猫、拾いました   作:秋の月

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推しはふみふみですが、みくにゃんとか、輝子ちゃんとかも好きです。


2話 猫、羽伸ばししました

前川を居候させた翌日は土曜日で学校が休みだった。本来、前川はレッスンがあるらしいが、プロデューサーに一週間ほど暇を貰ったらしい。

 

「見て見て!可愛い猫チャンにゃー!」

 

そんなわけで、俺は前川に連れられ猫カフェに来ていた。語尾に猫語が付くキャラをお持ちの彼女は猫カフェ巡りを趣味にしており、疲れた時やストレスが溜まった時はよく来ているらしい。

 

「おう、分かったから落ち着け、小さい子が怯えるぞ」

 

「はっ!そうだったにゃ...ごめんね」

 

興奮気味の前川を避けるように、子猫は俺に擦り寄ってくる。とても可愛らしく遊んでと俺に投げ掛けている様だった。

 

「お、遊んでほしいのか?それならあのお姉ちゃんが遊びたいって目をしているぞ」

 

言葉を理解しているのかは定かでは無いが、俺がそう言うと子猫たちは前川に寄って「みゃーみゃー」と呼びかけている。それを見た前川はほっこりして、カフェで貸し出してもらった猫じゃらしを振って子猫と遊んでいる。子猫はみんな大人しかったが、いざそれを振ると我先にと攻撃する(ここではじゃれるだろうか)あたり、彼らが虎や獅子の仲間だと思い知らされる。何だかんだ言ってネズミや鳥などを捕まえて持ってくるのは猫だった。

 

「しかし長門クンって猫に懐かれやすいんだね」

 

前川が指を指した方向には、子猫に代わってやってきた親猫たちだった。子は親に似ると言うが、甘え癖まで似るとなると可愛らしいものだ。まあ、中には親では無いが、人の身体を遊び場か何かに勘違いして、遊び暴れる猫も居るが、可愛いものだろう。店の人は冷や汗をかいているように見えるけど。

 

「まあ、なんかね...実家にいた頃には熊にも懐かれたんだけどね」

 

「熊!?と言うか熊が出るの!?」

 

「山奥だったからな...汽車は一日上下合わせて二十本、最寄りの駅まで一時間は下らなかったな」

 

「どんな田舎にゃ!?」

 

山奥だからなぁ...使う人がぎりぎり二桁らしい。

 

「限界集落とか言われててねぇ...農作物とかが猿や猪に食い荒らされたりするのに、対処出来る人が少ないんだ...俺みたいな奴は都会に出るし」

 

「...それ、止められなかったの?」

 

「いや、寧ろ「都会で別嬪さん捕まえて帰ってこいよ」って笑顔で見送られた」

 

「そ、そうなんだ...」

 

引き攣った顔をしているが、俺も実家離れる時はそうだった。止められても行くつもりだったが、まさかいい笑顔であんな事言わるなんて...田舎の爺ちゃんたちは未だに元気だからなぁ...。

 

「ほれ、猫。そう暴れるな...そうだ、俺の知ってる物書きを読んでやろう」

 

「そんなんで伝わるわけ...あったにゃ」

 

猫は離れて、聴く姿勢を取った。流石、訓練されている。

 

「それじゃあ...『隴西の李徴は博学才穎』」

 

「それは猫じゃなくて虎にゃ」

 

―――

 

「楽しかったにゃー!」

 

猫カフェを出た時には、陽が真上から少しだけ傾き始めていた。

 

「そろそろ昼にするか?」

 

「そうするにゃ」

 

適当なレストランに入ると、店内は結構な人で埋まっていた。

 

「どうする?待つか?」

 

「別にこれくらいなら待てるよ」

 

「じゃあ書いと「前川さん、こんにちは」...ん?」

 

「あ、Pチャン...」

 

Pと言うくらいだし、プロデューサーの事だろう。そのプロデューサーは威圧感を感じさせるくらいの高身長で、過去に何人も葬ってそうな顔をしている男性だった。

 

「初めまして。前川さんの友人の長門です」

 

「ご丁寧にありがとうございます。346プロダクションアイドル部門所属の武内と申します。弊社の前川がお世話になっております」

 

口を開けばものすごく丁寧な紳士でした。人は見かけに寄らないとは言うが、その言葉を具現化させたのはこの人の他に探してもあまり居ないだろう。

 

「こちらも御社の前川さんには学校で良くお世話になっております」

 

「な、何だが次元が違うにゃ...ビジネストークでも始まりそうにゃ...」

 

出鱈目な敬語かもしれないが、一応は身につけたからな...家柄的にも。

 

「そう畏まらなくても大丈夫ですよ。羽伸ばし、出来ていますか?」

 

「うん。Pチャンが配慮してくれて今日は羽が伸ばせたにゃ」

 

「それなら良かったです...長門さんも前川さんの事、よろしくお願いします。私は仕事に戻りますので失礼します」

 

「はい、分かりました。お仕事頑張ってください」

 

少し話に時間が取られた、店員さんが頃合を図り席に案内してくれた。少しの間話しただけだが、食休みをしていた客が次の用事に向けて足早に去っていった。

 

「長門クンってすごい丁寧に話せるんだね」

 

「一応地元の議員の家でね」

 

パーティに招待された時に失礼の無いように...と言うが、大体はオシャレで優雅と言うよりは、大皿と長机を囲み豪快に笑いながら酒を飲む会合が多くて、敬語も失礼もクソもなかったけど...。

 

「長門クンの家ってすごい所なんだね...」

 

「そんな事は無いよ、議員って言っても暇な日は昼間っから地元の商工会の人と酒盛りしてるよ」

 

なんならそこら辺のおじさんと一緒の普通の人だ。

 

「そ、そうなんだ...」

 

話を一旦区切るとメニューを見る。オススメはナポリタンらしい。

 

「こっちは決めたよ」

 

「分かった...すみませーん」

 

すぐ側にいた店員を呼ぶと俺はナポリタン、前川はハンバーグセットを頼んだ。

 

「昨日もハンバーグ食べなかったか?」

 

「いいの、美味しいし好きだから」

 

「そう言うものか?」

 

「そう言うものにゃ」

 

まあ、俺も食いたい時は連続で食べるけどな、ハンバーグ。

 

―――

 

「いやー、昔ながらってナポリタンで美味かったわ」

 

「ハンバーグもちゃんとした洋風店のものみたいだったにゃー」

 

そこら辺のファミレスかと思ってたけど、中身は財布に優しい老舗のレストランだった。これならリピーターになれる。

 

「で、どうするか?まだどっか寄るのか?」

 

「うーん...今日はいいかな。これ以上動いてもリフレッシュよりも疲れ溜まってストレスになるから。それよりも夕飯の希望ある?」

 

前川の腕はいつも食べている弁当を見る限り良さそうだし、外れは無いだろうな。

 

「それじゃあ肉じゃがお願い出来る?」

 

「男の子って肉じゃが好きだよねー」

 

「事実美味いからな。実家でも肉じゃがとか、ハンバーグとか、唐揚げとかが献立のメニューに入っている時は凄く嬉しくてね。誕生日の日はそれが全部出て来てね、ケーキとかが目に入らないくらいがっつくんだよ」

 

「やっぱりお肉が好きなんだね」

 

寧ろ男で肉好きじゃない奴が少ないと思うけど...魚派もいるけど、肉派が多いと思うなぁ。

 

「前川も弁当見ると魚とか入って無いじゃん」

 

「...お魚は苦手にゃ」

 

猫キャラなのに魚嫌いとは如何なるものか。

 

「鮎の塩焼きとか、アジフライとか、穴子丼とか美味いのに...」

 

「どうしても生臭さとかが苦手で...」

 

「まあ、人には好き嫌いあるからなぁ...」

 

俺も蕎麦は食えない。食ったら痙攣起こして泡吹いて死ぬ。過去に一度死にかけてから蕎麦屋はトラウマでしかない。二度と行くか。

 

「じゃあ今日は肉じゃがにするね」

 

「よろしく頼んだ。材料は...無かった気がするな...買ってくか?」

 

「そうだね。途中でスーパーに寄るか...序にジュースでも買うか」

 

「そうだね~」

 

あんまり高校生がする様な会話では無いが、お互い一人暮らしで自炊している人間だからこその会話だな...っと前川の顔が赤くなってるな...。

 

「どうした?熱でもあるのか?」

 

「にゃ!?にゃ、にゃんでもにゃいにゃ!」

 

噛みまくりなのか、キャラなのか知らないけど、焦り気味な表情で、でも大丈夫だと肯定している表情で手をバタバタ振っていた。取り敢えず落ち着けと心の中で呟いた。




少し前に左腕を負傷してしまい、ペンとかは左持ちの私にとっては文字を書くのが軽く苦痛です。今は痛みが引いてきましたが、まだ曲げると痛いです。
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