バンドリの彩ちゃんがポケモンの世界を冒険するようです。   作:なるぞう

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ということで初のジム戦です!果たして勝つのはどちらなのか!?


第五話 笑う岩ポケオタク

 次の日の朝、アヤはハナノシティジムの前に立っていた。

 

「いよいよか……」

 

モンスターボールを固く握り呟く。だが、ジムに入ろうとしてもなかなか足が動かない。

 

「あはははは!どうしたのアヤちゃん?もしかして緊張しているの?」

 

「うっ……、そうみたい……」

 

「変なの~。あっ、そうだ!そこまで緊張するなら私のポケモン貸してあげるよ。そうすればきっと楽勝だよ!」

 

一瞬アヤの心に魔が差す。だがその悪魔はすぐに良心によって滅ぼされた。

 

「だ、駄目だよ!人のポケモン使っても意味ないよ!」

 

「やっぱり?まぁ、アヤちゃんならそう言うと思ったけど。それじゃぁ、さっさと中に入ろうよ。ここでずっと立っていても仕方ないしさ」

 

「わかった……!」

 

ヒナの言葉に背を押され覚悟が決まる。アヤの足はゆっくりと、しかし確かに動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

「お。おじゃまします……!」

 

ぎこちない足取りでジムの自動ドアをくぐると、きれいに整備されたラウンジが広がっていた。

 

「これがポケモンジムか……」

 

実際にジムに入るとアヤはキョロキョロとラウンジを見渡した。いよいよジムに挑むのだ。そう思うと、緊張は再び蘇る。

 

「あっ、チャレンジャーの方ですか?今いくっす!」

 

さらに拍車をかけるかのように、奥からジムリーダーと思われる少女の声がした。

 

「は、ひゃい!」

 

不意に声を掛けられ、思わず声が上ずる。胸の鼓動はもはやピークを通り越して爆発しそうだ。だがそうとも知らず、ジムリーダーはついにアヤの前に姿を現した。

 

「待たせてごめんなさい!ジブンがこのハナノシティジムのジムリーダー、マヤって言います」

 

その顔を見た瞬間、アヤは言葉を失った。自分の目の前でジムリーダーと名乗る少女は、間違いなく先日博物館で出会った学芸員だ。衝撃の再会である。

 

「フヘヘヘ、自分は学芸員とジムリーダーを兼任しているんですよ。どうですか、驚きました?」

 

中々特徴的な笑いをあげながら、マヤは口元を緩ました。

 

「う、うん……」

 

だが、アヤは声にならない返事をかすかに鳴らすだけである。

 

「まぁ無理もないでしょうね。ジブンも次の予約者がアヤさんって知ったときは驚きましたから。まさかあの日、出会った人がチャレンジャーだなんて思いもよりませんでしたからね」

 

「私もだよ」

 

ようやく衝撃の事実を飲み込んだアヤも笑みを見せた。それを確認するとマヤは背を向き、すぐ後ろの引き扉に手をかける。

 

「それじゃあ、さっそくフィールドの中に入りましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 扉が力いっぱいひかれると、その先にはゴツゴツした岩石がまばらに並べられたフィールドが広がっていた。中に入るとアヤは入り口の近くに、ヒナはアヤの近くにある観戦用のベンチの上に腰かけた。そしてマヤも奥のほうに立った。

 

「アヤさん、これからジム戦を開始させていただきたいんですけど、その前に一つお願いしてもいいでしょうか……?」

 

「な、なに……?」

 

急にジムリーダーからお願いと言われ、身構えるアヤ。しかし、そのお願いとは意外なものであった。

 

「あの~、できればでいいんですけど、お互い歳もお何みたいですしため口でしゃべってもらえないでしょうか?なんか同い年に敬語使われると、どうも調子が狂って……」

 

「ごめんなさ——ごめん!マヤちゃん!」

 

「いえいいえとんでもないです。こちらこそわがままを聞いてくださってありがとうございます」

 

マヤは頭を深く下げると、言葉を続けた。

 

 

「少し話が反れてしまいましたが、それでは始めましょうか。確か所持しているジムバッジは0個、試合形式は1対1のシングルバトルを希望でしたよね?」

 

「うん。よろしくね」

 

マヤはアヤの返事を聞き取ると、近くの棚からモンスターボールを一つ取り出した。

 

「いいですかアヤさん?ここから先は互いの実力を全力で出し切る真剣勝負です。いくら面識があるからと言って手加減はしないですよ。解説だけでは伝えきれない岩ポケモンの魅力、存分に披露いたしましょう!チゴラス、お願いします!」

 

「お願い!ナエトル!」

 

互いのポケモンがボールから飛び出す。

 

「チーゴー!」

 

マヤのチゴラスはフィールドに降り立つや否や鼻息を荒々しく鳴らし、すでに臨戦状態だ。アヤのナエトルも負けじと鳴き声をあげるも、チゴラスの放つ威圧感に飲み込まれそうである。

 

「フヘヘへ。なるほど、アヤさんのポケモンはナエトルですか。タイプ相性は不利ですが、問題ないでしょう。先行は譲りますよ」

 

「よーし!ナエトル!体当たり!」

 

「ナエッ!」

 

アヤの指示がフィールドに響く。ナエトルは助走をつけ、微動だにしないチゴラスにぶつかった。しかし、チゴラスはまるで効き目がない。

 

「あれっ!?どうして効かないの!?」

 

アヤは大慌てで自身の手のひらを見た。彼女の手のひらには岩タイプの相性がマジックでびっしり書き込まれており、そこには『ノーマルタイプの技は岩タイプに弱い』と記されていた。岩タイプのチゴラスには、どうりで効き目がないわけだ。

 

「フヘヘヘヘ、中々いい攻撃ですけど、ジブンのチゴラスには痛くもかゆくもないっす!今度はこちらから!チゴラス!ステルスロック!」

 

「チゴ!」

 

チゴラスが吠えると、フィールドに尖った岩が漂いだす。だがこの時、観戦席で見ていたヒナは違和感を覚えた。

 

「あれ?ステルスロックって確か交換をした相手にダメージを与える技だから、1対1の試合で使っても意味ないんじゃ……」

 

しかしマヤはお構いなしに戦闘を繰り広げる。

 

「そして、体当たり!」

 

マヤの指示を受け、チゴラスはナエトルに突っ込んだ。

 

「あわわ!ナエトル、よけて!」

 

手のひらを眺めていたアヤは慌てて回避の指示を出す。寸のところでナエトルは横に跳ね、チゴラスを回避。そのまま近くの岩陰に転がり込んだ。

 

「そこで殻にこもる!」

 

さらに防御力を高めようと、前足を頭にもっていこうと動かす。だが直前に隠れていた岩が砕けた。驚きの声を発することも許されず、ナエトルは岩を割って猛進してきたチゴラスに跳ね飛ばされる。

 

「ナエッ!」

 

ナエトルは着地に失敗し、べたっと地面に腹をつけている。マヤはそこを逃さなかった。

 

「そこっす!チゴラス、岩石封じ!」

上空に巨大な岩が現れ、ナエトルの上にのしかかる。かつて経験したことのない連続攻撃を前に、ナエトルはフラフラだ。回避すらままならないだろう。しかし、マヤの攻撃の手は緩むことを知らない。

 

「チゴラス!これで止めっす」

 

「チゴッ!」

 

名前を呼ばれただけであったものの、それだけですべてを理解したようだ。チゴラスは走り出した。

 

「ナエトル!体当たりで迎え撃って!」

 

すかさずアヤも迎え撃つ。だがナエトルの体が当たる直前に、チゴラスは空高く跳ね上がった。

 

「ナエッ!?」

 

漂うステルスロックを足場に、どんどん上へ上へあがっていくチゴラス。そして最高地点に到達した瞬間、チゴラスは岩から飛び降りた。

 

「踏みつけ!」

 

マヤの指示とともに、チゴラスの右足が白く光る。それは間もなくナエトルの真上から襲い掛かり、ナエトルを踏みつけた。高所から落ちるエネルギーも相成り威力は絶大だ。その証拠に、チゴラスがゆっくりナエトルから足をどかすと、そこにはナエトルが目を回しながら横たわっていた。

 

「そんな……」

 

ナエトルは戦闘不能だ。あまりにも一方的な敗北である。

 

「アヤさん、今回は残念ですがジブンの勝ちです。でもアヤさんのナエトル、中々いい動きしてましたから、もっと鍛えればきっとジブンに勝てると思います。それなので、またチャレンジしに来てくださいね」

 

マヤがそばに寄って声をかけてくれたが全く耳に入らない。アヤは目の前が真っ暗になった。アヤは疲れて動けなくなったひん死のポケモンをかばいながら、急いでポケモンセンターに戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、負けたショックのせいかアヤは笑顔も全く見せず、すぐに眠ってしまった。そのせいで詰まらなかったのか、ヒナもすぐに眠りについた。だがその日の深夜、日付ももうすぐ変わろうとするころ物々しい物音でヒナの目はふと覚めたのだ。

 

「なんだろうこの音……?」

 

音の発信源は外のようである。ヒナは眠い目をこすり窓のカーテンを少し開け外をのぞく。

 

「あっ、あれって……」

 

ヒナは自分の目を疑った。彼女の視界では、月明かりに照らされながらアヤと彼女のポケモンが何かをしていた。それを見て、居ても立っても居られなくなったヒナは着の身着のままでアヤのもとに走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アヤちゃん?」

 

外に出ると、ヒナはアヤの背後で首を傾げた。

 

「えっ、ヒナちゃん……?」

 

不意に現れたヒナにアヤは驚きを隠せない。そんな彼女にアヤは怪訝そうな様子だ。

 

「どうしたの、アヤちゃん?こんな時間に何やっているの?」

 

するとアヤはやや顔を赤らめた。

 

「こ、これは……、ヒミツの特訓というかなんというか……。一回寝たんだけど、中々熟睡できなかったからやってたんだ……。ほら、今日コテンパにやられちゃったから……」

 

そういわれよくよく周りを見ると、空き缶や小石、捨てられたブロック塀の一部など特訓に使われていたであろう物の残骸が転がっていた。

 

「これで何しようとしてたの……?」

 

ヒナは空き缶を拾い上げた。

 

「これは、体当たりの的に使ってたんだ」

 

「あはは……」

 

「えっ?」

 

今度はアヤが怪訝な目でヒナを見た。ヒナは目の前で腹を抱えて笑っている。

 

「ど、どうして笑うのヒナちゃん?」

 

「あはははははは!いや~、なんかヘンテコな訓練だったからさ!あははははっ!」

 

ヒナの笑い声が、夜の静けさを打ち破る。

 

「う~、そんなに笑わないでよ~!私にはこのくらいしか思いつかないんだよ~!」

 

このまま放っておけば、アヤは泣いてしまいそうだ。流石にからかいすぎたと思ったのか、ヒナもようやく笑うのを止めた。

 

「あー、やっぱりアヤちゃんと一緒にいるとるんってするね!よし決めた!明日はさ、私と一緒に特訓に行こうよ!」

 

「特訓……?どこに行くの?」

 

「この辺のどっか。そうだな~、この前通ったマックラトンネルなんかどうかな?あそこなら岩タイプのポケモンも多いから、いい特訓になるはずだよ」

 

「またあそこに戻るの?洞窟の雰囲気、あんまり好きじゃないんだけどなぁ……」

 

「じゃぁ、止める?」

 

「……でも、そんなこと言ってたらいつまでたっても強くなれないか。わかった、明日はマックラトンネルに行こう!」

 

アヤの笑顔が戻ってきた。ヒナはそれを見て胸をなでおろすと、再びベッドにもとったのである。

 




おまけ:現時点でのアヤの手持ちまとめ。

☆ナエトル(♂)
特性:新緑

・体当たり
・殻にこもる

☆ラルトス(♀)
特性:トレース

・鳴き声
・念力
  
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