジギガス!瓦割り!」

 

アヤはあるだけの回復薬を注ぎ込んだ。おかげで、レジの体力は万全。一歩一歩、トドゼルガのところは歩み、フィナーレに近づく。その様はだいぶゆっくりであるが、逆に太古の巨人の強大さを演出していた。

 

「と、トドゼルガ!」

 

ヒマリは、レジギガスに圧倒された。そこに、技を指示する余裕はない。トドゼルガは自分の判断で波乗りを使い、なんとか瓦割りを防ぐ。しかし、ここでレジギガスが本調子を取り戻した。

 

「ギガギガガガガァ!」

 

トドゼルガの身に、鋼を何百倍も重くしたような衝撃がぶつかる。レジギガスのギガインパクトは想像を絶する破壊力で、トドゼルガをぶっ飛ばしたのだ。

 

「トド……」

 

トドゼルガは、ひっくり返ったまま動かなくなってしまった。ヒマリは『こんな強さ反則〜』と音を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レレレレジガガガガガガレレ!」

 

豪快な叫びで勝利を喜ぶレジギガスの傍らで、ヒマリはアヤにトロフィーを持ってきた。

 

「今のレジギガス、とっても勇敢でした!やっぱりアヤさんって勇気のあるトレーナーですね!」

 

「私!?いや、だから……お世辞は……」

 

ヒマリは首を横に振り、アヤの言葉をかき消した。

 

「お世辞なんかじゃないですって。私は、最初に会った時から勇気あるトレーナーさんだと思ってましたよ。だって、どれだけ迷宮で迷っても諦めずにここまで来れたじゃないですか!きっとアヤさんの勇気は諦めない心なんです!」

 

「そ、そうかな〜?えへへ、ありがとうございます!」

 

アヤはとろけ落ちそうなほど顔を緩ませた。ヒマリは、そんな彼女の手に、『勇気のトロフィー』を握らせた。

 

「私も勇気を試すフロンティアブレーンとしてもっと強くならないと!アヤさん、お互いに頑張りましょうね!えいえいおー!」

 

ヒマリの威勢のいい声が響く。しかし、それに続くものは誰もいない。バトルアドベンチャーに、清々しい静寂が訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あと1つトロフィーを貰えば、バトルフロンティア制覇!よーし、明日も頑張るぞ〜!」

 

バトルの後、アヤは施設の外に出てヒナを待っていた。バトルの後は、ヒナが出口で待っており、一緒にポケモンセンターに帰るのが恒例なのだ。ところが、なぜか今日は、出口にヒナの姿はなかった。

 

「うーん。ヒナちゃんのことだから、どこかで寄り道してんのかな〜」

 

と、初めのうちは彼女も特に気にせず、勇気のトロフィーを眺めていた。しかし、待てど暮らせどヒナは来ない。結局、この日、ヒナがアヤの前に現れることはなかった。

 




おまけ:ひまりのパーティ一覧
ひまりの肩書きは、アドベンチャークイーンです。

・手加減パーティ
☆トドゼルガ
☆ダダリン
☆ギャロップ

・本気パーティ
☆トドゼルガ
☆ラムパルド
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