BLESS A CHAIN   作:柴猫侍

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*16 彼女は太陽に似ていた

「よーし、ここでここら辺に居る魂魄の魂葬は終わったな」

「うん、そうだね」

 

 日を跨いだ二人は、今日も今日とて死神としての任務だ。

 彷徨える魂を導き、時折現れる悪霊を倒す……そのような任務を夢見ていた二人であったが、現実はそう上手くはいかないものである。

 

「……なんでついて来てるんだ?」

「はっ、バレてましたか!?」

「バレるもなにも、そんな興味津々な眼差し向けられてたら誰でも気がつくだろうが」

 

 初日から遭遇したトラブル。

 死神が見える程、霊的素質がある人間こと咲との邂逅を果たした焰真と雛森の二人は、彼女の熱い眼差しを向けられ、なんとも言えない感想を抱いていた。

 

「(どうする、芥火くん? 記憶置換使う?)」

「(ん~……いや、もう少し様子を見よう)」

 

「何を話してるんですか?」

 

「なんでもない、こっちの話だ」

 

 人間に死神の業務を眺められるとは、なんとも珍妙な状況だ。やり辛いことこの上ない。

 悩みの種にうんうん二人が悩んでいる内、判断を護廷隊に指示を仰ごうと伝令神機を取り出した焰真。

 すると咲は目を燦々と輝かせ、風の如き速さで焰真の下に駆け寄る。

 

「それはなんですか?」

「あ? これは……連絡の道具だ」

「え、凄い! ポケベルの上位互換的な!?」

「……ポケベル?」

「はい! 無線呼び出し機。ポケットに入るベルなんで、略してポケベル!」

「……通話はできるのか?」

「通話? ……ああ、無線みたいな感じにって意味ですか? できませんよ。あくまで呼び出し機なんで」

「……現世は進んでるのか進んでないのかわからないな」

 

 咲がドヤ顔で取り出したポケベルを前に、焰真はやれやれと息を吐く。

 ここ数十年で目まぐるしい進歩を果たしている現世であるが、まだ瀞霊廷の方が発達している技術は多々あるようだ。そもそも必要としている技術のベクトルが違うため、一概に一つの分野でどちらが発展しているかの議論をすることは無粋とも言えなくはないが……。

 

(でも、使えたら便利そうなのは現世の道具に軍配が上がるだろうな)

 

 今日、街中を魂魄探しに雛森と散策している間に見かけた電化製品を売っている店。

 そこに並ぶカラーテレビや電子レンジ、クーラー、洗濯機など、家事に関しては文明レベルが数百年ほど変わっていない尸魂界にとって、驚嘆するしかないほどの便利な物ばかりであった。

 

 聞くところによれば、一番隊副隊長の雀部長次郎忠息は度々現世に出かけ、紅茶を淹れるための茶葉や西洋風の衣服を購入したりなどしているというではないか。

 休暇に現世に出かけ、発展する文明に触れるのも中々に楽しいもの。

 そんなことを思う焰真なのであった……。

 

 閑話休題。

 

「(ねえねえ、焰真くん)」

「(なんだ、雛森?)」

「(あの子が居ると、作業効率が下がっちゃいそうだから分かれて行動しない?)」

「(え? だけど……)」

「(大丈夫だよ。重霊地でもないから虚の出現も多くないだろうしね。それにもし何かあったら、すぐに地獄蝶で連絡するから)」

「(……そうか)」

 

 別行動にはやや乗り気ではない焰真であるが、雛森が自分よりもずっと聡明な人物であるということを踏まえ、その申し出に首を縦に振った。

 彼女ならば大丈夫であろう―――そう思いつつ雛森に対して軽く手を振って別れた焰真は、咲に振り返る。

 

「で? 俺に何の用だ?」

「あ、そうだった。その昨日も言いましたけど、私が知ってる幽霊の成仏を手伝ってほしいんです! 死神って要するに除霊のプロってことですよね?」

「……まあ、あながち間違ってはいないな」

「なら! ささっ、どうぞこっちへ」

「おいおい、ホントに連れて行く気かよ……」

 

 ノリノリの咲に対し、焰真は余り乗り気ではない。

 にも拘わらず、咲に手を取られてズリズリと引き摺られていく焰真は、彼女の除霊に付き合わざるを得なくなった。

 

(まあ、魂魄探す手間が省けるから良しとするか……)

 

 自分の中で納得のいく言い訳を考えながら歩くこと十数分。

 辿り着いたのは閑散とした路地裏にある寺院のような場所であった。

 おんぼろの木の壁に、ボロボロの屋根が中々に恐ろしい雰囲気を漂わせている。

 

「ここか?」

「はい。この中にですね……」

 

 やおら扉に手をかけ、どっこいしょと力を込めて開いて見せた咲は、中にズラリと置かれている人形の数々を指さす。

 クマやウサギといったファンシーな人形ではなく、所謂日本人形と呼ばれる類の人形が並ぶ様は圧巻だ。

 

『デテイケ……デテイケ……』

「ん?」

「あそこの人形なんですけど……」

 

 恨めしそうな声が寺院の中に響く。

 焰真が咲の指を視線で辿れば、一体だけおぞましい空気を放つ日本人形がカタカタと振動していた。

 

「あれって幽霊ですよね?」

「幽霊だな」

『ノンキニ話シテナイデデテイケ……!』

 

 だが、それを一切恐ろしいと感じていない二人は、忠告のように何度も口にする人形の言葉に反応しない。

 

 霊にも様々な種類が居る。

 土地に縛られる地縛霊。人に憑く憑き霊。そして今回の場合は、モノに憑いている憑き霊と言えるだろう。

 

「こんな時は……」

「お? なんですか、そのかっちょいい手袋は?」

 

 やおら懐から取り出した手袋を、既に手甲を着けている手に嵌めた焰真。

 興味津々に咲がそれを眺めていれば、彼はそのまま手袋をはめた手で日本人形をポンと叩いて見せた。

 

『ふぎゃ!』

「あ、出てきた」

 

 するとどうだろうか。

 日本人形に憑いていたと思しき霊が人形の中から弾き飛ばされるように転がって出てきたではないか。

 

 “悟魂手甲(ごこんてっこう)”。肉体から魂魄を抜く為の道具である。

 肉体から魂魄を抜くという意味では、“義魂丸(ぎこんがん)”と呼ばれる肉体に仮の魂を入れる丸薬のような道具があるが、それはあくまで死神が仮の肉体“義骸”に入っている際に、義骸から抜け出す手段で用いられることが専らだ。

 他者の肉体や物体に乗り移っているような魂魄に対しては、以上の悟魂手甲を用いることがセオリーとなっている。

 

「なんだ、子どもじゃねえか」

『う~、いってて……』

 

 日本人形の中から出てきたのは年端も行かない少年の魂魄だった。

 

『なにすんだよ、変な着物着てるあんちゃん!』

「変な着物じゃない。死覇装だ。死神の正装なんだよ」

『は? 死神……?』

「ああ」

『……ぎゃあああ、殺されるゥ―――!!』

「逃がさねえぞ」

『ひぃいいい!?』

 

 焰真を死神と知るや否や、泣き叫んで寺院から出ようとする少年の霊であったが、目にもとまらぬ速さの歩法“瞬歩”で回り込まれ、驚愕の余り尻もちをついて倒れることになってしまう。

 

『こ、殺さないで……』

「あのな、死神は魂刈って殺すような真似はしないんだよ。しっかり尸魂界に行けるようにしてやるのが死神の仕事だ」

『あの世に行きたくなァーい!!』

「我儘言うな」

 

「ちょちょ、ちょっと待ってください!」

 

「ん?」

 

 泣きじゃくる少年の霊を庇うように出てくる咲に、焰真は怪訝そうな表情を浮かべる。

 

「こんなに泣いてる子を一方的に、その……ソルトコサエティ? に送るのはどうかと思います!」

「ソルトコサエティじゃなくて尸魂界だ。塩は(こさ)えねえよ」

「そう、それです! 私が言いたいのは、この子はこの世に留まってるんだかられっきとした心残りがあるじゃないですか? それを無視して尸魂界って所に送るのは、死んでも死にきれない……そうじゃないんですか?」

 

 真摯な眼差しを向けられ、またもや焰真は口を噤んでしまう。

 こうも情に訴えかけられてしまうと彼は弱い。

 死神は全ての霊魂に対して平等でなければならない。魂魄一つ一つの心残りなどを解消していれば、たちまちに業務が滞ってしまうことは目に見えている。

 その点、こうして一つの魂魄の心残りを解消してから尸魂界に送った方がいいと心が叫んでいる焰真は、死神として半人前だろう。

 

 だが、その半人前だからこそ救われる“心”があるとするならば―――。

 

「っ~~……わかったよ」

「!」

「で、坊主。何かやり残したことはあるか?」

 

 少年の霊に歩み寄り、ポンとその掌を頭に乗せる焰真はそう問いかけた。

 すると先程まで彼に怯えていた少年の霊は、少しばかり警戒心を解いてくれたように頬を緩める。

 

『……お母ちゃんに会いたい』

「そうか。じゃあ一緒にお母ちゃんの所に行こうか」

『うん!』

 

 柔らかい声色に安心したのか、少年の霊は満面の笑みを浮かべ、焰真と咲の前に出て『こっちこっち!』と二人を手招く。

 後ろの二人は置いて行かれぬようにと小走りで付いて行った。

 

 もうすぐ梅雨の時期に入ろうとしている町は少し湿っぽい。

 肌に張り付く髪。長髪であればあるほど、湿気の多い季節の嫌さというものは身に染みて理解せざるを得なくなる。

 咲はその色白の絹のような肌に浮かぶ玉のような汗を、高価そうなハンカチで拭いつつ、涼しい顔を浮かべて隣を歩いている焰真へ視線を向けた。

 

「……ごめんなさい」

「ん……なんのことだ?」

「私の我儘で、死神さんのお仕事を邪魔……しちゃってるんですよね?」

「はぁ、別にアンタが気にすることじゃないさ。俺もどっちかって言ったら心残りなく尸魂界に往って欲しい。そう思っただけだ」

「……優しいんですね」

「は?」

「いえ、なんでもないです死神さん」

「……死神じゃない」

「はい?」

「芥火焰真だ」

「芥火……焰真?」

 

 目を白黒させる咲は数秒間を置き、次の句を紡ぐ。

 

「死神さんなのに閻魔大王みたいな名前ですねっ!」

「褒めてるのか、それ?」

 

 満面の笑みで言い放たれた言葉に、焰真は複雑な感情を抱く。

 再三言うようではあるが、焰真は若くして尸魂界に来た人間である為、現世での死生観についての知識などはさっぱりだ。尸魂界自体に“神”が信仰の対象として見られることもないため、まったくと言っていいほどに宗教の知識もない。となれば、閻魔大王についての知識などもないという訳だ。

 

 閑話休題。

 

 余りにも自然に人間と並んで歩いていた焰真であったが、不意にそのことについての疑問を抱き、頭にフッと浮かんだ質問を隣の少女に投げかけた。

 

「アンタ、なんで魂魄見えるんだ?」

「コンパク?」

「幽霊のことだ」

「あぁ! ……それって死神用語みたいな感じですか?」

「死神用語……いや、向こうじゃ人だったり生き物だったりの魂は魂魄って呼ばれてるんだ」

「へぇ~」

「それよりだ。なんでそんなに魂魄が見えるんだ? 死神見えるなんて普通じゃあり得ない話だ」

「そ、そうなんですか……?」

 

 途端にオドオドし始める咲は、『えっと……』と頬を異様に指で掻きながら言葉を探す。

 

「い、家が葬儀屋さんなんです。だ、だから幽霊が見えるようになったのかな、ははっ」

「葬儀屋か……」

「そのっ、あの世にも葬儀屋さんってあるんですか?」

「ああ、あるよ」

「へぇ~」

 

 意外だと言わんばかりの咲の目が見開かれる。

 だが、それに見向きもせず数トーン声を低くした焰真は、神妙な面持ちでポツリポツリと呟くように語る。

 

「―――尸魂界にだってたくさんの人が普通に生きてる。普通に暮らして、普通に結婚して、普通に家族を作って……」

「……」

「普通に……幸せになろうって頑張ってる」

「……素敵」

 

 その呟きを漏らしたのは、他でもない咲だ。

 

「私、尸魂界に行ってみたくなりました!」

「待て、早まるな。観光地に行く感じで言ってるけど、意味的には『死にたくなった』っていうのと同義だぞ」

「あっ、そっか!」

 

 『成程!』と手をポンと叩く咲。彼女は天然なのだろう。

 死神が見えるほどの霊感の持ち主……稀有な霊能力でも有していて、危険視するに値する人物かと思いきや、拍子抜けもいいところであった。

 だが、どこか安堵する気持ちもある。

 

『―――■■■だものね』

 

「ん? なにか言ったか?」

「ふぇ? いいえ、なにも」

「……そうか」

 

 幻聴のようなものを耳にした焰真は、何の気なしに己の斬魄刀を見遣る。

 一度始解に至ったと思われる斬魄刀は、以前よりも硬く、そして鋭くなっていた。それは前日の虚との戦闘の際での切れ味で確かに感じ取っている。

 

 しかし、一つだけ懸念点があった。

 斬魄刀の形状が変わって以来、妙な不快感を覚えるようになったのだ。

 喉がイガイガするような、胃がムカムカするような、目がシバシバするような―――。

 まるで花粉症の時期に患うような症状に悩まされる焰真であったが、他のことに集中していれば何も感じなくなる、あくまで『体調が悪いような気がする』という曖昧な不調であったため、結局長期滞在の今日まで四番隊に掛かることを忘れてしまっていた。

 

(まあ、大丈夫か)

 

 こうして歩いている間も、体の不調を感じないような気がしてくる。

 

 そうこうしている内に、後を追っていた少年の霊がピタリと立ち止まった。

 辿り着いたのは―――墓地。

 凡そ少年の霊の母親が居るとは思えない場所にやって来た二人は、その顔に困惑の色を隠せない。

 すると少年の霊は、墓地の角の方にポツンと寂しげに立っている墓石の前で屈んだ。

 

 瞼を閉じ、合掌する少年。

 それで大体のことを察した焰真は、少年の霊の横に並び、同じく合掌して見せた。咲もまたそれに続く。

 

 湿った静寂が墓地を包み込む。

 それからしばらくして、焰真は少年の霊に声をかけた。

 

「……ここにお母ちゃんが居るのか?」

『うん。元々お母ちゃんと一緒に暮らしてたんだけど、一生懸命頑張って働いてたら、疲れて死んじゃったって医者の先生が言ってた』

「……そうか」

『それからおばちゃんのトコで暮らしてたんだけど、あんまり仲良くなれなくて……』

「……」

『あのお寺でいつも一人で過ごしてた。でも、一人で居たら蛇に噛まれて……』

 

 そのまま死んじゃった、と最後に締めくくられる。

 涙ぐむ少年の霊に何とも言えない表情となる二人。誰も彼も悔いなく死ぬことができる訳ではない。不慮の事故で無くなることも多々ある。彼もまたその人間の一人という訳だ。

 

『お母ちゃん……』

「お母ちゃんなら、尸魂界で会えるかもしれないぞ」

『え?』

 

 パッと少年の霊が顔を見上げる。

 彼の瞳には、それは優しい笑みを浮かべた焰真の顔が映っていた。

 

「尸魂界は魂の故郷だ。生前よっぽど悪いことしてない限りは、成仏して向かうことができる。お前のお母ちゃんは女手一つでお前のために働いてた、そりゃあ良い人なんだろうよ。絶対尸魂界に着いてるハズさ」

『そうかな……?』

「ああ。お前も尸魂界に着いたら、きっとお母ちゃんに会えるさ。俺は、実際この目で見てる。生き別れた家族が出会って、今も仲良く暮らしてる光景を」

『っ……!』

「だから、いつまでも一人で泣いてるよりお母ちゃんのところに行ってあげろ。その方がお母ちゃんも喜ぶだろ」

『……うん!』

 

 焰真の言葉に涙ぐんでいた少年の霊は、その目尻に溜まる涙を腕で拭い、満面の笑みを浮かべた。

 するとどうだろうか。焰真が斬魄刀を用いて魂葬することなく、少年の霊体は淡い青白い光に包まれて霧散していく。

 

『ありがとう、死神のあんちゃん。僕、尸魂界に―――お母ちゃんに会いに行くって決めたよ』

「そうか……元気に暮らせよ」

『うん! ありがとう! また―――』

 

 手をブンブンと振って別れを告げた少年の霊は、そうして天に召されるように昇華していった。

 彼が消えていった場所をジッと見つめる焰真と咲。

 

「あの子、ちゃんとお母さんに会えるでしょうか……?」

「会えるさ、きっと。言ったろ? 実際に会った家族が居るって」

「そう……ですか。じゃあ、私も将来は先立たれた家族に会えますかね」

「……なんだ? 家族、早くに死んでるのか?」

「いえ、父母共にご健在です」

「なんだよ、そりゃあ」

 

 咲の言葉にからりと笑う焰真は、踵を返して墓地から去ろうと歩み出す。

 湿っぽい空気は好きではない。感傷的になるのもだ。

 だが、未来に思いを馳せるのは嫌いではない。きっとあの少年も母親に会えると確信している焰真は、次なる彷徨える魂魄を救わんとするのだ。

 

「ま、待ってくださ~い!」

「なんだ、まだ来るのか?」

「来るも何も、私が見つけた幽霊を除霊してほしいって話だったじゃないですか!」

「そうだったか?」

「そうですっ! さあ、行きましょ―――」

 

 刹那、咲の言葉を遮るように焰真の懐からけたたましいアラーム音が鳴り響く。

 血相を変えて懐から伝令神機を取り出した焰真は、その画面を凝視する。

 

「な、何事ですか……?」

「虚が出た! 現場に向かう」

「ほ、虚って……」

「悪霊のことだ! いいか、絶対に追ってくるなよ? 絶対だからな?」

「それは……フリですか?!」

「フリじゃねえ! お前みたいな霊的濃度の高い奴は狙われやすいから来るなって言ってるんだ!」

「ご、ごめんなさい!」

「家に帰るか、どこかに隠れてろ! いいな!?」

 

 虚の出現に際し、咲に対してどこかに隠れるよう念押しした焰真は、瞬歩を用いて出現場所に急行する。

 

(雛森ももう向かってるハズだが……)

 

 ―――そう思い立ち、霊圧探知を始めた瞬間であった。

 

「っ……クソッ!!」

 

 それは指令が遅いことへの悪態と、別行動を容認してしまった己の浅薄さに対する怒り。

 虚の重苦しい霊圧のすぐ傍には、既に戦闘中と思しき雛森の霊圧を感じ取れた。

 つまり、虚が出現したから雛森がすぐさま急行して戦闘を開始した訳ではなく、雛森と虚の戦闘が始まり、ようやく指令が来たという訳だ。

 これでは初動対応に否応なしに差が出てしまう。

 

(無事でいてくれ、雛森……!)

 

 同僚の無事を祈りつつ、焰真は必死に足を動かす。

 

 失わぬように、救えるようにと。

 

 その時、斬魄刀の柄から燐光が放たれたことを焰真が気が付くことはなかった。

 




*オマケ チョコレートで餌付けされる焰真

【挿絵表示】

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