聖者ホトケと神の孫ベル   作:カイバーマン。

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仏3号
七説 仏、舞浜へ行く


なんだかんだ神なので治りが早かった仏は、全快して無事に退院した。

 

そして早朝、仏は今、退院したばかりの体を癒すという名目で

 

ベル達の暮らすオラリオから、ちょっと離れた場所へ来ていた。

 

正式名称は伏せていただくが、そこは足を踏み入れただけで老若男女誰もが笑顔を浮かべるという

 

 

 

 

 

 

 

神々も仰天させた偉大なる人物が造り上げた理想郷であった。

 

 

 

 

 

 

「夢の国キター!!!」

「うっさいわい! 耳元で叫ぶでない!」

 

朝から行列に並び、やっとこさオープンゲートをくぐって夢の中へと入った仏が関口一番に両手を上げて雄叫びを上げると

 

隣りでうっとおしそうに怒鳴る老人の姿が

 

「あのな! 叫ぶのは良い、ここは夢の国だからそれは全然良い! けどな仏! お前のダミ声を耳元で大音量で聞かされる儂の身にもなってみろ!!」

 

「ごめんごめんごめん、マジちょっと久しぶり過ぎて興奮しちゃった、夢の国なんだからそんな怒らないでよーゼウス君!!」

 

入り口で貰ったパンフレットを早速開いてチェックし始めている相手に、仏は両手を合わせつつもヘラヘラ笑いながら謝った。

 

その者の名はゼウス、全知全能の存在でありオリュンポスの神々の頂点に君臨する男

 

行った功績は数知れず、行った浮気も数知れない、良い意味でも悪い意味でもスケールがデカい絶対神だ。

 

そんなゼウスだが、実は仏とは昔からよく一緒に遊ぶ仲で、更にオラリオで頑張っている少年、ベル・クラネルの祖父でもある。

 

「あー、本当は孫と行きたかったなー、夢の国。なーんでお前なんかと一緒に来る羽目になったんじゃか……」

 

「んもーおたくの孫に色々と迷惑掛けた件についてはさ、ちゃんと謝ったんだからさー、いい加減機嫌直せよもー」

 

「ド阿呆、可愛い孫が行く当てのない旅に行かされそうになったら、全世界のじいちゃんはブチ切れるに決まってるじゃろうが」

 

ちなみに仏がベルと最初会った時にふざけたお告げをして逃げ去った後、彼の顔を最初にぶん殴ったのは他でもない彼である。

 

今回仏が、ゼウスをこの夢の国へ連れて来たのは、その件を含めてのお詫びでもある。

 

まあぶっちゃけ自分自身が楽しみたいだけなのだが

 

「うわやっぱ、超綺麗だわここ……パネェ」

 

まだ来ただけだというのにこの堪え切れないワクワク感にテンション弾ませながら、モザイク加工されたた中をじっくり眺める仏

 

そして一緒に歩きながらもまだパンフレットを読んでいるゼウスに話しかける。

 

「いやでも、夢の国久しぶりに来たなー、一年振りだっけ? ゼウス君はいつ振り?」

「儂、昨日一人で来た」

「はぁ!?」

「わし、週4でここ通ってるから、年パスも持ってるし」

「ウソだろおい! 夢の国に来て早々! 全知全能なるゼウスの衝撃の新事実に驚きを隠せない私!」

 

イベント内容が書かれたパンフレットからやっと顔を上げたゼウスの口から出て来た意外な事実に

 

仏は口をあんぐりと開けてまたもや大きな声で叫んでしまう。

 

「長年の友人が!! 夢の国の年パス取る程の常連だったなんて初めて知ったんだけど!」

 

「いやだってほら、儂ってもうだいぶ昔から十分働いたじゃん? だからもういいだろって感じで、今は老後を楽しむって感じで、よくここに来るのよ、まあ家族を連れていく事もあるけど……基本は一人じゃな」

 

「マジかよお前! 夢の国に一人で来るぐらい大好きだったの!?」

 

「大好きというかもう、愛してるレベル? もうー孫の次に愛してるからわし、お前も1回一人だけでここ来てみ? すぐに年パスを買ってわしみたいになるぞ」

 

「すげぇ……夢の国を語るゼウス君の目が……神々の戦いを繰り広げている時みたいな本気の目をしておられる……」 

 

鋭い目をこちらに向けながら熱く語りだそうとするゼウスに思わず仏は後ずさり。

 

確かにこの国が素晴らしいというのは十分承知だが、あの全知全能の神がここまでハマってしまっていたとは……

 

「ていうか無駄話は置いといて、さっさとバ〇・ライト〇ヤーのアトラクションのファストパス取りに行くぞ」

「ほほーさすが常連、既にどこのファストパスを取るのかお決めになられてるようで」

「その後ちょっと歩いてカリブの〇賊に乗って、その次にジャ〇グルクルー〇じゃ」

「あ、もう段取りまで頭の中で完成されてるんですね」

 

これは絶対に逆らっちゃダメな奴だと悟った仏は、素直に夢の国の玄人であられるゼウスの手順通りに従う事にするのであった。

 

「今日はアレじゃぞ、絶対に各アトラクション30分以上は並ばせんとここで約束しておいてやる」

 

「いやいやいや! それは流石に無理でしょ! だってここ夢の国だぜ!? 1時間待ち、2時間待ちなんて当たり前の所だよ!?」

 

「つべこべ言わずに儂について来い、ここにお前と二人きりで来たのもなんかの縁じゃ、今日はお前にとことん夢の国を堪能させてやる……」

 

「やだ、なんなのゼウス君、なんかすげぇ頼もしく見えるんだけど、カッコいい……女性関係は最悪のクソエロジジィなのに……」

 

立派な白髭に覆われた口元を僅かに動かしてニヤリと笑って見せるゼウスに

 

仏はいつの間にか買っていたチョコレート味のチェロスを口に入れながら、不思議と頼もしいとさえ思えて来たのであった。

 

しかしその瞬間

 

「あぁーーーー!!!! グー〇ィさんじゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」

「うわビックリした! いきなりどうしたジジィ!!」

 

急に何かを見つけて慌てて指を差しながら叫び出すゼウス。

 

仏はビックリしつつも彼が指差した方向に目をやると、なんともマヌケな顔をした二足方向の犬がこちらにおどけた様子で手を振っていた。

 

「あ、グー〇ィー! すげぇこんな間近で見たの私初めてだわ!」

「グー〇ィーさぁぁぁぁん!!!」

「おいジジィ!! さっきからどうした!! 年なんだから興奮するな!」

 

夢の国に関しては基本知識は当然持っている仏もすぐに彼の存在に気付くと、ゼウスは老人とは思えない素早い走りで急いで彼の方へとつっ走ってしまう。

 

慌てて仏も追いかけると、追いついた先では既にゼウスはグー〇ィーに深々とお辞儀をしていた。

 

「おはようございますグー〇ィーさん! 朝からお疲れ様です! あの! 前々から好きだったんですけど、『パパはグー〇ィー』を見てからますます好きになりました!! これからも応援してます!!」

 

「なんだよその大御所の俳優の楽屋に入る若手俳優みたいなノリ……なんで全知全能の絶対神がグー〇ィー相手に敬語使ってんだよ」

 

肩に手を置いて何度もうんうんと頷くグー〇ィー、そして彼と手汗をすぐに拭き取って握手を交えながら喜んでいるゼウス。

 

見てるだけで面白い友人の新たな一面を見ながら、仏はちょっと距離を置きながら苦笑いを浮かべるのであった。

 

 

 

 

 

そしてそれから1時間後、ゼウスの案内通りのアトラクションを乗り終えた仏は、先程のゼウスに負けず劣らずの凄い笑顔を浮かべていた。

 

「夢の国、超楽しーー!!」

「あー今回のガイドさんの解説も素晴らしかったわい、おい、ここ夜になったらまた乗りに行くからな、夜になるとジャングルの中がライトアップされてまた別の景色が観れるんじゃ」

「了解であります! ゼウス隊長!」

 

まだ二つ目のアトラクション乗っただけなのにすっかりこの国の虜になってしまった仏、ゼウスの指示にもなんの疑いも無くビシッと敬礼しながら答える。

 

「そんじゃあ次はホーンテッ〇マンショ〇にでも……あ、そうじゃ、歩き途中で聞きたいんじゃけど」

「あれ? さっき降りて来た紫色のターバン被った男とアホそうな水色頭の女ってもしかして……ん? なに?」

 

先程妙に知り合いと似ている二人組が、自分達と同じアトラクションから出て来たのを確認していた仏に

 

急にゼウスの方が改まった様子で話しかけてくる。

 

「ウチの孫は、オラリオでちゃんとやっていけてるのか?」

 

「ああ、ベル君はまあ、おたくが心配しなくてもちゃんと頑張ってるよ、なにせこの私がちゃんと見てあげてるんだから」

 

「いやお前は傍にいなくていい、むしろお前が傍にいるのが余計に心配、てかウチの孫にこれ以上関わらんといてくれ」

 

「おい、三段重ねで酷い事言うんじゃねぇよ! 私がどれだけあの子を導いてあげてるのか知らねぇのかコノヤロー!」

 

自信ありげに言ってのける仏に対して真顔で辛辣に返すゼウス。

 

だが仏は自分はちゃんとベルを導いてあげていると譲らない。

 

「私がベル君を精神的に成長させる為に授けた書物知ってんのか? デビルマンだぞオイ!」

 

「デビルマン!? なんちゅうバイオレンスなモンをウチの孫に読ませてるんじゃ! そこはあばしり一家じゃろうが!」

 

「そっちの方がよっぽどバイオレンスじゃねぇか!! テメーの孫にエッチでグロテスクな漫画読ませる気かよ!!」

 

導くというか単に漫画を渡しただけである仏に、ゼウスはちょっとズレたツッコミをしながら

 

やはりコイツを自分の孫の傍には置かせたくないとため息をこぼす。

 

「ハァ~、やっぱりウチの孫に必要なのは頼れる師匠みたいな存在じゃなぁ、肉体的にも精神的にも鍛えてくれる者があの子の傍にいてくれたらわしも安心して夢の国に通えるんじゃが……」

 

「孫御飯にとってのピッコロさん的な?」

 

「なんでそこでドラゴンボールで例えるかなぁ、間違ってはないけども……」

 

孫が壁にぶつかった時にサッと現れて壁の超え方を指導してくれる者、そんな人物がいないモノかと、ゼウスは嘆きながらまたもやため息。

 

「孫の主神がアレだと聞くし……せめて教えの師匠的な者を傍にいて欲しいわい」

「ああ紐ね、アレはね~、むしろアレがベル君の足を引っ張ってるって私確信してるから」

「やっぱりそうか、アイツ、アホじゃしの」

「アホだからねー」

 

ベルの主神であるヘスティアに対してはなんの期待をしてもいないゼウスと仏。彼女の事を軽く鼻で笑い飛ばすと、二人はまた歩き出す。

 

「人の子が成長するには何かしらのキッカケを必要とする、そのキッカケを掴めばベルは確実に実力を大きく成長させ、かつ多くの女性達を手籠めに出来る程のモテモテになれるんじゃが……」

 

「いや、その言い方だとモテる事がなにより大事みたいに聞こえんだけど?」

 

「当たり前じゃろうが! 男はモテてこそなんぼ! ハーレムを築いてこそ人生! 女人を囲めてウハウハする事こそ醍醐味!! でもヤンデレだけはマジ勘弁!!」

 

「出たー! ゼウス君の超クズ格言! 奥さんに言いつけてやろうかコノヤロー!」

 

孫の成長、そして彼が自分の様にハーレムを築いて幸せな人生を歩む事こそが、ゼウスにとって何より一番望んでいる未来なのだ。

 

しかし言ってる事は男として最低なので、カッコよく言っても全く決まっていない。

 

「わしの孫であれば絶対に出来る筈なんじゃ、なにせわしの孫なんだからな!」

 

「いやまあでも、確かに既に現在形で色んな女の子に囲まれてますからね、彼」

 

「え、もう? うわ、さすがわしの孫、で? 何人とそういう関係になった? 既にわしのひ孫が誕生してたりする?」

 

「気が早ぇよ!! なにひいおじいちゃんになろうとしてんだよ!」

 

オラリオの街に最近よく顔を出す仏は、ベルが何かと女性と縁がある事を知っていた。

 

その話にゼウスはすぐに食いつくと、早速ひ孫の誕生を心待ちにしている様子。

 

「そもそもね、ベル君自信にはまだ一人の女性を攻略する事に集中しているから! ハーレムなんてまだまだ先だから!」

 

「はえ~そうかそうか、まずは一人目を狙ってるんじゃな、念の為に言っておくけど紐じゃないよな?」

 

「それだったら私が全力で止めてあげてるわ」

 

「ですよねー」

 

もし孫が主神の神にでも惚れこんでいたらどうしようかと思っていたが、ヘラヘラ笑いながらその可能性を手を振って否定する仏を見てホッと胸を撫で下ろすゼウス。

 

「一人目を攻略……そうか、最初の攻略が一番コツを掴むチャンスじゃからな……頑張るんじゃぞベル、そしてわしにひ孫を早く見せてくれ……」

 

「だから気が早ぇんだよジジィ」

 

「よし、ならば孫の成長を祈って、今からホーン〇ッドマンショ〇に乗るぞ」

 

「それ孫の成長関係ないだろ! 単にお前が乗りたいだけじゃん!」

 

「その後ファストパスを使ってバ〇・ライトイ〇ーのアトラクションに乗って、そん次にハニー〇ントのファストパスを取るからな」

 

「もはや孫の事なんか全く関係なしに楽しむ気満々じゃねぇか!」

 

ハーレム築いてこそ人生、それが孫であるベルにもしっかり受け継がれている事を確信しながら

 

ゼウスは仏と共に夢の国の観光を再開するのであった。

 

 

次回、ゼウス、息子に会う。

 

 

 

 

 

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