問題児たちが異世界から来るそうですよ?~二天龍を従えし者~   作:眠らずの夜想曲

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今回から新しい話です。


第2話~激化~

状況は最悪という程は悪くなかった。

殿下は未だ戦闘態勢を取っておらず、十六夜も黒ウサギも怪我を負っていなかったからだ。

 

 

「で、でも、金糸雀様の安否を確認しないと……!!」

「馬鹿なこと言ってるんじゃねぇ!!」

 

 

黒ウサギが金糸雀の安否を確認するとか言いやがった。

今は自らの命の方が棄権だというのにだ。

 

 

「ナイスタイミングだぜ刃!!今すぐ黒ウサギを連れて―――」

 

 

十六夜がそこまで言った時だった。

殿下が弾ける様な哄笑を上げた。

 

 

「なるほど……あぁ、そうか。そういうことかッ!!つまることお前は……いや、お前たちはッ!!三年前の発端や出生を、何も聞かされてないってことかッ!!」

「なっ……?」

 

 

黒ウサギが憤った。

それに関しては俺も気になっていたことだが今はそれどころではい。

それどころではないのだが―――

 

好奇心からか、行動ができない。

 

殿下が滑稽だと言う感じで腹をかかえて笑っている。

すこしイラつくが、情報が欲しいのでこらえる。

顔を上げた殿下には、先ほどまでの笑顔は全くなかった。

無表情……ではないが、真剣になったというのがただしいか?

 

 

「そうと知っていれば、他の趣向を凝らしたんだが、まぁいい。これはこれで面白いしな。お前達の驚く顔が見られるなら見せる価値もある」

 

 

そう言うと、殿下の右手には一冊の魔導書が―――『来寇の書(エリン・グリモワール)』か!?

 

刹那、嵐のような風と共に『来寇の書』が紙吹雪をなって街を包み込んだ。

 

 

「括目しろ、逆廻十六夜。俺達原点候補者が持つ、力の一端を……!!」

 

 

紙吹雪は一枚一枚が漆黒に染まっていった。

そしてそれは黒の封書へと変化した。

 

 

 

『ギフトゲーム   『Tain Bo Cuailnge』

 

 ・参加者側ゲームマスター 『逆廻十六夜』

 ・主催者側ゲームマスター 『     』

 

 ・ゲームテリトリー 『煌焰の都』を中心とした半径二km。

 

 ・ゲーム概要

  ※本ゲームは主催者側から参加者側に行われる略奪型のゲームです。

   この岐阜地ゲームで行われる略奪が以下の条件で行われる限り罪に問われません。

 条件その一:ゲームマスターは一対一の決闘で雌雄を決する。

 条件その二:ゲームマスターが決闘している間はあらあゆる略奪可(死傷不問)

 条件その三:参加者側の男性は決闘が続く限り体力の消費を倍加する(異例有)

 条件その四:主催者側ゲームマスターが敗北した場合は条件を反転。

 条件その五:参加者側ゲームマスターが敗北した場合は解除不可。

 条件その六:ゲームマスターはゲームテリトリーから離脱すると強制敗北。

 

 終了条件:両陣営のゲームマスターの合意があった場合にのみ戦争終決とする。

      ゲームマスターが死亡した場合、生き残ったゲームマスターの合意で終決。

 

宣誓 上記を尊重し誇りと御旗の下、『ウロボロス』連盟はゲームを開催します。

                                 『ウロボロス』印』

 

 

 

「あ、ありえない!!『来寇の書』はケルトの巨人族にしか使えないはずです!!なのに何故、貴方が『主催者権限』を使えるのですか……!?」

「さぁ?それはお前の知る必要のないことだぞ月の御子」

 

 

黒ウサギが蒼白になりながら叫ぶが、殿下はそれに答えない。

 

この条件三の体力消費倍加は俺には意味がない。

体力というものが存在しない。

無限に活動できるからな。

ただそうなると十六夜はまずいな。

あいつの一撃一撃には体力を大量に消費しているだろうし、第三宇宙速度で動き回っているのに、息切れをしないはずがない。

 

 

「ウオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォ―――――!!」

 

 

巨人族の叫び声が聞こえてきた。

面倒事がさらにまた増えた。

 

 

「刃!!黒ウサギを頼んだぞ!!」

「あぁ任された!!」

 

 

俺は黒ウサギの下に一瞬で移動し、そして抱き上げる。

 

 

「や、刃さん!!十六夜さんが―――」

「今はお前が優先だ!!今のままではお前はお荷物だ!!」

 

 

十六夜に向き直り、『フェニックスの涙”極”』を三つ渡す。

 

 

「十六夜、これぐらいしか今はできない」

「ヤハハ!!これだけでも十分だぜ!!」

 

 

俺は黒ウサギと転移をした。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

上空五万km、そこに足場を創造して俺達はいた。

いまここにいるのは俺、黒ウサギ、紅、オーフィス、メル、ルカの六人だ。

ペストはジンの護衛でレティシアは取り込み中。

なじみはサンドラの消息追っているので呼び出していない。

 

 

「それで、これからどうしたらいいと思う?」

「お兄ちゃんさえよければ全部まとめて殺っちゃうよ?」

 

 

悪気なしにあどけない笑顔で紅が言う。

いやいやそれはまずいだろ。

『ノーネーム』の奴らも死ぬだろそれ。

 

 

「却下だ。他には?」

「ん……」

 

 

オーフィスが手を静かに上げた。

 

 

「なんだ?」

「我、黒ウサギ守る。刃、敵、潰す」

 

 

なるほどな……それが一番妥当な方法だな。

だがそれだと力の加減をする暇がなさそうだから周りに多大な被害が出るかもしれないな。

 

 

「メルとルカは何かあるか?」

「私は特に」

「うーん……私の力で全石化させてもいいんだけど―――多分できないよね」

「それもそうだな……」

 

 

神器化したルカの力でも流石にそれはキツイものがある。

殿下なんか逆にこちらを石化させてきそうだ。

 

どうしようもないな……

詰んだか……?

これなら黒ウサギをみんなに任せて、俺が一つずつ潰していくのが妥当か。

よし、それでいこう。

 

 

「みんな、俺はこれから下に降りて一つずつ敵を潰して回る。紅とオーフィスには空からの援護。メルとルカには黒ウサギを頼みたい」

 

 

みんなは俺の案に乗ってくれたのか、うなずいてくれた。

黒ウサギはいまだに項垂れているが仕方がない。

 

 

「それでは行こうか」

 

 

足場から地上に飛び降りる。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

空中で創造神の姿になり、辺りを見回す。

十六夜は多分一人でも大丈夫だろう。

『フェニックスの”涙”』を三つ渡したから、滅多なことでは死なないだろうしな。

 

問題は耀と飛鳥だ。

二人には何も渡していない。

回復する手段がないのだ。

たとえ回復手段があったとしても危険だ。

耀は《生命の目録》があるがそれが切れたらお終いだ。

《生命の目録》が使えなくなり、それが人体に影響し、動けなくなったら?

そしたら逃げることもできない。

 

飛鳥は使い魔に似たものが二体いるが、飛鳥自身はただの女の子だ。

《威光》のギフトだってまだ使いこなせていない。

使い魔が二体ともどこかへ行ってしまったら無防備だ。

 

どちらの下にも早急に向かわなければ危険だ……

 

だが先にどちらに行く?

どちらも同程度の危険がある。

 

耀は力が切れたら身動きすらできなく可能性がある。

飛鳥は常に自らが危険。

 

よし、飛鳥からだ。

耀は逆に言えば力が切れるまでは戦力になる。

周りに仲間もいるだろうしまだ危険は少ないと判断する。

 

飛鳥の気を発見。

そちらに一気に下降していく。

見えた……

何やら黒いグリフォンみたいなやつが雄たけびみたいなものを上げていた。

 

 

「ギリシャ神群に属する山羊の神獣……そうか、アルマティア!!よもやこの『煌焰の都』で星獣クラスと相まみえるとは何という僥倖!!その「邪魔するぜ」ぐはぁ!?」

 

 

何か言っていたが構わずに黒いグリフォンに着地する。

 

 

「刃くん!?」

『いいタイミングできてくれました!!』

 

 

飛鳥が声を上げ、アルマティアが俺を褒めたのか?

アルマティアがその場から離脱した。

その上には飛鳥の姿が見える。

 

だがそんなこと気にしているひまはない。

 

すぐに黒いグリフォンに視線を戻す。

すると、黒いグリフォンの胸に刻まれた―――あれは《生命の目録》なのか?、が怪しく輝きを放ってる流転を繰り返した。

黒いグリフォンの姿が変わった。

翼は二枚から四枚に分かれ、それぞれが異なる翼へ再構築されていった。

黒龍の姿に変わった。

 

そいつは飛鳥とアルマティアへ光を放出した。

 

それを確認した瞬間俺は飛鳥達の下へ一瞬で移動し、《重力を操る程度の能力》でブラックホールを創り、光を吸収する。

 

 

「あ、ありがとう」

「礼はいい―――ッ!?」

「刃くん!!」

 

 

吹き飛ばされただと……?

クソ、気を抜いた。

黒龍が近づいていることに気づかないとは……

瞬間移動を使い、再び飛鳥の下へ移動する。

 

 

「よくもやったなクソッタレが!!」

「な―――」

 

 

今度はこちらが全力で蹴りを身体にいれる。

 

 

「アルマティア!!相手の種族がわかるか?」

『蛇龍・コカトリスが持つ石化の魔眼です。如何なる恩恵かは知りませんが他種族の恩恵を行使できるそうですね。……ふむこれは丁度いい』

 

 

アルマティア、結局俺の質問には答えていないでないではないか。

さっきのが何の光だったかは分かったがな。

ルカの石化の光線みたいだ。

 

 

『吉報ですマスター。あれは経験を積むには打って付けの教材です。私が解説しますから、引出しを全部見るまで戦いましょう。それをなすころには貴女は立派な幻獣キラーですよ』

「な……そ、そんあ事をしている場合じゃないでしょう!?それに敵は他にも―――」

「ヒハハハハ!!その通りだぜ小娘共!!」

 

 

すごく下品な笑い声だ。

そして『混』の一文字が夜空に躍った。

これはマズい。

此処にいては巻き込まれる。

 

 

「飛鳥!!アルマティア!!ここから急いで離脱しろ!!巻き込まれるぞ!!」

「ど、どうしたの刃くん?」

『そうですよ。これは滅多にない―――』

「あぁクソ!!」

 

 

背中の翼で飛鳥達を包み上げ、そして上空に退避する。

その瞬間、無数の剣が俺達がいた場所を通過した。

 

 

「な、何よあれ……」

『マスターのいう通りです。なんです?あれは』

 

 

翼から解き放たれ二人が言う。

 

 

「あれはなじみのスキルだ」

「スキル?」

 

 

飛鳥が訊きかえしてきた。

 

 

「ギフトみたいなものだ」

 

 

と、ここで後ろから抱き着かれる感触がした。

後ろに振り返るとそこにはなじみがいた。

 

 

「なじみ、ご苦労様」

「別に、スキルを使えばこんなの余裕だよ」

 

 

そこで新たな乱入者を発見する。

カボチャだ。

カボチャ頭だ。

ジャックか……

 

 

「……ヤホ?」

 

 

乱入してきたジャックの瞳が驚愕に染まるのが見て取れた。

その視線の先にはサンドラがいた。

違う……あれは身体を乗っ取られたんだ!!

 

 

「なじみ……ここはジャックが殺る気をだしているから任せようか」

「そうだね。―――あの濃度の殺気は久しぶりに感じたよ」

 

 

カラカラと笑うなじみ。

 

ジャックの霊格が劇的に変化するのを感じた。

 

 

「是非もないッ!!混世の魔王!!お前は『ウィル・オ・ウィスプ』の御旗を前に―――一番やっちゃいけねぇことをした――――――!!」

 

 

空洞のカボチャ頭から業火が噴き出した。

それもそうだろう。

幼子を守ることをジャックは何よりも大切にしていたのだ。

だからこの魔王はジャックにとって必ず討たねばならない仇敵だ。

 

 

「いざ心して受けろ、混世の魔王よ!!この私の……『パンプキン・ザ・クラウン』の試練を―――!!」

 

 

ジャックにしばらくは任せておいて心配はないだろう。

だが邪魔が入るかもしれない。

それを俺となじみで潰していこう。

 




来寇の書がなかなか変換できなくて大変でした。
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