バンドリの彩ちゃんがポケモンの世界を冒険するようです。   作:なるぞう

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第八話 未知との出会い

次の日、アヤは約束通りマヤに連れられ化石発掘へと連れられていかれた。

 

 「ふわぁ~、まだ寝てたいのに……」

 

現在の時刻は午前6時。想像以上に朝早い。今すぐにでも布団に潜り込みたいほどだ。

 

「あの二人は、どうしてあんなに朝強いんだろう……」

 

楽しそうに岩ポケトークを繰り広げるマヤとヒナの姿が朧げに映る。これがいい目覚ましになっているおかげで、歩きながら寝るという事態を防げているのは不幸中の幸いといえるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ヒナさん、アヤさん、つきましたよ!ここがハナノ発掘場です!」

 

アヤの眠気が消えたころ、ようやく目的地のハナノ発掘所にたどり着いた。目の前に広がるのは一面のむき出しになった地層である。

 

「すごい……!」

 

思わずアヤの口から感嘆がもれる。そこには確かに太古のロマンが充満していた。ここにいるとマヤが岩ポケモンや化石に入れ込むのもわかる気もする。しかし、目をつむり、そんなことを一人で思い馳せているとにわかに隣がうるさくなった。犯人はもちろんヒナ、そしてマヤだ。

 

 

「すごい!思ったよりずっとるるるるんってするよ!」

 

「でしょでしょ!ここにはね、珍しい化石がゴロゴロしているんですよ!だからその分、立ち入りることも厳しく指定されていて、ジブンの許可がないと入れないんですよね~」

 

マヤの口から衝撃の言葉がさらっと告げられた。

 

「えっ、マヤちゃん……。そんなところに私たち来ちゃってよかったの……?」

 

アヤの顔が固まる。するとマヤは騒いだせいで乱れた眼鏡を直し、よりはっきり見えるようになった輝く視線をアヤに向けた。

 

「もちろんですよ、アヤさん!岩ポケモン欲しいんですよね?だったらここが一番っすから!いいですか、現在化石は見て飾るだけが楽しみじゃないんです。実は、最新の技術で復活させることができるんですよ!」

 

「復活……!?」

 

「つまり仲間にできるってこと!?」

 

アヤとヒナの目が思わず飛び出しかけた。それを見たマヤのテンションも上がる一方だ。

 

「フヘヘヘ、ハナノシティの博物館にある最新装置を使えばちょちょいのちょいと復元できるんです!まぁ、復元できる種はまだまだ少ないですけど……。まぁとにかく発掘してみましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 こうしてアヤとヒナはマヤに発掘の方法を簡単に教わると、思い思いの場所で発掘を始めた。確かにマヤの言う通り化石はゴロゴロと出てく。しかし、掘れども掘れども復元できる化石は一向に出てこない。そしてついに、ヒナがタガネとハンマーを投げ捨てた。

 

「あ~、なんで復元できる化石が出てこないの~!こうなったら出ておいで、ポリゴンZ!この地層に向かって破壊光線!」

 

大自然の中に異質な人工音が鳴り、ポリゴンZの口元にエネルギーが貯めこまれる。それを見たマヤはびっくり仰天だ。大慌てでポリゴンZのまえに立ちふさがった。

 

「ちょっとヒナさん!なにをしているんですか!?破壊光線なんて撃ったら駄目ですよ!」」

 

「なんで駄目なの?破壊光線でドカーンってやった方が早いじゃん!」

 

「早ければいいってものじゃないんですよ!貴重な化石が壊れたらどうするつもりですか!?」

 

「え~、そういうもんなの~?全然るんってしないじゃん。私やーめーた。ラグラージの上でお昼寝でもしてよ」

 

ヒナは頬を膨らませラグラージを出すと、そのまま大の字になって眠ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方のアヤはヒナが飽きた後も黙々と化石を探し続けた。だがこちらだって状況は変わらない。岩をいくら割っても、地層をいくら掘ってもお目当ての復元できる化石の欠片すら出てこないさまだ。アヤの心にもついに疑心が生じる。だが、生き生きとした表情で化石を探し続けるマヤにそんな気持ちをぶつけるわけにもいかない。仕方なくアヤはその思いを振り払うようにタガネを岩にぶつける。すると何やら不思議な物体が姿を現した。

 

「なにこれ?」

 

砂を払ってよく見るとポケモンの甲羅の化石のようだ。今まで見たことのない化石である。もしかしたらこれが復元できる化石かもしれない。そう心を躍らせながらアヤはマヤのところに化石を持っていった。

 

「マヤちゃん、見てほしい化石があるんだけどいいかな?」

 

アヤが化石を渡した途端、マヤから歓声が上がった。どうやらこれがお目当ての化石らしい。

 

「おぉ!?やりましたねアヤさん!これは甲羅の化石といって……。おっと、また悪い癖が……!話が長くなりそうなので、博物館に行きながら解説しましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「でねでね、この当時の海はね……」

 

「はぁ……」

 

博物館に向かう途中、アヤは化石への興味を失ったヒナに代わり、マヤの化石トークを一身に浴びていた。当然理解できる内容ではなく、適当なところで相槌を打つので精一杯だ。そんな感じで歩いていると徐々に周囲のにぎやかさが増してきた。気が付けばハナノシティへと戻ってきたようだ。もう何日も滞在しているので大体の街の様子は頭に入っている。あと数分歩けば博物館だ。しかしここで不穏な音が聞こえてきた。女の子の泣き声が聞こえるのだ。異変を感じた三人は音のする方へ走り、十字路を曲がった。すると、曲がった先では女の子が泣きながら黒い服を着たガラの悪い男三人に縋りついていたのだ。

 

「返してよ!私のヨーテリーを返してよ!」

 

「うるさいな!人を泥棒みたいに扱いやがってふざけんじゃねぇぞ!」

 

「俺たちはこのヨーテリーを平和的に利用しようっていうんだ。そっちの方がポケモンも喜ぶだろ?」

 

「待ちなさい!そこの不審者!」

 

真ん中にいる黒服の男が女の子を蹴り飛ばそうとした時だ、マヤが叫んだ。

 

「チッ、またあの女か……」

 

それと同時に黒服の男たちはマヤを睨みつけた。様子から察するにマヤと彼らは初対面ではなさそうだ。マヤは今まで見せてきた温厚さが嘘のように、険しい顔で彼らに迫っていく。

 

「またあの女とは失礼な……!あなた達がそうやって悪い事をするから、ジブンはあなた達の活動を邪魔するんですよ!」

 

「悪い事とはなんだ!何度も説明しているだろ?俺たちは『リゲル団』。世界を平和にするための組織だ!」

 

左端の男が吐き捨てるように叫ぶ。マヤに屈することなく徹底抗戦するつもりのようだ。その証拠に三人ともすでにモンスターボールを握りしめている。

 

「あんまり手荒なことはしたくありませんが相手がその気なら仕方ありません……。アヤさん、ヒナさん、申し訳ないんですけどこの人たちを追い払うのを手伝ってもらえませんか?」

 

「追い払うって……、この人たちと戦うの!?」

 

アヤの顔から血の気が引いていく。明らかに今まで相手にしてきたポケモントレーナーとは雰囲気が違う。できることなら戦わないようにしようとも思ったが、隣ではヒナがすでにボールを構えている。もはや流れには逆らえないところまで来てしまった。震える足をこらえながら、アヤもモンスターボールを取り出した。

 

「へっ、一番弱そうなヤツと戦えるなんて今日はついているぜ!コテンパンにぶっ潰してお前のポケモンも奪ってやる!いけ、アーボ!」

 

「ラルトス!」

 

アヤのラルトスがワンテンポ遅れて現れる。リゲル団と名乗る男はラルトスがボールから出た瞬間を逃さなかった。

 

「アーボ、毒針だ!」

 

「アーボッ!」

 

ラルトスの体に毒針が迫る。不意打ちに等しいこの一撃はもろにラルトスに直撃。それに気をよくしたアーボはさらに連続で毒針を発射してきた。

 

「ラルトス!テレポートで後ろに回りこんで!」

 

アヤの声とともにラルトスの姿が消え、一瞬にしてアーボの背後に現れた。

 

「念力!」

 

「ラール」

 

さらにアーボの体が宙に浮き、すぐさま地面に叩きつけられる。その隙にアヤは再び念力の指示を出す。ラルトスはそれに合わせてアーボに再び念力を送り、今度は近くの街路樹に叩きつけた。

 

「ア~ボ……」

 

アーボはかすかな鳴き声を上げ倒れた。

 

「チッ、こんな奴に負けるなんて!」

 

敵の男は唇を噛みながら、アーボを戻す。他の仲間もすでにヒナとマヤに成敗された後だ。こうなっては完全にこっちが分が悪い。

 

「ちくしょう!今日のところはここいらで引き下がってやる!だがこの借りは必ず返すぞ!覚えていやがれ!」

 

リゲル団の三人は捨て台詞を履き、奪ったヨーテリーの入ったモンスターボールを投げ捨てると何処かへ行ってしまった。

 

「まったく、リゲル団には困ったものですよね……。女の子を泣かせるような真似をして、世界の平和をよく語れるもんですよ」

 

マヤはため息をつきながらリゲル団が逃げ去った方角を眺めている。しかし、一方のアヤは首をかしげていた。

 

「リゲル団……?ヒナちゃん、リゲル団って何……?」

 

「う~ん、私にもわからないや。なんとなくズーンってしてギランって感じなのはわかったけど……。ねぇマヤちゃん、リゲル団ってなに?」

 

「あぁ、アヤさんとヒナさんは知らないんですね。リゲル団って言うのは、迷惑行為を働いているよくわからない集団のことです。世界平和がどうのこうのって言ってますけど、とてもとても信じられないっす。世の中にはあーいう悪いトレーナーもいますから、二人も気を付けてくださいね」

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、アヤとヒナは奪われたヨーテリーを女の子に返すと、マヤの案内で博物館の研究室に連れてこられた。

 

「ここが研究室か、なんだかマリナ博士の研究室に似てるな」

 

研究室に入った後、アヤは甲羅の化石をマヤに預け自身はヒナとともに研究室の片隅でまたせてもらっている。といってもじっとしているのはアヤだけで、ヒナは研究室や作業中の研究員の作業を好き勝手に見て回っているが……。こんな調子で三十分の時が流れた。

 

「お待たせしましたアヤさん。復元が終わりましたよ」

 

白衣を着たマヤが奥の部屋から戻ってきた。片手にはしっかりモンスタボールを握っている。彼女はそれをアヤにそっと手渡した。

 

「さぁアヤさん、そのボールを投げてください」

 

言われるままにアヤはボールを上へ投げる。ボールは天井で跳ね返り床に落ち、それと同時に赤い光を発した。

 

「カーッブ!」

 

その中から出てきたのは楕円の茶色い甲羅を背負ったポケモンだ。

 

「フヘヘヘ、このポケモンは岩・水タイプのカブトってポケモンっす。実に三億年という気の遠くなるほど昔、石炭紀と呼ばれる時代の海で栄えていいたポケモンで、この時代の示準化石としても有名なんですよ!ちなみにこのカブト、実はまだどこかに生きた化石として生きているらしいんですよね。ジブンも死ぬまでに一目野生のカブトを見てみたいものですが、中々いないんですよ。もしも見つけたらそれだけで論文が書けるほどの大発見——。おっと、また悪い癖が……。化石や岩ポケモンの話になるとついつい長話になってしまって……」

 

「そ、そうなんだ。私は別に気にしてないよ。むしろ、そんなに自分が好きなことを語れて凄いと思うな」

 

「アヤさん……。そう言ってもらえるとジブンも嬉しいです。あっ、だいぶ話はそれましたがカブトを大事にしてあげてくださいね」

 

「もちろんだよマヤちゃん」

 

アヤはマヤに微笑むとカブトを抱え、顔の前までもっていく。

 

「カブトっていうポケモンだったんだね。よろし——」

 

「カブーッ!」

 

だが、カブトは手をすり抜けると、獲物と間違えたのかアヤの顔面にへばりついた。

 

 

「ンー!?ちょ、ちょっと!誰か取って!」

 

突然の出来事でアヤが暴れだす。その傍らではマヤが大慌てでカブトを引っ張り、隣ではヒナが笑い転げていた。新しい仲間が加わったのはいいが、中々騒がしい珍道中になりそうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして次の日、アヤとヒナは荷物をまとめてポケモンセンターを後にした。昨日の晩二人で話し合い、そろそろハナノシティから旅たつことにしたのだ。次の目的地はアヤにとって2つ目のポケモンジムがあり、シンシュー地方の最南端に位置する街、『キウシティ』である。

 

「ま、待ってよヒナちゃん……。お、重い……」

 

アヤはハナノシティで新たに旅用の装備を整えたためか、その荷物の重さにまだ慣れていない。まっすぐ歩くこともままならないほどだ。

 

「ハハハハ!アヤちゃんの歩き方面白―い!」

 

当然のことながら、ヒナは笑っているばかりでアヤを手伝おうとはしない。笑いながらどんどんと先行していった。アヤもフラフラと後を追い、何とかそれに食らいつく。こうして二人は仲良くハナノシティの出口へ向かった。

 

「お、来ましたね二人とも」

 

マヤは二人の姿を見つけると、両手を大きく振った。

 

「はぁ、はぁ……なんとかたどり着いた……。ごめんねマヤちゃん。わざわざお見送りに来てくれるなんて……」

 

「いいんですよアヤさん。アヤさんやヒナさんとは色々とありましたから。二人とも、くれぐれも体には気を付けてくださいね」

 

「ありがとうマヤちゃん!マヤちゃんも風邪ひかないでね!」

 

「はいヒナさん。ジブンも健康には気を付けます。健康が一番ですからね」

 

そういうとマヤはヒナと握手を交わし、続けてアヤとも握手を交わす。3人の顔には名残惜し気ながらも、清々しい表情が浮かんでいた。

 

「それじゃぁね、マヤちゃん」

 

「ばいばい~い!」

 

アヤとヒナはマヤに手を振りながらハナノシティを出て、3番道路を進んだ。二人の旅路はまだまだ長そうだ。

 

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