バンドリの彩ちゃんがポケモンの世界を冒険するようです。   作:なるぞう

59 / 66
そろそろ話も大詰めです。コメントや高評価、お気に入り登録待ってまーす!


書いでいる途中で思い出しましたが、幻のポケモンってバトルフロンティアで使えなかったけ……。フロンティアブレーンの特権ということで、多めに見てくれると嬉しいです!



第五十八話 キラキラとドキドキと

ヒマリとのバトルを終えた次の日、アヤは今日のバトルを行うバトルタワーの前で、日菜を待っていた。

 

「どこにいっちゃったんだろう……。私、またヒナちゃんを怒らせちゃったかなぁ……?」

 

とはいえ、彼女を怒らせるようなことをした覚えは全くない。そうとわかった時、アヤの心の霧はますます深くなっていく。このままでは遭難しそう。と、思われた時、アヤの背後から救いの声が差し伸べられた。

 

「こんにちは……、アヤさん……」

 

聞き覚えのある、そっと撫でるような声。リンコである。話を聞くと、彼女はアヤのバトルを久々に生で見てみたくなったらしく、仕事の合間に応援に駆けつけてくれたようだ。

 

「ありがとうございます!」

 

思わぬサプライズのおかげで、にわかにアヤの元気がみなぎる。しかし、数えるまもなくそれは蒸発した。

 

「そういえば……ヒナさんは……?」

 

リンコの言葉がアヤの急所を貫いたのである。

 

「それは……」

 

アヤは一瞬言葉に詰まるも、ポツリポツリとヒナのことを喋り出した。リンコはそれを何も言わずに聞く。そして、一度目線を上に上げて 、再びアヤの方を見た。

 

「なるほど……ヒナさんが昨日からいない……。でも………、こんなこと言うのも失礼かもしれませんが……、そこまで心配する必要は……ないと思いますよ……。ヒナさんなら……何かあっても自力で乗り越えられるはずです……」

 

「でも、心配だよ〜!」

 

ヒナが大ケガしている姿。凶暴なポケモンに追いかけられるシーン。リゲル団に取り囲まれる瞬間。ありとあらゆる惨状が、アヤの目に浮かぶ。しかし、リンコが見ているものは少し違うようだ。

 

「気持ちはわかりますけど……今はやらなければいけないことが……あるはずです……。アヤさんは…バトルのことに集中してください……。ヒナさんは……私が探しますから……」

 

こう言い残すと、リンコはサザンドラに乗って去っていった。確かに、彼女が言う気音も一理ある。アヤは、彼女のことを信じ、バトルタワーに入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バトルタワーのフィールドは、すでに出来上がっていた。輝きを司るフロンティアブレーンとアヤとのバトルを楽しみにする観客の熱気で爆発しそうである。アヤは湧き立つ雰囲気の中で、今か今かとフロンティアブレーンの登場を待っていた。

 

「こーんにちは〜!」

 

ついに、会場にいる人全員分に匹敵する元気を持ち合わせた少女が現れた。同時に、アヤは叫んだ。

 

「あれ、もしかして……!」

 

ブレーンとして現れたのは、見覚えがある顔である。間違いない。ランとマヤと戦った日の夕方、颯爽と現れ、風のように消えた少女、カスミである。

 

「また会えましたね!アヤさんとバトルできるのか楽しみすぎて、昨日の夜は眠れませんでしたよ〜。だから、早く戦いましょう!」

 

「えっ、もう!?」

 

と、アヤが驚きの声を上げた時にはすでに、カスミはボールを構えていた。

 

「もう胸の鼓動が止まらないんです!興奮が抑えられないんです!アヤさん!私と一緒にキラキラドキドキしましょう!」

 

カスミは、戸惑うアヤを置いてきぼりにしながら先鋒のラティオスを繰り出す。

 

「いけっ!ムクホーク!」

 

間も無く、アヤも対する1番手を繰り出した。

 

「ホーーーク!」

 

開幕の一叫び。相変わらず、頼もしい存在だ。しかし、ラティオスは、意に介することなく、悠々と空で覚醒の時を待っている。

 

「絆輝け!メガシンカ!」

 

カスミの腕のメガリングと、ラティオスが共鳴する。メガシンカ特有の桃色の閃光が終わった時、メガラティオスが目の前に現た。

 

「いくよ!ムクホーク!」

 

「ホークッ!」

 

アヤとムクホークは、迷わず底知れぬ強敵との戦いに飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ムクホークとラティオスの互角の戦いは永遠に続くかのように思えた。しかし、ついに熾烈な空中戦にも終わりの時が来たようだ。

 

「ホーーク!」

 

勝ったのはムクホークだ。ムクホークは力なく墜ちるラティオスをしり目に、声をあげ、ボロボロの翼を羽ばたかせ、己の勝利を主張する。が、これが命取りになった。

 

「ラティオス!冷凍ビーム!」

 

華麗な勝利に、水を差すかのようなカスミの声。すると、墜落寸前のラティオスは最後の力を振り絞りだした。

 

「ホークッ……!?」

 

無慈悲にもムクホークを貫く氷の光線。ムクホークはラティオスに続き、落下した。

 

「そんな……!」

 

アヤの予想を数段上回る展開。完全に油断しきったところを狙う、巧妙な奇襲であった。

 

「どうですか、アヤさん!そう簡単に勝利は渡しませんからね!」

 

このカスミの言葉は、実にシンプルであるが、実に恐ろしくアヤの耳に届く。彼女は、その恐怖を振り払うかのように勢いよくハガネールを繰り出す。と、同時にカスミの二番手も姿を現した。千年に七日しか目を覚まさないと伝わる幻の存在、ジラーチだ。

 

「ラ~チ」

 

星のように煌めく瞳に、鈴を奏でるような声。端的に言えば可愛い。事実、観客からも様々なところから『かわいい』という声がする。しかし、アヤの目に映るジラーチはそうではない。面の下で研ぎ澄まされた鋭い牙が、確かに彼女の目には映っていた。一度、1本とられた以上、彼女に容赦する選択肢はない。貪欲に勝利を目指して攻め続けるのみだ。

 

「ハガネール、炎の牙!」

 

昔読んだ本の記憶を頼りに、采配を振るう。

 

「ラァァチ!」

 

とりあえず、一撃目はヒット。勝利の光明が差したか。いや、それはアヤの錯覚であった。ハガネールが食いついた瞬間、頭に波動弾が直撃。ジラーチは、このためにわざと炎の牙の餌食になったのである。

 

「よーし!ジラーチ、ジャジャーンっていくよ!草結び!」

 

この一手を機に、カスミがペースを握りしめた。シャドーボールに波動弾。雨あられの猛攻の弾幕で、ハガネールはロクにジラーチに近づけない。巨体が仇になって回避もままならない。ハガネールの体力も目に見えて減っている。アヤは、強硬手段に打って出た。

 

「いくよ、ハガネール!私たちのゼンリョク!ライジンググランドオーバー!」

 

ハガネールの、全てがジラーチにぶつかる。勝機をつかむなら今。ハガネールは、致命傷を受けたジラーチに、炎の牙で襲い掛かった。しかし、ジラーチは妙なほどおとなしくその運命を受け止めた。強いて言えば、両掌を合わせ、自身の体をにわかに光らせただけだ。

 

「よし!これで一勝!」

 

アヤはようやく柔らかい表情を見せる。しかし、それは一瞬で終わった。ジラーチがカスミのボールに戻るのを見届けると、ハガネールも糸がプツンと切れたように倒れてしまったのだ。これで戦況は変わらず互角のまま。瞬きも許さぬ緊迫した勝負は、まだ続くようだ。

 

「よし……。最後は……」

 

アヤは、カブトプスが入ったボールを握りしめる。すると、ふとカスミの笑顔が目に入った。

 

「アヤさん!私達、今、とってもキラキラドキドキていますね!」

 

「えっ?」

 

思いもよらぬ謎の言葉をアヤは聞き返す。カスミは答えの代わりなのか、デオキシスを繰り出した。

 

「デオォォ」

 

アヤに抱き着くカブトプスの向こうに見えるのは、オレンジと緑を基調とした細身且つ長身のシルエット。見れば見るほど吸い込まれるほど不思議なデザイン。以前、マリナ博士から宇宙から来たと聞いたことがあるが、それも納得だ。

 

「お願いね、カブトプス!」

 

アヤの想い、カブトプスの耳元から伝わる。それを燃料に、カブトプスの闘志はグツグツと湧きあがった。

 

「トーップス!」

 

主が笑うか泣くか。それは全て自分次第。主の想いを裏切るわけにはいかない。気が付くとカブトプスはデオキシスに飛び掛かっていた。

 

「デオォォ!」

 

しかし、デオキシスは勢いだけで勝てる相手ではなかった。デオキシスは自分の体を丸みを帯びたディフェンスフォルムに変化させると、カブトプスの攻撃を完全に受け流したのだ。

 

「カブトプス、熱湯!」

 

すかさずアヤは次の手を打つ。が、これも大した効果はない。と、デオキシスの姿がシャープで刺々しい姿に変わった。アタックフォルムだ。

 

「オオォ!」

 

デオキシスは触手のような四本の腕で電気の塊を構成し、カブトプスに放った。まるで、本当の攻撃を教えるかのような一撃だ。

 

「トープス!」

 

アヤが叫ぶのを待たず、カブトプスは電磁砲をかわした。そして、すぐさま反撃に移ろうとしたのだが……。いない。デオキシスの姿が見えないのだ。

 

「オォォ!」

 

デオキシスは困惑するアヤとカブトプスをしり目に、カブトプスの背後に現れた。デオキシスは流線型のシルエットを持つスピードフォルムに変化していた。瞬間移動と見間違うほどのスピードでカブトプスの背後をとったのが、姿を消したカラクリである。

 

「避け——」

 

「電磁砲!」

 

アヤの咄嗟の指示をカスミがかき消す。同時に、デオキシスがアタックフォルムに変化。直後、電撃はバチバチと火花を散らしながら、カブトプスの体を駆け巡った。

 

「大丈夫!?カブトプス!」

 

「カブゥ……!」

 

右手の鎌をあげ、アヤの呼びかけに応じる元気はまだあるようだが、最初の勢いはなく、動きもどこかぎこちない。先ほどの電流が体に残り、痺れているようだ。

 

「まだだよね……。まだ勝負はついてないよね!私は諦めないよ!」

 

断崖絶壁の窮地に追い込まれながらも、アヤは己を奮い立たせる。しかし、心の半分は、中々勝ち筋を掴めずかなり焦っていた。デオキシスの最大の特徴は、最初にボールから出たときに見せたノーマルフォルム、攻撃特化のアタックフォルム、鉄壁を誇るディフェンスフォルム、目にもとまらぬスピードフォルムを臨機応変に使い分ける点に尽きる。アヤは、そこに弱点が潜んでいるとにらんだが、未知なる相手である故か全く見当がつかない。

 

「そろそろかなぁ?デオキシス!サイコブースト!」

 

デオキシスの四本の腕に、アヤが見たことない力が宿る。雰囲気的に、勝負をつけに来たようだ。

 

「かわして!」

 

力が解き放たられる瞬間、アヤは叫ぶもカブトプスは動かない。いや、体が痺れて動けないのだ。

 

「オオォォォォォォォ!」

 

デオキシスの中に眠るあらゆる力がカブトプスを襲う。カブトプスは何とか耐えたが、間髪入れず、天より殺意に満ちた無数の光がカブトプスに降り注いだ。状況的にどう考えてもデオキシスの攻撃ではない。と、その時、アヤはジラーチが散り際に見せた不思議な行動を思い出した。

 

「もしかして……、この攻撃ってジラーチの……」

 

アヤの勘は正しかった。ジラーチはひん死の直前に、『破滅の願い』を未来に送ったのだ。そして、今、カブトプスの身は破滅寸前だ。もはや、かすり傷の1つすら許されない。

 

「アヤさん!この勝負はもらいました!」

 

カスミがそう言うと、いつも間にノーマルフォルムに戻っていたデオキシスは再びフォルムに変化しだす。が、皮肉にもこれが命取りになった。

 

(あれ……?姿が変わるの瞬間って、他のことが出来ないのかな?)

 

空中で制止しながらフォルムチェンジするデオキシスを見た瞬間、アヤの中に閃きが爆発。もう、迷っている暇はない。反射的にアヤはアクアジェットを指示した。

 

「カブトッ!」

 

最後の力を振り絞り、カブトプスはデオキシスに突っ込む。フォルムちゃん時の弱点を突かれたデオキシスはアクアジェットを避けられなかった。最後の最後の大どんでん返し。アヤに勝利が転がり込んだ瞬間だ。

 

「カブトプス!シザークロス!」

 

カブトプスは、細身なそのボディを自慢の両鎌で切り裂く。これは、極限まで耐久力を削ったアタックフォルムで、耐えられるような一撃ではない。

 

「オォォ……」

 

デオキシスは呻きをあげながら、ついに倒れた。しかし、この時のカスミの表情は負けたのにもかかわらず、どこか嬉しそうであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦いが終わると、観客の大歓声がアヤとカブトプスを包んだ。

 

「お疲れ、カブトプス」

 

アヤはフィールドの真ん中で膝をつくカブトプスを抱きしめ『お疲れ』と優しくいながら、ボールに戻した。カスミは真横で目を輝かせていた。

 

「うーん!キラキラドキドキしている!」

 

また、謎のワードだ。もはや、アヤは聞かずにはいられない。

 

「キラキラドキドキって、なんですか……?」

 

「えっ……?それは……キラキラしてて……ドキドキで……」

 

辿々しい言葉の末、ついにカスミが凍りついた。どうもアヤは、触れてはいけないところに触れてしまったようだ。

 

「えっと……その……」

 

アヤは慌てて話題を変えようとしたが、何も出てこない。妙な静けさが2人の間に蔓延した。次にカスミが喋るまでは、数十妙を要した。

 

「……なんか、あまりいい言葉が浮かばないんですけど、アヤさんって素敵ですよね。なんか、まっすぐな感じで。それにとってもポケモンと仲がいいし!うん!とっても輝いています!」

 

実にシンプルな言葉だ。それなのに、偉大な偉人の言葉のような錯覚を起こしてしまう。

 

「ありがとう……ございます!」

 

単純の中の深さに圧倒され、アヤもありきたりな言葉しか出てこなかった。しかし、カスミには彼女の想いがしっかりと伝わったようだ。

 

「アヤさん、ぜひこれを受け取ってください!私に勝った証、『輝きのトロフィー』です!」

 

8つ目のトロフィーが、カスミからアヤの手に渡る。彼女がバトルフロンティアを制した瞬間だ。辺りからは大歓声が湧き上がった。皆、アヤの偉業を祝っているのだ。が、当の本人はは意外にも嬉しくなかった。いつもの調子なら、わんわん大粒の涙を流してもおかしくはないのだが、今日は一滴の涙すら湧いてこない

 

「ヒナちゃん……」

 

大歓声の中に、1番見ていて欲しい人の、あの無邪気な声はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「ヒナちゃん!」

 

バトルが終わってすぐ、アヤはバトルタワーの入り口に駆けていった。もしかしたらヒナがサプライズで待ち受けているかも知れない。もはや藁にもすがる思いだ。しかし、その願いは儚く、脆く、散った。ヒナは、やっぱりいなかった。

 

「結局、ヒナちゃんどこにいるんだろう……」

 

勝利の余韻で、確かに心の穴少し埋まった。が、中途半端に埋まったおかげで、変な気持ちがモヤモヤ、グルグル、彼女の中で渦巻いている。その時だ、図鑑の通知音が耳を貫いた。最初は、ハッとヒナとの再会を期待したアヤ。ところが、どこか様子がおかしい。彼女の図鑑だけではなく、周りにいる人の、あらゆる図鑑がけたたましく鳴り響き、日常を壊しているのだ

 

「なにが、起きてるの……」

 

恐る恐るアヤは図鑑を確認した。すると、パッと1人の少女が映り込んだ。凍てつく眼、ヒナに瓜二つなその風貌。間違いない。リゲル団のリーダーのサヨだ。

 

『シンシューの皆さん、こんにちは。私はリゲル団のリーダー、サヨです。今日は朗報を伝える為に、図鑑をお借りしました。……えぇ、突然図鑑をジャックされて、怒る人や困る人もいるでしょう。その気持ち、わかります。でも、もうそんな負の感情に悩まされるのはこれで終わりです。数日以内に、このシンシューから革命が起こります。世界は変わるのです。世界の誰しもが平等に、そして、笑顔になるのです!皆さんは、歴史的な瞬間に立ち会うことができるのです!それでは、その瞬間まで、どうか楽しみにしていてくださいね』

 

画面越しのサヨは、怖いほど淡々としていた。長らく忘れていた、リゲル団の脅威が帰ってきたのだ。




おまけ:香澄のパーティ一覧
香澄の肩書は、お馴染みタワータイクーンです。

・手加減パーティ
☆バンギラス
☆ドリュウズ
☆スターミー

・本気パーティ
☆ラティオス
☆ジラーチ
☆デオキシス
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。