バンドリの彩ちゃんがポケモンの世界を冒険するようです。   作:なるぞう

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第七話 リベンジ

マックラトンネルでの訓練から数日後、アヤは再びハナノジムのフィールドに立っていた。

 

「フレーフレー!アヤちゃーん!」

 

フィールド脇のベンチではヒナと、彼女のポケモンたちが総出で応援している。アヤはそれに手を振ると、ボールを顔の前で握り、中のナエトルに語り掛けた。

 

「今度こそ大丈夫だよね。私たち、いっぱい頑張ったもんね」

 

もちろん返事が返ってくるわけではないが、ボール越しからでもナエトルの気持ちは伝わってくる。それは、今日こそバッジをとるというアヤと同じ強い思いだ。以前に増して強い思いを視線に乗せ、それをフィールドの向こうにいる、ジムリーダーのマヤに送った。

 

「フヘヘヘ、不思議ですね。アヤさんからは何も聞いてないのに、この数日間アヤさんが何をしてきたかっていうのが手を取るようにわかる気がします。きっと——いや、これ以上はあえて言わないでおきましょう。これからバトルをすれば分かりますからね。さてアヤさん、準備はいいですか?」

 

「うん、いつでも大丈夫だよ」

 

「それではいきましょう。チゴラス、お願いします!」

 

「いけ!ナエトル!」

 

両者のポケモンが同時にフィールドに降り立った。

 

「チゴラス、ステルスロックです!」

 

「チゴッ!」

 

マヤは前と同じく初手でステルスロックを撒かせた。以前のアヤだったらこの隙にとりあえ突っ込ませていたが今日は違う。

 

「ナエトル、殻にこもる!」

 

今回のアヤはこの隙に防御力を高める指示を送った。前に一度、猛攻を受けたことがあるからこそ生まれる選択肢だ。中々上手くいったとアヤは内心ガッツポーズをした。しかし、チゴラスはすでに攻撃に移っている。ナエトルも迎え撃たなければならない。

 

「ナエトル、近くの岩に隠れて!」

 

「ナエッ!」

 

ナエトルが近くの岩に転がり込む。

 

「フヘヘヘ、岩に隠れても無駄っすよ!チゴラス、体当たり!」

 

チゴラスはマヤの指示通り岩に突っ込み、それを砕きナエトルに迫った。しかし、砕いた先にナエトルの影はない。予想外の事態に戸惑うチゴラス。

 

「今だ!ナエトル、葉っぱカッター!」

 

「ナーエーッ!」

 

戸惑い、動きが止まったチゴラスの背後から無数の葉っぱが襲い掛かる。実はナエトル、岩が砕かれる瞬間に、岩を飛び出しチゴラスの背後をとっていたのだ。

 

「チゴー」

 

効果抜群の技をもろに受けたせいか、チゴラスの足元がわずかにぐらつく。マックラトンネルでの特訓が実った瞬間だ。

 

「なるほど、葉っぱカッターを覚えたんですか……」

 

ついこの間まで一方的にやられていた少女が、たった数日でここまで強くなるとはさすがのマヤも予想外だ。しかし、それにも関わらず思わず口元が緩んでしまうのは、そんな魅力的なトレーナーと戦える喜びからか。それとも純粋にバトルを楽しんでいるからなのか。それをアヤは知る由もない。ただ確実に言えるのは、マヤが笑っている間にもチゴラスは確実に攻め込んできているということだ。

 

「ナエトル、もう一度葉っぱカッター!」

 

アヤの指示とともにナエトルは再び無数の葉っぱを繰り出す。だが相手はジムリーダー。同じ手を簡単に二回も食らうほど甘くはない。チゴラスは葉っぱがナエトルの頭上に現れるのを確認すると同時に、自分で蒔いたステルスロックの裏に身を隠し、葉っぱカッターを防いだ。

 

「そんな!ナエトル、連続で葉っぱカッター!」

 

「ナエナエナエナエッ!」

 

フィールドを埋め尽くさんばかりの勢いで葉っぱが飛ぶ。しかしチゴラスはステルスロックやフィールドに点在する岩を盾に、巧みにナエトルに近寄ってきた。

 

「岩石封じ!」

 

「チゴー!」

 

ナエトルの上に岩石がのしかかる。

 

「さらに踏みつけ!」

 

この一手で戦いの流れはマヤに流れた。チゴラスは岩石封じを受け、回避が動きがやや鈍くなったナエトルを何度も執拗に踏んずける。そしてわずかな反撃も許さないままナエトルの前足に食らいつき、そのまま宙に放り投げた。

 

「ナエ!」

 

ナエトルが地面に叩きつけられる。最初の殻にこもるが功を奏したのか、かろうじて体力は残っているが、もう後はない。ふと気が付けばチゴラスはステルスロックを足場にし、上へ上へあがっている。このままでは前と同じ展開だ。

 

「ど、どうしよう……」

 

アヤはチゴラスが昇っていく様をただ見ているだけだ。しかし、この時ふとステルスロックがアヤの目に入った。

 

「でも、チゴラスってあのステルスロックがないと昇れないよね……」

 

もはや悩んでいる暇などない。アヤは一瞬のひらめきを信じた。

 

「ナエトル、そこの岩に乗っかて、上に向かって体当たり!」

 

「ナエッ!」

 

ナエトルは岩を踏み台ににし、大きく飛び上がった。

 

「チゴラスと同じ感じでステルスロックに飛び移って!」

 

成功するかどうかなんて指示を出しているアヤもわからない。しかしナエトルはアヤを信じ、ステルスロックに飛び移り、やがてチゴラスを射程圏内にとらえた。

 

「目の前のステルスロックに向かって体当たり!」

 

「エーッ!」

 

チゴラスが頂上のステルスロックに飛び乗ろうとした瞬間、ナエトルの体当たりがそれを木っ端みじんに砕いた。

 

「チゴッ!?」

 

チゴラスはバランスを崩し、吸い込まれるように地面に落ちていく。そこをアヤは逃さなかった。

 

「お願い!ナエトル、葉っぱカッター!」

 

ナエトルはアヤの言葉が耳に入ると、大まかな狙いを定め葉っぱカッターを発射した。

 

「チゴーッ!」

 

空中では回避することもままならない。チゴラスは葉っぱカッターの直撃を再び浴びた。そして地面に落ちると、僅かに立ち上がろうとする意志を見せるも叶わず、目を回しながら地面に伏せた。

 

「あ……あれ……?」

 

アヤがいくら待てどもチゴラスが動き出す気配はない。沈黙があたりに流れる。その中をチゴラスはそのまま赤い光に包まれ、マヤのボールへと吸収されていった。

 

「フヘヘヘ、いや~どうやらジブン達の負けみたいですね」

 

その空気を破り、マヤが笑い声をあげる。それと同時にアヤの体はガシッとヒナの腕にとらわれた。

 

「やったよアヤちゃん!アヤちゃんの勝ちだよ!」

 

「えっ……、私が……?」

 

ヒナの顔、マヤの顔、そしてナエトルをかわるがわる見渡す。自身の勝利を実感したのはそれからだ。

 

「やった……、やったよ……!ナエトル~!」

 

ヒナの腕を振りほどき、アヤはナエトルを抱きしめた。そしてワンワンなぜか大泣きしだした。

 

「アヤちゃん……、なんで泣いているの……?」

 

「だって~!勝てたのが嬉しいんだもん~!ウワァ~ン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アヤが泣き止むまでしばしの時間が必要だった。

 

「あ、あの……?アヤさん大丈夫ですか……?」

 

「うん……」

 

マヤの声で彼女はようやく涙でグシャグシャの顔をあげる。すると潤む瞳にマヤの手に乗った、輝く小さな物体が映った。

 

「これは……?」

 

「ハナノジムジムリーダーであるジブンに勝った証、『ボーンバッジ』っす。さぁ、手を出してください」

 

「こう……?」

 

アヤが手を差し出すと、その上にオムナイトの殻を模した丸いバッジをそっと乗せた。

 

「これが……、ジムバッジ……!」

 

「そうですよ。あと、アヤさんとポケモンの新しい門出を祝って、ポケモンリーグ公認のジムバッジケースと、この技マシンををあげます」

 

「技マシン……?何それ……?」

再び、アヤにとって聞きなれない言葉が出てきた。

 

「技マシンって言うのは、ポケモンに一瞬で技を覚えさせる道具のことです。もちろんポケモンによって使える技マシンは違いますけどね。ちなみにこの技マシンの中に入っている技は岩石封じといって、攻撃と同時に相手の素早さを下げることができる技っす。攻めにも守りにも使える、まさに岩タイプの魅力が凝縮された技といっても過言ではないですね」

 

アヤはCDのような形をしたジムバッジケースと技マシンを受け取った。

 

 

「ありがとう、マヤちゃん」

 

「いえいえ、いいんですよ。未来あるトレーナーの新しい一歩に携わることができた喜びのお礼と思えば安いもんですよ。アヤさん、これからも頑張ってくださいね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうしてマヤに見送られながらジムを後にしたアヤは扉から出ると立ち止まり、再びバッジケースを取り出しボーンバッジを眺めた。

 

「えへへ、これが私のバッジか……」

 

もう見ているだけで笑いが止まらない。隣のヒナもまるで自分のことのように嬉しそうだ。その証拠に彼女の口からは、おしゃべりが止まらない。

 

「やったねアヤちゃん。それでさ、初めてジムリーダーに勝った感想はどう?」

 

「もちろん嬉しいよ。まぁ、だいぶ苦戦しちゃったけど……」

 

「マヤちゃんの岩ポケモン凄かったよね。もうるるんってしてきゅるるるるんって感じ!」

 

「えっと……、マヤちゃんのポケモンがすごかったってことかな……?」

 

「そうそう!アヤちゃんはそう思わなかったの?」

 

「まさか!戦いながら、思わず憧れちゃったよ。あーあー、こうやってジム戦を思い出していたらなんだか、マヤちゃんのポケモンみたいな、凄い岩タイプのポケモンが私も欲しくなっ——」

 

「その言葉、本当ですか!?」

 

アヤのセリフが終わるか終わらないかのタイミングで、マヤがジムから目を輝かせながら飛び出してきた。

 

「うぇっ……、マヤちゃん……?」

 

「どうしたの……?」

 

急な登場に、アヤとヒナから思わず変な声が漏れる。

 

「あっ、すみません……。岩ポケモンの話をしていたのでつい乱入したくなって……」

 

その様子を見て、マヤのテンションも元に戻った。

 

「そ、そうだったんだ……。それで、何か私に用?」

 

いまだ心拍数は高いまま、アヤは首をわずかに傾げた。

 

「あっ、はい!そうですアヤさん。アヤさん、今岩ポケモンが欲しいといいましたよね?」

 

「うん。それがそうかした?」

 

「フヘヘヘ、実はそんなアヤさんに耳寄りが情報があって声をかけさせていただいたんですけど……。アヤさん、ずばり化石発掘には興味ないですか?よろしければジブンが化石発掘に連れて行って差し上げましょうか?」

 

「か、化石……?」

 

思わぬ単語が飛び出しきょとんとするアヤ。しかし、同時にヒナの叫びが耳を貫く。

 

「はいはい!私興味ある!もしかして、発掘体験できるの!?行こうよ行こうよ!ね?」

 

こうなったヒナが言うことを聞かないということを、アヤはこの数日で学んでいる。岩ポケモンが欲しいという言葉と、化石という単語がどうしてつながるのかはさっぱりだが、とりあえずアヤも化石発掘に付き合うことにした。

 

「そうですかそうですか。フヘヘヘ、それじゃぁ明日の朝、このジムの前で待ち合わせましょう!」

 

マヤは先ほどにも勝る勢いで目を輝かせながら、何処かへと走り去っていった。

 

 




おまけ:麻弥ちゃんパーティー一覧(本気モード)

・多分殿堂入り後に何処かで戦えるであろう本気麻弥ちゃんの手持ちです。名前の横に★が付いているのがエース。ストーリー内にはほとんど登場しないと思われますが、なにかの参考程度にどうぞ。(非公式の略語を一部使用しているのでご了承ください)

★ガチゴラス@イワZ
特性:石頭
性格:陽気
努力値AS252

・諸刃の頭突き
・炎の牙
・竜の舞
・逆鱗

☆バンギラス@達人の帯
特性:砂起こし
性格:控えめ
努力値:HC252

・冷凍ビーム
・悪の波動
・気合玉
・火炎放射

☆ジーランス@レッドカード
特性:頑丈
性格:腕白
努力値HB252

・ステルスロック
・あくび
・アクアテール
・諸刃の頭突き

☆プテラ@プテラナイト
特性:プレッシャー
性格:陽気
努力値:AS252

・地震
・岩雪崩
・氷の牙
・燕返し

☆イワパレス@弱点保険
特性:頑丈
性格:陽気
努力値:AS252

・シザークロス
・地震
・殻を破る
・ロックブラスト

☆ダイノーズ@こだわり眼鏡
特性:頑丈
性格:控えめ
努力値:HC252

・パワージェム
・十万ボルト
・ラスターカノン
・大地の力
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