バンドリの彩ちゃんがポケモンの世界を冒険するようです。   作:なるぞう

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遅れてすみません!
今回は番外編第二話です。時系列的には彩ちゃんが殿堂入りしてしばらくたった頃です。
次回から本編に戻ります!


にゃ~んちゃんといっしょ

「かわいい……」

 

ある日、育て屋さんのそばを通っていたユキナはあるポケモンに釘付けになっていた。それはチョロネコ。そのチョロネコは育て屋の庭で、呑気に遊んでいる。ユキナは我を忘れ、その姿をかれこれ二時間は眺めていた。彼女の頭の中はチョロネコの妄想で一杯だ。妄想に浸るあまり、真横で声をかけてくる育て屋の青年に気が付かなかったほどである。

 

「はっ……!別にチョロネコを見ていたわけじゃないわ。ただ……、向こうの山を見て頂けよ!」

 

声を掛けられ続けて数分後、ようやくユキナは青年のことに気が付いた。しかし、気が付くや否や彼女はプイっとそっぽを向いてしまった。これには育て屋の青年も困り果てた。

 

「確か四天王のユキナさんですよね……?僕は別にバカにしに来たわけじゃないんです。あの……、もしよかったらあのチョロネコと遊んでくれませんか?」

 

育て屋の青年からまさかの言葉を掛けられた。彼女が今最も欲していた言葉といっても過言ではない。

 

「チョロネコと……?」

 

しかし、ユキナはあくまで表面上は無関心な表情を見せた。

 

「はい。あのチョロネコ、誰かに捨てられたみたいだったので保護したんです。とりあえず育て屋の庭で遊ばせているんですけど、気が合うポケモンがいないようでずっと一人で遊んでいるんですよ」

 

「なるほど、確かにあのチョロネコ、なんだか少し寂しそうね。わかったわ。そういうことなら私が遊び相手になってあげるわ」

 

ユキナは冷静にうなずいた。しかし、心の中がカーニバルであったことは言うまでもない。こうして、ユキナの癒しの日常が幕を開けたのである。

 

 

 

 

 

 次の日の朝、ユキナは早速育て屋の庭にやってきた。手にはチョロネコが喜びそうなおもちゃやポケモンフーズが沢山だ。

 

「誰もいないわね……」

 

彼女は周囲を見渡し、知っている人がいないか確認するとそっと、チョロネコに近づいた。

 

「にゃーんちゃん。ほら、おいで」

 

このセリフを言う、彼女の声は猫なで声だ。いつものクールなユキナからは、信じられない。どこからその声が出ているのかは、まったくもって不明である。

 

「にゃーんちゃん……、私と一緒に楽しいことしましょう」

 

 

彼女はその場にしゃがみ、手のひらにポケモンフーズを数個置いた。すると、チョロネコはゆっくりとユキナのもとに歩いてきた。そして、美味しそうにそのポケモンフーズを食べだした。

 

「はぁぁ……」

 

この姿を見ているだけで、ユキナはもう理性を保つことが怪しくなっている。

 

「ミャ~?」

 

だが、チョロネコはユキナを攻めてきた。あろうことか、満面の笑顔を見せてきたのである。この瞬間、ユキナの理性はどこかにはじけ飛んだ。ユキナは力なく地べたに座り込んだ。同時に、息をするのもままならない興奮が込み上げる。もう、それは他人に隠すことは不可能だ。ところが、それにもかかわらずチョロネコはさらに攻めてきた。なんと、今度はユキナの膝の上に乗りあがり、そのままお昼寝を始めたのだ。もはや、ユキナ専用の一撃必殺といっても過言ではないだろう。

 

「あ……あぅ……」

 

彼女は可愛さのあまり言葉を失う。結局、その日はチョロネコが起きるまでずっとその寝顔を見続けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日もユキナは、育て屋の庭にやってきた。

 

「チョロちゃん、元気にしてたかしら?」

 

チョロちゃんとは、ユキナが昨晩考えたチョロネコのニックネームである。

 

「みゃーん」

 

ユキナの声がすると、チョロネコはユキナの方に駆け寄ってきた。

 

「待ってて、チョロちゃん。今、ご飯を用意するわ」

 

チョロネコに足をすりすりされながら、ユキナはバッグからポケモンフーズをとりだす。そして、至福のご飯の時間が始まった。彼女にとって、チョロネコの食事風景は言葉で表せないほどかわいいものだ。もう、彼女の顔は終始緩みっぱなしである。しかし、この夢のような時間は、背後からのひと声でぶち壊された。

 

「散歩していたら面白いもの発見!こんなところで何やってんですか~?」

 

特徴的な間が抜けた声。ハッと振り返ってみれば、そこには同じ四天王のモカがいた。

 

「こ、これは……!」

 

顔を真っ赤にし、あたふたするユキナ。必死であれこれ言い訳を考えるが中々出てこない。一方のモカは、ユキナの様子から何かを察したのか、彼女をからかうような表情でじっと見ていた。

 

「チョロネコ、可愛いですよね~」

 

「か、か、かわいい!?そ、そ、そ、そんなわけないでしょ!?私はただ……。そうよ!育て屋の人に頼まれて、仕方なくチョロちゃ——じゃなくてチョロネコと遊んでいるだけよ!間違ってもチョロネコがかわいいから遊んでいるのではないわよ!」

 

ユキナは、自分でも信じられない速さでこの長いセリフを言いきった。が、それもむなしくモカは『なるほど~、それなら仕方ないですよね~。頼まれたんなら仕方ないですよね~。それじゃあ後はごゆっくり~。あははは~』と、言い残し、何処かへ去っていった。

 

「何か……、嫌な予感がするわ……」

 

ユキナはチョロネコと遊びながら、つぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼女の嫌な予感は、見事的中した。次の日も彼女はチョロネコのところにやってきたのだが、この日はどうも背後からの視線を強く感じる日であった。というのも、その日はモカにカオル、アリサにリンコといった、ポケモンリーグの仲間たちが観客としてユキナの姿を見ているのだ。間違いなく、モカのせいだ。その証拠に、彼女の顔はいつもに増してにやけている。

 

「ちょっと……、あなた達……。私をじっと見ても面白い事なんて何もないわよ……。こんなことしている暇があったら、バトルの特訓でもしたらどうなの?この前、全員アヤに負けたばかりでしょ?」

 

ユキナは困ったような真面目なような不思議な顔で観客たちを睨みつける。しかし、ここでリンコが手痛い反撃をしてきた。

 

「それ……、ユキナさんにも言えることでは……」

 

「……」

 

この言葉にユキナは何も言い返せず、そっぽを向くしかなかった。

 

「みゃーん」

 

すると、そんな彼女の視界にチョロネコが飛び込んできた。それも、仰向けでおなかをユキナに見せているではないか。

 

(これは……、チョロちゃんの信頼の証……!かわいい……、撫でたい……。でも……)

 

ちらりと後ろを見ると、まだ観客たちはそこにいる。しかも、さっきよりも視線の圧が強くなっている気がする。でも、チョロネコをかわいがりたい欲望はどんどん増す。手が震求まらない。少しでも気を抜けば、その手はチョロネコのところに吸い寄せられるだろう。というか、もう吸い寄せられている。

 

「そんなに……、遊んでほしいんだったら仕方ないわね。こんなことに興味はないけど、遊んであげるわ」

 

結局ユキナは、棒読みでこのセリフを読み上げると、チョロネコと戯れだした。

 

 

 

 

 

 

 

その翌日からユキナと一緒に、ポケモンリーグの仲間たちも一緒に育て屋に来て、チョロネコと遊ぶようになった。はじめのうちは複雑な表情だったユキナも、だんだん慣れてきたのか、最終的には人目も気にせずチョロネコと遊びようになっていた。彼女にとってまさに、夢のような時間だ。その仕草は見れば見るだけ、新しいかわいさが見つかり、彼女の心をわしづかみにする。もはやユキナはチョロネコの虜だ。

 

「チョロちゃ~ん」

 

「みゃー」

 

チョロネコと関わっている時の彼女の表情は穏やかだ。日頃、不愛想な彼女にしては珍しいことである。

 

 

 

 

 

 

 

日にちは進んだ。ユキナ達は雨の日も風の日も毎日欠かさずチョロネコのところに通い続けた。そして、気が付けばチョロネコと出会ってから10日がたとうとしていた。

 

「ばいばい、チョロちゃん」

 

その日の夕方、ユキナはチョロネコに別れを告げ、家に帰ろうとした。しかし、そんな彼女を引き留めるようにチョロネコは『みゃぁ~ん』と鳴く。同時に止まる、ユキナの足。彼女の中に眠っていたチョロネコへの思いが爆発したのだ。

 

「確かあなた……、誰かに捨てられたのよね……。よかったら、私のところに来ないかしら?」

 

「えっ……!?それってこのチョロネコをゲットするってことですか!?」

 

アリサの驚いた声が響く。

 

「そうよ。チョロちゃんと私なら、頂点も夢じゃないわ」

 

「それって……、このチョロネコをリーグ戦で使うってことですよね!?チョロネコは悪タイプですよ!毒タイプじゃないんですよ!」

 

アリサが再び大声をあげる。たしかに、毒タイプの使い手であるユキナが、悪タイプであるチョロネコを使うのは違和感があるだろう。が、ここでリンコが思わぬ助け舟を差し出してくれた。

 

「別に……、一匹だけタイプが違うのは問題ないと思いますよ……。私も専門はゴーストタイプですけど……、他のタイプのポケモンもよくリーグ戦で使いますし……。風の噂によれば……、遠い北の地方では……、炎タイプの使い手を名乗っておいて……、手持ちの半分以上が違うタイプのポケモンだっていう……四天王もいるみたいですよ……」

 

「それに、悪タイプであるチョロネコは、毒タイプの弱点であるエスパータイプに強い。私の対策をエスパータイプに頼るチャレンジャーに一泡吹かせられるわ」

 

リンコの言葉に背中を押され、ユキナは言葉を畳みかける。これにはアリサも黙るしかない。

 

「と、言うことで……。チョロちゃん、私と一緒に来ない?」

 

ユキナが言葉を掛けると、チョロネコは笑顔を見せる。それを見たユキナはモンスターボールをポケットから取り出した。

 

「それじゃぁ……。いきなさい、モンス——」

 

しかし、ボールを投げようとした瞬間、申し訳なさそうな顔をした育て屋の青年が彼女の前に現れた。なんでも、このチョロネコを捨てた人がここにやってきたというのだ。

 

「えっ……」

 

言葉を失うユキナ。と、彼女の目の前に短パン小僧が現れた。

 

「チョロネコ!ごめんよ!」

 

「みゃー!」

 

チョロネコは、短パン小僧の声がすると、彼の腕の中に飛び込んだ。話を聞けば、この短パン小僧はチョロネコとささいなことで喧嘩をしてしまい、勢いで捨ててしまったらしい。しかし、数日たち、自分の行いを反省した彼は、このチョロネコをずっと探していたそうだ。

 

「ありがとう!ユキナさん!チョロネコの面倒をずっと見てくれて!」

 

「え……。えぇ、今度は大切にするのよ……」

 

ユキナは、ありきたな言葉を彼にかける。そして、無邪気な短パン小僧とチョロネコを見送ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「チョロちゃん……」

 

チョロネコと別れた後、ユキナの魂はどこかへ行ってしまった。その様子はさながらヌケニン。いや、ヌケニンの方がまだ魂が残っているのではないだろうか。そんな無茶苦茶な仮説が成り立ちそうなほど、今のユキナは呆然としていた。

 

「その……、どんまいです……」

 

「ほら、元気出してくださいよ。きっともっとかわいいチョロネコが世界にはいますから!なんなら私の実家の近くにある、チョロネコがたくさん生息している場所教えてあげましょうか?」

 

「やだ……、チョロちゃんがいい……」

 

モカとアリサが慰めるも、ユキナはうなだれるだけだ、しかし、ここで思わぬことがリンコから告げられた。

 

「あの皆さん……、今言うべきではないかもしれませんが……、今図鑑に連絡が入りました……来週……、またポケモンリーグにチャレンジャーが来るみたいです……。チャレンジャーの名前は『ミサキ』。ウセイシティのジムリーダーのミサキさんが……来るみたいです……」

 

急な連絡。まさかのチャレンジャーに一同はにわかに驚く。が、ユキナはまだうつむいき、衝撃的な言葉を放った。

 

「私……、その日はいかないわ……。こんな状態では戦えない……」

 

ポケモンバトルにストイックな彼女らしからぬ、弱気な発言だ。すると、ここで今まで沈黙を貫いてきたカオルがついに動き出した。

 

「ユキナ、キミの気持ちは痛いほどわかるよ。だけど、どれほど互いに愛し合っても、別れはいつか訪れる。運命というのは時に、残酷なものだからね。そう、かの偉大なあの人もこういう言葉を残している。『恋ってのは、それはもう、ため息と涙でできたものですよ』と」

 

「どういうことなのよ……」

 

「つまり、そういうことさ。まぁ、この言葉の意味が分かってもわからなくても今、キミがすべきことは、自身が一番わかっているはずだ。いいかい、チョロネコが好きなのは凛々しくも勇猛果敢、そして優しいキミなんだ。いつまでも涙を流して、クヨクヨしているキミではないはずだよ」

 

カオルの言葉はやっぱりミュージカル風でどこか分かりにくい。しかし、それを聞いたユキナは魂を取り戻し、立ち上がった。

 

「そうよ、私は何をやっていたのかしら。チョロちゃんは泣いている私を見ても喜ばないわ。チョロちゃんと一緒にいられなくても、チョロちゃんを喜ばせることはできる。チョロちゃんが好きな私であるために、私は戦うわ。頂点に立つ、その日まで」

 

ユキナは復活した。こうして、別れという苦難を乗り越え、また強くなった彼女は再び頂点に向け歩みだしたのであった。

 

 




おまけ:ジムリーダーの設定集1

本文では尺とか労力の都合で書ききれなかった設定や本文ですでに出てきた設定を、ゲームの攻略本風にまとめてみました。初戦時の手持ちのレベルや技は省略します。連絡先を聴くときのセリフ内に出てくる主人公の名前はアヤで固定します。暇だったら自分の名前に置き換えれば、バンドリキャラに連絡先を聴いている気分に浸れるかも。
※だいぶ前にこんな感じのヤツ載せましたが、こっちが完全版です。昔のやつは消したので忘れてくれると嬉しいです。


マヤ
☆使用タイプ:岩
☆ジムがある街:ハナノシティ
☆キャッチコピー:笑う岩ポケオタク
☆貰えるバッジ:ボーンバッジ
☆初戦時の手持ち
・チゴラス
・イシズマイ
☆連絡先の聞き方
・ハナノ発掘所にいるマヤに月曜日の朝方、話しかける。
☆連絡を聴くときのセリフ
「あっ!アヤさん!見てください、この頭蓋の化石!シンオウだとよく発掘されるらしいんですけど、シンシューでは珍しい化石なんですよー!しかも、この化石——あっ、いけない。また話が長くなってしまうところでした。あー、でもこの化石のすばらしさを誰かに語りたい……。そうだ!アヤさん、自分と連絡先交換しません?ここにわざわざ来たってことは、アヤさんも少しは化石に興味を持ってくれたってことですよね!?よければジブンと太古のロマンについて語り合いませんか?」


リミ
☆使用タイプ:フェアリー
☆ジムがある街:キウシティ
☆キャッチコピー:とろけるチョココロネガール
☆もらえるバッジ:キュートバッジ
☆初戦時の手持ち
・ミミッキュ
・クチート
☆連絡先の聞き方
・キウシティにいるリミに木曜日の昼、話しかける。
☆連絡を聴くときのセリフ
「久しぶりです、アヤさん。えっと……、突然で申し訳ないんですけど……、私と連絡先交換してくれませんか?アヤさんが殿堂入りした後、私とお話ししたじゃないですか。その時、めっちゃ楽しかったんで、またお話ししたいなって思ったんです。あっ、もちろん無理にとは言わないです。アヤさんが嫌なら交換しなくてもいいんですが……、どうですか?」






カノン
☆使用タイプ:水
☆ジムがある街:ムラサメシティ
☆キャッチコピー:海好きのふわふわ系女子
☆貰えるバッジ:ジェリーフィッシュバッジ
☆初戦時の手持ち
・ポッタイシ
・メノクラゲ
・プルリル
☆連絡先の聞き方
・ムラサメ水族館の前にいるカノンに水曜日の朝方、話しかける。
☆連絡を聴くときのセリフ
「ふえぇ~!ど、どうしよう!水族館のイベントで、エキシビションマッチをやろうとしたのに、相手の人が体調不良で来れなくなっちゃったよ~!楽しみにしている人もいっぱいいるから中止にするわけにもいかないし……。早く代わりの人を捜さないと……。あっ、そこにいるのはアヤさん!ちょうどいいところにいた!えっと、突然で申し訳ないんだけど、私とポケモンバトルをしてくれない?理由は後で言うから!もう時間がないの!だから、お願い!」
※この後本気カノンちゃんと戦い、勝利すれば『お礼がしたい』といわれて、連絡先を交換できます。

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