タスケテー
修行を始めてからそれなりの時間がたった。
今では体も大分動くようになり、少しは力が馴染んできたように思う。
『そこまで!』
「ふぅ。」
合図とともにからだの力を抜いて、軽く息を吐いてからその場に座る。
『もう俺から教えることはなさそうだ。あとは実戦で鍛えていくしかないね。』
実戦か…。この森で過ごしていてわかったことだが、ここはどうやら普通ではないらしい。所謂ファンタジーな世界だ。
そのお陰で食事には手こずった。何せただでさえ狩りをした事がないのだ。普通の動物でも難しいのに、見た目完全に魔物では、もうどうしようもない。
何日も断食状態が続き、力がある程度ついてようやく食事にありつけたんだ。苦い思い出である。
「あとは実戦てことは、修行は…。」
『修行は終わりってことだよ。そろそろ落ち着ける街に行くべきだろうしね。』
そうか…。確かに自分としても街に行きたい。それに、力も自分でいうのもなんだけど、かなり強くなった。これなら大抵のことには遅れはとらないはず。
「そうですね。街にいこうと思います。」
『俺はもう消えるけど、修行を怠ってはいけないよ。あと、力を過信するのもよくない。思わぬ事態はいつだってあり得るからね。』
「もちろんです。俺も死にたくはないですから。」
『ん!なら安心だ。それじゃそろそろいくよ。』
体が薄くなっていくミナトさん。少し心細いけど、そうもいっていられない。これからは一人でこの世界を歩まなきゃいけないんだから。
「ありがとうございました!」
最後まで聞こえたかはわからない。だけど、きっと届いているだろう。
「さて。それじゃそろそろいこうかな!」
持ち物は特にないので、そのまま町を目指してすぐに動く。今の時刻は太陽の高さを見る限り、日本でいう12:00辺りかな。できれば日がくれる前に着きたいところだ。
「取り敢えず川を下っていこうか。」
というわけで、川にそって移動する。
大体2時間くらいかな。ノンストップで走っていると、でかい塔みたいなのが見えてきた。
まるで天を衝くかのようなその塔は遠くからでもその壮大さが感じ取れる。
俺はいっそう足を早めて、あの塔を目指す。恐らくあそこに街もあるはずだ。
更に3時間かけて走り、大きな街にたどり着いた。
どうやらあの塔はこの街の中心にあり、シンボルになっているらしい。
街に入ると、いろんな種族の人達が歩いていた。猫耳や犬、更にはエルフなど。予想よりかなりファンタジーだった。
物珍しさからキョロキョロしている俺はかなりの不審人物か田舎者だろう。少し恥ずかしくなってきて、急いで大通りを進んでいく。
「話を聞くにも、こんなに人の流れが早いんじゃな…。」
困ったな…。広場とかなら話聞けるかな?
「広場、広場…と。あの噴水がそうかな?」
まっすぐ進んだところに噴水が見える。あそこにいってみよう。
出店の誘惑に抗いながら、進んでいく。お金もどうにかしないとな。
「すごいな。こんなに広いなんて…。」
そこは8本の大通りが集まった円形の広場。その分人の量も増えるが、それでもスペースには全然余裕がある。
「それに、気づかなかったけどあの塔の目の前か…。」
近くで見ると視界一杯にいれてもなお見渡せないほどの塔があった。近くで見ると人が入っていったり、窓なども見える。何かの施設だろうか。
「取り敢えずここで話を聞いていこう。」
気を取り直して話を聞くことにする。何処かに話しやすそうな人はいないかな…。
周囲の人たちを目立たない程度に見渡す。すると恐らくお店の買い出しかなにかだろうか。制服を着ている女の子が二人歩いている。見た感じ穏やかそうだし、いってみよう。
「あの、すいません。」
近くで見るとこの二人凄いきれいな子達だな。と思いながら声をかける。もちろん顔には出さない。
「はい?何ですか?」
答えてくれたのは青い髪のほんわりした顔の女の子。もう一人の………エルフ?かな。緑色の髪をした女の子はこちらを怪しげに見ている。
「えぇっと、少し話を聞きたくて。」
俺はこんなに人見知りだったろうか。ものすごい緊張してる。
「話ですか?少しならいいですけど…」
あまり時間はないらしいが、それでも答えようとしてくれる彼女。ほんとにすみません…。
「その、この街についてなんですけど。ここはどこなんでしょう?それに、ちらほら武器を持ってる人達がいるのは…。」
そう。周りを見て気づいたんだけど、武装してる人が多く見える。大剣だったり、杖だったり。もしかして、冒険者とかあるのだろうか。
俺の質問を聞いた彼女たちは鳩が豆鉄砲食らったような顔をしていた。
「その、オラリオを知らないで来たんですか?」
「えぇ。小さい村から出てきまして。そこでは外の話っていうのはあまり聞かなかったものですから。」
一応自分の設定は考えてきて正解だったな。これなら違和感はそんなにないだろう。
「えっと、この街は〈迷宮都市オラリオ〉。ダンジョンの上に築かれた街です。この街は天界から降りてきた神様と人々が共に暮らし、神様の眷族〈ファミリア〉となって、冒険者や武器や防具を作る職人となって生活をしています。」
「さっきからあなたが見ていたのはその冒険者という人たちです。あの塔にギルドがあるので、そこで詳しく聞く方がいいと思いますよ。」
二人が丁寧に教えてくれる。なるほど、わかりやすい。この人たちに聞いてよかった。
ギルドか…。そこで更に詳しく教えてくれると。これ以上引き留めるのも悪いし、そっちにいこう。
「ありがとうございます。助かりました。」
「いえ。お役にたててよかったです。あ、私はシル・フローヴァ。〈豊饒の女主人〉で働いています。ご飯の際は、是非うちに寄ってくださいね?」
シルさんか。ちゃっかりした子だな…。ぜひ寄らせてもらおう。
「………同じく〈豊饒の女主人〉で働いている、リュー・リオンです。」
こちらはリューさんか。なんか警戒というか、距離を感じる。まぁ初対面だし仕方ないか。
「シルさんにリューさんですね。俺はミナト。水鏡ミナト。本当に助かりました。またそちらのお店にうかがいます。」
二人に会釈してギルドに足を向ける。二人も少し小走りにお店に向かったみたいだ。
ギルドに入り、受付口にたつ。
「こんにちは。ギルドへようこそ!本日はどのようなご用件でしょうか。」
「すいません。話を聞きたいんですけど」
「話ですか?どういった内容でしょうか。」
「えっと、オラリオのことをあまり知らなくて。できればここオラリオのことを詳しく知りたいのです。」
「詳しく…ですか。わかりました。でしたら応接室へご案内しますので、こちらへどうぞ。」
そういってスタスタ歩き出す受付の人。やっぱり慣れてるなぁと感心しながらついていく。
「こちらで少々お待ち下さい。」
通されたのはきれいに整頓された部屋。ソファに座り、無意識に入ってた肩の力を抜く。受付の人は案内したあとまたどこかへいってしまった。
5分位のんびりしているとノックの後に先程の受付の人がティーセットをもって対面に座る。
「改めまして、本日担当するエイナ・チュールです。」
丁寧に挨拶をしてくれるエイナさん。この人も耳が長いってことはエルフかな?
「俺は水鏡ミナトです。仕事の邪魔をしてすみません」
軽く頭を下げる。
「いえ!相談に乗るのもお仕事ですから。頭をあげてください!」
「それならよかったです。」
頭をあげてほっとする。
「それで、この街を詳しく知りたいとおっしゃっていましたが、具体的には何を知りたいんですか?」
本題だ。何をと言われれば全部としか言えない。
「えっと、全部なんですけど…」
流石に口ごもってしまう。自分でも非常識だと思う。
「えぇっと、全部ですか。いえ、わかりました。時間を少々いただきますが、時間は大丈夫ですか?」
おお、これは頼もしい。
「はい。よろしくお願いします。」
「では、まずここ、オラリオという街はーーーー」
それから数時間たって、ようやく話は終わった。
「ーーーーーーーということです。」
「は、はぁ…。」
あれからずっと座りっぱなしで話を聞いていた。いや、まさかここまで時間をとるとは……。
「よくわかりました。なにせなにも知らない状態で来たものですから。」
「気になさらないでください。極希になんですが、そういう方も来られますので。」
あ、そうなんだ。だからスムーズに話が通ったわけだ。
それにしても、恩恵にダンジョンか…。
どうやらこの世界は神の恩恵〈ファルナ〉というものを刻んでもらわないと、ダンジョンに行けないらしい。
冒険者はファミリアに入り、主神からファルナを刻んでもらい、ステータスを得るという。
ステータスはそのままRPGゲームのものを想像してくれればいい。
今このオラリオで最強なのがLv.7。
レベル間には決定的な差があり、1と2でも実力はかなり違うらしい。
その他にも色々教わったが、まぁ今重要なのはこれくらいかな。
因みにエイナさんはエルフはエルフでも、ハーフエルフと呼ばれるものらしい。つまり、半分エルフ。
それで、今何が一番問題なのか、なんだが。
「ミナトさんは何処か希望のファミリアはあるんですか?」
そう。ファミリアである。当然こっちの神様はしらないし、当てなんかはない。
「いえ。特になくて」
「先程も言った通り、ファミリアはそれぞれ分野があります。探索系、生産系等々。ミナトさんがここで何がしたいんですか?」
何がしたいか。今すぐに答えが出そうにない。ただ、お金は稼がなければならない。
曖昧な答えを返してしまう。
「一番手っ取り早いとなると、冒険者ですね。魔石を換金すればすぐにお金は手に入りますから。」
「そうですね。取りあえずは探索系に入りたいと思います。」
「ミナトさんがそれでよろしいのでしたらこちらもなにも言いません。ですが、冒険者は命の危険がついて回ります。軽い気持ちで挑むのは、正直私はやめてほしいです。」
やっぱりエイナさんは優しい。接し方でそれがよくわかる。それに、受付嬢としてではなく、エイナさん自身の気持ちでそう言ってくれるのは、嬉しい。
「もちろん、命を賭ける以上は、覚悟を決めます。死ぬ気は毛頭ないですし。」
「………その言葉。信じますからね?」
「嘘は言いません。神様に誓って。」
まぁまだ誓う神様がいないんだけど。
「では、探索系だと、ロキファミリアはどうですか?オラリオでも最高峰の探索系ファミリアです。」
ロキファミリアか…。正直探索系ならどこでもいいのだが、神様でなにか違いがあるのだろうか?
「あの、神様によって同じ探索系でもなにか違ってくるんですか?」
「いえ、ファルナはどの神様がやっても違いはありません。あくまで、スキルなどは本人の経験や、心によって発現しますから。」
ふむ。となると、どこを受けても変わらないのでは?
「ただ、神様によって認知度が変わってきます。認知度が高い神様はやはり入団者が多く、その分お金が入ってくるんです。」
つまり、その逆もまたしかり、か。
ただ、個人としては、大きいファミリアはその分ルールが厳しいだろうし、その点はすこしめんどくさいと思ってしまう。
どこかいい感じに緩いところはないだろうか。お金はなくても、どうにでもなるし…。
入団試験も厳しそうだしね。
「その、あまり大きくないところがいいです。あまりルールが厳しいとあれなんで…。もっと言うと、お金や人数は別に気にしないんです。最悪家があれば」
自分でもだいぶわがままいってるなぁと思う。ごめんね、エイナさん。
「ん〜。ごめんね、いま、あまり募集してるところがなくて…。ただ、人がいないとギルドにはファミリア申請ができないの。もしかしたら、街にファミリアになってくれる神様がいるかもしれないよ?」
「そうですか…。わかりました。自分ですこし探してみます。」
これ以上はさすがに迷惑だろう。自分で何とかしよう。幸い神様は見ればわかるらしいし。
「力になれなくてごめんね。また困ったら相談に乗るから。」
「はい。ありがとうございました。それじゃこれで。」
「うん。がんばって!」
応援を背に神様を探しにいく。エイナさんも口調が柔らかくなってたし、仲良くなれた分収穫だったということで。
前のページで自己紹介ページを作るといってたが。ありゃ嘘です。だって、紹介ったって主人公だけですし。ということで、あとがきすぺーすをつかってしようと思います。
水鏡ミナト (20)
事故死からの転生というテンプレをする。
NARUTOの4代目火影の力を得る
ダンまち世界に来てからはミナト(チャクラ体的なもの)と修行をする。
仙術はミナト以上で、ぶっちゃけナルトの力を持ったミナト。
原作では語られなかったため、ミナトの性質変化を風ということにしました。
見た目は完全に波風ミナト。力に引っ張られた形。
名前は自前。ミナトも自前。
この世界でのステータスはどうしようか悩み中。だって魔力じゃなくてチャクラだし…。チャクラは変えられん!
術の扱いも悩み中。ぶっちゃけ無理矢理にしてみようかとおもってる。
あと、別にコミュ障じゃないです。始めての世界で緊張してるだけ。
もう全部ご都合展開にまかせよう。やっぱ便利だよね。この言葉。