聖者ホトケと神の孫ベル   作:カイバーマン。

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仏6号
十六説 銀髪天パ、立候補する


突如オラリオのダンジョンに世界を滅ぼさんとする悪魔神官・ハーゴンが現れる。

 

彼の目的は純なる魂を生け贄に捧げて、ゼウスによって封印された破壊神・シドーを復活させて再び世に放つ為。

 

現在、ハーゴンは偶然にもその穢れなき純なる魂をもつベルと出会い、彼と共にいたアイズをも己の牙にかけようと襲い掛かっている。

 

一刻一秒も争う緊急事態、これにはベルとアイズの主神であるヘスティアとロキ、そしてベルに対して特別な感情を覗かせて暗躍するフレイヤが共闘してハーゴンを倒すパーティーを作る事となったのだ。

 

そして仏もまた、ちょっとばかりの罪悪感を抱えたまま、それ以上の人材、勇者と呼べる有能な人物を探す事となったのだ。

 

「あの二人がダンジョンへ向かったのは~ん~もしかしたら私のせいかもしれないからな~……これはもう、私が責任を取り、超使える助っ人を是非是非スカウトしなければ~ならないね~」

 

独り言をぼやきながら仏は街の中をウロウロしながら探すが、そんな超使える助っ人など早々見つかる筈がない。

 

偶然そこにいた兄貴♂ファミリアの面子に声を掛けようとしたのだが、なにやら他の冒険者を捕まえてお楽しみの最中だったので話しかけるのを止めた。

 

「アーッ!!!」

「ナイスデース♂」

「桜花ァー!!」

 

気弱そうな前髪の長い女の子が悲鳴上げる中、大男が兄貴の子供達に襲われてそれ以上の悲鳴を上げている。

 

仏はそれを真顔でスルーして、見なかった事にして再び歩き出すと、そこへ背後から勢いよくロキが駆け寄って来た。

 

「アカン仏! ウチのファミリアの面子がもうほとんどダンジョンに行ってるみたいや! つまりアイズの捜索隊に回すメンバーがおらん!」

 

「なんやて工藤!?」

 

「工藤って誰? とにかく今ウチのファミリアの中で動かせるのは、部屋の中に籠って出ようとしない引きこもりのベートだけや……」

 

「アイツかぁ……出来ればもうしばらくそっとしておいてあげたいんだけどなぁ……」

 

応援に呼べるのは心に深い傷を負って引きこもりになってしまっているベートただ一人だと聞いて、仏は珍しく心遣いを見せながらもふと腑に落ちないことがあった。

 

「てかベート君以外の面子が全員もれなくダンジョンに行っちゃって連絡つかないっておかしくね? なんでそこ都合よく全員どっか行っちゃってるの?」

 

「仏、お前ならわかるやろ、予算がもう残り少ないからそんなに新キャラ出せんのや」

 

「おい! 急に私以上にメタな事言うなよ! え、なに!? 今そんなに予算残って無いの!?」

 

「あぁ、なんかえらいギャラの高い大御所を呼んだみたいやで、ハーゴンよりも凄いみたいや……それで元々低予算作品からのスピンオフやから、ウチもうお金ほとんど使えないねん……」

 

「あぁ……あるある、そういうのホントよくある……くっそーヨシヒコのとことか短いシーンでCGとか使っちゃたりしてんのにー……」

 

 

大人の事情的な世知辛い話をヒソヒソ声で話す仏とロキ、色々と都合が悪くこちらからあまり新しい面子を呼べないと、彼女は顎に手を当てながらはぁ~とため息をつく。

 

「ウチの所には「勇者」っていうそれはそれはお前が望むような二つ名を持つ奴がおったんやけどなー、いやー勿体ないわー、あの子使えないのホント勿体ないわー」

 

「え~マジで? もう勇者って呼ばれてる奴がそっちにいたの? うわ超欲しかったその子、ベート君じゃなくてその子出しときゃ良かったじゃん」

 

「いやでもな仏、そいつの代わりになるかはわからんが、ここに来る途中でちょっと使えそうな奴を見つけておいたんや」

 

「え~ホントに~?」

 

自分の所のファミリアからはベートしか出せないが、どうやらよその所から候補者を集めていたらしいロキ

 

ちょっと自信ありげな彼女に対し仏は疑いの目つきを向けていると、ロキの背後から一人の人物がフラリと……

 

 

 

 

 

「どうも~、この度勇者という大任に立候補しに来た坂田銀時で~す」

「どや? 見てみこの死んだ魚のような目をした銀髪天然パーマ、なんか使えそうやろ?」

「はい不採用ぉぉ~!!」

 

現れたのは腰に『洞爺湖』と彫られた木刀を差す、空色の着物を着た銀髪天然パーマのやる気の無さそうな男であった。

 

けだるさ全開で軽く頭を下げて挨拶する銀時という男に、仏はすぐに手を横に振って全力で拒否

 

「おま! なにホントに!? 一回目はヨシヒコ達の所へ勝手に現れて、そん次はこっちにやって来て主人公の座を譲ってくれとか言ってたじゃん!? で!? また来たのここに!?」

 

「悪いな仏様、俺はどうしても諦めきれねぇんだ、原作終わっちゃうしもう時間が残ってねぇんだよ、これからは銀魂の代わりにこっちで主人公になりてぇんだよ」

 

「ええやろ仏、一見やる気の無さそうな態度のクセに野心だけはいっちょ前に持っとるし、もしかしたら結構な掘り出しモンかもしれへんで?」

 

「お前はお前で何言ってんの? 言っておくけどコイツこのままこの世界で野放しにしたらね、お前等の世界は破壊神が復活する前に滅ぶよ?」

 

 

確かに見かけはちゃらんぽらんだが、いざという時流はやるタイプ、というオーラを感じるも。

 

仏はどうしてもこの銀時という男をこの世界に留め、なおかつ勇者として任命するわけにはいかなかった。

 

何故ならこの男はそこにいるだけで、周囲をあっという間に自分の世界観に持っていくという恐ろしい能力を持っているからである。

 

と言っても、それは仏もまた同じなのだが

 

 

「も~友情出演だからってこっちにまで出てこないでよ~! ダメなんだってホントに~! 諦めて自分の世界へ帰って~!」

 

「いいや帰らない、何も成果を得られずに大人しく帰るなんてね、この銀さんがそんなみっともない事出来るわけないでしょ? この小栗〇がこんな短い出演で大人しく帰るなんて出来るわけないでしょぉがァァァァ!!」

 

「自分で小栗〇って言ったよこの銀さん! ホント自由過ぎるよこの人! 私以上だよ!」

 

平気でなんでもかんでも自由に発言する銀時に、これには流石に敵わないと思わず素で笑ってしまう仏。

 

「もう小栗君でも銀さんでもいいから! お願いだから帰ってホントに! マジで!」

 

「待った、そう言う前にちょっと俺の話を聞いてくんない?」

 

「出たよ俺の話聞いて! 粘るな~コイツ! どんだけ出たがりなんだよ! 暇じゃないんだろ実際!」

 

「実はね、ここに更に”助っ人”を用意してんだよ俺」

 

「はぁ?」

 

どうやら銀時は自分だけでなく他の者もこっち側に招待していたらしい、それを聞いて仏は口をあんぐりと開けて固まる。

 

「そいつ等と俺がいればラスボスだろうが簡単に倒せっから」

 

「まさか!? 銀さんが仲間を呼ぶと言えばあの!? 橋本ちゃんと菅田!?」

 

「よしお前等、出てこい」

 

銀時が背後に振り向いて手招きすると、物陰から二人の人影が……

 

 

 

「失礼する、この度友である銀時の誘いに乗ってはるばる異世界へやって来た侍、桂小太郎だ」

『私はエリザベスです』

「ってお前等か~いッ!」

 

そこへ現れたのは腰まで伸びた黒髪をなびかせた和服姿の侍・外からやって来た異人を排除するために日々勤しむ攘夷志士・狂乱の貴公子こと桂小太郎と

 

そのペットであるアヒルだかペンギンだかよくわからない白くて黄色いくちばしをした不思議生物・エリザベスであった。

 

「流石にほら、環奈と将暉は忙しいから、暇そうなヅラとそのペットを呼んでみたわ」

 

「ヅラじゃない桂だ、それに俺は暇な訳じゃないぞ」

 

「ちょっとさ~! 小栗旬の上に岡田〇生まで出てくるとかなんだよも~! 大河ドラマかよ!」

 

「岡田将〇じゃない、桂だ!」

 

銀時がまた余計なモンを連れて来たと仏はうんざりした表情で叫ぶと、それに反応して桂が声を大きめにしてツッコんできた。

 

「俺もそろそろ銀魂が終わってしまう事を危惧していてな、いずれ俺達攘夷志士の新たな拠点を探そうとどこかに置こうと日々考えていたのだ、な、エリザベス」

 

『はい、桂さん』

 

「ここに来る前には、やたらと強いスライムが周りに称賛されながら無双していくという世界に行っていたのだがな、エリザベスがついノリでそのスライムを倒してしまったら、なんか他の連中が怒り狂って追いかけられたので逃げて来た」

 

『すみません、スライムと聞くとどうしても倒さなきゃと思っちゃって……』

 

「しかもまたどっかの異世界勝手に行っちゃってるし~、余所の世界に迷惑かけないでも~」

 

ここに来るまでの経緯を手に持つ文字が書かれたプラカードを掲げるエリザベスと平然と話す桂に、仏は自分を棚に上げながら何をやってるんだと呆れていると、ロキがへらへら笑いながら話しかけて

 

「どうや仏、なんかコイツ等色々と使えそうやろ? そりゃちとキャラが濃すぎる気もするが、ウチのファミリアにも劣らぬ潜在能力を感じるんや」

 

「ダメです! 元の世界に返して来なさい! いくらコイツ等が強くても! コイツ等がいるだけで! この作品が乗っ取られちゃうんですからね!」

 

「いやいや仏さんよ~、別に俺達はこの世界を乗っ取ろうとかそんなん考えてる訳じゃないって、なあヅラ」

 

「ヅラじゃない桂だ、確かに俺達は別の地からやって来たよそ者ではあるが、強引な手段を使って国を乗っ取った天人の様な卑劣な真似を、俺達侍がする訳がない」

 

一行に首を縦に振ろうとしない頑固な仏を説得させる為に、銀時は桂と一緒に自己PRをする。

 

「俺達の目的はただ一つ、この世界を正しく導く為に革命を起こす事だ!」

 

「おー、なんかカッコいい事言ってんねー、で? 具体的な目標ってなに?」

 

「まずは人に代わって統治という名目でこの世界を牛耳っている、神などと呼ばれた蛮族を討ち滅ぼすべきだと俺は思う!」

 

『世界の夜明けをもたらす者、桂小太郎!』

 

「いや神ってそれ私達の事なんだけどー!? 破壊神より前にコイツ等が私達に襲い掛かって来るつもり満々なんだけどー!?」

 

やはり桂はどこの世界でも桂だった、どうやら彼の目的は神による統治を撤廃させ、人間達だけの理想郷を築き上げようとしているみたいだ

 

もはやここの世界観など知ったこっちゃないという強い決意を見せる桂にエリザベスがプラカードを勢いよく掲げるが、滅ぼされたらたまんないと仏は悲鳴のような声を上げながら大きくツッコミを入れた

 

「いやてかさ、さっきからずっと気にはなっていたんだけどさ、もういい加減口出しちゃっていい?」

 

「む? なんだ?」

 

『仏、我々になにか言いたい事があるんですか?』

 

「桂さんはひとまず置いといて……おい、そこのエリザベスっていう珍獣、ちょっとこっち来て、こっちこっち」

 

不意に仏は桂のペットであるエリザベスに話しかけると、ゆっくりと近づいて来る彼に仏は怪訝な様子で目を細めて

 

「君、ちょっと中身見せてくれない?」

 

『ハハハ、何を言ってるんですか仏、私に中身などありませんよ』

 

「いやそういうのいいからさ、ちょっと口開けてみ? ほら、さっきからチラチラとすげぇ見知った顔が見えるんだよ、もう勇者に最もふさわしい男がチラチラ見えるんだよ」

 

何やらエリザベスに対して疑惑を持った仏は、その正体を見極める為に強引に彼の黄色いクチバシを両手で掴んでこじ開けようとする。

 

「ほらちょっと中身見せろって! 今絶対中にアイツいたよ! おら出てこい! もうこっちでも勇者やっていいから!」

 

『止めて下さい仏! いったい私を誰だと勘違いしているんですか!』

 

「何をする仏! エリザベスはエリザベス以外の何者でもない! 決して中に誰もいないのだ!」

 

『そうです、私はエリザベス、決して三人の仲間を引き連れて勇者と呼ばれる様な者ではありません!』

 

「あー! 今ちょっと顔見えたぞ! 半笑いだったぞ! おい出てこい山田! 隠れてないでこっちでも冒険しろ孝之!」

 

 

あくまでシラを切って抵抗しようともがくエリザベスを、仏は桂に後ろから引っ張られながらもちょっと笑みを浮かべながら、無理矢理そのクチバシを開けて中にいる人物に向かって叫ぶのであった

 

「ったくなんやねんもー、いらんとか言っておいてやっぱいるんやないかコイツ等、でもまあ確かに、余所の世界の人間を使うってのは、ちと神のプライドとしてに許せへんかもしれへんから今回は止めとくかな……」

 

「いやいやそこを何とかお願いしますよ、こっちも家計キツイんですって、頼むよお兄さん」

 

「いや知らんわ、つかお兄さんじゃないわボケ」

 

結局、この男を勇者として採用するのは、他の候補者が見つかるまで保留となるのであった

 

次回、仏、因縁の人物と再会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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