バンドリの彩ちゃんがポケモンの世界を冒険するようです。   作:なるぞう

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時間が空いてすみません。ということで、番外編1です。
今回は、この世界のあこちゃんとりんりんの出会いの物語です。
時系列的には第24~25話あたりです。


番外編
闇と影の遭遇


NFO(ネオ・ファンタジー・オンライン)』。それは、魔法やモンスターが当たり前のファンタジーな世界を舞台に、世界中の人が一緒に冒険できるネトゲだ。その人気は住様しく、カントーからアローラまで、全国的に人気を博している。もちろんこのシンシューでも例外ではなく、多くの人がこのゲームをプレイしている。また、そのプレイヤーの中には各界の有名人も多数いるのだ。例えば、彼女のように——。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ここでバフ……。ここで薬草……、ここで魔法攻撃……!」

 

今、パソコンにかじりつくようにゲームをしている彼女の名前はリンコ。彼女は言わずと知れたピアニストであり、シンシューポケモンリーグのチャンピオンでもある。実はリンコ、人前ではあまり言わないが、ネトゲが趣味なのだ。しかも、その腕前もなかなかのもので、ランキングも結構上位に食い込んでいる。今も、期間限定のクエストをフレンドと一緒に攻略している真っ最中だ。

 

「ここでこうして……!それ……はい……!」

 

タイピングの激しい音が響く。と、ここでリンコは大きく背伸び。今、フレンドと協力して期間限定のクエストを攻略し終わったのだ。

 

『やったー!さすがだよ!RinRin!』

 

攻略が終わるや否や、今協力していたフレンドからメッセージが飛んできた。彼女の名前は『聖堕天使アコ姫』。リンコと毎日のようにゲームをプレイしているフレンドだ。両者ともに顔も本名も知らないが、少なくともネトゲの中での彼女たちは非常に仲がいい。リンコ的にはぜひとも一回あってみたいと思っているほどだ。人前な苦手な彼女にしては珍しい経験である。しかし、リンコはシンシューの中ではかなり有名な人。立場的に見ず知らずの人と会うことは厳しい。その為、聖堕天使アコ姫から『実際にあおうよ!』と、メッセージが送られてきても、断腸の思いで断り続けてきたのだ。が、そろそろこの我慢も限界になってきた。会いたい、聖堕天使アコ姫に会ってみたい!そんな思いが日に日に強くなっていく。と、その時、彼女の目にゲンガーやオーロット、シャンデラが見ているテレビ番組が飛び込んできた。それは、有名人のそっくりさんを捜す番組だ。

 

「これは……」

 

リンコは見ていておどろいた。出てくる人みんな、有名人と瓜二つなのだ。

 

「ん……?もしかして……」

 

何気なくこの番組を見ていると、彼女の中に聖堕天使アコ姫と出会うための妙案が浮かんできた。それは、『リンコ』としていくのではなく、あくまで『リンコのそっくりさん』として、聖堕天使アコ姫と出会うというものだ。

 

『ねぇ、RinRin!今度会おうよ!』

 

そう思っていると、また聖堕天使アコ姫からチャットが送られてきた。なんとも絶妙なタイミングだ。もはやこれは、実際に会ってこいという天からのお告げである。彼女は、こうチャットで送った。『うん、いいよ!今度、会おうよ!』と。そして、リンコはプライベート用の図鑑の連絡先を教え、相手からも連絡先を受け取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、なんだかんだで日は流れた。今日はリンコがいよいよ、聖堕天使アコ姫と出会う日だ。

 

「えっと……、ここでいいんだよね……」

 

2人が待ち合わせたのは、ユウダチシティ中央部にあるドンカラスの石造だ。待ち合わせの時間である正午までは、あと三十分ほど。ちょっと早くつきすぎたようだ。

 

「大丈夫……、大丈夫……。なんどもゲンガーやオーロット相手に練習したから……。今日の私は……チャンピオンでピアニストの……リンコじゃない……。ただ『リンコ』に似ているだけの……普通のポケモントレーナー……『リンカ』……。そう……、今日の私はリンカ……!」

 

リンコは何度も、何度もこの言葉を自分で呪文のように唱えた。すると、彼女の図鑑に連絡が入った。聖堕天使アコ姫からだ。どうやら、アクシデントが発生して少し遅れてしまうらしい。

 

「『うん!わかったよ(*^^)v』……。送信っと……」

 

メッセージを見ると、彼女はすぐに返信を送った。だが、その時、視界の端に映る路地に、一人の怪しげな男がうごめいているのを見た。リゲル団員だ。

 

「どうやら……、チャンピオンの『リンコ』に戻らないといけないみたいですね……」

 

リンコは『私も遅れそうm(__)m』と、メッセージを送ると、リゲル団員の後をつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リゲル団員は、リンコに後をつけられているとも知らず、薄暗い路地を通り、とある建物の裏口から、その内部へと入っていった。この建物は、ユウダチシティのメインストリートに面する立派な建物である。表現は悪いが、リゲル団員には不釣り合いな場所だ。

 

「確かこのビル……、シンシューでも指折りの富豪が経営している会社のものだった気が……。ここには薄汚いリゲル団の用事なんてないはずなのに……。資金を援助するように脅されているのかな……?それとも……」

 

いずれにせよ、マズい事態であることは変わらない。リンコは、固く閉ざされた扉をシザリガーに破壊させた。すると、その先には地下に続く長い階段があるではないか。

 

「この会社の富豪……、ラプラスの保護を資金面でサポートしたり……、ポケモンセンターに多額の寄付をしているいい人だと思っていたんだけど……。なにやら裏がありそう……」

 

リンコは、シザリガーとともに怪しい地下空間に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

時同じくして、ホマチシティのジムリーダーの一人であるアコも、リンコが見つけたものと同じ地下空間にいた。しかし、彼女は絶体絶命のピンチに陥っていた。この空間をいち早く見つけて潜入したまではいいものの、リゲル団員に見つかってしまったのだ。

 

「ど……、どうしよう……」

 

今、彼女は何人もリゲル団員に囲まれている。手持ちのポケモンは、無数のリゲル団員との連戦により、満足に戦える状態ではない。リゲル団員たちはそれを知っているせいか、いつも以上に強気で、いつも以上に意地の悪い表情を浮かべていた。

 

「ヘッ、1人で敵陣に忍び込まなくちゃいけないなんて、ジムリーダーも大変だな~」

 

「さて、私達と一緒に来てもらおうかしら。貴女を戦利品として、サヨ様のところに連れて行ってあげる」

 

そういいながら、1人の女性団員がアコの腕に手を伸ばす。が、その瞬間彼女たちは背後に現れた、不穏な影に気が付いた。リンコだ。

 

「チッ……!そこにいるのはチャンピオン……!どうしてここに……!」

 

彼女の姿を見た団員に動揺が広がる。しかし、対するリンコの表情は清々しいまでの笑顔だ。

 

「随分と……楽しそうなパーティーですね……。よければ……、私も参加させてもらえないでしょうか……?生憎……、招待状は持ってないですけどね……!」

 

そういうと、リンコはリゲル団のポケモン軍団の中に、シザリガーを飛び込ませる。

 

「ザリガー!」

 

シザリガーは、あっという間にその場にいたリゲル団員を蹴散らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、アコは無事救出された。しかし、追い詰められたことが相当怖かったようで、その目には涙を浮かべている。

 

「リンコさん!助けてくれてありがとう!一時はもうダメかと思ったよ~」

 

「そんな……。私は大したことはしてないよ……」

 

「そんなことないよ~!さっきのリンコさん、超かっこよかったもん!」

 

「ありがとう……、アコちゃん……。ところで……、話は変わるけど……どうしてアコちゃんがここに……?」

 

「えっとね……、今日ユウダチシティで人に会う約束していたんだけど、なんかこの建物に怪しい人が入っていくのを見たんだ。だから、追いかけてみたんだけど……。うー、アコの中に眠る闇の力を解放してドーン!バーン!ってかっこよくキメたかったんだけどな~」

 

「そんなに落ち込まなくてもいいと思うよ……。たった一人でここに来ただけでも……、十分カッコいいと思うよ……。さてと……、ここからは私も力を貸すから……、一緒にここを調べよっか……。大丈夫……、視界に入ったリゲル団員は……、みんなまとめて血祭りにしてあげるからね……」

 

そういうと、リンコはアコの手持ちを回復させる。そして、2人は奥に向けて歩き出した。だが、すぐに別のリゲル団員たちが、2人のところに押しかけてきた。

 

「リンコさん……」

 

リゲル団の威圧に圧倒され、アコはリンコの後ろに隠れる。しかし、リンコは全く動じず、真顔でリゲル団を見ていた。

 

「情報を聞き出すのには……、一人いれば十分ですよね……。戻ってください……シザリガー……。そして……、サザンドラ……、リゲル団に地獄を見せてあげなさい……」

 

「ザンドーラ!」

 

サザンドラはシザリガーと入れ違いでボールから現れると、竜星群を発射。同時に、あたりに絶叫が響き、爆発音と硝煙が巻き起こる。

 

「うわ……。なんか凄い……」

 

リンコの傍らでアコがあっけにとられていると、硝煙が晴れてきた。硝煙の向こうに広がっていたのは、竜星群に巻き込まれて気絶している大量のリゲル団員と、ただ一人、無傷で棒立ちしているリゲル団員だ。

 

「よくやりました……、サザンドラ……」

 

リンコはそういうと、相変わらず真顔でサザンドラとともに唯一生き残った——いや、わざと生き残らせたリゲル団員のところに歩いて行った。

 

「先に言っておきますが……。サザンドラの火力が下がっているとはいえ……、あなたを消し炭にするくらいの威力はありますからね……。さぁ……、教えてください……。ここは一体何なんですか……?」

 

「ザンドーラ!」

 

リンコとサザンドラはジリジリとリゲル団員に圧をかける。しかし、当のリゲル団員はへらへら笑ってばかりだ。

 

「へっ!誰がお前なんかに教えるかよ!」

 

あろうことか、そのリゲル団員はリンコの顔に空のボールを投げつけ、コラッタのような速度でどこかに逃げ出した。ところが、リンコは追いかけず、じっと逃げていく団員を見ているだけだ。

 

「ちょこまかと鬱陶しいなぁ……。教えてもらうのがダメなら……、撃ち殺してやる……」

 

リンコはスッと腕をあげた。同時に、サザンドラの三つの口から悪の波動が放たれた。

 

「ゲフッ……。はったりじゃないんかよ……」

 

リゲル団員は倒れた。流石に本当に殺されはしなかったが、かなりのダメージだ。そして、リンコは倒れた彼のもとにゆっくりと歩み寄ってきた。

 

「だから……、言ったじゃないですか……。で……、教える気になりましたか……?」

 

リンコの眼には恐ろしい何かで満ちている。次逆らった結果、本当に殺されてもおかしくはない。堪忍したリゲル団員は、ついに知っていることを吐いた。

 

「ここはリゲル団の新しい秘密研究所だ!ホマチシティの研究所は、たった2人の女のせいで壊滅したからな!」

 

「ふーん。では、どうしてここに作ったんですか……?」

 

「詳しいことは、俺たち下っ端にはわからない。俺たちが知っているのは、この会社の富豪とリゲル団が裏でつながっているということだけだ」

 

「そうですか……、ありがとうございます……。それじゃあ私たちはこれで……。あっ、ここに傷薬と木の実と包帯を置いておくので……、治療に使ってください。ポケモン用のものですけど……、確かヒトにも効き目があったはずなんで……安心してください……」

 

リンコはいくつかの回復グッズを床に置くと、アコとともに仲良くさらに奥へと進んでいく。そして、その先にはエレベーターがあった。アコとリンコは周囲を警戒しながらそれに乗ると、上へあがっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2人が乗ってしばらく後、エレベーターが止まった。そこは、最上階にあるこの会社の富豪の部屋だ。そこには当然、富豪がいるのだが、今日、彼女たちをこの部屋で迎えてくれたのは富豪だけでなかった。リゲル団の女幹部も待ち構えていたのである。

 

「やっぱり……リゲル団とこの会社は繋がっていましたか……。2人とも……、最後に言い残すことはありませんか……?」

 

リンコは静かに圧をかけた。リンコの隣では、アコも頬を膨らませ、2人を睨んでいる。

 

「し、仕方ないだろ……!経営している会社の事業が失敗してね……、私もカネが足りないんだよ!」

 

それに対し、初老の富豪は震えた声で叫んだ。

 

「だから、私たちリゲル団はかわいそうな富豪さんにお金を渡してあげたの。そして、その見返りとして、この建物の地下に新しい研究所をつくらせてもらったのよ」

 

富豪に続き、女幹部の方も冷静に言葉を言い放つ。しかし、2人の発言はリンコの怒りのボルテージを上げるトリガーとなった。

 

「もう少し……ましな言い訳をしたら……、少なくとも富豪さんの方は……見逃してもよかったんですけど……、ここまで自分勝手な言い訳を馬鹿正直に話されては……、見逃せませんね……。アコちゃん……、準備はいいかな……?」

 

「うん!任せてよ!」

 

リンコとアコは、懐からボールを取り出した。もはやバトルは避けられない状態だ。

 

「お願いします……メタグロス……!」

 

「闇の力を解き放て!アブソル!」

 

そして、ついにリンコがメタグロスを、アコがアブソルを繰り出した。そして、ワンテンポ遅れて女幹部と富豪もポケモンを繰り出した。

 

「行きなさい、バリヤード!」

 

「バリバリー」

 

「行くのだ、マニューラ!」

 

ボールから出た、女幹部のバリヤードは活きのいい鳴き声を上げる。が、富豪が繰り出したマニューラは、どういうわけかボールから出た瞬間に前のめりになって倒れた。

 

「ど、どういうわけだ……!」

 

衝撃的な光景に、富豪の声が裏返る。そんな彼を前に、リンコは真顔で口を開いた。

 

「『どういうわけだ!』って言われても……、私のメタグロスは……マニューラがボールから出た瞬間に……、バレットパンチを撃っただけですよ……。どうやら……、マニューラの鍛え方が甘かったみたいですね……」

 

「そんな馬鹿な……!」

 

余りにもあっけない展開に、富豪は肩を落とす。だが、リンコはそんなのにわき目も振らず、すぐに注意をバリヤードとアブソルの方に移した。

 

(あのバリヤード……、マニューラに比べれば強いけど……。メタグロスのコメットパンチ一発で……ひん死だろうな……)

 

リンコはそう思い、指示を出そうと腕を上げる。が、それはアコの声で遮られた。

 

「まってリンコさん!ここはアコ一人でやらせて!」

 

「えっ……!?」

 

「アコね、さっきリゲル団に一方的に負けたことが悔しいの。だから、ここで挽回したい!お願いお願い!ここは手を出さないで!」

 

アコの想いは、彼女の目を通してリンコに届く。リンコは上げていた手を下ろした。

 

「わかったよ……。頑張ってね……アコちゃん……!」

 

「任せてよ!リンコさん!」

 

アコはお礼の代わりに、無邪気な笑顔を見せると再びリゲル団との戦いに戻った。

 

「よーし!かっこよく決めるよ!アブソル、辻斬り!」

 

「ブソールッ!」

 

アブソルはバリヤードの懐に飛び込む。しかし、その鎌のような角は不思議な壁に阻まれた。バリヤードのリフレクターだ。

 

「今よ、マジカルシャイン!」

 

「バリバリ~」

 

阻まれたタイミングで、眩い光がアブソルを包み、視界を奪う。その直後、バリヤードは気合玉を放った。

 

「アブソル!正面よりちょっと右にサイコカッターッ!」

 

「ブソール!」

 

前が上手く見えないという状況にアブソルは置かれている。しかし、それでもアブソルはアコの声を頼りに気合玉を見事に切り裂いた。

 

「この状況で……攻撃を防ぐなんて……」

 

アコとアブソルの華麗な連携に、思わずリンコは感嘆の声を漏らす。一方、攻撃を防がれた女幹部は露骨に舌打ちをした。

 

「今の攻撃を防がれるなんて……!こうなったらもう一回マジカルシャインよ!」

 

「バリバリ~」

 

バリヤードに強力な光が放たれようとする。が、いざ放とうとした時、アブソルの姿はどこにもなかった。

 

「二度も同じ手は通じないよ!アブソル!不意打ち!」

 

「ブソールッ!」

 

その瞬間、バリヤードは死角から手痛い一撃をもらった。そして、立て続けに辻斬りが、バリヤードの急所をとらえた。

 

「バリィ……」

 

流れるように鮮やかな一撃の前に、バリヤードはなすすべもない。バリヤードはそれに耐えることができず、あおむけに倒れた。

 

「やったー!勝った!アコたちの勝ちだよ!」

 

勝利決まると、部屋の中はアコとアブソルの歓声で一杯になった。そのすごさといったら、リンコの拍手がかき消されるほどだ。そして、間もなく女幹部と富豪は、ジュンサーさんに引き渡されたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「どうしよう……。凄い遅れちゃった……」

 

リゲル団との戦いを終えたリンコは、聖堕天使アコ姫と待ち合わせていた場所にお急ぎで戻った。しかし、時刻はもう夕方。完全な遅刻——いや、遅刻という言葉では表せないほどの失態だ。

 

「相手の人……怒っているだろうな……」

 

リンコは恐る恐る、図鑑を開き、メッセージを確認した。だが、彼女の心配とは裏腹に、聖堕天使アコ姫からのメッセージは意外なものであった。なんと、メッセージによれば彼女もまだ待ち合わせの場所についてないようだ。今、ようやく待ち合わせの場所につくらしい。とりあえずリンコは『待っているから、気をつけて来てね(‘ω’)ノ』とメッセージを送った。

 

「ごめん!いろいろとトラブルがあって!えっと……RinRinだよね……」

 

すると、メッセージを送って一分も立たないうちに、息を切らした声が後ろから聞こえてきた。

 

「うん……。えっと……、あなたが聖堕天使——。えっ……?」

 

リンコは、聖堕天使アコ姫の顔を見て言葉を失った。彼女の目の前にいるのは、ついさっきまでリゲル団相手に共闘していたアコであるのだ。

 

「えぇ!うそでしょ!RinRinって、リンコさんだったの!?」

 

驚いたのはアコも同じである。まさか、今まで仲良くしてきたネトゲのフレンドが、チャンピオンであっただなんて、夢にも思わなかったからだ。というか、それが普通である。そんな『普通』を見事にぶっ壊した出会いに、2人はしばらくの間黙り込んでしまった。しかし、間もなく、その静寂を破り、リンコが口を開いた。

 

「えっと……、RinRinの正体が私で……嫌だったかな……?だったら……無理して……、その……」

 

「凄いよ!リンコさん!」

 

「えっ……!?」

 

突如、リンコの言葉が言い終わるのを待たずにアコが抱きついてきた。その目は宝石のように輝いている。

 

「嫌なわけないよ!ポケモンバトルも強いし、ネトゲでも強いなんて超超ちょーカッコいいじゃん!前からリンコさんのファンだったけど、もっと好きになっちゃった!よーし、だいぶ遅くなっちゃったけど、どこかに行こうよ!リンコさん——じゃなくてリンリン!」

 

「えっ……!?リンリン……!?」

 

「うん!リンコさんの新しい呼び方!」

 

「あの……、ちょっと……。お……、落ち着いて……!アコちゃん……!」

 

はしゃぐアコに手を掴まれ、困惑するリンコはどこかへ引っ張られていく。しかし、リンコもまんざらではない。その表情は戸惑いながらもどこか楽しそうなものである。アコとリンコ、2人がこの先もずっと仲良くしていくだろうということは、想像に難くない。

 

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