問題児たちが異世界から来るそうですよ?~二天龍を従えし者~ 作:眠らずの夜想曲
第1話~呼出~
どーも、神浄刃だ。
爺さんに呼ばれて神界に来たのだが、またもや面倒事の予感だ。
せっかく当麻が魔神を守りきって、いい感じで打ち上げに行こうと思っていたのに……
なんてタイミングで呼び出してくれやがった。
「で?なんの用だ」
「……そんなに睨まんでも」
「うるせぇ!!せっかく当麻達と打ち上げするところだったに緊急で呼び出したのはテメェだろうが!!」
そう、いつも通りの呼び出しならこんなにすぐに行くわけがない。
だが緊急と言われたのですぐに来たわけだ。
「結局何のために呼ばれたんだ俺は?」
「うむ、これを見てくれ」
そこには、胸から血を流したと思われる俺がいた。
……え?俺ですか?
なんで俺がそこにいるんだ?
俺がいつも気軽に創造している分身とは違い、魂までもが俺だ。
ただ、気になったのがカオスの姉貴から受け継いだ原初神の力がないということだ。
「お主も気づいたように、これはお主じゃ」
「うん、それで?」
「お主はまったく覚えていないじゃろうが、お主もこうなっておったんじゃ」
「うん、それで?」
「今こちらのお主にやろうとしていおるのは、創造神として確立じゃ」
まったく覚えていないのだが……
えぇ、じゃあなんだよ、俺もこんな風に―――そう言えばなったな。
胸元に鎌が刺さって―――どうなったかは忘れたがな。
「それでなぜ俺を呼んだし」
「凄く長くしっかりと説明されるのと、簡潔にわかりやすく説明されるのどっちがいい?」
「もちろん簡潔にわかりやすくだ」
何がうれしくて爺さんの説明を凄く長く説明されねいといけないんだ。
「ようは、この時のお主を創造神として確立させたいのじゃ。すると必然的にこの神界にお主を連れてこなければならぬ。そうすると『問題児』の世界のお主がいなくなる。突然巨大な力が消えるとその世界のバランスが崩れて消滅するこもしれない。ならそこに消えた力と同質の者を知れれば万事解決!!というわけじゃ」
「意外に長くて驚いたわ!!」
簡潔で分かりやすくはあったけどな。
それでも結構長かったから、凄く長くしっかりを選んだらどうなってたんだろう?
「で?結局俺がそこの俺の代わりに『箱庭』に行くと」
「そうじゃ」
「それはいい。向こうのレティシアとかはどうなっているんだ?」
「安心せい、神界に連れて来ておるわい」
「了解だ」
あ、そうだ。
どうせなら一度、金糸雀に会ってみたいな。
「爺さん。一度、金糸雀に会いたいのだがいいか?」
「……どういう意味じゃ?」
「過去に飛ばせということだ」
「はぁ……何を言っとるのじゃ、ノヴァよ。いや、ノヴァ様。もうあなた自身で『問題児』の世界へ向かうのですよ?―――時間軸など、あなたのお好きな時でいいのですよ。そこからさらに過去に向かおうと、未来へ向かおうと、すべてはあなたの自由ですよ?」
そう言えばカオスの姉貴―――原初神の力を受け継いだことで序列が最高になったんだけっか?
いやぁ、人間だった俺を神にした爺さんに様付けで呼ばれるのは何とも言えないな。
「まぁそう言うことなら俺は行くぜ?」
「うむ、行って来い。―――これが『問題児』の世界じゃ」
そう言い、爺さんが空色の球体を渡してきた。
これは俺が世界を創造した時の球体と似ている。
なるほど、これに触れて時間を指定すればいいのか。
意外に簡単だったな。
というか、爺さんの口調が戻ったな。
「じゃあ行くわ」
「うむ、行って来い。あぁそうじゃった」
「何だよ……」
折角意気込んだのにな……
調子が狂うぜ。
「『神使』は全員『箱庭』に送っておくからの」
「なん……だと……!?」
久しぶりに『神使』が全員そろうのか……
なんかこれからのギフトゲームが余裕になりそうだな。
いっそのこと、新しいコミュニティでもつくるか?
俺と『神使』で。
「ありがとう爺さん。じゃあ今度こそ行くぞ?」
「あぁ、行って来い」
手に持っている球体に神力を注ぐ。
時間軸を指定して―――
☆☆☆
「でもね。時々、思わずにはいられないのよ。十六夜君が真実を知った時……楽しかった日々のすべてが、あの子の呪いになるんじゃいかって。真っ直ぐに育ってくれたあの子の心に、歪みを作ってしまうんじゃないかって。私は―――それが怖いんだ」
どうやらうまく転移できたようだ。
金糸雀の声らしきものが聞こえてきた。
ここは病院の病室の一室だ。
まだ二人は俺に気づいていないようだ。
それもそのはず、《絶》を使い気配を消しているのだから。
それに加えて神様クオリティのステルス。
見つかる理由がない。
「くそ、自分の身勝手さに腹が立つ。同じところをずっと堂々巡りでさ。どうするべきなのか、どうしたいのか……答えが見えないんだ」
「……金糸雀」
正直に言おう。
この二言だけでは何の話をしているのかほとんどわからない。
まぁ十六夜のことを心配していることはわかった。
「……何ということ。あれだけ必死に探し回った友が、これほど脆弱になっていようとは。こういう時はどんな顔をすればよいのでしょう?」
金糸雀と男が窓際を見る。
俺もつられて窓際を見る。
桜の小枝を伝って、トッタカトッタカと歩くマゼンタのワンピースを着た小人の少女がいた。
あれは『ラプラスの小悪魔』か。
どこかで見たから覚えている。
白ちゃんのとこの子だったような……
「ラプ子!?馬鹿な、どうして君が外界にいる!?ラプラスの理論が否定された時代では霊格(そんざい)を保っていられんだろう!?」
「時勢が変わったのです。二〇〇〇年初期に巨大な『歴史の転換期(パラダイムシフト)』が確認されました。その影響もあり、今後二百年以内に私たち『ラプラスの悪魔』は形を変えて完成される見込みです。―――そんなことより」
トッタカトッタカ、と虚空を歩きながら金糸雀のベットに乗り込むラプ子。
金糸雀の膝まで歩いて来たラプ子は、金糸雀を悲しげに見上げた。
「……久しぶりですね、金糸雀」
「久しぶり、ラプ子。相変わらず小っちゃて可愛いわね。梨でも食べる?」
「いただきます」
「あ、俺も食べる」
「「「!?!?」」」
このタイミングで出ないと出ていける気がしなかった。
後悔はまったくしていない。
《絶》とステルスを解除し、姿を表す。
ちなみに原初神の姿のままだ。
「……あなた誰?そのまえにあなた何者?」
金糸雀が警戒しながら訊いてくる。
となりの男はいつでも戦闘できるように構えている。
ラプ子は金糸雀の肩に乗ってしまった。
「どうも、初めまして金糸雀。原初神カオスの力を受け継ぎし者、原初神ノヴァだ」
「……原初神カオスねぇ。ギリシア神話ので合っているかしら?」
「そうだよ。まぁ分け合って原初神になってしまった元人間だ。よろしく」
ニヤリと口を歪めて言う。
金糸雀がさらに警戒してしまった。
これは選択を間違えたか。
「人間だったの?あなた」
「そうだぜ。もともとは普通で普通すぎる高校生だ」
「へぇ……その話、詳しく「金糸雀!!今はそんなことより訊くことがあるだろう!!」…そうね」
金糸雀の言葉を途中で止めた男。
ナイスだ。
その話はものすごく長くなるからしたくなかった。
「結局何をしにここに来たのかしら?」
「金糸雀に会いに来た」
「ふぇ!?」
なぜそこで顔を赤くするのだ金糸雀よ。
「な、ななな、何で私にあ、会いに来たのよ」
「んー?会ってみたかったんだよ。十六夜や黒ウサギが言う金糸雀がどんな人か興味が出てね」
「「二人に会ったの(か)!?」」
「お、おぅ……」
二人が詰め寄ってくる。
正確には男だけだが。
「しかし会ってみて少しわかったのだが―――金糸雀の霊格がボロボロだ。世界の改変でもしたのか?」
「……そこまでわかっちゃうのね。さすが原初神ノヴァ」
「いやぁ……この程度ならレティシアでもわかるぞ?」
「あなた本当に何者?レティシアの名まででるなんてただの神では収まらないわ」
これは面倒なことになった。
警戒の色が濃く出てしまったぞ。
「まぁレティシアは俺の嫁だし、知らないはずないし」
「「嫁ぇ!?」」
二人が驚く。
ラプ子は……驚いているのかな?
「俺も一応、『 』に入っているかな。黒ウサギに呼ばれてね」
「ということはあなたは未来から来たってことかしら?」
「That's right!!その通りだ」
金糸雀の頭の回転の良さは十六夜並みだな。
恐ろしい恐ろしい。
「十六夜は今な、魔王アジ=ダハーカと殺り合っているところだ」
「嘘でしょ!?」
「本当だ。しかも『ウロボロス』との交戦中でな。厄介極まりないぜ」
「なんでそんな時に過去に来てるのよ!!」
「いや、俺殺されちゃってさ」
この一言で、三人の目が見開く。
それもそうか。
死んだはずの神がこんなところにいるのだから。
「まぁ安心してくれ。殺されたのは、神になりきる前の俺だ。それも力を安定させるためだから仕方がなかったのさ」
「そぅ……どう?今の『 』は。黒ウサギは元気?十六夜は?」
「黒ウサギは月の兎の力を失っていて、十六夜も多分死にかけてると思う」
「そ、そう……」
「十六夜の他にも一緒に『箱庭』に召喚された奴がいてな。《生命の目録》をもっていたりとか面白い限りだぜ」
この一言で、またもや三人が目を見開く。
この人達、面白いわ。
金糸雀なんて死なせるのがもったいないくらいだ。
「そんなことはどうでもいい。嗚呼、どうでもいいいんだ。俺がここに来た理由は金糸雀。お前に生きてもらうためだ」
この言葉に、金糸雀がヤレヤレ、といった様子で首を横に振った。
「いくらあなたが原初神でも、私はもう無理よ。霊格の摩耗に加えて、神格は私に宿らないの」
「いやいや、そんなの関係ないから。霊格も神格もいらないし。どうせなくなるお前の命、俺が拾っても文句はないだろう?」
「……まぁそうね。できるものならやって―――むぐぅ!?」
そこから先は言わせない♪
現在進行で金糸雀の唇をいただいております。
ハリがあり、潤いもあり、なかなかなものです。
まぁレティシアには負けるがな。
男も、ラプ子も突然のことで固まってしまった。
金糸雀がバタバタと暴れるが人間程度の力では俺が払いのけられるわけもない。
「ぷはぁ!!い、いきなり何するのよ!!」
「キスだけど?」
「何でキスしたのよ!!これファーストキスなのよ!!」
「だってもう五年もしたら死ぬ予定だったんでしょ?」
「それでもよ!!」
まったくわがままだなぁ。
金糸雀がやれるものならやってみろって言ったのに。
「まぁそれは置いておいて―――どうだ?生命力があふれてきただろ?」
ニヤリとしながら金糸雀に問いかける。
「た、確かに……あなた何をしたの?」
「キスをすることによって、転生させた」
「転生……?」
「そうだよ。まだ完全にではないけど。―――はい、これ着けて」
そう言い、防御術式を組み込んだ指輪とネックレスを渡す。
「指輪に……ネックレスね。それもかなりの『恩恵』が組み込まれてる……」
そう呟きながら、金糸雀は指輪とネックレスを付けた。
「はいこれで転生完了ね」
「ちなみに何に私は転生したのかしら?天使?」
「『神使』だ」
「え……?」
金糸雀が何を言っているんだコイツみたいな目で俺を見てくる。
「だから『神使』だ」
「あの、神道において神の使いもしくは神の眷族で、神に先駆けて現れたり 神意を知らせるためにヒトと接触する者と考えられている?」
「良く知っているじゃないか。その通りだ」
流石金糸雀。
知識の幅が広くて話が進んでいい。
「私、元人間なんだけど……」
「安心しろ、今やレティシアも主種族が『神使』で、副種族が吸血鬼みたいな感じになっている」
「そ、そう……ってえぇ!?じゃ、じゃあ私はこれからどうなるの?」
「んー……この時間軸でやることを追えたら分身を身代わりして、俺と一緒に未来に跳ぶ。そして俺の新しく創るコミュニティに所属してもらう」
「なーるほど。まぁそうなるわよね」
どこか納得したように返事をする金糸雀。
と、そこで病室の外から元気な声が聞こえてきた。
「こっちこっち!!イザ兄、早く!!」
「わかってる。鈴華こそ病院ではしゃぐな。あと焔はゲームしながら歩くな」
「あ、あと少し。あと二ターンで魔王ソーマを撃破する……!!」
三人か……
「っ、ラプ子。こちらへ」
男とラプ子は何処かへ消えた。
俺はどうしようか?
「俺はどうする?」
「いや、普通に隠れられないの?」
「……そうするよ」
結局俺は、十六夜たちが病室から出ていくまで《絶》と神様クオリティの絶をして、病室の外から中を覗いていた。
十六夜のブレザー姿は笑いそうになった。
途中で十六夜が金糸雀にかなりいいこと言っていて泣きそうになった。
今回起きた出来事を簡単に説明しましょう。
1:『とある魔術の禁書目録』の世界で魔神を救い出した後のタイミングで刃が緊急で神界んい呼び出される。
2:そして、創造神として確立する前の自分の代わりに『問題児が異世界から来るそうですよ?』の世界に行く。
確立する前の自分だからといって、大きな力が抜けると世界が崩壊しかねないので、代わりに行くことに。
3:その際、金糸雀に会ってみたいという好奇心から過去へと向かう。
4:金糸雀の寿命があと五年くらい。だったらその命、俺がもらうぜ。
5:金糸雀の『神使』化、完了。
6:金糸雀にはこれから俺が新しく創ろうと思っているコミュニティに入ってもらう。拒否権はない。
だいたいこんな感じです。