問題児たちが異世界から来るそうですよ?~二天龍を従えし者~ 作:眠らずの夜想曲
〈新約〉第1話~面倒事~
俺は今、箱庭二一〇五四八〇外門居住区画・《ノーネーム》の農園に来ていた。
じゃりっ、砂を踏みしめる音がした。
見渡す限りに何も植わってわいないが、綺麗な農園が広がっていた。
ここには、俺、レティシア、黒ウサギの三人がいる。
「す、すごいです。あんなにひどかった土地がすっかり元通りです!!」
「さすが刃。私の男だ」
黒ウサギは飛び跳ねながら、レティシアは頬をかるく桜色に染めながら言う。
始めてこの本拠地に来たときには確認ができなかった農園を確認しに来たのだが……
すごい。
これを見るに、以前の《ノーネーム》は凄いコミュニティーだったことがわかる。
そして、こんな他愛もない会話をしているときだった。
「く、黒ウサギのお姉ちゃぁぁぁぁぁん!!た、大変ーーーーー!!」
叫び声のする方を向くと、そこには狐耳にモフモフな尻尾が特徴の娘、リリがこちらに泣きそうな顔で走ってきた。
「リリ!?どうしたのですか!?」
「じ、実は飛鳥様が十六夜様と耀様を連れて………あ、こ、これ、手紙!!」
パタパタと忙しなく二本の尾を動かしている。
ものすごく和む。
それはおいておいて、手紙の内容はなんだ?
少し覗くか。
『黒ウサギへ。
北側の四〇〇〇〇〇〇外門と東側の三九九九九九九外門で開催する祭典に参加してきます。
貴女も後から必ず来ること。あ、あとレティシアもね。
私達に祭りの事を意図的にっ黙っていた罰として、今日中に私達を捕まえられなかった場合
四人ともコミュニティを脱退します。死ぬ気で捜してね。応援してるわ。
P/S ジン君は道案内に連れて行きます。』
「………………、」
「………………?」
「――――――!?」
「ぶふっ!?」
誰も何も言わない。
と、ここで黒ウサギが口を開いた。
「な、―――……何言っちゃってんですかあ「うるさい!!耳元で叫ぶな!!」…す、すいません」
やはり問題児三人は問題しか起こさない。
だがそれもまた良しとしよう。
☆☆☆
俺達の行動は迅速だった。
手紙を確認した俺達は、農園から本拠に移動した。
そして子供達も総動員して、ありとあらゆる場所を捜した。
「「「「「どこにもいませんでした!!」」」」」
「お腹すいた!!」
戻ってきた子供たちが声をそろえて言う。
おい、一人だけなんか違うこと言っていなかったか?
「それはまた後でな。………それで金庫はどうだ?」
「コミュニティのお金に手を付け「黒ウサギ!!」…なんでしょう、刃さん」
「あいつら、とっくにここ出てんぞ!!」
「なんだと!?」「何ですって!?」
二人がヒステリック気味に叫ぶ。
「それは本当でございますか!?」
「あぁ、あいつらの気が感じられない」
「本当に気というものは便利だな」
「まぁな」
ふふ、レティシアに褒められた。
俺がほめられたわけではないのだろうが。
「黒ウサギ、転移で一気に追うぞ」
「はい!!」
「レティシアも来い!!」
「うむ。子供達は大人しく待っていろ」
「「「「「はい!!」」」」」
ここの子供たちは物わかりが良すぎるような気がする……
☆☆☆
俺達が転移して到着したのは東と北の境界壁だった。
四〇〇〇〇〇〇外門・三九九九九九九、サウザントアイズ旧支店。
そこに奴らはいた。
「見ィつけたーーーーーのデスよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「面倒事を起こしやがってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ドップラー効果の効いた絶叫と共に、俺達は現れる。
「改めて―――俺、参上!!」
「ふ、ふふ、フフフフ………!!ようぉぉぉやく見つけたのですよ、問題児様方………!!」
黒ウサギの髪の色が淡い緋色に変化している。
まさか黒ウサギも伝説の戦闘民族だったのか?
それを見た十六夜は危機を感じたのか、
「逃げるぞッ!!」
と、叫んだ。
「逃がすかッ!!」
今度は黒ウサギだ。
「え、ちょっと、」
十六夜はとなりにいた飛鳥を抱きかかえて、展望台から飛び降りた。
その間に耀は黒ウサギに捕まっていた。
「わ、わわ……」
「耀さん、捕まえたのデス!!もう逃がしません!!」
ぶっ壊れ気味に言う黒ウサギ。
そして捕まえた耀をこっちに飛ばしてきた。
「まったく……」
悪態を吐きながら、レティシアをお姫様抱っこしてその場から飛びのく。
「な、え、えー!?」
顔を赤くしながらどもっている。
うむ、最高に可愛いではないか。
「あ、ありがとぅ……」
「いや、気にするな」
顔を真っ赤にして、恥ずかしがりながらもしっかりと礼と言うとは……
黒ウサギの方を見ると、耀に何か言ってるようだ。
が、まぁ俺には関係ないだろう。
「そうだ、街をレティシア一緒に見て回らないか?」
「そ、それはつまりデ、デートというやつか?」
「そういうことになるな」
「そ、そうか……では行こう!!」
レティシアがOKしてくれた。
少しだけ断られたらどうしよう、などと思っていたが……
心配はなかったようだな。
辺りを見回し、白夜叉を確認した俺は、
「白夜叉、後は頼んだ」
「うむ。若いってのはいいのぉ」
後は白夜叉に任せることにした。
というか、余計なお世話だ。
では早速行こうか。
俺はレティシアを再びお姫様抱っこして街へ飛び降りた。
☆☆☆
「さて、どこから見て回ろう……レティシア、どこかいい店でも知っていないか?」
「むぅ……すまないな、あまり覚えていなのでな」
「そうか……」
どうやら記憶が曖昧らしい。
これもアレが原因なのか?
まぁ俺はまだ知らなくていいのだろう。
あくまでも、まだ、だ。
今頃気づいたが、どこからか音楽が流れてきた。
「向こうから音楽っていうかピアノの音が聞こえないか?」
「ピアノ……?む、確かに聞こえるな」
「行ってみるか?」
「刃は行きたいのか?」
「興味はある」
「うむ。では行こう」
ピアノの音を辿り、しばらく歩き続けるとギフトゲームが開かれている広場みたいな場所にたどり着いた。
「ギフトゲーム《壮大な演奏》……?」
「うむ……簡単に言えば、『どれだけ気分が盛り上がり、なおかつ壮大か』という事だな」
ふむふむ、案外簡単かもしれない。
要は壮大で盛り上がる曲を演奏すればいいのだろう?
「やってみるか……」
「刃がやりたいなら行くがいい」
「そうする」
少しレティシアがそっけないのは気のせいか?
気のせいだと願いたい。
ピアノが置いてある、ステージの上にゆっくりと歩いて向かう。。
「おっ、あんちゃんが次の挑戦者か?」
「あぁ、これはどうすればクリアなんだ?」
念のため、明確なクリア基準を聞いておく。
これにより演奏する曲を変更するかしないかを決めるからな。
「そうだな…あそこに審査員がいるだろ?」
何か勘違いしているミュージシャンみたいな格好だな……
「そいつらを納得させればいい」
「そうか。簡単だな」
案外簡単なクリア基準だな。
まぁ油断はできないが。
「じゃっ、弾いてくれ」
「おう、行かせてもらうぜ。『ナイト・オブ・ナイツ』」
椅子の高さを調節し、鍵盤に指を添える。
そして、鍵盤を指で弾き始める。
やがて曲は終局となったのだが……
「「「「「オォォォハイッ!!オォォォハイッ!!」」」」」
などと、合いの手を入れえてくれていた。
どうやら応援の方法は、日本と似ているらしい。
「審査員、結果は―――ま、満点だ…と…!?」
俺にルールを説明してくれたおっちゃんが、驚愕に目を見開いている。
「ふむ、こんなものか」
「あんちゃん。これ、景品だ。もってけ!!」
「あぁ、すまない。何?ギフト《幻想硬曲》……?」
幻想興曲は知っているのだが……
「あぁ、そのギフトはそれを持っている奴を音波の壁で守るってやつだな。待機状態は自由だ。指輪やネックレスにもできるぞ」
「どうやって変えるんだ?」
「持って念じればいい」
「わかった」
よし、指輪でいいか。指輪にしてレティシアに渡そう。
ステージの上から下り、レティシアの下へ移動する。
「―――レティシア」
「ん?刃!!すごかったぞ」
「ありがとうな。これはプレゼントだ」
「む、なんだこれ…は…!?」
レティシアに指輪を渡すと、嬉々とした表情から、驚愕の表情へと変わっていった。
何事だろう?
「どうした??
「『どうした?』じゃないぞ!?この指輪すごい力を感じるぞ!?」
「ギフト《幻想硬曲》ででいきた指輪に俺が防御術式を加えたからな。神様特性だからな。まぁどんな攻撃をくらっても死ぬことはないだろう。」
「そ、それはすごいな……」
「大切な俺の女―――レティシアの為だからな」
「そ、そうか、ありがとう。刃」
顔を真っ赤に染めながら返事をしてくれた。
照れているのか……
可愛いなまったく。
と、そこで辺りに爆音が響き渡った。
ドーン、と何かが爆発されたような音だ。
「な、なんだ?」
「分からないが―――面倒事の予感だ」
そうレティシアに返しながら、辺りを見回す。
すると、時計塔が崩れていくのが見える。
向こうの方から感じるこの気配は―――
「少し、お灸をそえてくる」
「う、うむ。頑張ってな」
「あぁ……」
さて、俺とレティシアの初デートを台無しにしたのだから、しっかりと責任は取ってもらおうじゃないか。
☆☆☆
時計塔があったところまで来たのだが……
何やら十六夜と黒ウサギが話をしていた。
二人とも所々汚れていた。
闘っていたのか?
「あ~……コレは、アレです。引き分けなので、互いに命令権を一つ得たみたいです」
「そんな事はどうでも「よくないだろうが」…誰だ?」
十六夜の言葉に俺が割り込む。
どうでもよくないだろう。
お前達二人のせいで俺の初デートが台無しになったんだぞ?
「俺だよ。刃」
「「や、刃(さん)!?」」
「そうだよ、いつもニコニコあなたの隣に這い寄る神様、神浄刃です。が…なにか?」
「「い、いや」」
二人とも、顔に脂汗―――冷や汗を浮かべている。
「まぁそんなことはどうでもいい」
「お、おい……刃?」
「や、刃さん?」
二人が、俺の顔色を窺うような声音で声をかけてきた。
「お前達は俺のレティシアとの初デートを邪魔してくれた。だからさ、―――一変死んでみるか?」
「「それだけは勘弁してください!!」」
凄く息がぴったりだ
なんだ?
打ち合わせでもしていたのか。
だがまぁ―――
「関係ないのだ「そこまでだ貴様ら!!」…今度は一体何だ?」
また面倒事なのか?
これでは上条さんに負けず劣らない不幸体質ではないか。
辺りを見回すと俺らの周りには、蜥蜴どもがいた。
おおよそ、騒ぎを嗅ぎ付けた《サラマンドラ》の連中かだろう。
さて、どうしようか。
短いですね。すいません。次回はペストが出てきますよ~。
2014/04/27、肉付け&改変。