問題児たちが異世界から来るそうですよ?~二天龍を従えし者~ 作:眠らずの夜想曲
アンダーウッドにいたときのお話です。
巨龍を倒してから一週間が過ぎた。
紅の乱入により案外簡単に片付いてしまったが、さすがにすぐに収穫祭を開催できる状態ではなく、一度時間を空けてからの再開となった。
おかげでレティシアとのデートも先延ばしだ。
我らが『ノーネーム』も収穫祭の再開を手伝うために、『アンダーウッド』への凝っていた。
もちろん、俺はそんなもの手伝っていない。
だってさ、魔王倒したし、少しくらいレティシアとイチャついていてもいいだろ?
部屋でベットにレティシアと潜ったまま至福の時間を過ごしていた。
俺とレティシアは身体の右側を下にして寝ているので、俺の目の前にはレティシアの芸術的なうなじが丸見えなのだ。
あぁ、服は着てないぞ。
下着オンリーだ。
レティシアを後ろから優しく抱きしめながら寝るのは最高だ。
体温が直接感じ取れるのもいいが、その華奢な身体を堪能できるのがたまらない。
おっと、自重自重。
ここでこの至福の時間を止める存在がやってきた。
コンコン、と部屋の扉がノックされる。
「刃くん、レティシア、入ってもいいかしら?」
何の用だろうか。
そこまで重要な幼児でなければ今は控えてもらいたい。
「あぁ、いいぞ」
上半身を起こしながら返事をする。
その際レティシアを起こさないように注意し、タオルケットをかけ直してやる。
「失礼するわ―――って刃君!!なにその格好!!なんで裸なのよ!?」
言われて気づいたが、上半身は裸の状態だった。
箱入り娘だった飛鳥には少しばかり刺激が強すぎただろうか?
「まぁ寝ていたからな。それで何のようだ?」
「はぁ……まぁいいわ。春日部さんとも話をしていたんだけれども、私たちって、あまりにもお互いのことを知らな過ぎるような気がしてね。四人ともそういうこと話さないでしょ?」
「まぁな……」
「そこでこんばんは、親睦を深めようということになったのよ。紅茶の用意もしたから、そろそろ十六夜君の部屋に行こうと思っているのだけれど……」
なるほど、俺にも来てもらいたいわけだ。
話をすることがないんだけどな……
前世のことは特筆したことはない。
神界で修行した一〇〇年間も、この『箱庭』と比べたら濃厚すぎる。
でもまぁ、行かない理由にはならないか。
「いいぜ、先に行っててくれ。着換えたらすぐに行く」
「そう。ありがとね」
飛鳥が部屋から出て行ったのを確認して着替えを開始する。
といっても、そこまで大層な物ではない。
漆黒のスーツに漆黒のシャツ、そして白銀のネクタイをして完了だ。
最近スーツを着ないと落ち着かなくなってきた。
まぁ慣れということもあるんだろうけど。
☆☆☆
「それじゃ、第一回異邦人の親睦会を開催しましょうか」
わー、パチパチ、と手を叩き合う飛鳥と耀。
俺はその姿を微笑ましく見守り、十六夜は―――呆れていた。
まぁ理由は分からなくもない。
十六夜の部屋で勝手に盛り上がっている、ただそれだけだ。
「ま、人の部屋で勝手に開催するのはいいとして。主催は女子組なんだから、進行はそっちで頼むぜ」
十六夜が紅茶を飲みながら言う。
「勿論。お題だってキチンと決めてきたわ」
「うん。親睦会の第一回目は―――『自分の時代の生活観』で行こうと思う」
げぇ……
それはマズイだろうに……
前世の生活様式はおおよそ十六夜と同じだろうし、神界は進み過ぎている。
ど、どうすればいいんだ……
まぁ適当にパチこくか。
「意外だな。お嬢様や春日部はそういうSFチックな話題に興味がないと思ってたが」
「そんなことはないわ。自分の生きた時代と別の時代の人間が語り合うなんて、中々に知的で素敵な会話じゃない」
「私はあまり興味ないな。………でも三人を見た感じ、私が一番未来から召喚されているみたいだから。話題を提供するという意味で、価値はあると思って」
三者三様の考え方があるらしい。
正直に言ってしまえば、耀の時代もそこまで未来と言うわけではなさそうだ。
超能力が人為的に創られたり、アンドロイドが実用化されたりとか、クローンの涼さんとか、タイムマシンとかが開発されてなさそうだし。
話の順番は年代順ということで、飛鳥、十六夜、耀、俺という順番になった。
俺が最後の理由は、ただ単純に「一番波乱のある時代で面白そうだから」という理由らしい。
飛鳥の話を聞くと、飛鳥はどうやら昭和時代の財閥のお嬢様だと。
膝上のミニスカートやショートパンツは絶対にありえないらしい。
『箱庭』はとても素敵な場所だって。
十六夜の話を聞くと、川を跨ぐ大樹に匹敵するものがあったらしい。
それには俺も驚いた。
前世の世界ではまったく知らなかったことだ。
だが人造物ではないようだ。
そこからはある女性のが話に入ってきたりしたが特には滞りなく進んだ。
耀の話を聞く―――ところで待ったが入った。
「夜も更け始めたからな、先に刃の話が聞きたい。春日部の世界は未来の世界ってことである程度予想がつくが、刃は神様らしいし、その神がいる世界での出来事が知りてぇ」
「それは私も同意するわ」
「私の話より、刃の話が聞きたい」
おっふ……
なんてこったい……
まぁ仕方ないか。
洗いざらいに話してやりますか。
神界で過ごした地獄ともいえる一〇〇年間を。
「それじゃあ話すぞ?といってもそこまで壮大なことじゃないからな。あれは神を名乗る爺さんに神界に連れてこられたところから始まったんだ―――」
俺の魂には創造神の力が宿っており、それがぐちゃぐちゃになっていたこと。
それを安定させるために、神にさせられたりしたこと。
そして本題の―――
「神界でした一〇〇年間の修行はキツかった……」
「ここまででもかなり濃厚な話なんだが……」
「さらに濃厚なるのかしら?」
「………もう結構キツい」
三人が溜息をこぼしているが、構わず話を続けた。
☆☆☆
「ハハハハハ!!甘いぞ!!そんなんではすぐに死んでしまうぞぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「知るか!!まだ始めたばかりだろうカオスの姉貴!!」
弾幕を懸命によけながら俺は叫び返した。
神界で修行をして一週間後。
ある程度まで力が扱えるようになったところで厄介な神に出会ってしまった。
原初神カオスだ。
ギリシア神話に登場する原初神である。
『大口を開けた』『空(から)の空間』の意。
オルフェウスによれば、このカオスは有限なる存在全てを超越する無限を象徴していると言われている。
こんな大物に出会ってしまったのが俺の運のつきだった。
俺が力の扱いの練習をしていることを知ると、カオスの姉貴は「私が見てやる!!」とか言い始めた。
そして今に至ると。
「オラァァァァァ!!」
「フハハハハハハ!!甘い、甘いぞぉぉぉぉぉぉ!!」
懸命に弾幕を張り返しても、すぐに倍以上の弾幕で潰されてしまう。
どうすれば勝てる?
どうすれば生き残れる!?
それだけが俺の頭の中にあった。
だって弾幕の一撃くらうだけですごく痛いんだぜ?
肋骨が折れて肺に刺さったらこんな感じなんだろうな、みたいな。
カオスの姉貴に一撃入れるまでこの修行は終わらない。
俺に明日はないのか!?
だがそんなことを考えている暇はない。
そんなことを考えている暇があったら回避だ回避。
東方も驚くようなビッシリと埋め尽くされた弾幕の間を縫うように前進する。
「おぉ?なかなかやるようになってきたな!!」
「うっせ!!チクショウが!!」
長髪にモロ乗りながら至近距離から弾幕を打ち込む。
すると―――
「―――む?一撃かすってしまったな。この勝負お前の勝ちだ」
「よっしゃぁぁぁぁぁぁ!!」
その言葉を聞き、俺は寝転んでしまった。
だがそれがいけなかった。
「だがまぁ―――まだ終わらないぞ?」
「―――ッ!?」
俺の視界はブラックアウトした。
☆☆☆
「と、まぁこんな感じだ」
一通り修行の内容を話してみた。
すると、
「………そりゃ強くなるわな」
「………刃君の強さの理由がわかったわ」
「………苦労したから得た強さ」
三人に同情されたのは言うまでもない。